CHAPTER 15 人生の節目・記念
就職祝いの印鑑セットは何本必要?認印・銀行印・実印の役割
就職祝いに印鑑セットを贈る方へ、認印・銀行印・実印の届け出先の違い、1本で兼ねたときに起きること、本数ごとに対応できる手続き、3本セットと2本セットの選び分けを表で整理して解説します。
公開日: 2026年9月24日
就職祝いに印鑑を選ぶと、1本にするか、2本セットか、3本セットかで迷います。本数は予算だけで決めるものではありません。認印・銀行印・実印は、それぞれどこへ届け出るかが違い、その違いがそのまま「何本必要か」につながります。ここでは3本の役割を確かめたうえで、本数ごとに何ができるか、どの組み合わせを選ぶかを整理します。
本人名義の印鑑を持っていない新社会人には、実印・銀行印・認印の3本セットが答えです。3本は届け出先が異なり、1本で兼ねると紛失したときに複数の窓口で手続きが必要になります。すでに持っている印鑑がある場合に限り、足りない種類に合わせて2本セットや1本を選んでください。
3本の違いは、どこへ届け出るかで決まる
認印・銀行印・実印は、印材や彫り方で分かれているわけではありません。同じ1本でも、市区町村へ登録すれば実印になり、金融機関へ届け出れば銀行印になります。どこへも届け出ずに使うものが認印です。
認印
- 届け出先
- どこにも届け出ない
- 就職後の場面
- 入社承諾書、雇用契約書、社内の届出
- なくしたとき
- 新しく作り直せば済む
銀行印
- 届け出先
- 口座のある金融機関
- 就職後の場面
- 給与口座の開設、窓口での払い戻し
- なくしたとき
- 窓口で改印の届け出をする
実印
- 届け出先
- 住民登録のある市区町村
- 就職後の場面
- 賃貸契約、自動車の登録、ローン
- なくしたとき
- 登録の廃止と登録し直しが必要
3つを並べると、使う頻度と手続きの重さが逆になっているのが分かります。いちばんよく使う認印は、なくしても作り直せば済みます。反対に、ほとんど使わない実印は、なくすと役所へ出向いて登録をやり直すことになります。
1本で兼ねると、なくしたときの手続きが連鎖する
「とりあえず1本あれば足りるのでは」と考える方は少なくありません。実際に1本を認印としても銀行印としても実印としても使うことはできます。ただ、その1本を紛失したときに何が起きるかを考えると、分けて持つ理由がはっきりします。
認印として毎日持ち歩いているぶん、紛失する可能性がいちばん高い状態です
- 市区町村へ行く印鑑登録の廃止を届け出て、新しい印鑑で登録し直します
- 金融機関へ行く口座のある窓口で改印の届け出をします。口座が複数あればその数だけ必要です
- 印鑑を作り直す登録し直す印鑑ができるまで、実印が必要な手続きは進められません
もうひとつ気をつけたいのが、印影が出回ることです。実印を認印として持ち歩くと、宅配便の受け取りや社内の書類で押す機会が増えます。押した回数だけ印影が人の目に触れ、印鑑登録証明書と組み合わされると、契約の場面で本人の意思として扱われます。
本数ごとに、対応できる手続きが変わる
| 本数 | 対応できる手続き | 足りなくなる場面 | 向いている相手 |
|---|---|---|---|
| 3本セット | 会社の書類、口座の届け出、印鑑登録のすべて | とくにない | 本人名義の印鑑を持っていない新社会人 |
| 2本セット | 足りない2種類分の手続き | 残る1種類が必要になったとき買い足す | 認印だけ、または銀行印だけ持っている方 |
| 1本 | その1種類の手続きのみ | 他の2種類は別に用意する必要がある | 不足している種類が1つに決まっている方 |
2本セットは、どの2本かで意味が変わる
2本セットには組み合わせが3通りあります。本人がすでに持っている印鑑によって、選ぶ組み合わせが決まります。
| 組み合わせ | 本人が持っているもの | 考え方 |
|---|---|---|
| 実印・銀行印 | 本人専用の認印 | 登録が必要な2本をまとめて用意する。最も多い組み合わせ |
| 実印・認印 | 親が作った銀行印 | 口座の届出印が重ならないようにする |
| 銀行印・認印 | 実印 | 成人祝いで実印を受け取っている場合に |
学生時代の認印が文房具店の既製品なら、同じ姓の人と印影が重なります。「認印は持っているから2本でいい」と決める前に、どんな認印を使っているかを聞いてみてください。既製品なら、認印も含めた3本セットで作り替える意味があります。
3本セットは、直径の差で用途を見分ける
3本セットは、同じ素材で直径だけを変えた組み合わせから選びます。実印を大きく、銀行印を中間、認印を小さくしておけば、ケースを開けなくても手に取った太さで見分けられます。
| 組み合わせ | 実印 | 銀行印 | 認印 | 向いている方 |
|---|---|---|---|---|
| 小さめ | 13.5mm | 12mm | 10.5mm | 手が小さい方、名のみを彫る方 |
| 標準 | 15mm | 13.5mm | 12mm | 希望がとくにない方。最も選ばれる |
| やや大きめ | 16.5mm | 15mm | 12mm | フルネームの文字数が多い方 |
| 大きめ | 18mm | 16.5mm | 13.5mm | 手が大きい方、姓名が長い方 |
| 種類 | 選ばれやすい名前 | 向く書体 | 改姓の可能性がある場合 |
|---|---|---|---|
| 実印 | フルネーム | 吉相体・篆書体 | 名のみにすれば姓が変わっても使える |
| 銀行印 | 姓のみ、または名のみ | 吉相体・篆書体 | 名のみが使い続けやすい |
| 認印 | 姓のみ | 古印体・楷書体 | 作り直しても費用は小さい |
3本を別々に買い足すと、素材も色もばらつき、どれがどの用途か分からなくなります。費用の面でも1セットのほうが抑えられますので、これから揃える方にはまとめて用意するほうが結果的に無駄がありません。セットの選び方は印鑑3本セットの選び方で書体やケースまで含めて説明しています。
贈る前に本人へ確かめること
本数を決める前に確かめる3つのこと
- 本人名義の印鑑を持っているか 既製品の認印しかないなら3本セット。本人専用の認印があるなら実印・銀行印の2本セットになります。
- 給与口座をどこで開くか 窓口で開くなら銀行印が要ります。アプリで完結する口座でも、将来窓口を使う場面はありますので3本揃えて損はありません。
- 彫る名前と正しい字体 「辺」と「邊」「邉」のような違いは本人に見てもらわないと分かりません。彫り上がってからは直せません。
相場と、本数ごとの価格帯
| 本数 | 価格帯の目安 | 向いている贈り主 |
|---|---|---|
| 3本セット | 3万円前後〜 | 親、祖父母。就職祝いの相場1万〜5万円に収まる |
| 2本セット | 2万円前後〜 | おじ・おば、親族 |
| 認印1本 | 1万円前後 | 友人、同僚。仕事で毎日使う |
素材によって価格は変わります。黒水牛が定番で、手入れの要らないチタン、明るい白水牛が就職祝いに選ばれています。友人から贈るなら、実印より日常で使う認印のほうが受け取りやすいものです。
渡すときに伝えておきたいこと
受け取った方が迷わないように伝える3つのこと
- どれがどの用途か 3本のうち一番大きいのが実印、次が銀行印、小さいのが認印。ケースの色を分けておくと見分けやすくなります。
- 実印は登録して初めて実印になること 市区町村の窓口へ持っていって手続きが必要です。賃貸や自動車の予定が見えたら早めに登録するよう伝えてください。
- 仕事で持ち歩くのは認印だけにすること 実印と銀行印は自宅に置き、印鑑登録証とも別の場所に保管するよう伝えてください。
よくある質問
銀行印は1本を複数の口座に使ってよいですか
複数の金融機関に同じ印鑑を届け出ることはできます。ただしなくすと届け出たすべての口座で改印が必要になりますので、生活用と貯蓄用を分ける方は2本にする方法もあります。実印との兼用だけは避けてください。
認印はシャチハタで足りませんか
宅配便の受け取りなら問題ありませんが、入社承諾書や雇用契約書のような正式な書類では朱肉を使う印鑑を求められることが多いものです。ゴム印は押すたびに印影が変わるため、銀行印や実印には使えません。
実印は就職の時点で本当に必要ですか
入社手続きで求められることはほとんどありません。ただ一人暮らしの賃貸契約や自動車の購入で必要になり、登録には日数がかかります。予定が見えてから作ると間に合わないことがあるため、先に手元にあること自体が助けになります。
まとめ|届け出先が3つに分かれるから、3本に分けて持つ
認印・銀行印・実印は、市区町村、金融機関、そしてどこへも届け出ないという形で、届け出先がそれぞれ違います。1本で兼ねることもできますが、なくしたときに役所と金融機関の両方で手続きが必要になり、印影が人目に触れる機会も増えます。就職祝いで印鑑を贈るなら、役割ごとに分けられる3本セットが基本の形です。
本人がすでに使っている印鑑がある場合は、足りない種類に合わせて2本セットや1本を選びます。注文の前に、どの種類を持っているか、給与口座をどこで開くか、彫る名前と字体を本人へ確かめておけば、重複なく揃えられます。
足りない種類が決まっている方へ単品でお選びいただけます