CHAPTER 05 印材・素材
楓の印鑑とは?明るい色の特徴・2通りの加工・耐久性と手入れ
楓(メープル)の印鑑について、カエデの木の性質、木をそのまま削った印材と樹脂で固めた印材の違い、色や木目、傷む原因と手入れをまとめました。当店で選べる、色や作り方の近い印材もご紹介します。
公開日: 2026年10月5日 更新日: 2026年10月7日
木の印鑑を探していると、白っぽく明るい色の「楓(かえで)」を見かけることがあります。やさしい色合いにひかれる一方で、印鑑として長く使える硬さがあるのか、柘とはどう違うのかが気になるところです。この記事では、楓という木の性質と、印鑑にしたときの特徴をお話しします。
楓は、メープルとも呼ばれるカエデの木です。色は柘より白に近く、きめが細かいのが特徴です。粘り強さもあり、床板や運動具にも使われてきました。印材の楓には、木をそのまま削ったものと、樹脂で固めたものがあります。どちらも木なので、朱肉の油と乾燥には注意が必要です。当店では楓を扱っていません。明るい色の木なら薩摩本柘を、樹脂で固めた木なら彩樺をご用意しています。
楓とは|メープルの名で知られる、明るい色の木です
楓は、カエデ属の木をまとめた呼び名です。北半球の温帯に広く育ち、日本にも20種類以上が自生しています。英語ではメープルといいます。カナダの国旗に描かれた葉も、メープルシロップが採れるサトウカエデも、同じ仲間です。
木材としてよく使われるのは、イタヤカエデなどの種類です。世界大百科事典によると、色は淡い紅色を帯びた白で、絹糸のようなつやがあります。きめが細かく、粘り強い木です。
乾かした状態の、おおよその値
- 住まい床板
- 運動具スキー板、ボウリングのピン
- 楽器バイオリンの裏板、ピアノの部品
出典:改訂新版 世界大百科事典「カエデ」。水の比重は1なので、楓は水に浮く木です。黒檀や紫檀のような、水に沈むほど重い木とは性質が違います。
人が上を歩く床板や、ボールが当たるピンに使われてきたことからも、衝撃に強い木だとうかがえます。日本の広葉樹のなかで、主要な木材の1つに数えられています。
日本ではカエデに「楓」の字を当てますが、中国で楓といえば、フウという別の木を指します。葉の形が似ているために、混同されたと考えられています。カエデという名前は、葉の形をカエルの手に見立てた「蛙手(かえるで)」から来ています。
印材の「楓」には、2通りの作り方があります
印鑑の売り場で「楓」と書かれた印材は、どれも同じ作りとは限りません。大きく分けて、次の2通りがあります。
木をそのまま削った印材
乾かした楓の木を、丸い棒に削り出します。色は白に近く、木の軽さと手ざわりがそのまま残ります。
気をつけること朱肉の油や水を吸いやすく、拭き取りが欠かせません
樹脂をしみ込ませて固めた印材
木に樹脂をしみ込ませ、熱と圧力をかけて固めます。もとの木より目が詰まり、水を吸いにくくなります。
気をつけること天然の木をそのまま使った印材ではありません
どちらの作り方なのかは、商品名だけでは分かりません。説明文に「圧縮」「樹脂」「加工木材」といった言葉があれば、2つめの作り方です。書かれていなければ、注文の前に店へ尋ねてください。
樹脂で固めた木は、辞典では「強化木」や「圧縮木材」と呼ばれます。精選版 日本国語大辞典によると、もとの木より丈夫で水に強く、長持ちします。当店で扱っている彩樺も、樺の木を同じように固めた印材です。
楓の印鑑の見た目|明るい色と、控えめな木目
楓のいちばんの特徴は、色の明るさです。当店の木の印材と並べると、違いがよく分かります。
上の色の帯は目安で、実物の写真ではありません。明るい色の印材は、朱肉の赤や手あかが目立ちやすくなります。きれいな色を保つには、押したあとの拭き取りが大切です。
楓の印鑑が傷む3つの原因と、防ぎ方
楓は粘り強い木ですが、木の印鑑に共通する弱点もあります。原因ごとに、防ぎ方をまとめました。
油が印面からしみ込むと、縁が少しずつもろくなることがあります。明るい色の木では、赤い色も残ります
押すたびに、やわらかい布かティッシュで印面を拭きます急に水分が抜けると、細いひびが入ることがあります
暖房の風、窓際、夏の車内に置かないようにします木は水を吸うと膨らみ、乾くときに縮みます。ひびや反りのもとになります
水で洗わず、乾いた布で拭き取ります樹脂で固めた印材は、木をそのまま削ったものより水を吸いにくくなっています。それでも、手入れの基本は変わりません。押したら拭いて、ケースにしまってください。
楓を選ぶ前に|当店で選べる、色や作りの近い印材
全日本印章業協会が実印の材料として挙げているのは、象牙、牛角、黒水牛、柘の4つです。楓はこの中に入っておらず、印材としては定番ではありません。当店でも、楓の印鑑は扱っていません。楓のどこにひかれたのかに合わせて、次の3つをご案内します。
淡い黄色の、薩摩本柘
昔から印鑑に使われてきた木です。全日本印章業協会も、目が詰まっていて硬く、彫刻に向くと紹介しています。
3本セット 21,700円〜樺の木から作る、彩樺
楓の加工木材と同じく、樹脂をしみ込ませて固めた印材です。赤茶の地に、縞の木目が入ります。
3本セット 23,700円〜乳白色に筋が入る、白水牛(柄)
木ではなく、角の印材です。粘りがあって欠けにくく、当店の耐久性の目安は星4つです。
3本セット 36,900円〜価格は、実印13.5mm・銀行印12mm・認印10.5mmの3本セットのものです。薩摩本柘については、薩摩本柘の印鑑とは?でくわしくご説明しています。
よくある質問
楓とメープルは、同じ木ですか
同じです。メープルは、カエデの英語名です。「メープルの印鑑」も「楓の印鑑」も、カエデの木から作った品です。
楓の印鑑で、印鑑登録はできますか
できます。京都市の案内で登録できないとされているのは、ゴム印のように形が変わりやすいものや、同じ形で量産されたものなどです。素材が木かどうかは問われていません。条件は市区町村ごとに違うので、お住まいの役所でも確かめてください。
楓と彩樺は、どう違いますか
もとになる木が違います。楓はカエデ、彩樺は樺(バーチ)です。色も違い、楓は白に近い明るい色、彩樺は赤茶からこげ茶です。また、彩樺はどれも樹脂で固めた印材ですが、楓には木をそのまま削ったものもあります。
軽い木の印鑑は、押しにくくありませんか
押しやすさは、重さだけでは決まりません。印面が紙に平らに当たることと、下に押印マットを敷くことのほうが大切です。くわしくは、押しやすい印鑑の選び方でご説明しています。
動物の角を使わない印鑑を探しています
楓のほか、当店の薩摩本柘、彩樺、チタンも、動物由来の素材を使わない印材です。贈り物にする場合は、動物由来の素材を避けて印鑑を贈るも参考になさってください。
まとめ|楓の印鑑を選ぶときの順番
はじめに商品の説明文を読み、木をそのまま削ったものか、樹脂で固めたものかを確かめます。次に、写真で色の明るさを見ます。白に近い色ほど、朱肉の跡は目立ちやすくなります。続いて、彫る名前の文字数から直径を選び、欠けたときの保証があるかを確かめます。迷ったときは、色の近い薩摩本柘や、作り方の近い彩樺とも比べてみてください。
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