CHAPTER 07 サイズ・形・選び方
印鑑専門店と100円ショップの印鑑の違い|使える場面と選び方
100円ショップの印鑑は同じ型で大量に作る既製品、印鑑専門店の印鑑は名前を聞いてから職人が字を作る注文品です。印影が世の中に1つか多数か、印材、彫れる名前、価格、修理や保証の5つの違いを比べ、宅配便の受け取りから銀行の届出印・印鑑登録まで場面ごとにどちらが使えるかを整理しました。専門店で印鑑が作られる流れと価格、100円の印鑑から切り替えるきっかけまで、はじめて印鑑を買う方に向けて説明します。
公開日: 2026年9月24日
100円ショップの文具売り場には、姓の五十音順に印鑑が並んでいます。宅配便の受け取りに使うだけなら、それで困ることはありません。一方で、就職や口座開設、印鑑登録の場面になると「専門店で作ったほうがよい」と言われます。何が違うのでしょうか。この記事では、100円ショップの印鑑と印鑑専門店の印鑑を、作られ方、印影、印材、名前、価格、保証の面から比べ、場面ごとにどちらが使えるかを整理します。値段の差そのものについては、安い印鑑と高い印鑑の違いでも説明しています。
100円ショップの印鑑は同じ型で大量に作られた既製品で、専門店の印鑑はあなたの名前を聞いてから職人が字を作る注文品です。いちばんの違いは、同じ印影が世の中にいくつあるかです。既製品は同じ姓の人が買えば同じ印影になり、京都市のように量産された印鑑は印鑑登録できないと案内する市区町村があります。宅配便の受け取りや回覧板は100円の印鑑で足ります。銀行の届出印と実印は、専門店で作った自分だけの印鑑を使ってください。認印も、入社の書類や契約書に押す機会があるなら、専門店の1本を持っておくと長く使えます。
作られ方が違います|型から量産する印鑑と、名前を聞いてから作る印鑑
2つの印鑑の違いは、店に並ぶまでの道のりを見ると分かります。100円ショップの印鑑は、店に届く前にできあがっています。専門店の印鑑は、あなたが名前を伝えてから作りはじめます。
100円ショップの印鑑既製品・三文判
- よくある姓の字を、書体データから起こす「佐藤」「鈴木」など、需要の多い姓を選んで作ります
- 型を作り、同じ印面を大量に成形する樹脂や木の軸に、同じ印面が何千本と付きます
- 店頭に五十音順で並ぶ全国のどの店でも、同じ姓なら同じ印影です
- 同じ姓の人が、同じ印鑑を買う隣の家の田中さんと、あなたの田中の印影が重なります
専門店の印鑑注文品・職人の印鑑
- 名前と用途を伝える姓だけ、名だけ、フルネーム。旧字体も住民票どおりに
- 職人が字の形を見て、印面に字を作る画数と文字数に合わせて、線の太さと配置を1本ごとに決めます
- 印材に彫刻し、仕上げて検品する柘、水牛、象牙。ご注文から3〜7営業日で発送します
- 世の中に1本だけの印鑑が届く同じ名前の人が同じ店で作っても、同じ印影にはなりません
公益社団法人全日本印章業協会は、印鑑の彫刻を「字入れ」「荒彫り」「仕上げ」の3つの工程に分けて定義しています。既製品にはそもそも字入れの工程がなく、型から成形されます。専門店の印鑑は、この字入れを職人が行うかどうかが店ごとの違いになりますので、注文の前に確かめておくと安心です。工程の違いは手彫りと機械彫りの違いで詳しく説明しています。
5つの点で比べる
同じ姓なら同じ印影。全国に同じものが多数あります
印影職人が字を作るので、世の中に1つだけの印影になります
樹脂、または薄い木の軸。軽く、枠が欠けることがあります
印材薩摩本柘、黒水牛、白水牛、象牙、チタン。何十年も使える印材です
よくある姓だけ。珍しい姓、旧字体、名前だけ、フルネームは選べません
彫れる名前姓、名、フルネームのどれでも。「髙」「﨑」などの旧字体も住民票どおりに彫れます
100円〜数百円
価格認印5,800円〜、銀行印6,400円〜、実印10,700円〜。3本セットは21,700円〜
使い捨て。欠けたら買い直します
修理・保証当店では5年間の保証で修理や彫り直しに対応。ケース、朱肉、押印マットが付きます
表にすると専門店が有利に見えますが、100円の印鑑が劣っているという話ではありません。確認のしるしを押すだけの場面では、既製品で困ることはないからです。違いが意味を持つのは、その印鑑が「あなた本人のもの」であることが求められる場面です。
場面ごとに、どちらの印鑑が使えるか
宅配便の受け取り、回覧板確認のしるし。サインでも受け付けてもらえます
使える使える社内の書類、出勤簿「見ました」の印。シャチハタで構わない職場も多くあります
使える使える入社の書類、賃貸や保険の申込書朱肉の認印を求められます。内容を認めた印として残る書類です
使えるが、自分だけの印が安心使える銀行口座の届出印全国銀行協会はゴム印やキャラクター印を届出印にできないと案内しています
届け出できても、同じ印影が多数使える市区町村の印鑑登録(実印)京都市は、量産されている印鑑は登録できないと案内しています
断られることがある使える不動産、車、相続、公正証書登録した実印と印鑑証明書で本人の意思を証明します
実印にできない使える認印の場面で「使えるが、自分だけの印が安心」としたのには理由があります。内閣府・法務省・経済産業省の「押印についてのQ&A」では、本人の印鑑が押された文書は本人が作ったものと推定する考え方が、認印にも及び得ると説明されています。同時に、認印は印影と印章の一致を証明する手段がないと推定が働きにくいとも書かれています。つまり、同じ印影が世の中にたくさんある既製品の認印は、「自分が押した」と証明しにくい印鑑でもあるのです。契約書に押す認印は、自分だけの1本にしておくほうが、後々の証明に役立ちます。
100円の印鑑が向いている場面は、はっきりしています
荷物の受け取り用に玄関に置いておく印鑑、子どもが学校に持っていく印鑑、職場の引き出しに入れておく確認用の印鑑。なくしても困らない、だれが押しても同じ意味の場面には、既製品が向いています。専門店の印鑑をこうした用途に使うと、置き忘れや紛失のたびに作り直すことになり、かえって落ち着きません。当店でも、届け出た実印や銀行印とは別に、玄関用の印鑑を既製品で用意しておくことをおすすめしています。
専門店では、印鑑はこう作られます
専門店の印鑑が高く感じられるのは、店に並んでいる品を買うのではなく、注文を受けてから職人が作るからです。当店での流れを、ご注文から到着まで順に追ってみます。
- 1用途と印材、直径を選ぶ
実印、銀行印、認印のどれに使うかを決め、印材と直径を選びます。用途ごとの目安は商品ページに載せています。
- 2彫る名前と書体を伝える
姓だけ、名だけ、フルネームのどれかと、書体を選びます。旧字体や珍しい字は、住民票のとおりに備考欄でお知らせください。
- 3職人が印影をデザインする
名前の字の形と画数を見て、線の太さ、文字の配置、枠との接し方を1本ごとに決めます。ここが既製品にはない工程です。
- 4彫る前の印影を確認する
注文画面で「印影のご確認」を「確認する」にすると、2〜3日後にメールで印影をお送りします。ご覧いただいてから彫刻に進みます。
- 5彫刻し、仕上げ、検品する
印材に彫刻し、枠と文字の縁を整え、試し押しをして検品します。ご注文から3〜7営業日で発送します。
- 6ケースに入れて届く
牛革のケース、朱肉、押印マット、保証書、京印章証明書を添えてお届けします。送料は無料です。
店頭でも通販でも、同じ職人が制作します
当店は大正15年に京都・伏見で創業した印章店で、京都府認定の伝統工芸「京印章」の制作士である池上翠雲が、印影のデザインから彫刻、仕上げまでを担当しています。店舗にお越しいただいても、通販でご注文いただいても、同じ職人が同じ工程でお作りします。
専門店といっても、店ごとに作り方は違います。どこの店で作る場合でも、字をだれが作るのか、彫る前に印影を見せてもらえるのかを確かめてから注文してください。
当店と職人について専門店の印鑑はいくらか|認印5,800円から
専門店の印鑑は数万円というイメージを持たれる方が多いのですが、印材を選べば1万円を下回ります。当店で選ばれることの多い価格を挙げておきます。
認印を1本だけ作るより、銀行印と一緒に2本セットにするほうが単品の合計より安くなります。黒水牛の銀行印12mmと認印10.5mmを単品で買うと13,700円ですが、2本セットなら13,000円です。実印まで含めた3本セットは、薩摩本柘で21,700円からで、桐箱か化粧箱に入ってお届けします。
100円の印鑑から切り替えるきっかけ
100円の印鑑で困らない期間は、意外と長く続きます。切り替えのきっかけになるのは、印鑑が「本人のもの」であることを求められる出来事です。
- 進学・一人暮らし自分の口座を持つ親と同じ印鑑を届け出ていた方は、自分の銀行印に替える時期です
- 就職入社の書類に押す雇用契約書や誓約書に朱肉の認印を押します。給与口座の届出印もここで決まります
- 結婚姓が変わる新しい姓の銀行印と認印が要ります。既製品に新しい姓がないことも多くあります
- 車・住まいの購入印鑑登録をする実印が要ります。既製品は登録を断られることがありますので、注文品で用意します
- 相続・独立大きな契約を結ぶ実印と印鑑証明書で本人の意思を示す場面。届け出ている印鑑を見直す時期です
いちばん多いのは、就職や口座開設のときに銀行印と認印を専門店で作り、車や住まいを買うときに実印を加える流れです。3本を同じ印材でそろえたい方は、最初から3本セットにしておくと、あとから実印だけ印材が違う、ということがありません。印鑑の種類ごとの役割は実印・銀行印・認印の違いでまとめています。
よくある質問
100円ショップの印鑑を銀行印にしている人は多いのですか
少なくありません。全国銀行協会の案内では、ゴム印やキャラクター印でなければ届出印にできますので、既製品を届け出ている方は多くいます。ただ、同じ印影の印鑑が全国に出回っている状態ですので、通帳と一緒に保管していると、だれでも払い戻しができる形になります。銀行印は自分だけの印影にしておくことをおすすめします。改印は、これまでの印鑑と新しい印鑑、通帳、本人確認書類を窓口に持参して手続きします。
100円ショップの印鑑とシャチハタは同じものですか
違います。100円ショップの印鑑は朱肉を付けて押す既製品で、シャチハタはインクを内蔵したゴム印です。どちらも大量生産ですが、朱肉の印鑑は入社の書類や申込書に使え、シャチハタは「シャチハタ不可」と書かれた書類には使えません。違いは認印にシャチハタは使える?で説明しています。
専門店で作った認印と既製品の認印は、見た目で区別できますか
押した印影を見比べると分かります。既製品は線の太さが均一で、どの文字も枠との間に同じだけ余白があります。職人が作った印鑑は、画数の多い字は線を細く、少ない字は太くするなど、名前に合わせて調整されていますので、文字と枠の接し方に1本ごとの違いが出ます。手に持った感触も、印材の重さと硬さで違います。
専門店の印鑑は、通販で買っても店頭と同じですか
当店では同じです。店頭でも通販でも、同じ職人が同じ工程で制作します。通販では、注文画面で「印影のご確認」を選ぶと、彫る前の印影をメールで見ていただけますので、店頭で見本を見るのと同じように仕上がりを確かめられます。京都にお越しの方は店舗でのご相談も承っています。
まとめ|確認の印は100円で、届け出る印は専門店で
100円ショップの印鑑は、同じ型で大量に作られた既製品です。宅配便の受け取りや回覧板、社内の確認印には十分で、なくしても困らない場面に向いています。専門店の印鑑は、あなたの名前を聞いてから職人が字を作る注文品で、同じ印影は世の中に1つもありません。銀行に届け出る銀行印、市区町村に登録する実印、契約書に押す認印は、本人のものであることが求められますので、専門店の印鑑を使ってください。当店では、認印5,800円、3本セット21,700円から、京都・伏見の職人が1本ずつお作りしています。

届け出る印鑑を、自分だけの印影に
実印・銀行印・認印の3本を同じ印材でそろえる3本セットです。姓、名、フルネームを1本ずつ選べ、旧字体も住民票どおりに彫ります。牛革ケース、朱肉、押印マット、保証書、京印章証明書付き。送料無料、5年保証。
3本セットを見る21,700円〜