CHAPTER 07 サイズ・形・選び方

実店舗で印鑑を買うメリット|手に取って相談できる5つの利点

実店舗で印鑑を買うメリットを、印材の見た目と手触り、直径、書体の印影、その場での相談の5つに分けて説明します。店舗と通販でできることの比較、店での会話の例、店舗でも当日には受け取れない理由、京都・伏見の店舗案内も載せています。

公開日: 2026年9月24日

京都の町家の印章店のカウンター。手前の木のトレイに黒水牛・白水牛・柘の印材が太さの順に立ち、真鍮のルーペと呼び鈴、そろいの湯のみが2つ。奥には紺・黒・ワインレッドのレザーケースが並ぶガラスの陳列棚と、格子窓から差す光
実店舗で印鑑を買うメリット 手に取って、比べて、聞いて決められる。店舗ならではの5つの利点です

印鑑はネットでも買えますが、「一度は実物を見てから決めたい」という方は少なくありません。実店舗で買うと何がよいのか、通販と何が違うのか、店に行けばその日に持ち帰れるのか。この記事では、実店舗で買う利点を5つに分けて説明します。そのうえで、店舗と通販でできることを表で比べ、店で相談したときの会話を例に挙げます。当店は京都・伏見の店舗とネットの両方でご注文を受けていますので、その経験からお話しします。印鑑選び全体の順番は印鑑の選び方をご覧ください。

先に結論

実店舗では、印材の色と模様、手触りと重さ、直径、書体の印影を実物で確かめられます。名前の字や予算も、その場で聞いて決められます。これが、店舗で買う5つの利点です。印鑑の出来は、店舗で頼んでも通販で頼んでも変わりません。当店では、どちらも同じ職人が同じ工程でお作りします。違うのは、注文を決めるまでの過程です。ただし店舗でも、名前を彫るオーダーメイドの印鑑はその日には受け取れません。印材を見て決めたい方や、名前の字や直径に迷っている方には、店舗をおすすめします。店が遠い方は通販で注文し、彫る前の印影確認と電話相談を使ってください。

店舗でしかできない5つのこと

ネット通販では、商品ページの写真と説明文を見て印鑑を選びます。店舗なら、目と手と耳で直接確かめられます。店でしかできないことを5つ挙げます。

印材の色と模様を見る

黒水牛の黒の深さ、白水牛(柄)の模様の入り方、象牙の白さと目の細かさは、写真では伝わりきりません。天然の印材は同じ種類でも色や模様に個体差があるので、見比べて気に入った1本を選べます。

手触りと重さを比べる

柘は軽くて温かみがあり、水牛はつやがあってなめらか、チタンはずしりと重く、ひんやりしています。押すときに手になじむかどうかは、持ってみてはじめて分かります。

直径を実物で確かめる

13.5mmと15mmの差は1.5mmですが、手に持つと印象がずいぶん違います。自分の手の大きさと、彫る文字数に合う太さを、見本を握って決められます。

試し押しをして印影を見る

書体の見本を紙に押して並べると、吉相体と篆書体の違い、古印体の読みやすさが一目で分かります。線の太さや枠との釣り合いも、押した印影で確かめられます。

その場で聞いて、その場で決める

「この字は旧字で彫れますか」「名前だけで登録できますか」「予算内で3本そろえられますか」。気になることをその場で尋ねて、答えを聞いてから決められます。

店舗と通販で、できることを比べる

店で買う良さだけを挙げると通販が不利に見えますが、夜でも注文できるなど、ネットならではの便利さもあります。当店の店舗と通販で、それぞれできることを表にしました。

できること店舗通販
印材を手に取って選ぶ◎△

通販では、写真と説明を頼りに選びます。印材ごとの特徴は、当店の記事でも説明しています。

直径を実物で確かめる◎○

通販では、原寸大の図や、手元の印鑑と比べて大きさの見当をつけます。

書体の印影見本を見る◎○

通販でも書体の見本は見られます。ご自分の名前の印影は、彫る前の印影確認で確かめられます。

名前の字や予算を相談する◎○

通販でも、お電話とお問い合わせフォームで相談できます。フォームへの返信は、通常2〜3営業日以内です。

営業時間を気にせず注文する△◎

店舗には営業時間と定休日があります。通販は夜でも休日でも注文できます。

遠方から注文する△◎

京都の職人の印鑑を、全国どこへでも送料無料でお届けします。

同じ仕上がりの印鑑を受け取る◎◎

当店では、店舗でもネットでも、同じ職人が同じ工程でお作りします。

買ったあとに修理や彫り直しを頼む◎◎

5年間の保証は、店舗でもネットでも同じです。通販の方は、お電話かフォームでご連絡のうえお送りください。

店で相談すると、こんな会話になります

店舗の利点のうち、印鑑に詳しくない方にとって大きいのは「その場で聞けること」です。何を聞けばよいか分からなくても、店の側から尋ねながら一緒に決めていけます。はじめて実印を作りに来られた方との、よくあるやり取りを例に挙げます。

お客様

「家を買うので、実印を用意するように言われました。何を選べばいいのか、さっぱり分からなくて」用途が決まっていれば、それだけで相談は始められます

店

「住宅ローンを組まれるなら、実印が要りますね。フルネームで彫る方が多いので、まず15mmと16.5mmを握り比べてみてください。銀行印や認印はお持ちですか。まだでしたら、同じ印材で3本そろえると、1本ずつ買うより割安です」直径は見本を握って、本数はいま持っている印鑑を聞いて決めます

お客様

「名前の『髙』が、はしごの字なんです。彫れますか」字の相談は、店舗なら紙に書いて見せるだけで済みます

店

「彫れます。住民票のとおりの字でお作りします。書体は、実印なら吉相体か篆書体をおすすめしています。吉相体は文字が枠に接するので、枠が欠けにくくなります。見本を押してみますね」印影の見本を目の前で押して、書体を決めます

店が確かめるのは、用途、いま持っている印鑑、名前の字、直径の好み、予算の5つです。これを自分だけで決めるのが難しいと感じる方は、店舗で相談する価値があります。反対に、5つとも決まっている方は、通販でそのまま注文できます。

店舗でも、その日には受け取れません

「店に行けば、その日に持ち帰れる」と思って来られる方もいらっしゃいます。ただ、名前を彫るオーダーメイドの印鑑は、店舗で頼んでも当日には受け取れません。当店では、ご注文をいただいたあと、お名前に合わせて字を作り、彫刻して仕上げ、検品してから発送します。発送までは通常3〜7営業日ほどです。店舗でのご注文も、完成後にご自宅へお送りできます。旅行や出張のついでに来られる方は、送り先を決めておいてください。その日に持ち帰れるのは、既製品の印鑑だけです。既製品と注文品の違いは印鑑専門店と100円ショップの印鑑の違いで説明しています。

店で聞いておくとよいのは、「どの工程を、だれが手で行うのか」です

公益社団法人全日本印章業協会は、消費者向けの資料で「手彫り仕上げ」という表示に注意を呼びかけています。この表示は協会の工程表になく、そこで定める「手彫り」とも違うからです。協会の定義では、彫刻は「字入れ」「荒彫り」「仕上げ」の3つの工程に分かれます。どの工程を手で行うかは、店によって違います。店舗なら、それをその場で聞けます。当店では、京印章制作士の池上翠雲が、お名前に合わせて印影をデザインし、1本ずつ仕上げています。彫り方の違いは手彫りと機械彫りの違いをご覧ください。

京都・伏見にある当店の店舗

当店は大正15年に京都で創業した印章店で、京都府の伝統的工芸品「京印章」の制作處として認定を受けています。京都府の案内によると、平安京が開かれたころには、すでに天皇の御璽や役所の印がこの地で作られていました。いま国の文書に押されている天皇御璽も、明治7年に京都の印章師が作ったものです。店舗の場所と営業時間は次のとおりです。

京都・伏見にあるダルマ屋印房の店舗外観

ダルマ屋印房

住所
〒612-8058 京都市伏見区風呂屋町269
電車
京阪本線「伏見桃山駅」から徒歩5分。近鉄京都線「桃山御陵前駅」から徒歩7分。京都駅からは電車と徒歩で17分ほどです
バス・車
京都市バス「西大手筋」から徒歩3分。駐車場が1台分あります。近くにコインパーキングも多くあります
電話
075-611-2622お電話でのご相談は、定休日も承っています
地図と店舗の詳しいご案内
月〜金9:30〜18:00
土定休日
第1・第3・第5日曜12:00〜17:00
第2・第4日曜定休日
祝日12:00〜17:00

年始はお休みをいただきます。営業時間内でも、時間帯によっては職人が店にいないことがあります。職人に直接相談したい方は、お電話かお問い合わせフォームで、前もってご一報ください。

京都市にお住まいの方は、ご本人が区役所や支所の窓口に行けば、実印をその日のうちに登録できます。持って行くのは、その印鑑と、運転免許証やパスポートなど顔写真付きの本人確認書類です。印鑑のできあがりから登録に行くまでの日程も、店舗でご相談ください。京都での実印の作り方と登録の手順は京都で実印を作るにまとめています。

店舗が遠い方へ|通販でも、同じ職人が作ります

店舗に来られない方のために、当店では3つのことを用意しています。1つ目は、彫る前の印影確認です。注文画面の「印影のご確認」で「確認する」を選ぶと、ご注文の2〜3日後に印影のデザインをメールでお送りします。字の形や配置を見ていただいてから彫りますので、そのぶんお届けが遅くなることがあります。2つ目は、お電話とお問い合わせフォームでのご相談です。直径や書体、名前の字について、ご購入の前でもあとでもご相談を受けています。3つ目は、この印鑑大辞典の記事です。店舗で手に取れない分を補えるよう、印材ごとの特徴や直径の決め方を写真と図で説明しています。通販で注文するときの流れと確認点はネット通販で印鑑を買って大丈夫?をご覧ください。

よくある質問

店舗で買うと、通販より高くなりますか

当店では、店舗でもネットでも同じ価格です。実印は薩摩本柘13.5mmの10,700円から、実印・銀行印・認印の3本セットは21,700円からです。送料は全国無料です。店舗で相談して、後日ネットからご注文いただくこともできます。

見るだけでも店に行ってよいですか

もちろんです。印材を手に取り、直径の見本を握り、書体の印影を見てから、ゆっくり考えていただいて構いません。営業時間は平日9:30〜18:00、第1・第3・第5日曜と祝日は12:00〜17:00です。定休日は土曜と第2・第4日曜です。職人に直接相談したい方は、前もってお電話かフォームでご一報ください。

店舗で注文した印鑑を、自宅に送ってもらえますか

できます。発送までに通常3〜7営業日ほどかかりますので、旅行や出張の途中で来られる方は、送り先にご自宅をご指定ください。送料は無料です。実印は、届いてからお住まいの市区町村で登録しますので、その日程も考えておいてください。

近くに印章店がありません。何を頼りに選べばよいですか

通販では、印材は写真と説明で、直径は原寸大の図で、書体は見本で確かめられます。名前の字は電話で相談できます。仕上がりの印影も、印影確認を選べば彫る前にメールで見られます。上の比較表のとおり、通販で難しいのは印材を手に取って選ぶことだけです。選ぶときに見るところは良い印鑑の見分け方にまとめています。

まとめ|見て決めたい方は店舗へ、遠方の方は印影確認と相談で通販へ

実店舗で買うか通販で買うかは、次の順番で考えると決めやすくなります。まず、用途、いま持っている印鑑、名前の字、直径、予算の5つのうち、自分で決められないものがあるかを確かめます。印材を手に取って選びたいときや、決められないものがあるときは、店舗で相談するのが近道です。職人に直接聞きたいなら、前もってお電話でご一報ください。伏見までお越しになるのが難しいときは、通販で注文し、「印影のご確認」で「確認する」を選びます。迷う点は、注文の前にお電話でご相談ください。最後に、発送まで3〜7営業日ほどかかることを見込んで、実印なら市区町村で登録する日まで予定を立てておきます。

店舗で手に取って選ぶ

伏見桃山駅から徒歩5分

印材、直径の見本、書体の印影をその場でご覧いただけます。平日 9:30〜18:00。第1・第3・第5日曜と祝日は 12:00〜17:00。土曜と第2・第4日曜は定休日です。

地図とアクセスを見る 来店の前に問い合わせる
遠方の方は通販で

同じ職人の印鑑を、ご自宅へ

彫る前の印影確認、お電話でのご相談に対応。牛革ケース、朱肉、押印マット、保証書、京印章証明書付き。送料無料、5年保証。

実印・銀行印・認印の3本セット21,700円〜

SOURCES

出典

印鑑登録の即日交付の条件は京都市の案内、彫刻の工程と「手彫り」の表示についての注意は公益社団法人全日本印章業協会の資料、京印章の歴史と認定は京都府の案内を参照しました。印鑑登録の条件は市区町村によって細部が異なります。価格は当店の税込価格で、記事作成時点のものです。

  1. 京都市. 印鑑登録. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000147302.html,(参照 2026-09-24).
  2. 公益社団法人全日本印章業協会. 消費者の皆さまへ(「手彫り仕上げ」の表示について). https://www.inshou.or.jp/inshou/common/pdf/2024teborishiage.pdf,(参照 2026-09-24).
  3. 公益社団法人全日本印章業協会. 彫刻作業工程の定義. https://www.inshou.or.jp/inshou/common/pdf/2024sagyoukouteihyou.pdf,(参照 2026-09-24).
  4. 京都府. 京印章[京都府の伝統的工芸品等]. 京都府ウェブサイト. https://www.pref.kyoto.jp/senshoku/1272266181763.html,(参照 2026-09-24).