CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
定年後の開業祝いに贈るもの|第二の仕事で使う道具と印鑑の選び方
定年退職のあとに店や事務所を開く方へのお祝い選びに。個人事業・会社・元の勤め先との業務委託という始め方ごとに要る印鑑、退職祝いと開業祝いを1つにまとめる組み合わせ、名刺入れや万年筆との比較、屋号の印鑑を贈る前に確かめること、贈る人ごとの予算と渡す時期を説明します。
公開日: 2026年9月29日
長年勤めた会社を定年で退職し、そこから自分の店や事務所を開く。お父様やご親戚、職場の先輩からそんな知らせを受けて、お祝いに何を贈ればいいか迷っている方もいるでしょう。退職祝いには「これからはゆっくり」という気持ちを込めた品が多く、開業祝いには胡蝶蘭や観葉植物が定番です。どちらかに寄せると、もう片方のお祝いの気持ちが伝わりにくくなります。
定年後の開業祝いは、これからの暮らしで使う品と新しい仕事の道具を1つずつ組み合わせると、退職と開業の両方を祝えます。個人事業として始めるなら、請求書に押す屋号の角印に、銀行や役所の手続きにも使うご本人の印鑑を添えます。会社を作るなら、会社の実印・銀行印・角印の3本セットを開業の道具に、個人の実印を退職の記念にします。屋号の角印(薩摩本柘21mm 17,900円)と個人の3本セット(黒水牛 37,400円)なら、合わせて55,300円です。ご家族で出し合って贈るのに向いた金額です。
定年後に開業する人は、珍しくありません
日本政策金融公庫総合研究所の2025年度の調査では、開業した人のうち60歳以上は6.4%でした。多くはありませんが、開業したときの平均年齢は43.9歳で、調査を始めてから最も高くなりました。50歳代の割合も3年続けて上がっています。開業の動機として「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」を挙げた人は41.1%でした。
2025年度
- 開業時の平均年齢43.9歳
- 50歳代の割合3年連続で上昇
- 経験や資格を生かしたい41.1%
出典:日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」アンケート結果の概要。
雇う側にも、定年後の働き方を支える決まりがあります。高年齢者等の雇用の安定等に関する法律は、65歳までの雇用を確保するよう会社に義務づけています。70歳まで働ける機会をつくる努力も求めていて、その方法の1つが「創業支援等措置」です。定年後に新しく事業を始めた人と、会社が業務委託の契約を結ぶ形です。長く勤めた会社から、今度は取引先として仕事を受ける。そうした開業の形が、法律にも用意されています。
定年後の開業は、始め方で要る道具が変わります
「開業」とひと口に言っても、始め方は大きく3つあります。個人事業として始めるのか、会社を作るのか、元の勤め先から仕事を受けるのかで、使う印鑑が違います。贈る前に、どの形で始めるのかをご本人に聞いておきましょう。
屋号を決めて、開業届を出す
屋号の角印と個人の印鑑事業を始めたら、税務署に開業届を出します。提出は、事業を始めた年の確定申告の期限までです。開業届には、店や事務所の名前を屋号として書けます。請求書や領収書には、その屋号を彫った角印を押します。
確かめること屋号が決まっているか、字はどう書くか
登記をして、会社の印鑑を届け出る
会社の3本セット会社を作るには、法務局で設立の登記をします。書面で申請するときは、会社の実印も届け出ます。口座を開くときに使う銀行印と、見積書や請求書に押す角印とあわせて、3本をそろえるのが一般的です。
確かめること会社の名前と、登記の予定日
業務委託の契約を結ぶ
個人の印鑑と、屋号の角印個人事業主として、元の会社と業務委託の契約を結びます。契約書には個人の印鑑を、毎月の請求書には屋号の角印を押します。報酬を受け取る事業用の口座も用意しておきます。
確かめること契約書に押す印鑑の指定があるか
個人事業主に要る印鑑の種類と作り方は個人事業主の印鑑は何が必要?で、屋号の印鑑を贈るときの選び分けは個人事業主の開業祝いに贈る印鑑で詳しく説明しています。
開業祝いの定番の品と、印鑑を比べました
定年後の開業祝いに選ばれる品を、新しい仕事で使うか、退職後の暮らしで使うかで並べました。使える年数は一般的な目安です。
屋号の角印は店や事務所の名前を彫る品で、開業したその月から請求書や領収書に押せます。個人の印鑑は、新しい仕事の契約書にも、家の売却や相続など退職後の暮らしの手続きにも使えます。
退職祝いと開業祝いを、1つにまとめる
定年後の開業では、長年の勤めをねぎらう気持ちと、新しい門出を応援する気持ちが重なります。退職の記念になる品と開業の道具を1つずつ組み合わせれば、どちらのお祝いも伝わります。
退職の記念に個人の3本セット 黒水牛37,400円(16.5mm・15mm・12mm)
+開業の道具に屋号の角印 薩摩本柘21mm17,900円
合わせて55,300円です。退職後の手続きに使う3本と、請求書に押す角印の組み合わせで、ご家族で贈るのに向いています退職の記念に名入れの万年筆10,000〜30,000円ほど
+開業の道具に事業用の銀行印 黒水牛15mm12,000円
長年の勤めをねぎらう1本に、報酬を受け取る口座の届出印を添えます退職の記念に個人の実印 黒水牛18mm24,000円
+開業の道具に会社の3本セット 薩摩本柘56,900円(実印18mm・銀行印16.5mm・角印21mm)
会社を作る方への組み合わせです。会社の契約には3本セットを、家の売却や相続の手続きには個人の実印を使います退職祝いに印鑑を贈るときの考え方は退職祝いに印鑑を贈るで、退職後も使い続ける品の選び方は父の退職祝いに一生ものを贈るで紹介しています。
屋号や会社名の印鑑を贈る前に、確かめること
屋号や会社名の印鑑は、名前が決まらないと作れません。贈る前に、次のことをご本人やご家族に確かめておきましょう。
注文の前に確かめる5つのこと
- 屋号や会社名が決まっているか まだ決まっていなければ、先に個人の印鑑を贈り、屋号や会社名の印鑑は名前が決まってから注文します。
- 正しい字と読み方が分かるか 「〇〇商店」「〇〇事務所」のように、後ろに付く言葉まで確かめます。英字やカタカナの屋号も彫れます。
- 会社を作るなら、登記の前か後か 登記を書面で申請するときは、会社の実印も一緒に届け出ます。登記の予定日より前に届くよう注文しましょう。
- すでに用意した印鑑がないか 開業の準備で、ご本人が屋号の印鑑を作っていることもあります。重なりそうなら、個人の印鑑か事業用の銀行印に切り替えます。
- 実印と銀行印を1本で兼用していないか 1本で済ませていると、なくしたときに市区町村と銀行の両方で手続きが要ります。事業を始める前に、実印・銀行印・認印の3本に分けておくと安心です。
中身を明かさずに確かめたいときの聞き方は開業祝いに印鑑は迷惑?で紹介しています。
開業祝いを贈る人ごとの選び方と予算
定年後の開業祝いは、ご家族のほか、元の職場の仲間や友人から贈ることもあります。誰から贈るかで、選ぶ品と予算が変わります。
お子様やご家族から
個人の3本セットと、屋号の角印
退職後の手続きにも、新しい仕事にも使える組み合わせです。合わせて55,300円で、ごきょうだい3人なら1人あたり約18,400円です。3本セットには桐箱か化粧箱が付きます。
3本セット+角印元の職場の仲間から
屋号の角印を、みんなで贈る
毎月の書類に押すたびに、送り出してくれた仲間を思い出してもらえるでしょう。薩摩本柘21mmは17,900円、黒水牛21mmは30,000円です。業務委託で元の会社と取引を続ける方なら、元の職場に出す請求書にも押せます。
屋号の角印会社を作る方へ、ご家族から
会社の3本セット
会社の実印・銀行印・角印の3本です。価格は薩摩本柘で56,900円から、黒水牛で94,800円からです。1本ずつそろえるより割安で、セットはレザーケースに入れてお届けします。
会社の3本セット友人から、1人で
事業用の銀行印か認印を1本
家計と仕事の口座を分けるための銀行印は、黒水牛15mmで12,000円です。日々の書類に押す認印なら、黒水牛13.5mmで9,500円です。
銀行印か認印渡す時期は、屋号が決まってから
退職の日と開業の日が離れているなら、2回に分けて贈る方法もあります。退職の日には個人の印鑑を、開業の日には屋号の印鑑を渡します。1回で贈るなら、屋号が決まって開業の準備を始めたころがちょうどいい時期です。開業届や口座の手続きの前に届けば、最初の書類から使ってもらえます。
当店では、ご注文から通常3〜7営業日ほどで発送します。店や事務所へ直接お送りすることもでき、配達希望日はご注文日の9日後から選べます。のし紙の表書きは「祝御開業」とし、退職のお祝いも込めるなら「御祝」にまとめてもかまいません。のし紙をご希望のときは、ご注文の前にお問い合わせください。
よくある質問
個人事業として始めるなら、会社の実印は要りませんか
要りません。個人事業では、契約や口座の手続きにご本人の実印や銀行印を使います。屋号の角印も必ず要るわけではありません。ただ、請求書や領収書に押すと、店や事務所が出した書類だとひと目で分かります。
屋号を彫った銀行印は作れますか
作れます。ただし、屋号の入った名義で口座を開けるか、その印鑑を届出印に使えるかは、金融機関によって違います。注文の前に、口座を開く予定の窓口で確かめてください。
定年後の開業祝いに、胡蝶蘭と印鑑の両方を贈ってもいいですか
かまいません。店を開く方なら、開店の日に胡蝶蘭を届け、印鑑はご家族から直接手渡すという分け方もあります。事務所を自宅に置く方には、置き場所に困る大きな花より、印鑑のように机に収まる品が向いています。
屋号の角印の大きさは、どれを選べばいいですか
彫る字数が9文字までなら21mm、10〜12文字なら24mm、13文字以上なら27mmが目安です。「〇〇設計事務所」のように、屋号の後ろに付く言葉も含めて数えます。字数が半端なときは「之印」を足して整えることもあり、字の並べ方は屋号に合わせて職人が考えます。詳しくは角印のサイズは21・24・27mmのどれ?で説明しています。
まとめ|始め方を聞いてから、品と渡す時期を決める
まず、ご本人が個人事業で始めるのか、会社を作るのか、元の勤め先から仕事を受けるのかを聞きます。始め方が分かれば、屋号の角印にするか、会社の3本セットにするかが決まります。次に、屋号や会社名が決まっているかを確かめ、まだなら個人の印鑑を先に贈ります。そのうえで、誰と贈るかで予算を決め、退職の記念になる品を1つ添えます。最後に、開業届や登記の日に間に合うよう、注文する日を決めてください。
新しい屋号も、本人の名前も。京都の職人が1本ずつ彫ります
屋号や会社名の文字数に合わせて、職人が字の並べ方を考えて彫刻します。ご注文から3〜7営業日で発送、店や事務所への直送にも対応し、送料は全国無料、5年保証付きです。