CHAPTER 05 印材・素材
翡翠の印鑑|硬玉と軟玉の違い・割れにくさ・注文前の確認
翡翠の印鑑について、硬玉と軟玉の違い、「翡翠」と名の付く別の石、割れにくさ、色を整える処理、価格の決まり方をまとめました。翡翠の意味と言い伝えの受け止め方、実印にできるか、注文の前に確かめたい4つのこともご説明します。
公開日: 2026年10月5日 更新日: 2026年10月7日
緑の石と聞いて、まず翡翠を思い浮かべる方は多いと思います。ところが印鑑を探してみると、本翡翠、軟玉翡翠、印度翡翠と、似た名前の品がいくつも出てきます。価格にも大きな開きがあります。どれが翡翠で、何を確かめて選べばよいのかは、名前だけでは分かりません。この記事では、翡翠を印鑑の材料として見たときの性質と、注文の前に確かめたいことをご説明します。
翡翠は、硬玉と軟玉という2つの石をまとめた呼び名です。どちらも細かな結晶が絡み合ってできていて、割れや欠けにとても強く、印鑑に向いています。気をつけたいのは、名前と処理です。「〜翡翠」と呼ばれていても別の石のことがあり、色を整える処理をした石もあります。注文の前に、石の正式な名前と処理の有無を確かめてください。当店が運営するパワーストーン印鑑の専門サイト「Stone Seals」には、記事作成時点で翡翠の商品ページがありません。ご希望の方は、お問い合わせください。
翡翠とは|硬玉と軟玉という2つの石の呼び名です
翡翠は、もともと鳥のカワセミを指す言葉です。デジタル大辞泉によると、石を翡翠と呼ぶのは、つやのある緑色の美しさをカワセミの背にたとえたからです。鉱物の世界では、硬玉(こうぎょく)と軟玉(なんぎょく)という、成り立ちの違う2つの石を合わせて翡翠と呼びます。
ジェダイト。本翡翠とも呼ばれます
呼び名ネフライト
ひすい輝石などの細かな結晶が集まった石です
成り立ち透閃石(とうせんせき)や緑閃石(りょくせんせき)の、繊維のような結晶が絡み合った石です
モース硬度6.5〜7
硬さモース硬度6〜6.5
緑、白、淡い紫、黄、赤褐色、黒など
色白から暗い緑まで
ミャンマー。日本では新潟県糸魚川市で採れます
産地中国、ニュージーランド、カナダなど
宝石として扱われるのは、主にこちらです。軟玉より高価です
使われ方硬玉より細工しやすく、古くから飾り石や工芸品に使われてきました
軟玉は、硬玉の偽物ではありません。日本大百科全書によると、軟玉も古くから「玉(ぎょく)」の一種として大切にされてきた石です。ただ、2つは別の石で、価格も違います。翡翠の印鑑を探すときは、どちらの石なのかを最初に確かめてください。
「〜翡翠」と呼ばれる別の石があります
翡翠は人気のある石なので、ほかの緑色の石にもその名を付けて呼ぶことがあります。最新 地学事典によると、西洋では緑色の石英、ざくろ石、蛇紋岩までまとめて、翡翠の英語名であるジェードと呼んでいました。日本大百科全書にも、「〜ひすい」の名で売られている品の多くは軟玉だと書かれています。
売り場での呼び名実際の石
印度翡翠と呼ばれるアベンチュリンのように、翡翠でなくても印鑑に使われる石はあります。困るのは、硬玉のつもりで買ったのに、届いたのが別の石だったという行き違いです。商品名に「翡翠」とあっても、説明文に書かれた石の正式な名前まで読んでから選んでください。
翡翠の色は、緑だけではありません
最新 地学事典によると、硬玉のもとになるひすい輝石は、混じりものがなければ無色です。そこに鉄やクロムなどが加わると、緑、青、紫に色づきます。結晶のすき間に酸化鉄がしみ込んだ石は、赤や黄、褐色になります。
石の印鑑は、原石を細長い円柱に切り出して作ります。指輪などに使う小さな石と違い、1本の中に色のむらや白い部分が入りやすくなります。そのため、全体が同じ緑にそろった印材は数が少なく、高価になります。
翡翠の割れにくさは、宝石の中でも際立っています
翡翠が印鑑に向いているいちばんの理由は、割れにくさです。GIAによると、硬玉も軟玉も、破損や欠けにとても強い石です。強さのもとは、細かな結晶が互いに絡み合った造りにあります。この丈夫さから、新石器時代には軟玉で斧やナイフも作られていました。
印材として見た翡翠の3つの性質
- 1傷のつきにくさ|水晶よりわずかにやわらかい
モース硬度は、硬玉が6.5〜7、軟玉が6〜6.5です。水晶やメノウは7なので、こすれ合うと翡翠のほうに傷がつくことがあります。ほかの石の印鑑と、同じ袋に入れないでください。
- 2割れにくさ|石の中でもとくに強い
硬さと割れにくさは、別の性質です。糸魚川市フォッサマグナミュージアムの講座テキストによると、いちばん硬いダイヤモンドも、割れにくさでは翡翠に及びません。
- 3重さ|硬玉は水晶より2〜3割重い
硬玉の比重は3.25〜3.5ほどで、水晶の2.65を上回ります。同じ太さの印鑑なら、持ったときに重みの違いが分かります。
割れにくい石でも、印面の縁は細く彫ってあります。硬い床に落とせば、縁が欠けることがあります。持ち歩くときは、必ずケースに入れてください。
丈夫な石なので、実印・銀行印・認印のどれにも向いています。とくに、窓口へ持ち出すことのある銀行印では、この強さが役に立ちます。落としたときの確かめ方は、パワーストーン印鑑は割れやすい?でご説明しています。
色を整える処理をした翡翠があります
翡翠には、見た目を良くするために処理をした石があります。処理をした石かどうかで、価格も手入れの仕方も変わります。
採れたままの色と質感
切って磨いただけの石です。褐色の部分や色むらが、そのまま残ります。色のそろった石ほど、価格は高くなります。
手入れ押したあとに、やわらかい布で朱肉を拭き取ります。
漂白、樹脂の含浸、染色
GIAによると、硬玉は褐色を抜くために、酸で漂白することがよくあります。漂白した石はもろくなるので、樹脂をしみ込ませて(含浸)すき間を埋めます。染料で色を付けた石もあります。
手入れ染料は、アルコールや除光液で落ちることがあります。日光に長く当てると、色があせる場合もあります。
処理をした石が、悪い石というわけではありません。手ごろな価格で、色むらの少ない翡翠を持てる利点があります。大切なのは、どちらの石かを知ったうえで選ぶことです。説明に書かれていなければ、注文の前に尋ねてください。
翡翠の価格を左右する3つの要素
翡翠は、同じ大きさでも価格に大きな開きがあります。GIAは、硬玉の価値を決める要素として、色、透明度、質感の3つを挙げています。
実際の価格には、この3つに加えて、硬玉か軟玉か、処理をしているかどうかも関わります。印鑑の場合は、太さでも価格が変わります。実印に使う太い印材ほど、大きな原石が必要になるからです。店どうしの価格を比べるときは、石の種類、処理の有無、直径をそろえて見比べてください。
注文の前に確かめたい4つのこと
翡翠は、柘(つげ)や黒水牛のような定番の印材ではありません。当店が運営するStone Sealsでも、記事作成時点で商品ページがある石は10種類で、翡翠は入っていません。ご希望の方は、ご用意できるかどうかをお問い合わせください。どこで注文する場合も、次の4つを確かめておくと、届いてから困りません。
- 01硬玉か、軟玉か、別の石か商品名ではなく、説明文に書かれた石の正式な名前を見ます
- 02色を整える処理の有無漂白や染色をしていないか、樹脂をしみ込ませていないかを確かめます
- 03直径と、彫る名前実印は13.5〜18mm、銀行印は12〜16.5mmが目安です。作れる直径は店によって違います
- 04欠けたときの保証修理や彫り直しを受けられる期間と条件を、先に確かめます
Stone Sealsで扱っている緑の石
緑色の印鑑をお探しなら、Stone Sealsには次の2つの石があります。どちらも翡翠とは別の石ですが、硬さは水晶と同じです。
印度翡翠とも呼ばれる、緑の石英です。中に含まれる細かな鉱物のかけらが、光を受けてきらめきます。Stone Sealsが5段階で示す耐久度は5で、持ち歩く銀行印にも向きます。1本31,500円からです。
成功運蓄財運落ち着いた深い緑に、縞が入ります。耐久度は3なので、家で保管する実印や銀行印に向きます。1本23,500円からです。
社交運才能運価格は税込で、記事作成時点のStone Sealsの単品の最低価格です。運気の名前は、Stone Sealsが石ごとに挙げている言い伝えです。
翡翠の意味|言い伝えとの付き合い方
翡翠は、日本で古くから使われてきた石です。最新 地学事典によると、新潟県の糸魚川では縄文時代から勾玉などに加工され、各地へ運ばれていました。2016年には、日本鉱物科学会が「国石」に選びました。全国宝石卸商協同組合の一覧では、5月の誕生石にも入っています。
こうした歴史から、翡翠はお守りの石として語られてきました。ただ、石を持つことで運気が変わることは、科学的に確かめられていません。確かめられているのは、割れにくさや硬さといった石の性質のほうです。お守りの石という話は、縄文時代から大切にされてきた歴史の一部として楽しむのがおすすめです。言い伝えと石の性質の分け方は、パワーストーン印鑑に効果はある?言い伝えと科学的根拠の分け方でご説明しています。
よくある質問
軟玉の印鑑は、偽物の翡翠ですか
偽物ではありません。軟玉も翡翠に含まれる石で、古くから飾り石や工芸品に使われてきました。ただ、宝石として高く評価されるのは硬玉です。硬玉をお探しの方は、石の名前を確かめてからお選びください。
「本翡翠」と書いてあれば、硬玉と考えてよいですか
宝石の業界では、硬玉を本翡翠と呼びます。ただ、商品名の付け方は店によって違います。説明文に「硬玉」や「ジェダイト」と書かれているかを確かめてください。石の種類を調べた鑑別書が付くかどうかも、目安になります。
翡翠の印鑑を実印として登録できますか
印影の大きさなどの条件を満たせば、登録できます。京都市では、印影が1辺8mmの正方形に収まらず、1辺25mmの正方形に収まることが条件です。ゴム印のように形が変わりやすい品は認められませんが、石の印鑑はこれに当たりません。条件は市区町村ごとに違うので、お住まいの役所で確かめてください。登録までの流れは、パワーストーン印鑑は実印にできる?印鑑登録の条件と確かめ方でご説明しています。
緑色でない翡翠でも、印鑑にできますか
できます。白や淡い紫の石も、同じ翡翠です。色のそろった印材があるかどうかは、そのときに手に入る原石しだいです。
翡翠の印鑑は、どう手入れすればよいですか
押したあとに、やわらかい布で印面の朱肉を拭き取ります。水で洗う必要はありません。処理の有無が分からない石は、アルコールや除光液で拭かず、日の当たる窓辺にも置かないでください。
まとめ|翡翠の印鑑を決める順番
はじめに、硬玉と軟玉のどちらを探すのかを決めます。次に、商品の説明で石の正式な名前を読み、色を整える処理をしているかを確かめます。そのうえで色の希望を考えます。むらのない緑を望むのか、白の混じった模様も楽しむのかで、価格が大きく変わります。最後に、直径、彫る名前、欠けたときの保証を確かめて注文します。翡翠が見つからないときは、緑のアベンチュリンやグリーンメノウも候補になります。
緑の天然石に、お名前を鑑定して彫刻します
Stone Sealsでは、お名前を鑑定した結果をもとに、京都の職人が印影を設計して天然石に彫刻します。朱肉付きの印鑑ケース、捺印マット、鑑定書、保証書付き。注文から7〜10日前後で発送、5年保証です。
アベンチュリンの印鑑を見る(1本 31,500円〜、3本セット 88,700円〜)