CHAPTER 03 会社の印鑑
代表取締役印と代表者印の違い|内枠の文字の意味と選び方
「代表取締役印」は会社実印の内側の円に彫る役職名で、株式会社の代表者が使う印鑑であることを示します。「代表者印」には2つの意味があり、法務局に届け出た会社実印そのものを指す呼び名のほか、役職名を入れない内枠の文字としても使われます。つまり「代表取締役印」と彫った会社実印も、呼び名としては代表者印です。この記事では、2つの言葉の関係、法人の種類ごとに内枠へ入れる文字、「印」と「之印」の違い、代表者の名前を彫らない理由、内枠に「代表者印」を選ぶ場合、注文画面での指定方法まで説明します。
公開日: 2026年9月24日
会社実印の注文画面を開くと、内枠の欄に「代表取締役印」「取締役印」「代表者印」「理事長印」と並んでいます。法務局の案内には「会社・法人代表者の印鑑」と書いてあり、税理士さんからは「代表者印を用意してください」と言われます。それなら「代表者印」を選べばいいのか、「代表取締役印」にするべきなのか。はじめて会社の印鑑を作る方が、よく迷うところです。この記事では、2つの言葉がそれぞれ何を指すかを整理し、内枠に入れる文字を法人の種類ごとに説明します。
「代表取締役印」は印鑑の内側に彫る役職名、「代表者印」は法務局に届け出た会社実印の呼び名です。株式会社なら、内枠に「代表取締役印」と彫った印鑑を法務局に届け出て、それが会社の「代表者印」になります。内枠の「代表者印」は、個人事業主や任意団体のように役職名がない場合のほか、肩書きを印面に出したくないときにも使います。株式会社の会社実印は「代表取締役印」でお作りください。
「代表者印」は呼び名、「代表取締役印」は彫る文字
2つの言葉が紛らわしいのは、「代表者印」に2つの意味があるからです。1つは、法務局に届け出た会社実印そのものを指す呼び名です。もう1つは、印鑑の内側の円に彫る文字です。
代表者印=法務局に届け出た会社実印
「会社の代表者が法務局に届け出た印鑑」という意味です。会社実印、法人実印、丸印と同じものを指します。法務局の案内でも「会社・法人代表者の印鑑」と呼びます。内側に何と彫ってあるかは関係ありません。
使われ方「設立登記には代表者印が要ります」「代表者印の印鑑証明書を添付してください」
代表者印=役職名を入れない内枠の文字
印鑑の内側の円に入れる文字です。注文画面では「代表取締役印」「理事長印」と並ぶ選択肢の1つで、役職名の代わりに「代表者」とだけ示します。役職名のない個人事業や任意団体で使います。
使われ方「内枠は代表者印にしてください」「屋号の丸印の内側は代表者印で」
「代表取締役印」は、意味②と同じく内枠に彫る文字です。株式会社の代表者の役職名「代表取締役」に「印」を付けたものです。この文字を彫った印鑑を法務局に届け出れば、意味①の「代表者印」になります。つまり、「代表取締役印と彫った代表者印」が、株式会社の会社実印のふつうの姿です。
税理士さんや司法書士さんが「代表者印」と言うときは、たいてい意味①です。法務局に届け出た会社実印を持ってきてほしい、と言っているだけで、内側の文字までは指定していません。一方、印鑑店の注文画面で「代表者印」を選ぶのは意味②で、内側の円に「代表者印」の4文字を彫ることになります。この2つを混同すると、株式会社なのに内枠が「代表者印」の会社実印ができあがります。使えないわけではありません。ただ、契約書の記名「代表取締役 〇〇」と印影の文字がそろわないので、株式会社は「代表取締役印」をお選びください。
内側の円に彫る文字は、法人の種類で決まる
内枠の文字は、その法人の代表者の役職名に「印」か「之印」を付けたものが基本です。役職名は法律で定められているので、法人の種類を見れば、内枠に入れる文字が分かります。
会社法で株式会社を代表するのは代表取締役です。注文画面の内枠で「代表取締役印」をお選びください。取締役が1人の会社でも、その人が代表取締役として登記されるので同じです。
合同会社の代表者は「代表社員」です。内枠で「その他」を選び、備考欄に「代表社員之印」とお書きください。詳しくは合同会社の印鑑で説明しています。
代表者は「代表理事」です。「その他」を選んで備考欄にお書きください。
理事長が法人を代表する場合に使います。内枠で「理事長印」をお選びください。
役職名のない事業や団体で使います。屋号や団体名を外側の円に入れ、内側を「代表者印」にします。ふつうは法務局に届け出ません。
内側の文字に法律上の決まりはありません。「代表取締役印」ではなく「取締役印」や「社印」と彫った印鑑でも、法務局は届け出を受け付けます。印鑑そのものについて、商業登記規則が定めているのは2つです。大きさと、照合に適していること(押した印影をはっきり見比べられること)です。大きさは、1辺1cmの正方形に収まらず、1辺3cmの正方形に収まるものです。それでも役職名を入れるのは、契約書の記名と印影の文字をそろえるためです。そろっていれば、「この会社の代表者が押した」と一目で分かります。
「代表取締役印」と「代表取締役之印」の違い
内枠の文字には、「印」で終わるものと「之印」で終わるものがあります。「代表取締役印」と「代表取締役之印」は同じ役職を表し、どちらでも届け出られます。違うのは文字数と、印面での収まりです。
「之」は「〜の」という意味の字で、「代表取締役之印」は「代表取締役の印」と読みます。文字数が奇数のときは、「之」を足すと2列の長さがそろいます。「代表社員之印」「代表理事之印」に「之」が入っているのも同じ理由です。「代表社員印」の5文字より、6文字のほうが3字ずつ2列に組めます。「代表取締役印」は「之」を入れなくても6文字で2列にそろうので、当店ではこちらを基本にしています。
代表者の名前は彫らない|交代しても同じ印鑑を使える
内枠に入れるのは役職名であって、代表者の個人名ではありません。代表者が「代表取締役 山田太郎」の会社でも、印鑑には「代表取締役印」とだけ彫ります。ここが、氏名を彫る個人の実印と大きく違うところです。
- 代表者が交代しても同じ印鑑を使えます会社のものなので、新しい代表者が届け出直せば、そのまま引き継げます
- 契約書の記名とそろいます「株式会社〇〇 代表取締役 山田太郎」と書いた横に、「代表取締役印」の印影が並びます。だれが見ても代表者が押したと分かります
- 印鑑証明書と一致します会社の印鑑証明書に載るのは印影と会社名、代表者の資格と氏名です。印面に氏名がなくても証明に支障はありません
- 代表者が代わるたびに作り直しになります前任者の名前が入った印鑑を、新しい代表者が届け出るのは不自然です。新しい代表者の名前で作り直すことになります
- 会社の印鑑か、代表者個人のものか分かりにくくなります取引先から「会社の印鑑ですか、個人の印鑑ですか」と確かめられることがあります
代表者が交代したときは、新しい代表者が「印鑑届書」で同じ印鑑を届け出直します。印鑑カードも前任者から引き継げます。手続きの流れは代表者変更時の法人印で説明しています。
内枠に「代表者印」を選ぶのはどんなとき?
「代表者印」の4文字を内側に彫るのは、役職名のない事業や団体か、肩書きを印面に出さないほうが自然な場合です。次のような例があります。
株式会社・有限会社
- 取締役会のある会社も、取締役が1人の会社も同じです
- 「代表取締役社長」「代表取締役会長」の会社も、印鑑は「代表取締役印」で構いません
- 合同会社は「代表社員之印」、一般社団法人は「代表理事之印」と、それぞれの役職名に置き換えます
理由登記簿に載る役職名と印影の文字がそろい、契約の相手に説明が要りません
役職名のない事業・団体
- 個人事業主が屋号で作る丸印(外側に「達磨屋印房」、内側に「代表者印」)
- PTA、同窓会、町内会、サークルなどの任意団体
- 合資会社・合名会社で、社員の肩書きを印面に出したくない場合
- 複数の役職を1人が兼ねていて、役職名を1つに絞りたくない場合
理由登記上の役職名がないか、あっても印面に出すと不自然なためです
個人事業主の場合、屋号の丸印は、市区町村に登録する実印にはできません。印鑑証明書を求められる契約には、個人の実印を押します。それでも「代表者印」の丸印を作っておけば、見積書や申込書に事業の名前で押せます。個人事業主の印鑑のそろえ方は個人事業主の印鑑は何が必要?にまとめています。
銀行印は「銀行之印」、認印は実印と同じ役職名
ここまでは会社実印の話でした。会社の丸印にはほかに銀行印と認印があり、内枠の文字はそれぞれ違います。
銀行印を「代表取締役印」で作ることもできます。ただ、実印とそっくりの印影になるので、当店では「銀行之印」を基本にしています。セットでご注文いただくときも、内枠は1本ずつ選べます。実印は役職名、銀行印は「銀行之印」と分けておけば、印影で見分けられます。
注文画面で内枠の文字を指定する方法
彫刻内容の入力|会社実印
登記する商号を「株式会社」を含めてそのまま入力します
株式会社は「代表取締役印」、個人事業主や任意団体は「代表者印」を選びます。「代表取締役之印」「代表社員之印」「代表理事之印」は「その他」を選び、備考欄に書きます
選択肢にない文字は、ここにお書きください。職人が文字数に合わせて内側の円の列を組みます
内枠の文字が変わると、内側の円の列の組み方も変わります。「印影のご確認」をお選びいただくと、彫る前に印影のデザインをメールでお送りします。内側の文字と社名の釣り合いを確かめてから、彫刻に進めます。
よくある質問
契約書には「代表取締役社長」と書いています。印鑑も「代表取締役社長印」にするべきですか
「代表取締役印」で構いません。「社長」は社内の肩書きで、登記簿に載る役職は「代表取締役」です。印鑑は登記上の役職名に合わせるのが自然で、「代表取締役社長印」の8文字にすると内側の円が窮屈になります。ご希望があれば「その他」からお作りしますが、おすすめはしていません。
取締役が私1人の会社です。「取締役印」にするべきですか
「代表取締役印」をおすすめします。取締役が1人の株式会社では、その人が会社を代表し、登記簿にも代表取締役として氏名と住所が載ります。「取締役印」でも届け出はできますが、契約書の記名を「代表取締役」と書くなら、印鑑もそろえておくほうが自然です。
「代表者印」と彫った印鑑を株式会社の実印として届け出てしまいました。作り直しが必要ですか
届け出は有効なので、そのまま使えます。法務局は内側の文字を審査しません。ただ、契約の相手から「代表取締役の印鑑ですか」と聞かれることがあります。気になるようでしたら、「代表取締役印」で新しく作り、改印届を出せば切り替えられます。手続きは法人印鑑の変更方法で説明しています。
「印」と「之印」は、どちらが正式ですか
どちらが正式ということはなく、どちらでも法務局に届け出られます。役職名と「印」のあいだに「之」を入れるかどうかは、文字数の釣り合いと好みで決めます。同じ会社で実印を「代表取締役印」、認印を「代表取締役之印」にして、印影で見分けるという使い方もあります。
まとめ|内枠の文字を決める順番
まず、登記する代表者の役職名を確かめます。株式会社なら「代表取締役」、合同会社なら「代表社員」、一般社団法人なら「代表理事」です。次に、その役職名に「印」か「之印」を付けて、会社実印の内枠の文字を決めます。株式会社なら「代表取締役印」、役職のない個人事業や団体なら「代表者印」です。注文画面の選択肢にない文字は、「その他」を選んで備考欄に書きます。
続いて、銀行印と認印の内枠を決めます。銀行印は「銀行之印」にして、実印と印影を変えておきます。認印は実印と同じ役職名にするなら、実印より小さく作ると見分けられます。最後に、文字の収まりが気になるなら「印影のご確認」を選んでください。彫る前にデザインを確かめられます。
内枠の文字を指定して、会社印鑑をそろえる
実印は「代表取締役印」、銀行印は「銀行之印」、角印は社名。3本の内枠をあらかじめ分けてお作りします。レザーケース、朱肉、押印マット、保証書、京印章証明書付き。送料無料、5年保証。
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