CHAPTER 01 印鑑の基礎知識

印材とは?木・角・金属・石の違いと用途に合う選び方

印材(いんざい)とは印鑑を作る材料のことで、木・角・牙・金属・石・樹脂やゴムの6つの仲間に分かれます。仲間ごとの特徴と、実印や銀行印に使える印材の条件を説明します。当店で選べる6種類の価格と、用途や好みに合わせた選び方もまとめました。

公開日: 2026年10月10日

灰色の麻布の上に9つに仕切った木箱があり、淡い黄色の木、赤茶の木、明るい茶色の木、黒い角、飴色の筋が入った乳白色の角、クリーム色の印材、銀色の金属、桃色の石、淡い緑の石の印材が1本ずつ横になって入っている。右に真鍮のルーペがある
印材とは 印鑑を作る材料のこと。素材によって、丈夫さと手入れのしかたが変わります

印鑑を作ろうと商品ページを開くと、柘、黒水牛、チタン、象牙と、ふだん耳にしない素材の名前が並んでいます。値段の差も大きく、何を基準に選べばよいのか迷う方も多いでしょう。この記事では、印材という言葉の意味から始めて、素材の仲間ごとの違いをお話しします。実印や銀行印に使える印材の条件と、用途や好みに合わせた選び方もまとめました。

先に結論

印材(いんざい)は、印鑑を作る材料のことです。辞典には、木、石、角、牙、金属、ゴム、プラスチックなどが挙げられています。実印や銀行印に向くのは、細かい字を彫れて、すり減りにくく、押しても形が変わらない素材です。古くから、柘(つげ)、水牛の角、象牙が好まれてきました。ゴム印のように押すたびに形が変わりやすい印鑑は、実印に登録できません。当店では、木の薩摩本柘と彩樺、角の黒水牛と白水牛、本象牙、金属のチタンからお選びいただけます。

印材の意味|印鑑を作る材料のこと

デジタル大辞泉は、印材を「印判を作る素材」と説明しています。印判(いんばん)は、はんこのことです。例として挙げているのは、木、石、角、牙、金属、ゴム、プラスチックです。精選版 日本国語大辞典には、江戸時代の随筆『好古小録』(1795年)に「印材」という言葉が出てくる例が載っています。印鑑の材料を指す言葉として、200年以上前から使われてきたことが分かります。

世界大百科事典は、良い印材の条件を2つ挙げています。適度な硬さと粘りがあって細かい彫刻がしやすいことと、丈夫ですり減りにくいことです。一般に好まれる印材として紹介しているのは、象牙、水牛の角、柘です。実印や銀行印に使うなら、もう1つ、押しても形が変わらないことも欠かせません。

細かく彫れる硬さと粘りがほどよいと、細い線を彫っても欠けにくくなります
すり減りにくい外枠や字の線がやせにくい素材なら、長く使っても印影が変わりにくくなります
形が変わらない押す力でゆがむ素材では、届け出た印影と同じ形に押せません

印材は6つの仲間に分かれます

印材は、何からできているかで、大きく6つの仲間に分けられます。同じ仲間どうしは、手ざわりや手入れのしかたがよく似ています。下線のある名前を押すと、その印材を詳しく説明した記事に移ります。

木木の印材もく

軽くて手になじみ、価格も手ごろです。全日本印章業協会も、柘はきめが細かくて硬く、彫刻に向くと説明しています。木は朱肉の油を吸うので、押したあとに印面を拭くと長持ちします。

実印・銀行印に向く
角角の印材つの

水牛や牛の角から作ります。白水牛は「牛角」や「オランダ水牛」とも呼ばれます。押しやすく粘りがあり、落としても欠けにくい印材です。苦手なのは乾燥と虫です。ケースに入れて、暖房の風や直射日光の当たらない引き出しにしまいます。

実印・銀行印に向く
牙牙の印材きば

きめが細かく、朱肉のなじみがよい印材です。縁が欠けても、印面を削って彫り直せます。国内で象牙製品を売買する事業者は、国への登録が必要です。

実印・銀行印に向く
金金属の印材きんぞく

錆びにくく、欠けや乾燥、虫の心配がほとんどありません。朱肉の油もしみ込みません。木や角より重く、硬いので彫り直しは難しくなります。

実印・銀行印に向く
石石の印材いし

色の美しさや透明感が魅力です。硬い石でも、落とすと縁が欠けたり割れたりすることがあります。篆刻用の石はやわらかく、書や画に押す趣味の印に使われます。

石の種類と扱い方による
樹樹脂とゴムじゅし

価格が安く、色や柄も豊富です。既製品の認印によく使われます。同じ形で量産された既製品や、押す力で形の変わるゴム印は、実印や銀行印には向きません。

認印向き。ゴム印は実印に登録できない

当店で選べる印材です。白檀は、お名前を鑑定して作る開運印鑑でお選びいただけます

木の仲間の彩樺は、樺の木に樹脂をしみ込ませて固めた印材です。見た目と手ざわりは木ですが、ふつうの木より丈夫になっています。木と角の違いは、木製印鑑と角製印鑑を比較で詳しく説明しています。

実印・銀行印に使える印材、使えない印鑑

実印として登録できる印鑑の条件は、市区町村ごとに決まっています。京都市が印鑑登録について定めた要領には、素材にかかわる条件が2つあります。銀行の届出印についても、全国銀行協会が使えない印鑑を挙げています。

使える

名前を彫って作る、変形しにくい印鑑

  • 木、角、牙、金属の印材に、名前を1本ずつ彫ったもの
  • 石の印材も、京都市の要領では登録できない印鑑に入っていません
  • 大きさや彫る名前など、ほかの条件も満たす必要があります

当店の印材6種類のどれでも、お名前を1本ずつ彫ってお作りします。実印にも銀行印にもお使いいただけます

使えない

押すたびに形が変わる印鑑と、同じ形で量産された印鑑

  • ゴム印、インクが中に入った浸透印
  • 京都市の要領が挙げる、鉛印、ベークライト印、指輪印
  • 流し込みやプレスで量産された、同じ形の印鑑
  • 銀行の届出印では、キャラクター入りなど、多くの人が同じものを持っている印鑑

銀行の扱い使えない印鑑の決まりは、銀行によって異なります。詳しくは、口座のある銀行にお確かめください

ベークライトは、古くからある硬いプラスチックの一種です。硬い素材でも、京都市の要領では押すたびに形が変わりやすい印鑑として扱われています。印材を選ぶときは、硬さだけでなく、実印として登録できるかどうかも確かめてください。

当店で選べる6種類の印材

当店では、実印・銀行印・認印を、次の6種類の印材でお作りしています。どれも、京都の職人がお名前に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫刻します。価格は、直径13.5mmの実印1本と、3本セットのものを載せました。

薩摩本柘の印材

薩摩本柘さつまほんつげ

鹿児島の薩摩地方で育った柘です。淡い黄色の木で、軽く手になじみます。当店の耐久性の目安は星3つです。

実印 10,700円〜
3本セット 21,700円〜
彩樺の印材

彩樺さいか

樺の木を樹脂で固めた印材です。赤茶の地に縞の木目が入り、色のある印鑑を手ごろな価格で作れます。

実印 11,600円〜
3本セット 23,700円〜
黒水牛の印材

黒水牛くろすいぎゅう

つやのある黒い角で、粘りがあって欠けにくい印材です。当店の人気の目安は星5つです。

実印 11,900円〜
3本セット 24,300円〜
白水牛(柄)の印材

白水牛しろすいぎゅう

乳白色の角です。飴色の筋が入る「柄」と、筋のない白があります。「柄」の模様は1本ずつ違います。

実印 16,700円〜
3本セット 36,900円〜
チタンの印材

チタンちたん

銀色の金属を削り出して作ります。耐久性の目安は星5つで、汚れたら水で洗うこともできます。

実印 29,300円〜
3本セット 54,900円〜
本象牙の印材

本象牙ほんぞうげ

標準、特上、極上の3つのランクがあります。朱肉のなじみがよく、縁が欠けても彫り直せます。

実印 31,200円〜
3本セット 73,200円〜

白水牛の価格は「柄」のものです。筋のない白は、実印27,600円から、3本セット61,000円からです。耐久性の星は当店の目安で、数値で測ったものではありません。素材ごとの寿命と弱いところは、印材の耐久性を比較で説明しています。価格に差が出る理由は、印材の価格差は何で決まる?をご覧ください。

印材の選び方|用途と好みに合わせた6つの目安

印材に、ひとつの正解はありません。何を大切にしたいかが決まれば、候補は絞れます。よくあるご希望ごとに、合う印材を挙げました。

はじめての3本を、手ごろな価格でそろえたい薩摩本柘か黒水牛が候補です。3本セットは、薩摩本柘なら21,700円、黒水牛なら24,300円からそろいます。落としたときの欠けにくさを重く見るなら、黒水牛が合います
色や模様を楽しみたい筋の入り方が1本ずつ違う白水牛(柄)や、赤茶の木目が入る彩樺がおすすめです
手入れに手間をかけたくないチタンなら、乾燥や虫を気にせず、汚れたら水で洗えます
贈り物や、代々受け継ぐ1本にしたい本象牙は、縁が欠けても彫り直して使い続けられます。標準・特上・極上から、予算に合わせて選べます
動物由来の素材を避けたい薩摩本柘、彩樺、チタンから選べます。動物由来の素材を避けて印鑑を贈るで、ケースの選び方もお話ししています
開運の願いを込めたいお名前を鑑定して作る開運印鑑なら、香木の白檀という選択肢もあります

実印だけ丈夫な印材にして、銀行印と認印は手ごろなものにする、という考え方もあります。ただ、当店の3本セットは、3本とも同じ印材でお作りします。同じ素材でそろえておくと、手入れのしかたも1通りで済みます。実印に絞った選び方は、実印の印材はどう選ぶ?で詳しく説明しています。

よくある質問

印材の読み方を教えてください

「いんざい」と読みます。印鑑の材料、という意味です。

同じ名前と書体なら、印材が違っても印影は同じですか

同じにはなりません。職人が1本ずつ彫るので、同じ設計でも線の細かなところが少しずつ違います。役所や銀行で印影を照らし合わせると、別の印鑑として扱われます。実印や銀行印は、届け出たその1本を押してください。

象牙の印鑑を買っても、法律上の問題はありませんか

環境省の案内では、印材などの象牙製品を個人が持つことに手続きは要りません。国への登録が必要なのは、国内で象牙製品を繰り返し売買する事業者です。詳しくは象牙製品は国内で売買できる?で説明しています。

木の印鑑は、角や象牙より劣りますか

劣るわけではありません。柘は、昔から実印にも使われてきた印材です。朱肉を拭き取ってケースにしまう使い方を続ければ、長く使えます。軽い手ざわりと木のぬくもりは、木の印材ならではの良さです。

印材の色や模様は、写真と同じですか

角や木、象牙は天然の素材なので、色の濃さや筋の入り方は1本ずつ違います。写真は見本としてご覧ください。チタンは金属なので、色の違いはほとんどありません。

まとめ|印材を選ぶ順番

まず、その印鑑を実印や銀行印に使うかを決めます。届け出る印鑑なら、形の変わらない印材に名前を彫って作ります。ゴム印や量産された既製品は、認印として使います。

次に、何を大切にしたいかで仲間を選びます。価格と手ざわりなら木、欠けにくさなら角、手入れの手軽さなら金属、受け継ぐことを考えるなら象牙です。最後に、3本セットの価格を見比べて、予算に合う印材を決めます。

6種類の印材から、3本まとめて

好きな印材で、実印・銀行印・認印をそろえる

京都の職人が、お名前に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫刻します。3本セットは同じ印材で直径を変えてあり、1本ずつ注文するより価格を抑えています。印鑑ケース付き、送料無料、5年保証です。

彩樺と白水牛も含めた、すべての印材を見る実印・銀行印・認印の3本セット21,700円〜

SOURCES

出典

印材の意味と良い印材の条件はデジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典、世界大百科事典、柘・水牛・牛角・象牙の性質は公益社団法人全日本印章業協会、実印に登録できない印鑑は京都市印鑑事務取扱要領、銀行の届出印に使えない印鑑は全国銀行協会、象牙製品の取引は環境省によります。耐久性の星と価格は当店の商品情報です。

  1. 印材. デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・世界大百科事典. 小学館・平凡社(コトバンク). https://kotobank.jp/word/%E5%8D%B0%E6%9D%90-437315,(参照 2026-10-10).
  2. 公益社団法人全日本印章業協会. 大切な実印を作る前にお読みください. https://www.inshou.or.jp/inshou/info/index.html,(参照 2026-10-10).
  3. 京都市. 京都市印鑑事務取扱要領. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000082177.html,(参照 2026-10-10).
  4. 一般社団法人全国銀行協会. ハンコにはルールがあります!. 教えて!くらしと銀行. https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/3805/,(参照 2026-10-10).
  5. 環境省. 象牙(全形牙)・象牙製品の取引制度について. ワシントン条約と種の保存法. https://www.env.go.jp/nature/kisho/kisei/species/trade/system-ivory/,(参照 2026-10-10).