CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
独立開業祝いに印鑑を贈るなら?個人事業主と法人で変わる種類・名前・素材
独立開業祝いに印鑑を贈りたい方へ。贈る印鑑は、相手が個人事業主として始めるのか、会社を設立するのかで変わります。個人事業主には屋号入りの角印と事業用の銀行印、法人には会社実印・銀行印・角印の3本セットが基本です。彫る名前の確かめ方、内枠の文字、素材と予算別の選び方、連名で贈る方法、開業日から逆算した注文の時期、すでに用意されていた場合の代わりの品まで、注文内容を決める順に説明します。
公開日: 2026年9月24日
友人や家族、元同僚が独立すると聞いて、お祝いに何を贈ろうかと考えている方も多いと思います。開業祝いの定番は胡蝶蘭や観葉植物ですが、「せっかくなら、仕事で長く使ってもらえるものを」と印鑑を選ばれる方が増えています。ただ、事業用の印鑑は個人の印鑑と種類が違い、相手が個人事業主なのか、会社を作るのかによって、贈るものが変わります。この記事では、独立開業祝いの印鑑を、注文内容を決める順に説明します。
最初に、相手が「個人事業主として始める」のか「会社を設立する」のかを確かめてください。個人事業主には、屋号を彫った角印と、事業用の口座に届け出る銀行印が向いています。会社を設立する方には、会社実印・銀行印・角印の3本セットが基本です。どちらの場合も、屋号や社名が正式に決まってから注文します。名前を先に聞く必要がありますので、サプライズにはせず、「印鑑を贈らせてほしい」と早めに伝えてください。
開業祝いに印鑑が喜ばれる理由
開業したその日から使います
口座の開設、事務所の賃貸契約、最初の見積書と請求書。独立すると、印鑑を押す場面が一気に増えます。国税庁が示す請求書の記載事項に押印は含まれていませんが、社名や屋号の横に角印のある書類を求める取引先は、いまも多くあります。
本人は、費用をかけにくい品です
開業の前後は、設備や広告にお金が出ていきます。印鑑は「とりあえず安いもので」と済ませる方が多く、あとになって作り直したいと相談に来られることもあります。だからこそ、贈り物として良いものを受け取るとうれしい品です。
ほかの人の贈り物と重なりません
開業の日には、花やお酒、お菓子がいくつも届きます。屋号や社名を彫った印鑑は、その事業のためだけに作る品ですので、誰かの贈り物と同じになることがありません。
事業が続くかぎり、手元に残ります
届け出た印鑑は、簡単には替えません。10年後に契約書へ押すときも、贈った印鑑が使われています。押すたびに、独立したころの気持ちと、応援してくれた人のことを思い出してもらえます。
個人事業主か、法人か。ここで贈る印鑑が分かれます
同じ「独立」でも、税務署に開業届を出して個人事業主として始める方と、法務局で登記をして会社を設立する方がいます。必要な印鑑がまったく違いますので、まずここを確かめてください。
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相手は、会社(株式会社や合同会社)を設立しますか
設立する会社実印・会社銀行印・角印の3本が必要です。3本セットか、予算に合わせてそのうちの1〜2本を贈ります設立しない。個人事業主として始める次の質問へ進みます -
屋号(お店や事務所の名前)を決めていますか
決めている屋号を彫った角印を贈ります。事業用の銀行印と組み合わせると、開業に必要な印鑑が揃います決めていない。個人の名前で仕事をする事業用の銀行印を、個人の名前で贈ります。プライベートの口座と印鑑を分けておくと、お金の管理がしやすくなります
事業用の印鑑は、形で役割が分かります
図は形と大きさの違いを示したものです。法務局に届け出る印鑑は、1辺が1cmを超え、3cm以内の正方形に収まる大きさと決められています。
個人事業主に贈る場合
個人事業主は、法律のうえでは個人と同じ扱いです。契約や融資に使う実印は、市区町村に登録した個人の実印をそのまま使います。ですから、贈り物に向いているのは次の2つです。
屋号を彫った角印
お店、事務所、フリーランスの方に
- 使う場面
- 請求書、見積書、領収書、納品書。屋号の横に押します
- 彫る文字
- 屋号。文字数によって「之印」を添えて形を整えます
- 価格
- 薩摩本柘21mm 17,900円、黒水牛21mm 30,000円
事業用の銀行印
屋号のない方にも贈れます
- 使う場面
- 事業用の口座の届出印。売上と生活費を分けて管理できます
- 彫る文字
- 個人の名前。屋号に「銀行之印」を組み合わせた丸印も作れます
- 価格
- 個人名の銀行印 黒水牛15mm 12,000円
屋号入りの口座を開く場合、届出印を個人の名前にするか屋号入りにするかは、金融機関によって扱いが違います。屋号入りの銀行印を贈りたいときは、口座を開く予定の金融機関に確かめてもらってから注文してください。なお、個人事業の開業届は、国税庁の案内では、事業を始めた年分の確定申告の期限までに税務署へ提出することになっています。届出書には屋号を書く欄がありますので、そこに書く屋号と印鑑の文字を同じにします。
相手が個人の実印をまだ持っていない場合は、実印を贈るのも良い選択です。事務所を借りるとき、融資を受けるとき、車や機械をリースするときに、実印と印鑑証明書が必要になります。実印と銀行印の2本セットは、黒水牛で17,900円からご用意しています。
会社を設立する方に贈る場合
会社には、登記のときに法務局へ届け出る会社実印、法人口座に届け出る銀行印、請求書などに押す角印の3本が必要です。設立の流れと、それぞれの印鑑を使う時期は、会社設立に必要な印鑑は?実印・銀行印・角印の揃え方でくわしく説明しています。
贈り物としては、3本セットがもっとも喜ばれます。3本の素材と書体が揃い、専用のレザーケースに収まった状態で届きますので、受け取ったその日から会社の道具として使えます。1本ずつ別の時期に買い足すと、素材の色合いや書体が揃わなくなります。
1万〜2万円台友人、元同僚から
- 屋号・社名の角印 17,900円薩摩本柘21mm。個人事業主にも法人にも
- 事業用の銀行印 12,000円個人名で。黒水牛15mm
- 会社実印 21,600円薩摩本柘18mm。登記に間に合う時期に
ほかの印鑑は本人が用意している場合に
4万円前後きょうだい、親しい友人の連名で
- 会社実印・銀行印の2本セット 39,900円薩摩本柘。登記と口座開設に
- 会社実印・角印の2本セット 37,500円薩摩本柘。登記と請求書に
残りの1本は、同じ素材であとから追加できます
6万円〜親、配偶者、有志一同から
- 会社印3本セット 56,900円薩摩本柘。実印18mm・銀行印16.5mm・角印21mm
- 会社印3本セット 94,800円黒水牛。欠けにくく、会社印でいちばん選ばれる素材です
設立に必要な印鑑が、一度に揃います
開業祝いの金額は、友人や元同僚で5千円〜1万円、親族で1万円〜5万円、取引先で1万円〜3万円が一般的な目安です。1人では3本セットに届かない場合は、友人どうしや元の職場の有志で、連名にして贈る方法があります。5人で集まれば、1人あたり1万円台で黒水牛の3本セットを贈れます。
彫る名前は、書類と一字一句同じにします
事業用の印鑑でいちばん多い失敗は、名前の表記の違いです。個人の名前と違って、社名や屋号は本人に聞かないと正確には分かりません。次の点を、文字で送ってもらってください。
注文の前に、相手に確かめる5つのこと
- 社名・屋号の正式な表記 「株式会社」が前に付くか後ろに付くか。英字か、カタカナか。中点やスペースが入るかどうかまで、定款や開業届に書くとおりに教えてもらいます。
- 法人の種類と、代表者の役職 会社実印の内側に入る文字が変わります。株式会社は「代表取締役印」、合同会社は「代表社員之印」、個人事業や任意団体は「代表者印」が一般的です。
- 登記や開業の予定日 会社実印は、登記の申請より前に手元に必要です。予定日の3週間前までに注文できるかどうかを確かめます。
- すでに用意した印鑑がないか 設立の手続きを専門家に頼んでいる場合、印鑑も一緒に手配されていることがあります。
- 素材や色の好み 木の風合いが好きか、黒でまとめたいか。事務所の雰囲気に合わせて選べます。
素材は3種類。事業の雰囲気に合わせて選びます
薩摩本柘
3本セット56,900円〜
鹿児島産の柘植です。木のあたたかみがあり、朱肉がよくなじみます。費用を抑えて3本を揃えたい場合や、飲食店、工房、サロンなど、手仕事の雰囲気を大切にする事業に合います。
黒水牛
3本セット94,800円〜
水牛の角です。硬くて粘りがあり、毎日押しても欠けにくい素材です。会社印ではいちばん多く選ばれています。士業、コンサルタント、建設、ITなど、業種を問いません。
白水牛
3本セット122,400円〜
淡い乳白色の角で、黒水牛より採れる量が少ない素材です。お客様の前で印鑑を出す機会の多い事業や、美容、医療、ブライダルなど、清潔感を大切にする事業に合います。
開業日から逆算して、注文の時期を決める
一般の開業祝いは、開業の1週間前から当日までに届けるのがマナーとされています。ただし、印鑑は開業の手続きそのものに使いますので、ほかの贈り物より早く動く必要があります。
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独立すると聞いたら
「印鑑を贈らせてほしい」と伝える
本人が自分で注文してしまう前に、申し出ます。早すぎるということはありません。
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社名・屋号が決まったら
正式な表記を文字で受け取り、注文する
当店では、ご注文から3〜7営業日で発送しています。彫る前に印影のデザインを確認する場合は、やり取りの分だけ日数が延びます。会社実印は、登記の予定日の3週間前までのご注文をおすすめします。
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登記・開業届の前
印鑑を渡す
開業の当日を待たずに渡してください。届け先を相手の住所にして、直接お送りすることもできます。当日は、花やメッセージを別に届けると、お祝いの気持ちが二度伝わります。
「もう用意した」と言われたら
「まだ何も作っていない」
社名の表記と登記の予定日を聞いて、注文に進みます。
「実印だけ、急いで作った」
実印の素材を聞き、同じ素材で揃えます。角印は届け出の要らない印鑑ですので、開業のあとに届いても困りません。
「3本とも、設立のセットで安く買った」
代表者になると、個人の実印を押す場面も増えます。会社の印鑑とは別の贈り物として、喜ばれます。
よくある質問
開業祝いに印鑑を贈るのは、失礼になりませんか
失礼にはなりません。印鑑は昔から、門出を祝う品として贈られてきました。目上の方に贈る場合だけ、「事業の道具を贈るのは差し出がましい」と感じる方もいますので、先に希望を聞いてからにしてください。
フリーランスで、屋号を付けない友人には何を贈ればいいですか
個人の名前で彫る、事業用の銀行印をおすすめします。仕事の入金と生活費の口座を分けると、確定申告のときに帳簿をつけやすくなります。実印をまだ持っていない方には、実印と銀行印の2本セットも喜ばれます。
あとで法人にするかもしれない、と言っています
屋号の角印は、法人にすると「株式会社」などが社名に加わるため、作り直すことになります。近いうちに法人化する予定なら、角印は設立のときまで待ち、いまは個人名の銀行印や実印を贈るほうが長く使えます。
社名の画数を見てもらってから作ることはできますか
できます。社名の画数を鑑定し、鑑定書を添えてお届けする開運会社印鑑をご用意しています。縁起を大切にされる方への贈り物として選ばれています。ただし、考え方は人それぞれですので、相手が気にされる方かどうかを確かめてからお選びください。
のしは付けられますか。表書きは何と書きますか
開業祝いの表書きは「御開業御祝」「祝御開業」、水引は紅白の蝶結びが一般的です。包装やのしのご希望は、ご注文の備考欄かお問い合わせからお知らせください。
まとめ|事業の形を確かめ、名前が決まったら早めに注文を
独立開業祝いの印鑑は、相手が個人事業主か法人かで選ぶものが変わります。個人事業主には屋号の角印と事業用の銀行印、法人には会社実印・銀行印・角印の3本セットが基本です。社名や屋号、法人の種類、登記の予定日を文字で受け取り、書類と一字一句同じ表記で注文してください。1人で3本セットに届かない場合は、連名で贈る方法があります。印鑑は開業の手続きに使いますので、当日を待たず、登記や開業届の前に渡します。