CHAPTER 05 印材・素材

木製印鑑と角製印鑑を比較|寿命・手入れ・価格の違いと選び方

木製印鑑と角製印鑑を、丈夫さと寿命、手入れ、色の変化、価格、作れる印鑑の種類で比べました。薩摩本柘・彩樺・白檀と、黒水牛・白水牛の特徴を並べ、実印・銀行印・認印にどちらが向くかを説明します。3本セットは木が21,700円から、角が24,300円からです。

公開日: 2026年10月6日 更新日: 2026年10月7日

左半分は明るい木の板、右半分は黒い石の板に分かれた台を真上から見た写真。左に淡い黄色の柘の印材と赤茶の縞が入った木の印材、柘の枝、かんなくずが並ぶ。右につやのある黒い角の印材と乳白色に茶色の筋が入った角の印材、水牛の角の先が並ぶ。手前の中央に茶色の革の印鑑ケースがある
木製印鑑と角製印鑑 木は軽くて手ごろ、角は粘りがあって欠けにくい印材です

印鑑の材料(印材)は、大きく分けると木、角、牙(象牙)、金属、石になります。このうち、はじめての実印や銀行印で候補に残りやすいのが、木と角です。値段も近いので、どちらにするか迷いやすいところです。「木は安いぶん弱いのでは」「角は虫に食われると聞いた」など、気になる点もそれぞれあるでしょう。この記事では、当店で扱う6つの印材をもとに、木製印鑑と角製印鑑の違いを比べます。

先に結論

長く使う実印や銀行印には、欠けにくい角製の印鑑が向いています。軽さや手ごろな価格、木の風合いを大事にしたい方には木製をおすすめします。使える年数の目安は、木が10〜20年以上、角が20〜30年以上です。苦手なものも違います。木は朱肉の油、角は乾燥と虫です。3本セットは、木の薩摩本柘が21,700円から、角の黒水牛が24,300円からで、差は2,600円です。

木と角は、素材の成り立ちが違います

木製の印鑑は、木の幹を丸い棒の形にして作ります。角製の印鑑に使うのは、水牛の角のうち、中身の詰まった部分です。植物か動物かという出どころの差が、そのまま性質の違いに表れます。

木製の印鑑

木の幹から削り出します

主な成分
セルロースなど、植物の繊維です
性質
軽く、持つと温かみがあります。水分を吸ったり吐いたりして、伸び縮みします
苦手なもの
朱肉の油と、急な乾燥です
当店の印材
薩摩本柘、彩樺、白檀

角製の印鑑

水牛の角から削り出します

主な成分
ケラチンという、爪や髪と同じたんぱく質です
性質
木より重く、粘りがあります。表面はなめらかで、つやが出ます
苦手なもの
乾燥と、衣類につく虫です
当店の印材
黒水牛、白水牛(柄)、白水牛

化学辞典は、木材の短所として、含まれる水分の量によって寸法が変わりやすいことを挙げています。角の成分のケラチンは、世界大百科事典によると、丈夫で弾力に富むたんぱく質です。全日本印章業協会も、黒水牛を「捺印しやすく粘りのある印材」と説明しています。

当店で選べる木と角の印材

当店では、木と角の印材をそれぞれ3つずつ扱っています。まずは木の印材です。

薩摩本柘の印材
薩摩本柘実印 10,700円〜鹿児島で育った柘の木です。淡い黄色で、木目はほとんど見えません。当店の印材のなかで、いちばん手ごろです。
彩樺の印材
彩樺実印 11,600円〜樺の木を樹脂で固めた印材です。赤茶からこげ茶の地に、縞の木目が入ります。
白檀の印材
白檀開運実印 29,700円〜よい香りのする木です。お名前を鑑定して作る、個人の開運印鑑でお選びいただけます。

続いて、角の印材です。

黒水牛の印材
黒水牛実印 11,900円〜つやのある黒い角です。角の印材のなかで、いちばん手ごろです。
白水牛(柄)の印材
白水牛(柄)実印 16,700円〜乳白色の地に、茶色の筋が入ります。模様は1本ごとに違います。
白水牛の印材
白水牛実印 27,600円〜模様の少ない、乳白色の角です。白一色のものは採れる量が少ないため、ほかの2つより高価です。

カードの価格は、どれも直径13.5mmの実印の場合です。木の印材は、薩摩本柘の印鑑とは?と白檀の印鑑とは?でくわしくご説明しています。角の印材は、黒水牛の印鑑とは?と白水牛の印鑑とは?をご覧ください。

丈夫さと寿命|欠けにくいのは角、どちらも手入れで長持ちします

木製の印鑑角製の印鑑

印面の縁から落ちると、枠が欠けることがあります

落としたとき

粘りがあり、木より欠けにくい印材です

印面から油を吸います。拭かずにいると、縁がもろくなります

朱肉の油

木ほどは吸いません。溝にたまった朱肉は、拭き取ります

急に乾くと、細いひびが入ることがあります

乾燥

乾燥しすぎると、ひびが入ることがあります。暖房の風は避けます

ふつうに使っていれば、心配は要りません

虫

長くしまい込むと、まれに衣類の害虫に食われます

水を吸うと膨らみ、乾くと縮みます。水洗いはしません

水

木と同じで、水洗いはしません。濡れたら拭いて乾かします

手入れを続ければ、10〜20年以上使えます

使える年数の目安

乾燥と虫を避ければ、20〜30年以上使えます

枠の小さな欠けなら、彫り直せる場合があります

彫り直し

印面を削れば、彫り直せます。結婚などで姓が変わったときにも役立ちます

薩摩本柘と彩樺が星3つ、白檀が星4つです

当店の耐久性の星

黒水牛、白水牛(柄)、白水牛とも星4つです

年数は、押したら拭いてケースにしまう使い方を続けた場合の目安です。木の印鑑でも、押すたびに拭いていれば、20年を超えて使えます。角の印鑑でも、暖房の風に当て続ければ、早くひびが入ります。寿命は印材だけでなく、扱い方でも変わります。

手入れの方法|木と角で同じこと、違うこと

木と角で同じこと

  • 押したら拭きますやわらかい布かティッシュを印面に当て、朱肉を移し取ります
  • ケースに入れて保管します暖房の風、窓際、夏の車内を避け、引き出しにしまいます
  • 水で洗いませんどちらも水を吸います。汚れは、乾いた布で拭き取ります
  • 押印マットを敷きます硬い机の上で押すと、印面の縁に力がかかります。マットを敷くと、その力がやわらぎます

違うこと

  • 朱肉の拭き取り木は印面から油を吸うので、押すたびに拭いてください。角は油を吸いにくいものの、溝に残った朱肉は落とします
  • 虫への備え角を何年もしまうときは、防虫剤を置いた引き出しに入れます。木には要りません
  • つやの手入れ黒水牛は、つやが鈍ったら椿油を少し付けた布で持ち手を拭きます。木には油を塗りません

手入れの手間は、木も角もほとんど変わりません。どちらも「押したら拭いて、ケースにしまう」が基本です。角の保管は、水牛の印鑑は何年使える?でくわしくご説明しています。

10年、20年使ったときの色の変化

使い始めから20年の色の移り変わり

薩摩本柘木淡い黄色が、何年もかけて飴色になります。柘の櫛と同じ変化で、傷んだわけではありません。
黒水牛角買ったときの黒色が、ほとんど変わりません。朱肉の色が移っても目立ちません。
白水牛角乳白色から、クリーム色、飴色へと深まります。印面のまわりは、朱肉で赤く染まりやすくなります。

色の変わり方は、使う回数と、光や手の脂に触れる時間で違います。図の色は目安で、実物の色とは異なります。

買ったときの見た目を保ちたい方には、黒水牛が向いています。色が深まっていくのを楽しみたい方には、薩摩本柘か白水牛が合います。

価格|実印1本と、3本セットで比べる

まずは、実印でいちばん細い13.5mmを1本買う場合です。

木の薩摩本柘と角の黒水牛の差は、1,200円です。この差が開くのは、太い実印を選んだときです。3本セットの直径の組み合わせごとに並べました。

薩摩本柘黒水牛差額
13.5・12・10.5mm21,700円24,300円+2,600円
15・13.5・12mm25,200円30,200円+5,000円
16.5・15・12mm28,600円37,400円+8,800円
18・16.5・13.5mm36,100円46,500円+10,400円

いちばん細い組み合わせなら、2,600円の差額で欠けにくい角を選べます。実印が18mmの組み合わせでは差が10,000円を超えるため、予算を抑えたい方には木が合います。どちらの印材でも、3本セットには朱肉と押印マットが付きます。箱は、桐箱か化粧箱のどちらかをお選びいただけます。

作れる印鑑の種類|印材によって違います

個人用だけでなく、会社用や開運印鑑も同じ印材でそろえたい方は、ここも確かめてください。

個人用と会社用を同じ印材でそろえられるのは、薩摩本柘、黒水牛、白水牛の3つです。

使い方別|木と角のどちらが向くか

使い方・重視すること木角
何十年も使う実印○◎

枠が欠けると、印鑑登録をやり直すことになります。欠けにくい角が向いています。

かばんに入れて持ち歩く銀行印○◎

外へ持ち出すぶん、落とす心配も増えます。粘りのある角が向いています。

毎日のように押す認印◎◎

木は軽いので、何度押しても手が疲れにくい印材です。角は朱肉がなじみ、むらなく写ります。お好みで選んでください。

予算を抑えて3本そろえる◎○

3本セットは、薩摩本柘なら21,700円から、黒水牛なら24,300円からです。

動物由来の素材を避けたい◎△

角の印材は、水牛からとった素材です。木の薩摩本柘か彩樺をお選びください。

買ったときの見た目を保ちたい○◎

黒水牛は、色がほとんど変わりません。濃い色の彩樺も、色移りが目立ちにくい印材です。

手になじむ軽さがほしい◎○

木は軽く、冬に持っても冷たくありません。角は木より少し重く、そのぶん押すときに手元が安定します。

2つの質問で決める

  1. 動物由来の素材を避けたい、または木の風合いがお好みですか

    はい木です。明るい色なら薩摩本柘、濃い色なら彩樺をお選びください
    こだわらない次の質問へ
  2. 実印や銀行印として、20年、30年と使うつもりですか

    はい角です。黒水牛の3本セットは24,300円から、白水牛(柄)は36,900円からです
    まずは手ごろにそろえたい木です。薩摩本柘の3本セットは21,700円からです

木と角でそれぞれいちばん手ごろな2つは、薩摩本柘と黒水牛の違いでさらにくわしく比べています。

よくある質問

木の印鑑は、実印に向きませんか

問題なく使えます。全日本印章業協会も、実印に使う印材の1つに柘を挙げています。京都市の印鑑登録でも、木製であることは登録できない条件に入っていません。押したら拭く習慣があれば、10年、20年と使えます。

角の印鑑は、虫に食われると聞きました

まれに起きます。角は、ウールと同じたんぱく質でできているためです。起きやすいのは、何年も使わずにたんすの奥へしまい込んだときです。ときどき使う印鑑なら、ほとんど心配は要りません。長くしまうときは、防虫剤を置いた引き出しに入れてください。

実印は角、認印は木、という組み合わせはできますか

できます。ただし3本セットは、3本とも同じ印材でお作りしています。印材を分けたいときは、別々にご注文ください。たとえば、実印と銀行印は黒水牛の2本セット、認印は薩摩本柘の単品にする方法があります。

軽い木の印鑑は、押しにくくありませんか

押しやすさは、重さだけでは決まりません。印面が紙に平らに当たることと、下に押印マットを敷くことのほうが大切です。くわしくは、押しやすい印鑑の選び方でご説明しています。

贈り物にするなら、木と角のどちらがよいですか

長く使ってもらう贈り物には、欠けにくい角をおすすめしています。落ち着いた黒を好む方には黒水牛、明るい色を好む方には白水牛(柄)が合います。相手の方が動物由来の素材を避けている場合は、木をお選びください。

まとめ|木製か角製かを決める順番

はじめに、動物由来の素材を避けたいかどうかを考えます。避けたい方は木を選びます。次に、何に使う印鑑かを決めます。何十年も使う実印や、持ち歩く銀行印なら、欠けにくい角が向いています。続いて、直径を選びます。実印が13.5mmの3本セットなら、薩摩本柘と黒水牛の差は2,600円、18mmなら10,400円です。最後に、会社の印鑑や開運印鑑も同じ印材でそろえたいかを確かめてください。

木でも角でも、京都の職人が1本ずつ彫刻します

木の印鑑か、角の印鑑か。3本セットから選ぶ

どちらも印鑑ケース付き、送料無料、5年保証。ご注文から3〜7営業日で発送します。実印・銀行印・認印をそろえる3本セットが、いちばん割安です。

SOURCES

出典

木材の成分と、水分による伸び縮みは、コトバンクに収録された化学辞典、改訂新版 世界大百科事典、百科事典マイペディアの記述によります。角の成分であるケラチンの説明は、デジタル大辞泉と世界大百科事典を参照しました。柘、牛角、黒水牛の印材としての性質は全日本印章業協会の解説、印鑑登録の条件は京都市の案内によります。使える年数は、押したら拭いてケースにしまう使い方を続けた場合の当店の目安です。耐久性の星は当店の商品ページに載せている目安で、数値で測ったものではありません。価格は記事作成時点のものです。

  1. 化学辞典 第2版・平凡社 改訂新版 世界大百科事典・百科事典マイペディアほか. 木材. コトバンク. https://kotobank.jp/word/木材,(参照 2026-10-06).
  2. デジタル大辞泉・平凡社 改訂新版 世界大百科事典ほか. ケラチン. コトバンク. https://kotobank.jp/word/ケラチン,(参照 2026-10-06).
  3. 公益社団法人 全日本印章業協会. 大切な実印を作る前にお読みください. https://www.inshou.or.jp/inshou/info/index.html,(参照 2026-10-06).
  4. 京都市. 印鑑登録. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000147302.html,(参照 2026-10-06).