CHAPTER 05 印材・素材
樹脂印鑑とは?アクリル・ラクトなど素材の種類と価格・耐久性
樹脂印鑑を、既製品に多い白い樹脂(ラクトなど)、アクリル、樹脂で固めた木の3つに分けて説明します。価格の目安と耐久性、実印や銀行印に使えるかどうか、当店で選べる彩樺の価格もまとめました。
公開日: 2026年10月6日 更新日: 2026年10月7日
印鑑の売り場や通販のページで、材料の欄に「樹脂」と書かれていることがあります。100円ショップに並ぶ白い印鑑も、透明なアクリルの印鑑も、材料は樹脂です。木に見える印材の説明に「樹脂」と出てくることもあります。ひとくちに樹脂と言っても中身はさまざまです。どれを選べばよいのか、実印や銀行印にしてもよいのか、迷う方もいるでしょう。この記事では、樹脂印鑑を種類ごとに分けてお話しします。
樹脂印鑑は、プラスチックなどの樹脂を材料にした印鑑の総称です。売り場でよく見かけるのは、既製品に多い白い樹脂、透明なアクリル、樹脂で固めた木の3つです。価格は100円台から数千円までと手ごろですが、丈夫さは種類によって違います。認印にはどれも使えます。実印や銀行印には、名前を彫って作るものを選んでください。既製品は同じ印影の印鑑が多く、実印の登録を断られることがあります。当店では、樹脂で固めた木の印材「彩樺(さいか)」をご用意しています。
樹脂とは|熱や圧力で形を作る、人工の材料です
ここでいう樹脂は、合成樹脂のことです。デジタル大辞泉によると、プラスチックと呼ばれるものの大部分が合成樹脂です。もともとは松やにのような天然の樹脂に似ていたことから、この名前が付きました。
合成樹脂は、熱を加えたときの性質で2つに分かれます。印鑑の材料にも、両方が使われています。
温めるとやわらかくなり、形を変えられます
熱を加えるといったん固まると、温めてもやわらかくなりません
アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン
代表的な樹脂フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂
アクリルの印鑑に使われます
印鑑では木にしみ込ませて固める樹脂として使われます
読み方は「ねつかそせい」「ねつこうかせい」です。熱可塑性樹脂でできたアクリルの印鑑は、熱い場所に置くと形が変わることがあります。保管のしかたは、記事の後半でお話しします。
樹脂印鑑の種類|売り場で見かける3つ
白い樹脂の印鑑
文具店や100円ショップの棚に、名字ごとに並んでいる印鑑です。売り場では、この白い樹脂を「ラクト」と呼ぶことがあります。
例既製品の認印。三文判とも呼ばれます
気をつけること同じ印影の印鑑が、ほかにも多く作られています
アクリルの印鑑
材料は、透明なアクリル樹脂です。色を付けたものや、中に模様を閉じ込めたものがあります。注文した名前を彫って作る印鑑にも使われます。
例透明、淡い色付き、柄入りの印鑑
気をつけることすり傷が付きやすく、80〜100℃で形が変わります
樹脂で固めた木の印鑑
木に樹脂をしみ込ませ、熱と圧力で固めた印材です。見た目と手ざわりは木のままで、もとの木より水を吸いにくくなっています。
例彩樺。当店で扱っている印材です
気をつけること木の印鑑と同じように、押したら拭いてケースにしまいます
ラクトは、牛乳のたんぱく質であるカゼインから作る樹脂だといわれています。日本大百科全書によると、カゼインから作るプラスチックは象牙に似た光沢があり、色を付けやすい材料です。象牙やサンゴの模造品、ボタンなどに使われてきました。
このほかにも、店ごとに独自の名前を付けた樹脂の印材があります。名前だけでは材料が分からないときは、商品の説明で原料を確かめてください。
樹脂印鑑の価格|100円台から数千円までが中心です
樹脂は、工場で同じ品質のものを大量に作れる材料です。水牛の角や木の印材と違って、1本ずつ切り出して乾かし、選り分ける手間がかかりません。そのぶん、材料の価格を安く抑えられます。ただし印鑑の価格は、材料だけでなく、どう彫るかでも変わります。
100円〜数百円
既製品の樹脂の印鑑
- よくある名字を彫った印鑑が、売り場に並んでいます
- 同じ型で、同じ印影のものが大量に作られます
- 買ったその場で使えます
宅配便の受け取りや、回覧板の確認に
1,000円〜数千円
名前を彫って作る樹脂の印鑑
- アクリルなどの印材に、注文した名前を彫ります
- 珍しい名字や、下の名前でも作れます
- 色や柄を選べるものが多くあります
自分用の認印や、趣味の印鑑に
6,400円〜
当店の彩樺の印鑑
- 樹脂で固めた樺の木に、職人が彫刻します
- 認印6,400円、銀行印7,000円、実印11,600円からです
- 実印・銀行印・認印の3本セットは23,700円からです
届け出て使う実印や銀行印に
既製品と、名前を彫って作る樹脂の印鑑の価格は、売り場で見られるおおよその目安です。この2つの違いは、印鑑専門店と100円ショップの印鑑の違いでくわしく比べています。
樹脂印鑑の耐久性|種類によって、弱いところが違います
どこが弱いのかを、3つの種類ごとに見ていきます。
白い樹脂の既製品は、縁の欠けに気をつけます
印面の縁は、どの印材でも薄い部分です。硬い床に落とすと、この縁が欠けることがあります。調布市は、登録できない印鑑の例に「欠けやすいプラスチック印」を挙げています。
アクリルは、傷と熱に気をつけます
デジタル大辞泉は、アクリル樹脂の欠点として、すり傷が付きやすいことを挙げています。熱にも弱く、世界大百科事典によると80〜100℃で形が変わります。真夏の車内やストーブのそばには置かないでください。
樹脂で固めた木は、木より水に強くなります
精選版 日本国語大辞典によると、樹脂で固めた木材(強化木)は、丈夫で水に強く、長持ちする材料です。それでも木の印材ですので、押したあとは朱肉を拭き取ってください。
当店の商品ページでは、耐久性の目安を星の数で表しています。樹脂で固めた木の彩樺は星3つで、薩摩本柘と同じです。角の黒水牛は星4つ、金属のチタンは星5つです。
実印・銀行印に使えますか|届け出の前に確かめます
認印として押すぶんには、どの樹脂の印鑑でも困りません。気をつけたいのは、役所や銀行に届け出る実印と銀行印です。
白い樹脂の既製品同じ印影の印鑑が多く作られています
使えます向きませんアクリルの印鑑名前を彫って作るもの
使えます先に確かめます樹脂で固めた木の印鑑当店の彩樺など
使えます使えます実印として登録できる印鑑の条件は、市区町村が決めています。京都市では、ゴム印など変形しやすい印鑑は登録できません。丸亀市は、変形しやすい印鑑の例に「プラスチック印」を挙げています。富山市では、「合成樹脂プレス製の印」と、大量に作られている既製品が登録できません。お住まいの市区町村の条件は、窓口かホームページで確かめられます。
銀行印について、全国銀行協会が使えない印鑑に挙げているのは、キャラクターものやゴム印などです。樹脂の印鑑は挙げられていませんが、扱いは銀行ごとに違います。既製品は、同じ印影のものがほかにも出回っています。そのため、お金にかかわる届け出には、名前を彫って作った印鑑をおすすめします。当店の彩樺は、実印、銀行印、認印のどれでもお作りしています。
樹脂印鑑を買う前に、確かめたいこと
どの店で買うときも見ておきたい、4つのこと
- 何の樹脂でできているか 「樹脂」とだけ書かれている場合は、アクリルなのか、木を固めたものなのかを説明文で確かめます。
- 既製品か、名前を彫って作るのか 既製品は、同じ印影の印鑑がほかにもあります。実印や銀行印にするなら、注文して作る印鑑を選びます。
- 届け出に使えるか 実印は市区町村、銀行印は銀行に尋ねます。買ってから断られると、もう1本用意することになります。
- 欠けたときの保証 修理や彫り直しを受けられる期間と条件を、先に見ておきます。
樹脂の印鑑の保管と手入れ
押したあとは、やわらかい布かティッシュを印面に当てて、朱肉を移し取ります。使わないときはケースに入れ、引き出しの中にしまっておきます。窓際や暖房の風が当たる場所、真夏の車内は避けてください。汚れを落とすときも、除光液やシンナーは使わないでください。アクリルは、こうした溶剤に溶けてしまいます。
よくある質問
樹脂とプラスチックは、同じものですか
印鑑の売り場では、ほぼ同じ意味で使われています。デジタル大辞泉によると、プラスチックと呼ばれるものの大部分が合成樹脂です。
ラクトとは何ですか
既製品の印鑑に多い、白い樹脂の呼び名です。牛乳のたんぱく質であるカゼインが原料だといわれています。カゼインから作るプラスチックは、象牙に似たつやがあり、色を付けやすい材料です。
彩樺は、樹脂の印鑑ですか。木の印鑑ですか
木と樹脂を合わせた印材です。原料は樺の木で、樹脂をしみ込ませて固めてあります。当店の商品ページでは「複合素材」とご紹介しています。見た目も手ざわりも、木の印鑑に近いものです。
樹脂の印鑑は、何年くらい使えますか
年数の目安を示した公的な資料は、見当たりません。印面の縁や文字が欠けたら、買い替えの時期です。押した跡の枠が切れていないかを、ときどき見てください。見分け方は印鑑の買い替え時期の目安でご説明しています。
動物由来の素材を使わない印鑑を探しています
アクリルも、樹脂で固めた木も、水牛の角や象牙を使っていません。当店の印材では、彩樺、薩摩本柘、チタンがこれにあたります。開運印鑑なら、香木の白檀という選択肢もあります。なお、白い樹脂のラクトは、牛乳のたんぱく質が原料だといわれています。贈り物にする場合は、動物由来の素材を避けて印鑑を贈るも参考になさってください。
まとめ|樹脂印鑑を選ぶ順番
はじめに、認印にするのか、実印や銀行印として届け出るのかを決めます。認印なら、既製品でもアクリルでも、好みと価格で選べます。届け出る印鑑なら、名前を彫って作るものの中から選び、役所と銀行で使えるかを確かめます。そのうえで、商品の説明を読み、何の樹脂でできているかを見てください。木の風合いがお好みなら、樹脂で固めた木の彩樺が候補になります。
木と樹脂を合わせた印材、彩樺の印鑑
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