CHAPTER 15 人生の節目・記念

印鑑の買い替え時期の目安|枠の欠け・すり減り・ひびの見分け方

長く使った印鑑を買い替える目安は、印影の枠が欠けたとき、文字の線がすり減って印影が変わったとき、本体にひびが入ったときです。自宅でできる点検の手順、掃除で直る症状と買い替えが必要な症状の見分け方、素材ごとの傷み方と寿命、好みや立場が変わったときの新調、買い替えたあとの届け出まで説明します。

公開日: 2026年9月24日

使い込まれた木の作業台の上に、長年の使用で飴色になった柘の印鑑と、革がひび割れた古い印鑑ケース、その隣に艶のある黒水牛の新しい印材と黒い革の新しいケース、あいだに真鍮のルーペと馬毛のブラシが置かれている写真
印鑑の買い替え 見るところは、印影の枠、文字の線、本体のひびの3つです

印鑑は、10年、20年と使い続けるものです。毎日じっくり見るものではないので、傷みにはなかなか気づきません。久しぶりに押してみたら印影がかすれていた、ということもあります。銀行の窓口で「印影が少し違いますね」と言われて、初めて知る方もいらっしゃいます。まだ使えるのか、買い替えたほうがよいのかは、印影と本体を順番に見ていけば判断できます。この記事では、ご自宅でできる点検の方法と、買い替えを考える目安を説明します。傷みだけでなく、「若いころに買った印鑑が、いまの自分に合わなくなった」という理由での新調についても取り上げます。

結論

印影の外枠の欠け、文字の線のすり減り、本体のひび。このどれかが見つかった印鑑は、買い替えの時期です。実印と銀行印は、登録や届け出をしたときの印影と照らし合わせて確かめるため、形が変わると手続きが止まることがあります。印影がかすれるだけなら、朱肉の詰まりを掃除すれば直ることが多くあります。傷みがなくても、既製品から自分だけの印鑑に替えたい、素材を良いものにしたいという理由で買い替えてかまいません。

まず、自宅で5分の点検をします

買い替えるかどうかを決める前に、いまの印鑑の状態を確かめましょう。必要なものは、白い紙、朱肉、使い古しの歯ブラシ、ティッシュです。

  1. 1 印面を掃除する 乾いた歯ブラシで、彫った溝に詰まった朱肉とほこりをやさしくかき出します。水や洗剤は使いません
  2. 2 白い紙に3回押す 紙の下にノートを敷き、朱肉を軽く付けて、まっすぐ押します
  3. 3 印影を見る 外枠の輪が途切れていないか、文字の線が消えたり太ったりしていないかを見ます
  4. 4 本体を見る 明るい窓ぎわで、胴と印面のふちにひびや欠けがないかを確かめます

3回押すのは、押し方のむらと、印鑑そのものの傷みを区別するためです。3回とも同じ場所が途切れていれば、原因は押し方ではなく、印鑑のほうにあります。

印影に出る、4つの状態

点検で見る印影を、状態ごとに図にしました。左から順に、問題のないもの、枠が欠けたもの、線がすり減ったもの、本体のひびが写ったものです。

買い替えが必要な症状と、掃除で直る症状

見つかった症状ごとに、どうすればよいかをまとめました。

症状ごとの判断

外枠が欠けている登録したときの印影と形が変わっています。実印や銀行印では、窓口で印影を照らし合わせたときに、同じ印鑑だと認めてもらえないことがあります。欠けた部分は、元には戻せません。

買い替える

文字の線が欠けたり消えたりしている掃除をしても、名前の一部が写らない状態です。枠の欠けと同じく印影そのものが変わっているため、実印と銀行印は買い替えてください。

買い替える

本体にひびが入っているいまは押せていても、ひびは少しずつ広がることがあります。大事な契約の日に割れてしまう前に、新しい印鑑を用意しておくと安心です。

早めに買い替える

線が太って、全体にぼやける長年使ううちに印面が摩耗して、彫った線の角が丸くなっています。認印ならそのまま使えます。実印と銀行印は、印影が変わりきる前に替えておくことをおすすめします。

買い替えを考える

印影がかすれる、一部が写らない多くは朱肉が原因です。溝に詰まって固まっているか、乾いて付きにくくなっているかのどちらかです。印面を掃除し、新しい朱肉で押し直してみてください。

まず掃除する

胴の色が変わった、艶がなくなった柘が飴色になるのは、手の脂がなじんだためで、傷みではありません。水牛の艶は、乾いた柔らかい布で拭くと戻ります。

そのまま使える

欠けた実印や銀行印を、そのまま使い続けるとどうなるか

実印は、役所に登録したときと同じ印影が押せることで、本人の印鑑だと証明されます。銀行印も、届け出たときの印影と照らし合わせて確かめられます。枠が欠けた印鑑で押すと、印鑑証明書や届出の印影と形が合いません。小さな欠けなら通ることもありますが、通るかどうかは窓口の判断しだいです。特に困るのは、住宅の契約や相続の手続きのように、日を改めにくい場面です。その場で「この印影では受けられません」と言われると、予定がずれてしまいます。

また、昔から「欠けた印鑑は縁起がよくない」と気にされる方もいらっしゃいます。言い伝えはさておき、ご自分の名前を彫った印鑑が欠けたままでは、気持ちよく使えません。欠けに気づいたときが、買い替えの時期です。

印鑑の素材によって、傷み方が違います

印鑑の寿命は、素材と保管のしかたで大きく変わります。いまお持ちの印鑑の素材を確かめて、傷みやすいところを見てください。

薩摩本柘の印材

柘(木の素材)

傷み方枠のすり減り朱肉の油のしみ込み

朱肉の油がしみ込むと、印面のふちがもろくなることがあります。使ったあとにティッシュで拭き取っておけば、年数がたっても枠が太りにくくなります。手ごろな価格なので、傷んだときにも気軽に買い替えられます。

黒水牛の印材

黒水牛・白水牛(角の素材)

傷み方乾燥によるひび虫食い

粘りがあって枠は欠けにくい素材ですが、乾燥に弱く、ケースに入れずに何年も置いておくとひびが入ることがあります。ケースにしまい、直射日光とエアコンの風を避けて保管すれば、数十年にわたって使えます。

チタンの印材

チタン(金属)

傷み方ほとんど傷まない

落としても欠けにくく、乾燥や湿気、虫の心配もありません。朱肉が固まったら、水で洗い流せます。「もう買い替えたくない」という方に、次の1本として選ばれている素材です。

プラスチックやラクト(合成樹脂)の既製品は、落としたときに枠が欠けやすいのが難点です。実印や銀行印として登録している方は、早めに替えておくと安心です。素材ごとの丈夫さの違いは、実印の素材はどう選ぶ?耐久性・押しやすさ・予算で比較でくわしく比べています。

傷んでいなくても、買い替えてよい理由

買い替えのきっかけは、傷みだけではありません。使っているうちに、印鑑がいまの自分に合わなくなってくることもあります。

01

既製品を、実印や銀行印にしている

急いで必要になり、文房具店で買った印鑑を、そのまま役所や銀行に届け出た方もいらっしゃるでしょう。同じ印影の印鑑が、ほかにも売られています。

買い替えると職人がお名前に合わせてデザインした、ほかにない印影になります。

02

1本の印鑑を、実印にも銀行印にも使っている

なくしたときに、役所と銀行の両方で手続きが必要になります。盗まれたときの被害も大きくなります。

買い替えると用途ごとに分けて、実印は家にしまったままにできます。

03

サイズや書体が、いまの自分に合わない

学生のころに作った小さな印鑑や、読みやすい書体の実印を、40代になっても使っている方がいらっしゃいます。

買い替えると実印を15mm以上の大きさにして、篆書体や吉相体で作れます。読み取りにくい書体なので、まねされにくい印影になります。

04

3本とも、素材も大きさもばらばら

その時々で買い足してきた印鑑は、どれが実印でどれが銀行印か、ご家族には見分けがつきにくくなります。

買い替えると同じ素材で直径を変えた3本になり、手に取っただけで見分けられます。

実印も銀行印も、傷んでいなくても、手続きをすれば新しい印鑑に変えられます。昇進や住宅の購入、還暦といった節目に合わせて替える方もいらっしゃいます。

欠けた印鑑の修理や彫り直しはできるのか

「欠けたところだけ直せませんか」というご相談をいただくことがあります。残念ながら、欠けた枠を継ぎ足して元の印影に戻すことはできません。印面を削って平らにし、新しく彫り直す「改刻」という方法はあります。ただし印影は別のものになるため、実印や銀行印は登録と届け出のやり直しが必要です。手間は、買い替えた場合と変わりません。

改刻が向いているのは、お父様やお母様から受け継いだ象牙や水牛の印鑑のように、素材そのものに思い入れがある場合です。くわしくは親から受け継いだ印鑑は使える?改刻で思い出を残す方法と注意点をご覧ください。なお、当店でお買い上げいただいた印鑑には5年間の保証が付いています。保証期間中の破損や不具合は、状態を確認したうえで、修理や彫り直しをご案内します。

印鑑を買い替えたあとの手続き

認印は、新しい印鑑が届いた日から使えます。実印と銀行印は、届け出を新しい印鑑に変える手続きが必要です。

実印は、役所で登録をやり直しますいまの登録を廃止して、新しい印鑑を登録します。京都市では、本人の申請でやり直すと、印鑑登録証の再交付手数料として400円がかかります
銀行印は、銀行ごとに届出印を変えますこれまでの届出印、新しい印鑑、通帳、本人確認書類を窓口に持っていきます
古い印鑑は、手続きが終わるまで残しておきます銀行の窓口で、これまでの届出印を押す場面があります。欠けた印鑑でも、すぐには処分しないでください

届け出先の書き出し方と、手続きを進める順番は、人生の節目に印鑑を新調する|実印・銀行印を変える手続きと順番で説明しています。

次の印鑑を長く使うために

買い替えた印鑑を長持ちさせるこつは、3つだけです。使ったあとに、印面の朱肉をティッシュで軽く押さえて拭き取ること。しまうときは、かならずケースに入れること。そして、練り朱肉や質のよいスポンジ朱肉を使うことです。安価なスタンプ台のインクは、印面を傷めることがあります。

実印と銀行印の手続きをするのなら、認印も合わせて3本まとめて新しくするのが、いちばん手間がかかりません。3本セットは、1本ずつ買うより価格が抑えられています。黒水牛の場合、別々に買うと合計31,800円のところ、セットなら30,200円です。桐箱か化粧箱に収めてお届けしますので、3本の置き場所も決まります。

よくある質問

印鑑の寿命は、何年くらいですか

決まった年数はありません。使ったあとに朱肉を拭いてケースにしまっていれば、柘でも20年以上使えることが多く、水牛やチタンならさらに長く使えます。反対に、朱肉を付けたまま裸で引き出しに入れていると、数年で枠が傷むことがあります。年数で決めるより、記事のはじめに紹介した点検で、印影を見て判断してください。

少し欠けているだけです。銀行で使えていますが、替えたほうがよいですか

いま通っているなら、急ぐ必要はありません。ただ、欠けは落とした拍子に広がることがあり、窓口の担当の方によって判断が変わることもあります。大きなお金を動かす予定や、相続の手続きが控えている方は、その前に替えておくと安心です。

認印が欠けた場合も、買い替えが必要ですか

認印はどこにも届け出ていないので、欠けていても手続きの上で困ることはほとんどありません。ただ、職場の書類や契約書に押す印鑑ですので、欠けが目立つようなら新しくしたほうが気持ちよく使えます。

同じ印影で、もう1本作ってもらえますか

職人が1本ずつ印影をデザインして彫刻するため、まったく同じ印鑑をもう1本作ることはできません。同じ印影が2つとないからこそ、本人の印鑑だと確かめる役目を果たせます。買い替えたときは、新しい印影で登録と届け出をやり直してください。

まとめ|印影が変わったら買い替え。かすれは、まず掃除

迷ったときは、次の順番で決めてください。まず印面を掃除し、白い紙に3回押します。かすれが消えれば、そのまま使い続けられます。掃除しても枠や文字の線が欠けて写るとき、本体にひびが入っているときは、実印と銀行印を買い替えます。認印は、欠けが目立つようになってから替えてもかまいません。傷みがなくても、既製品を届け出ている方や、1本を使い回している方は、この機会に新しく作るかどうかを考えます。新しい印鑑が届いたら、実印は役所で、銀行印は口座のある銀行ごとに届け出を変えます。手続きが終わるまでは、古い印鑑も手元に残しておいてください。

点検で傷みが見つかったら

次は長く使える印鑑を、3本揃えて

京都の職人が、お名前に合わせて印影をデザインし、1本ずつ彫刻します。ほかに同じ印影のない、オーダーメイドの印鑑です。送料は無料、ご注文から3〜7営業日で発送し、5年間の保証が付きます。

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SOURCES

出典

実印の登録のやり直しと手数料は京都市の案内、銀行の届出印の変更は全国銀行協会の案内によります。欠けた印鑑の扱いは市区町村や金融機関の窓口の判断によって異なります。素材の傷み方は、当店でのご相談と修理の経験にもとづく一般的な傾向です。当店の価格はすべて税込で、記事作成時点の商品ページの金額です。

  1. 京都市. 印鑑登録について. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000147302.html,(参照 2026-09-20).
  2. 全国銀行協会. 困った!銀行印の紛失と変更. 教えて!くらしと銀行. https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7489/,(参照 2026-09-20).