CHAPTER 05 印材・素材

印材の耐久性を比較|木・角・象牙・チタンの寿命と手入れ

印材の耐久性を、落としたときの欠けにくさ、乾燥や虫への強さ、朱肉の油への強さの3つに分けて比べました。薩摩本柘・彩樺・黒水牛・白水牛・本象牙・チタンの強いところと弱いところ、寿命の目安、実印15mmの価格、使い方に合わせた選び方をまとめています。

公開日: 2026年10月5日 更新日: 2026年10月7日

濃い色の古い木の板の上に、5本の印材が1列に立っている。左から、淡い黄色の柘、赤茶の縞が入った木、つやのある黒い角、飴色の筋が入った乳白色の角、銀色のチタン。右に真鍮の砂時計、左手前に使い込んだ茶色の革の印鑑ケースと灰色の布がある
印材の耐久性 何に強く、何に弱いかは、印材ごとに違います

実印や銀行印は、作ったら何十年も使う印鑑です。どうせなら、丈夫な印材で作りたい。そう考えて当店の商品ページを見ると、素材ごとに「耐久性」の星が付いています。ただ、星の数だけでは、落としても欠けないのか、しまったままでも傷まないのかまでは分かりません。この記事では、当店で扱う印材を木、角、象牙、チタンの4つに分けて、強いところと弱いところを比べます。

先に結論

欠け、乾燥や虫、朱肉の油のどれにも強い印材は、チタンです。本象牙は、枠が欠けても印面を彫り直して使い続けられます。黒水牛や白水牛は欠けにくい反面、乾燥と虫が苦手です。薩摩本柘などの木は軽くて手ごろですが、朱肉の油がしみ込みます。押したら拭いてケースにしまう使い方なら、木で10〜20年以上、角で20〜30年以上が目安です。

印鑑の耐久性は、3つに分けて考えます

「丈夫な印鑑」と聞いて思い浮かべる場面は、人によって違います。印鑑が傷む原因に沿って分けると、次の3つになります。

落としたときの欠けにくさ印鑑の縁は細く、硬い床に落とすと欠けることがあります。ぶつかった力を受け止める粘りがある印材ほど、欠けにくくなります
乾燥や虫への強さ木や角、象牙は、乾きすぎるとひびが入ることがあります。角は、まれに衣類の害虫に食われます。金属のチタンには、どちらの心配もありません
朱肉の油への強さ木は、朱肉の油を吸います。拭かずにしまうことを繰り返すと、縁が少しずつもろくなります

商品ページの「耐久性」の星は、この3つをまとめた当店の目安です。星の数が同じでも、強いところと弱いところは印材ごとに違います。

印材ごとの丈夫さ|強いところと、気をつけるところ

薩摩本柘の印材
薩摩本柘軽くて手ごろな、木の印材

木目が細かく詰まった、ツゲ科の木です。全日本印章業協会は、組織が緻密で硬く、彫刻に向いた印材と説明しています。朱肉の油を吸うので、押したあとは拭き取りが欠かせません。

実印15mm 11,900円 / 3本セット 25,200円
  • 耐久性の星
彩樺の印材
彩樺赤茶の木目が入る、樺の木の印材

バーチ(樺)の木から作る印材です。耐久性の星は、薩摩本柘と同じ3つです。同じ木の印材なので、手入れの仕方も変わりません。

実印15mm 12,800円 / 3本セット 27,400円
  • 耐久性の星
黒水牛の印材
黒水牛粘りがあり、落としても欠けにくい

水牛の角から作る印材です。全日本印章業協会は、押しやすく粘りのある印材と説明しています。苦手なのは乾燥と虫で、ケースに入れて引き出しにしまうと防ぎやすくなります。

実印15mm 15,300円 / 3本セット 30,200円
  • 耐久性の星
白水牛の印材
白水牛黒水牛と同じく、粘りのある角の印材

乳白色の角の印材です。粘りと押し心地は黒水牛とよく似ていて、乾燥と虫が苦手なところも同じです。年月とともに、色が飴色へ深まります。

実印15mm 白水牛(柄)20,400円、白水牛 30,000円
  • 耐久性の星
本象牙(標準)の印材
本象牙彫り直して、次の代まで使える

象の牙から作る印材です。全日本印章業協会は、適度な硬さがあり、長く使うのに向いた材料と説明しています。枠が欠けても、印面を削って彫り直せます。乾燥が苦手なので、暖房の風が当たる場所や窓際には置かないようにします。

実印15mm 36,100円(標準)/ 3本セット 83,300円
  • 耐久性の星
チタンの印材
チタン欠け、乾燥、虫の心配がほとんどない

金属の印材です。国語辞典のデジタル大辞泉にも、硬くてさびにくい金属とあります。朱肉の油がしみ込まず、水で洗えます。木や角より重く、冬は手に取るとひんやりします。

実印15mm 31,800円 / 3本セット 68,400円
  • 耐久性の星

耐久性の星は、数値で測ったものではありません。3本セットの価格は、実印15mm・銀行印13.5mm・認印12mmの組み合わせです。お名前を鑑定して作る開運印鑑なら、香木の白檀(星4つ)という選択肢もあります。

印鑑が使えなくなる4つの原因と、起きやすい印材

印鑑の寿命を縮める原因は、主に4つあります。それぞれ起きやすい印材と防ぎ方を並べました。

原因起きやすい印材防ぎ方
縁が欠ける

落としたときに起きます。木や象牙は欠けることがあり、粘りのある角は欠けにくく、チタンはその心配がほとんどありません

押すときは押印マットを敷き、持ち歩くときはケースに入れます
ひびが入る

角、象牙、木で起きます。暖房の風などで水分が抜けすぎると、細いひびが入ります

暖房やエアコンの風、窓際、夏の車内に置かないようにします
虫に食われる

黒水牛と白水牛で、まれに起きます。角は、爪や髪と同じたんぱく質(ケラチン)でできているためです

長くしまうときは、防虫剤を置いた引き出しにケースごと入れます
朱肉の油がしみる

薩摩本柘や彩樺などの木で起きます。油を吸った縁は、少しずつもろくなります

押すたびに、やわらかい布かティッシュで印面を拭きます

4つのうち、いちばん避けたいのは欠けです。実印や銀行印は、縁が欠けて印影が変わると、登録や届出をやり直すことになります。ひびや虫食い、油のしみは、置き場所と拭き取りで防げます。

印材ごとの寿命の目安

印鑑の寿命は、印材と手入れで変わります。印材ごとの年数の目安は、次のとおりです。

本象牙とチタンは、どちらも一生使うつもりで選べる印材です。違うのは、枠が欠けたときや名前が変わったときの扱いです。本象牙なら、職人が印面を削って彫り直せます。チタンは硬くて削り直しが難しいため、名前が変わったときは新しく作ることをおすすめしています。

くわしい年数と買い替えのサインは、水牛の印鑑は何年使える?と象牙の印鑑は何年使える?でご説明しています。

耐久性と価格|実印15mmで比べる

丈夫な印材ほど高い、とは限りません。同じ星4つでも、黒水牛と白水牛では値段が2倍近く違います。実印の15mmで、価格と星を並べました。

星3つの薩摩本柘と星4つの黒水牛では、3,400円の差です。星5つのチタンは31,800円、本象牙(標準)は36,100円で、どちらも黒水牛の2倍を超えます。実印・銀行印・認印の3本セットでも、この4つの価格の順番は変わりません。薩摩本柘が21,700円から、黒水牛が24,300円からです。チタンは54,900円から、本象牙は73,200円からになります。

使い方から、印材を決める

どれがいちばん良い印材かは、印鑑の使い方で変わります。

持ち歩く印鑑

欠けにくさで選ぶなら、黒水牛

銀行や役所へ持って行く印鑑は、落とす機会も増えます。粘りのある角の印材が向いています。黒水牛なら、チタンより軽く、値段も半分以下です。

3本セット 24,300円〜
しまっておく印鑑

置き場所を気にしたくないなら、チタン

乾燥も虫も心配がありません。金庫や書類ケースに入れたままでも、傷みにくい印材です。

3本セット 54,900円〜
受け継ぐ印鑑

彫り直して譲るなら、本象牙

印面を削って、新しい名前を彫り直せます。お子様やお孫さんに譲りたい方に向いています。

3本セット 73,200円〜

予算を抑えたい方や、軽い印鑑がお好みの方には、薩摩本柘という選択肢もあります。押したら拭く習慣があれば、10年、20年と使えます。黒水牛と比べたときの差は、薩摩本柘と黒水牛の違いでくわしくご説明しています。印材のほかに、彫る名前や保証まで含めて考えたい方は、一生使える印鑑の選び方もご覧ください。

どの印材でも寿命が延びる、3つの習慣

印材を問わず続けたい3つの習慣

  • 押したら、印面の朱肉を拭きます やわらかい布かティッシュを当てて、軽く押さえます。溝に朱肉がたまると、印影の線が太くなります。
  • 使い終わったら、ケースにしまいます ケースに入れておくと、落としたときの欠けや乾燥、虫を防ぎやすくなります。机の上に出したままにするのは避けてください。
  • 年に1度、ケースを開けて見ます 使っていない印鑑も、縁の欠け、ひび、虫食いの穴がないかを確かめます。早く気づけば、傷みが広がる前に置き場所を変えられます。

よくある質問

いちばん長持ちする印材は、どれですか

傷みにくさでいえば、チタンです。欠けたときや名前が変わったときに、彫り直して使い続けられるのは本象牙です。「長持ち」を、傷まないことと見るか、直しながら使えることと見るかで答えが変わります。

彩樺は、薩摩本柘より丈夫ですか

当店の耐久性の目安では、どちらも星3つです。木の印材なので、朱肉の油を吸うところも同じです。色と木目のお好みでお選びください。

耐久性の星が少ない印材は、実印に登録できませんか

登録できます。京都市の案内では、ゴム印のように押すたびに印影が変わりやすい印鑑でないことが条件の1つです。木の印鑑は押しても形が変わらないので、この条件を満たします。取扱いは市区町村ごとに違うので、お住まいの役所で確かめてください。

天然石の印鑑は、丈夫ですか

水晶などの石は硬く、こすれても傷がつきにくい素材です。乾燥や虫で傷むこともありません。ただ、硬い床に落とすと縁が欠けることがあります。くわしくは、パワーストーン印鑑は割れやすい?でご説明しています。

欠けたり、ひびが入ったりしたら、どうすればいいですか

ひびが持ち手の表面だけで、印面まで届いていなければ、そのまま使えます。印面の枠や文字にかかったときは、作り直しをおすすめします。当店でのご購入から5年以内であれば、状態を確認して修理や彫り直しをご案内します。

まとめ|耐久性から印材を決める順番

はじめに、その印鑑を持ち歩くのか、しまっておくのかを考えます。持ち歩くなら、欠けにくい黒水牛が向いています。次に、しまう場所を思い浮かべます。暖房の風が当たる部屋にしか置けないなら、乾燥の心配がないチタンが合います。続いて、予算と照らし合わせます。費用を抑えたいなら薩摩本柘、星5つにこだわるならチタンか本象牙が候補です。最後に本数を決めます。実印、銀行印、認印を同じ印材でそろえると、手入れの方法が1通りで済みます。

京都の職人が、1本ずつ彫刻します

丈夫さと使い方から、印材を選ぶ

どの印材も印鑑ケース付き、送料無料、5年保証です。ご注文から3〜7営業日で発送します。価格は、実印・銀行印・認印の3本セットのものです。

すべての印材の3本セットを見る薩摩本柘 21,700円〜、彩樺 23,700円〜、白水牛(柄)36,900円〜3本セットへ

SOURCES

出典

柘・牛角・黒水牛・象牙の印材としての性質は全日本印章業協会の解説、チタンの性質はデジタル大辞泉、角が爪や髪と同じたんぱく質でできていることは日本大百科全書とデジタル大辞泉によります。印鑑登録の条件は京都市の案内で、取扱いは市区町村によって異なります。耐久性の星は当店の商品ページに載せている目安で、数値で測ったものではありません。寿命の年数は、押したら拭いてケースにしまう使い方を続けた場合の当店の目安です。価格は記事作成時点のものです。

  1. 公益社団法人 全日本印章業協会. 大切な実印を作る前にお読みください. https://www.inshou.or.jp/inshou/info/index.html,(参照 2026-10-05).
  2. デジタル大辞泉. チタン. 小学館. コトバンク. https://kotobank.jp/word/チタン,(参照 2026-10-05).
  3. 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)ほか. 角. コトバンク. https://kotobank.jp/word/角,(参照 2026-10-05).
  4. デジタル大辞泉. ケラチン. 小学館. コトバンク. https://kotobank.jp/word/ケラチン,(参照 2026-10-05).
  5. 京都市. 印鑑登録. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000147302.html,(参照 2026-10-05).