CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
父の退職祝いに一生ものを贈る|退職後も使い続ける品と印鑑の選び方
長年勤めたお父様の退職祝いに、一生ものを贈りたいご家族の方へ。退職すると出番が減る品と続く品を分けたうえで、腕時計・万年筆・財布・鉄瓶・印鑑を残る年数で比べます。退職後に印鑑を押す場面、欠けても彫り直せる印鑑の選び方、家族で出し合う予算と渡す時期までまとめました。
公開日: 2026年9月29日
お父様が、長年勤めた会社を退職される。ご家族からのお祝いには、ねぎらいの気持ちが伝わって、この先も使い続けてもらえる品を選びたいところです。ところが、ネクタイや名刺入れ、ビジネスバッグといった仕事の定番は、退職すると出番が減ってしまいます。そこで迷う方が多いのが、何なら退職した翌日からも使ってもらえるのか、という一点です。
退職祝いの一生ものは、仕事を離れても毎日の暮らしで使う品から選びます。腕時計、万年筆、印鑑は、退職後も出番が続きます。なかでも印鑑は、退職金の受け取りや口座の整理、住み替え、相続と、大きな手続きのたびに押すものです。欠けても彫り直せますので、一度作れば長く持ちます。ご家族から贈るなら、実印・銀行印・認印の3本セットを、欠けにくく手入れの少ない黒水牛、本象牙、チタンのいずれかで。
退職すると、出番が減る品と続く品に分かれます
40年近く同じ会社に通われたお父様にとって、仕事の道具は手に馴染んだ相棒です。ただ、退職祝いを選ぶときは、退職した翌日から使う品かどうかで見てください。仕事のための道具と、暮らしのための道具に分けてみました。
会社に通うための道具
- ネクタイ冠婚葬祭のほかは締める機会が少なくなります
- 名刺入れ会社の名刺がなくなると、入れるものがなくなります
- ビジネスバッグ書類を持ち歩かなくなると、普段使いの鞄で足ります
- 定期入れ通勤がなくなれば、使い道が限られます
暮らしのための道具
- 腕時計病院の予約、趣味の集まり、出かける日の予定に
- 財布現金もカードも持ち歩く暮らしは変わりません
- 万年筆手紙、日記、趣味の会の記録。書く時間が取れるようになります
- 印鑑口座の整理、住み替え、相続、自治会。大きな手続きで押します
60歳で定年を迎えても、65歳までの雇用を確保することが法律で会社に求められています。再雇用を経て65歳前後で退職される方も多くいらっしゃいます。厚生労働省の令和6年簡易生命表によると、65歳男性の平均余命は19.47年です。退職祝いに贈る品は、その先の20年ほどを共にする品になります。
候補を、残る年数と退職後の使い道で比べる
一生ものと呼べるかどうかは、4つの点で決まります。壊れても直せること、素材が年月に耐えること、好みに左右されにくいこと、そして使う場面が続くことです。退職祝いによく選ばれる5つの品で比べてみます。
出かける日に毎回家にいる日は外す人も
文字盤や大きさの好みが強く出ます。すでに愛用の1本をお持ちの方も多い手紙や日記に書く習慣がある人なら
書く習慣がないと引き出しにしまわれがち。インクの補充が要ります毎日持ち歩く
毎日使うぶん傷みも早く、一生ものというより定期的に替える品家でお茶をいれる時間に重く、手入れが要る
使ったあとに水を切って乾かす手間があります。お茶好きのお父様に口座・住み替え・相続で押す好みで外しにくい
お父様が今お使いの印鑑の状態を、先に確かめておきます腕時計と万年筆は、お父様の好みと習慣に合えば長く使っていただけます。ただ、愛用の時計をお持ちの方や、字を書く習慣のない方には、出番が限られます。その点、印鑑は暮らし方にかかわらず、退職後の手続きで押す場面があります。彫るのはお父様の名前そのものですので、好みが合わずに使われない、ということが起きにくい品です。一生ものの贈り物全般の考え方は一生もののプレゼントの選び方で説明しています。
退職してからの20年で、印鑑を押す場面
「退職したら印鑑を使うことなんてない」と思われがちです。実際には、会社の書類ではなく、ご自身とご家族の手続きで押す場面が続きます。退職の日からの20年を、印鑑と名刺入れで比べてみました。
- 退職口座の整理退職金の受け取り
- 数年のうちに住み替え売買・登記で実印
- 時期は選べません親の相続実印と印鑑証明書
- 70代車を手放すとき名義変更で実印
- その先次の代へ彫り直して渡す
退職の日に会社の名刺がなくなると、役目を終えます。思い出の品として引き出しに残ります
口座、住まい、相続、車と、ご家族に関わる手続きのたびに押します。欠ければ彫り直せますし、その先は次の代の名前に彫り直すこともできます
とくに相続の手続きでは、実印が欠かせません。預金の相続では、遺産分割協議書に相続人全員が署名して押印し、全員の印鑑証明書を付けるのが一般的です。お父様がご自身の親から引き継ぐ側になることもあれば、ご家族へ引き継ぐ準備を始める時期でもあります。普通自動車を手放すときや、ご家族に名義を移すときにも実印を使います。
退職金や年金の受け取りに合わせて、使っていない口座を解約したり、1つにまとめたりする方も多くいらっしゃいます。このとき窓口で困るのが、どれを届け出たのか分からなくなった銀行印です。退職は、どの印鑑を何に使うかを決め直すよい機会になります。
長く使える印鑑の選び方
退職祝いに贈る印鑑は、この先何十年も使う1本です。素材、本数、名前の3つを、長く使うことを前提に決めます。
黒水牛
3本セット46,500円
水牛の角で、粘りがあって縁が欠けにくい素材です。落ち着いた漆黒で、手にもよくなじみます。乾燥が続く季節はケースに入れてしまっておくと、長く持ちます。
本象牙
3本セット113,100円
朱肉のなじみがよく、使い込むほど落ち着いた色になります。印面を削って彫り直しやすい素材で、次の代に渡すことを考える方に選ばれます。象牙の印鑑を家族が相続するときに、国への手続きは要りません。
チタン
3本セット92,200円
金属ですので落としても欠けず、乾燥や湿気で傷むこともありません。朱肉の油もしみ込まず、手入れは拭くだけで済みます。世話のいらないものを贈りたいときに向いています。
3本セットの価格は、実印18mm・銀行印16.5mm・認印13.5mmの組み合わせのものです。当店の印鑑には5年間の保証が付き、欠けたときの修理や彫り直しを承ります。素材は、お父様の好みの色と、手入れにかけられる手間から選んでください。
本数は、役目を分けて3本に
若いころに作った1本で、実印と銀行印を兼ねている方は少なくありません。この1本をなくすと、印鑑登録と口座の両方で手続きが要ります。退職を機に実印・銀行印・認印の3本に分けておくと、この先の手続きで迷いません。実印18mm、銀行印16.5mm、認印13.5mmと1段ずつ小さくすれば、大きさで見分けられます。
実印はフルネーム、銀行印は姓か名で彫る
実印は、住民票のとおりの字でフルネームを彫るのが基本です。新しく作ったら、お住まいの市区町村の窓口で登録し直していただきます。京都市の場合、顔写真付きの本人確認書類を持ってご本人が窓口へ行けば、その場で登録できます。職場で旧姓を通していたなど、彫る名前で迷うときは退職祝いに印鑑を贈るで説明しています。
家族で出し合う予算の例
ご家族からの退職祝いは、お母様とお子様たちで出し合い、1つの品にまとめる形がよく選ばれます。人数と1人あたりの金額の例をまとめました。
2人×12,000円=24,000円
実印 黒水牛18mm お子様2人から。今の実印が既製品なら、まず実印を新しく3人×15,500円=46,500円
3本セット 黒水牛 お母様とお子様2人で。3本をそろえ、桐箱に収めて4人×23,050円=92,200円
3本セット チタン お母様とお子様3人で。手入れがほとんど要りません3本セットと2本セットには、桐箱か化粧箱が追加料金なしで付きます。桐箱に収め、ご家族それぞれがひとことずつ書いた手紙を添えてください。押すたびに、渡した日のことを思い出していただけます。
渡すタイミングと、注文の時期
渡す日は、最終出社日の夜にご自宅で、あるいは退職後の最初の週末に食事をしながら、という方が多くいらっしゃいます。職場から花束を抱えて帰る日に、ご家族からは形に残る品を渡す。この組み合わせも喜ばれます。
当店はご注文から3〜7営業日で発送します。退職の日が決まったら、2週間前までにご注文いただくと安心です。のしを付けるなら、紅白の蝶結びの水引に「御退職御祝」や「感謝」と書くのが一般的です。のし紙が必要なときは、ご注文の前にお問い合わせください。
よくある質問
退職祝いに実印を贈るのは、重すぎませんか
ご家族からなら重すぎることはありません。退職後は住み替えや相続など、実印を使う大きな手続きが続きます。「これからの手続きは、この実印で」と伝えて渡せば、ねぎらいに加えて、先の暮らしを気づかう気持ちも伝わります。
父は今の印鑑に愛着があります。新しい印鑑を贈っても使ってもらえますか
今の印鑑の状態がよければ、実印はそのままお使いいただき、傷んでいる銀行印や認印だけを新しくする贈り方があります。長年使った印鑑は、登録から外したあとも記念として手元に残せます。
象牙の印鑑は、父のあとに家族が相続できますか
できます。環境省の案内では、象牙の製品や印材を個人が持ち続けること、相続することに手続きは要らないとされています。印面を削って次の持ち主の名前に彫り直す改刻については親から受け継いだ印鑑は使える?で説明しています。
父の名前の字を確かめる方法はありますか
実印は住民票のとおりの字で作ります。お母様に聞いていただくか、お父様宛ての郵便物や年賀状の宛名で字の形を確かめておいてください。旧字体のときは、ご注文時の備考欄にお書きください。
まとめ|決める順番
印鑑に決めたら、順に3つを決めていきます。まず、今お使いの印鑑の状態です。実印が既製品だったり、縁が欠けていたりするなら、実印から新しくします。次に素材です。色の好みと、手入れにかけられる手間で選びます。最後に本数で、これから手続きが続くことを考えれば3本に分けておくのが確実です。あとは退職の日の2週間前までにご注文いただき、桐箱に手紙を添えて渡してください。
お父様の名前を彫る印鑑を、職人が1本ずつ
京都の職人が、お名前の字に合わせて印面を設計し、彫刻します。3本セットと2本セットは桐箱か化粧箱付き、包装は青か赤を選べます。ご注文から3〜7営業日で発送、送料は全国無料。5年間の保証が付き、欠けたときの修理や彫り直しを承ります。
旧字のお名前や、長年使った印鑑の彫り直しのご相談はお問い合わせからどうぞ。