CHAPTER 15 人生の節目・記念
初任給で自分に一生ものを買うなら|長く使う道具の選び方と印鑑
初任給で、自分へのご褒美に一生ものを買いたい方へ。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、大学卒の初任給は月262,300円でした。手取りをご両親への贈り物、自分への一生もの、貯金と生活費の3つに分けると、使い道が決めやすくなります。一生ものと呼べる品の3つの条件、腕時計・万年筆・革財布・印鑑を1年あたりの費用で比べた結果、社会人1年目に自分の印鑑を作るときの本数と素材の選び方まで説明します。
公開日: 2026年9月27日
4月に働き始めて、初めての給料が振り込まれる日。ご両親に何か贈りたい、自分へのご褒美に形に残るものも買いたい。当店にも、5月から6月にかけて「初任給で自分の印鑑を作りたい」というご注文が届きます。ただ、初任給は思ったより手元に残りません。限られた金額だからこそ、数年で買い替える品ではなく、20年後も使っている品を選びたい。この記事は、そう考えている方に向けて書いています。初任給の使い道の分け方と、一生ものと呼べる品の条件から始めて、腕時計・万年筆・革財布・印鑑を1年あたりの費用で比べます。そのうえで、印鑑を作るときの本数と素材の選び方を説明します。
初任給で自分に買う一生ものは、素材が年月に耐え、壊れても直せて、暮らしが変わっても使う理由が残る品を選んでください。価格を使える年数で割ると、1年あたりの費用は革の財布や靴で7,000〜8,000円、機械式の腕時計で6,000円台です。万年筆と印鑑は1,000円前後に収まります。なかでも印鑑は、入社の手続きで押す場面が増える社会人1年目に、自分の名前で作る最初の品として選ばれています。既製品しか持っていないなら、黒水牛の3本セット30,200円で実印・銀行印・認印を一度に揃えるのがおすすめです。予算を抑えるなら、職場で使う認印1本(黒水牛13.5mm、9,500円)から始める方法もあります。
初任給の相場と、手元に残る金額
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、新規学卒者の初任給は学歴によって次のとおりでした。手取りは、ここから税金と社会保険料を引いた金額です。一人暮らしなら家賃や光熱費、通勤の費用も出ていくため、自由に使えるお金は数万円ほど、という方が多いのではないでしょうか。
令和7年、男女計
- 高専・短大卒235,500円
- 専門学校卒230,700円
- 高校卒207,300円
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(新規学卒者)」。所定内給与額で、税金や社会保険料を引く前の金額です。
使い道は、3つに分けると決めやすくなります
初任給の使い道で迷うのは、ご両親への贈り物、自分の買い物、貯金の3つを、同じお金の中で比べてしまうからです。先に3つの枠と金額を決めておけば、あとはそれぞれの枠の中で選ぶだけです。手取り210,000円の方を例に分けてみます。
食事や旅行、実用品など。値の張る贈り物は、かえってご両親に気を遣わせることがあります。
手取りの1〜2割が目安です。この枠で買えて、20年後も使い続けられる品を、この先で探していきます。
家賃や光熱費、通勤の費用、食費など。翌月の給料日まで足りるかを先に確かめてから、ほかの2つの枠を使います。
自分への枠を20,000〜40,000円と決めると、候補はかなり絞られます。安い品をいくつも買うより、この枠を1つの品に使うほうが、初任給で買ったという記憶ごと手元に残ります。
「一生もの」と呼べる品の、3つの条件
01
素材が年月に耐える
素材には、年月で味が出るものと、劣化して崩れるものがあります。無垢の金属、天然の角や牙、密度の高い木、よくなめした革は前者です。合成皮革やメッキは数年で表面が剥がれやすく、剥がれると直しようがありません。「20年使い込んだ姿が想像できるか」で見分けます。
無垢の金属天然の角・牙本革密度の高い木
02
壊れても直せる
長く使えば、どこかは傷みます。腕時計の部品交換、万年筆のペン先の調整、革製品の縫い直し、印鑑の彫り直しのように、直す方法があるかどうかが分かれ目です。修理を頼める先がある品は一生ものになり、ない品は消耗品になります。買う前に、お店に修理の窓口があるか、保証の期間と内容はどうかを確かめておきます。
修理の窓口がある保証書が付く部品が手に入る職人が直せる
03
暮らしが変わっても、使う理由が残る
新入社員の年に気に入ったデザインを、40代でも身に着けるかは分かりません。転職や在宅勤務で出番がなくなる品もあります。流行や好みに左右されにくい形で、何年たっても使う場面がある品を選びます。名前が入った品なら、持ち主が変わらない限り使い続けられます。
流行に乗らない形使う場面が続く名前が入る転職しても使う
初任給で買える候補を、1年あたりの費用で比べる
一生ものとして名前の挙がる定番の品を、価格と使える年数から「1年あたりの費用」に直して並べました。腕時計は自分への枠を超えますが、比べる目安として加えています。同じ30,000円でも、4年で買い替える品と30年使う品では、1年あたりの費用が7倍以上違います。
革靴40,000円を5年使う
40,000円革の財布30,000円を4年使う
30,000円機械式の腕時計100,000円を15年使う。分解掃除の費用は別
100,000円万年筆30,000円を30年使う
30,000円印鑑3本セット 黒水牛30,200円を30年使う
30,200円実印 チタン 15mm31,800円を50年使う
31,800円年数は一般的な目安です。革の財布や靴は毎日手や足に触れるぶん、どれほど丁寧に使っても傷みます。傷むのは悪いことではありませんが、「初任給で買った品を一生使う」のが目的なら、候補に残るのは万年筆と印鑑です。腕時計と印鑑の比べ方は印鑑と時計のプレゼントを比較|価格・維持費・残る年数で選ぶで詳しく説明しています。
初任給で自分の印鑑を作る人が多い理由
当店で初任給の印鑑をご注文いただく方に理由を伺うと、大きく3つに分かれます。
雇用契約書や誓約書に、文具店の既製品を押した。同じ姓の同僚と、印影がまったく同じだった。銀行の窓口でご両親が作ってくれた印鑑を出しながら、自分で選んだ1本がないことに気づいた。社会人1年目の春は、印鑑を押す場面が急に増える時期です。京都市の印鑑登録でも、同じ形で量産されたものは登録できず、既製品は断られることがあります。
職人が名前に合わせて印影を設計し、1本ずつ彫ります。同じ印影は2つとありません。名入れできる品は数多くありますが、名前そのものが主役になる品は、印鑑のほかにあまりありません。初めて稼いだお金で自分の名前の印鑑を作ることが、社会に出た節目の記念になります。
部屋の契約、車の購入、住宅ローン、結婚後の口座の整理など、大きな手続きはこれから続きます。国土交通省によると、普通自動車を新しく登録するときは実印と印鑑証明書が必要です。社会人1年目に作った実印は、その先何十年も使い続けられます。
節目に自分の印鑑を作る考え方は自分へのご褒美に印鑑を作る|節目に選ぶ素材・書体・本数の決め方で、二十歳で作る場合は二十歳の記念に自分の印鑑を作る|初めての1本は実印か銀行印かで説明しています。
社会人1年目に、印鑑を使う場面
「会社では印鑑を使わない」という方も、私生活では1年目のうちに何度か押す機会があります。初任給を受け取ってから作っても、次のような場面で使えます。
入社の手続きで押す書類は新社会人に必要な印鑑は?入社手続きと給与口座の準備に、認印とシャチハタの違いは認印とシャチハタの違いにまとめています。
1本で始めるか、3本揃えるか
自分への枠が20,000〜40,000円なら、1本でも3本でも収まります。どちらにするかは、いま持っている印鑑と、この先1〜2年で使う場面から決めます。
ご両親が作ってくれた銀行印がある方に向いています。認印なら自分への枠の3分の1ほどで、ほかの人と重ならない印影を職場で使えます。車や部屋の契約が近い方は、実印から作るとよいでしょう。
- 認印 黒水牛 13.5mm
- 9,500円
- 実印 黒水牛 15mm
- 15,300円
給与口座と職場の書類を、自分の名前の印鑑で揃える組み合わせです。実印はあとから同じ素材で足せます。
- 薩摩本柘 13.5mm・12mm
- 13,900円
- 黒水牛 13.5mm・12mm
- 15,600円
既製品しか持っていない方に向いています。3本が同じ素材で一度に揃います。1本ずつ買うより安く、箱は桐箱を無料で選べます。
- 薩摩本柘 15mm・13.5mm・12mm
- 25,200円
- 黒水牛 15mm・13.5mm・12mm
- 30,200円
- チタン 15mm・13.5mm・12mm
- 68,400円
黒水牛で実印15mm・銀行印13.5mm・認印12mmを1本ずつ買うと31,800円、3本セットなら30,200円です。本数の考え方は就職祝いの印鑑セットは何本必要?認印・銀行印・実印の役割で詳しく比べています。
一生ものだからこそ、素材で選びます
初任給で作る印鑑は、贈られる品と違って素材を自分で選べます。自分への枠で買える素材を3つ、見た目の華やかさ・欠けにくさ・手入れの少なさで比べました。
水牛の角を磨いた、艶のある黒い印材です。欠けにくく、朱肉のなじみがよく、価格とのつり合いがとれています。乾燥でひびが入ることがあるため、使ったあとは朱肉を拭いてケースにしまってください。
認印13.5mm 9,500円 / 実印15mm 15,300円 / 3本セット 30,200円- 見た目の華やかさ
- 欠けにくさ
- 手入れの少なさ
金属なので欠けやすり減りに強く、汚れたら水で洗えます。手入れに気を遣いたくない方や、動物由来の素材を避けたい方に向いています。重みがあるぶん、押すときに手元が安定します。
認印13.5mm 23,700円 / 実印15mm 31,800円 / 3本セット 68,400円- 見た目の華やかさ
- 欠けにくさ
- 手入れの少なさ
乳白色の地に、飴色や茶色の筋が入った角の印材です。同じ模様は2つとないので、「自分だけの1本」にこだわる方に向いています。実印を1本だけ、この素材で作る方法もあります。
認印13.5mm 14,300円 / 実印15mm 20,400円 / 3本セット 44,200円- 見た目の華やかさ
- 欠けにくさ
- 手入れの少なさ
書体は、職場で使う認印だけ読みやすい古印体か楷書体にするのが一般的です。銀行印と実印は、まねされにくい吉相体か篆書体で作る方が大半です。ケースは黒と赤の牛革が無料で、ほかの色は950円からの追加料金で選べます。3本のケースの色を分けておくと、どれが実印かをひと目で見分けられます。
初任給でご両親に何か贈りたいという方から、「実家の実印が古く、枠が欠けている」というご相談をいただくことがあります。ご両親の印鑑を新しく作る贈り物も、自分の分と一緒にご注文いただけます。買い替えの目安になる傷み方は印鑑の買い替え時期の目安|枠の欠け・すり減り・ひびの見分け方で説明しています。
よくある質問
初任給の何割まで、自分のために使ってよいですか
決まりはありません。目安としては、手取りの1〜2割にあたる20,000〜40,000円ほどです。翌月の家賃と生活費を先に確保したうえで、残りから決めてください。一生ものは急いで買う品ではありません。初任給で足りなければ、夏のボーナスまで待つという考え方もあります。
実印はまだ使う予定がありません。それでも作る意味はありますか
実印は、市区町村に登録して初めて実印になります。作ったあと、すぐに届け出なくても構いません。車の購入や部屋の契約で必要になったときに、住民登録のある市区町村の窓口へ持っていけば使えるようになります。京都市の場合、顔写真付きの本人確認書類を持って本人が行けば、その日のうちに手続きが済みます。3本セットで揃えておけば、いざというときに慌てて既製品を登録せずに済みます。予算を抑えるなら、いま使う認印か銀行印から始めて、実印はあとから同じ素材で足しても問題ありません。
会社では印鑑を使いません。買う意味はありますか
実印と銀行印は、もともと会社ではなく私生活で使う印鑑です。部屋の契約や車の購入、住宅ローン、口座振替の申し込みなどでは、今も印鑑を求められることがあります。職場で使う場面が少ないなら、実印と銀行印を優先して選び、認印は小さめの直径で費用を抑える方法もあります。
名前を鑑定して作る開運印鑑は、初任給に向いていますか
社会に出た節目の品として選ぶ方もいらっしゃいます。お名前の画数を鑑定し、ご希望の運気に合わせて印影を設計する印鑑で、鑑定書と桐箱が付きます。効果をお約束する品ではありませんが、「ここから自分の名前で働く」という気持ちを形にして残せます。開運実印は、薩摩本柘の15mmで20,900円です。
結婚で姓が変わるかもしれません。今作っても無駄になりませんか
実印と銀行印は、下のお名前だけで彫っておけば、結婚で姓が変わっても使い続けられます。認印は姓で彫るのが一般的なので、作り直すのはこの1本だけで済みます。姓が変わる可能性のある方は、3本セットのうち実印と銀行印を下のお名前で作る方が多くいらっしゃいます。
まとめ|初任給で自分に一生ものを買うときの決め方
まず、初任給から翌月の家賃と生活費を取り分け、残りをご両親への贈り物と自分への一生ものに分けます。自分への枠は、手取りの1〜2割にあたる20,000〜40,000円が目安です。次に、その枠で買える品を3つの条件で絞ります。素材が年月に耐えるか、修理を頼める先があるか、暮らしが変わっても使う場面が残るかです。
印鑑にするなら、いま何を持っているかを確かめてから本数を決めます。既製品しかなければ3本セット、ご両親が作ってくれた銀行印があれば認印か実印の1本が目安です。最後に、黒水牛・チタン・白水牛(柄)から、見た目と手入れの好みで素材を選んでください。
素材の写真を見ながら、20年後も使っている1本をお選びください
京都の職人が、お名前に合わせて印影を設計し、1本ずつ彫刻します。牛革ケース、朱肉、押印マット、保証書、京印章証明書付き。送料無料、5年保証。彫る前の印影の確認にも対応しています。