CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー

プレゼント用印鑑の選び方|用途・名前・予算から決める

印鑑を贈り物に選ぶ方へ、相手の持ち物から本数を決める手順、彫る名前の確認方法、予算別の素材、注文から渡すまでの日数、のしと包装までを順に解説します。

公開日: 2026年9月24日

包装紙とリボンの横に置かれた桐箱と、閉じたままの印鑑ケース
贈り物としての印鑑 相手の持ち物を確かめてから、本数と名前を決める

印鑑を贈り物に選ぶとき、自分用に買うのとは決め方が変わります。彫る名前は相手に確認しないと決められませんし、すでに持っている印鑑と重なれば使い道がありません。ここでは、贈る相手の持ち物を確かめるところから、本数・名前・素材・予算の決め方、そして渡すまでの段取りを順に整理します。

決める順番

相手の持ち物を確認 → 本数を決める → 彫る名前を確認 → 予算から素材を選ぶ、の順に進めてください。素材や価格から見はじめると、相手が既に持っている種類を贈ってしまうことがあります。最初に確かめるのは持ち物です。

手順1|相手が持っている印鑑を確かめる

印鑑には実印・銀行印・認印の3種類があり、それぞれ役割が違います。まず相手が何を持っているかで、贈る本数が決まります。

種類届け出先使う場面持っている可能性
実印住民登録のある市区町村不動産、自動車の登録、相続若い方はほとんど持っていない
銀行印口座のある金融機関口座の開設、窓口での手続き親が用意した届出印がある場合も
認印届け出ない宅配便の受け取り、職場の書類既製品を使っていることが多い
相手の状況贈る本数組み合わせ
本人名義の印鑑を持っていない3本セット実印・銀行印・認印
既製品の認印だけ使っている3本セット認印も本人だけの1本に作り替える
親が作った銀行印がある2本セット実印・認印
足りない種類がはっきりしている1本不足している1種類

本人に直接聞けない場合は、家族に確かめてもらう方法があります。それも難しければ、使う機会がいちばん多い認印を選ぶと重複しても使い道が残ります。実印は1人1本しか登録できませんので、重なると片方は使い道が限られます。3種類の違いは実印・銀行印・認印の違い|必要な本数と使い分けで説明しています。

手順2|彫る名前を確認する

贈り物で最も気をつけたいのがここです。字を間違えると作り直しになり、実印であれば登録そのものができません。彫り上がってからでは直せませんので、注文の前に確かめてください。

種類選ばれやすい名前改姓の可能性がある場合
実印フルネーム名のみにすれば姓が変わっても使える
銀行印姓のみ、または名のみ名のみが使い続けやすい
認印姓のみ作り直しても費用は小さい
旧字体や異字体は、戸籍や住民票の表記に合わせます

「辺」と「邊」「邉」、「斉」と「齊」「齋」、「高」と「髙」のように、普段書いている字と戸籍の字が違う方は少なくありません。彫り上がってから気づくと作り直しになります。本人か家族に確かめてください。

結婚を控えている方に姓を彫った印鑑を贈ると、使えなくなる可能性があります。予定が分からない場合は名のみで作っておけば、姓が変わってもそのまま使えます。名のみの実印を登録できるかは自治体の条件によりますので、相手が住んでいる市区町村の案内で確かめてください。

手順3|予算から素材を選ぶ

印鑑の価格は素材で決まります。彫る名前と本数が決まっていれば、あとは予算とのつり合いだけです。

素材価格の目安耐久性人気特徴
薩摩本柘10,700円〜★★★☆☆★★★★☆鹿児島産の本柘。明るい木の色
黒水牛12,200円〜★★★★☆★★★★★深い黒と艶。最も選ばれる定番
彩樺13,700円〜★★★☆☆★★★☆☆木を圧縮した素材で乾燥や欠けに強い
チタン16,700円〜★★★★★★★★☆☆摩耗も欠けもほぼ起きず、手入れが要らない
白水牛19,100円〜★★★★☆★★★★☆乳白色で明るい。模様が1本ずつ違う
白檀31,200円〜★★★★☆★★★★☆香りを持つ銘木。記念の1本に
本象牙31,200円〜★★★★★★★★★★朱肉ののりがよく、印影が鮮明に出る
黒水牛の印材
黒水牛12,200円〜
白水牛の印材
白水牛19,100円〜
チタンの印材
チタン16,700円〜
白檀の印材
白檀31,200円〜
贈る相手予算の目安選べる組み合わせ
子・孫3万円〜10万円3本セットを上位の素材で。白檀や本象牙も選べる
甥・姪1万円〜3万円実印1本、または2本セット
友人5千円〜1万円認印1本。日常で使う場面が多い
取引先・同僚1万円前後認印1本。実印は好みが分かれるため避ける

友人や同僚へ贈る場合、実印は相手の好みが強く出る品でもあります。日常で使う認印のほうが受け取りやすいこともありますので、関係性に合わせて選んでください。高価な品は相手にお返しの気を遣わせることもあります。

直径と書体は用途に合わせて決まる

直径と書体は、贈る側が決めて構わない部分です。用途が決まれば選択肢は絞られますので、相手に確認する必要はありません。

種類よく選ばれる直径向く書体考え方
実印15mm吉相体・篆書体フルネームが多いため大きめ。8文字超なら16.5mm
銀行印13.5mm吉相体・篆書体実印より一回り小さくして見分けやすく
認印12mm古印体・楷書体押印欄に収まり、相手が読める形に
吉相体で彫った印影の見本
吉相体実印・銀行印で最も選ばれます
篆書体で彫った印影の見本
篆書体余白が残り、整った印影になります
古印体で彫った印影の見本
古印体認印で最も選ばれます

3本セットは、同じ素材で直径だけを変えた組み合わせから選びます。実印15mm・銀行印13.5mm・認印12mmのようにしておけば、受け取った方がケースを開けなくても手に取った太さで見分けられます。選び方の全体像は印鑑の選び方|用途・素材・書体・サイズ・予算の決め方にまとめています。

場面によって、向く種類は変わる

同じ印鑑でも、贈る場面によって選ばれやすい種類が変わります。相手がこれから何をするかで考えてください。

場面向く種類理由
成人祝い3本セット本人名義の印鑑をまだ持っていないことが多い
就職祝い3本セット入社手続きと給与口座で認印と銀行印を使う
結婚祝い新しい姓の実印、夫婦の2本改姓にともなって作り直す必要がある
出産祝い銀行印子ども名義の口座を開くときに使える
還暦祝い実印1本長く使ってきた1本を節目に新しくする
独立・開業祝い実印、会社の印鑑自分の名前で契約する場面が増える

結婚祝いは、入籍して新しい姓が確定してから作る必要があります。入籍前に新姓で作ると、万が一予定が変わったときに使えません。出産祝いは名前が決まってからになりますので、お七夜を過ぎた頃が目安です。

注文から渡すまでの日数

印鑑は既製品ではなく、名前を彫って作ります。渡したい日から逆算して手配してください。

  1. 3週間前
    相手の持ち物と名前を確認する

    本人か家族に、持っている印鑑と戸籍の字体を確かめます。ここが決まらないと注文できません。

  2. 2〜3週間前
    本数・名前・直径・書体・素材を指定して注文する

    のしや包装が必要な場合は、このときに合わせて指定します。

  3. 制作
    名前を彫って仕上げる

    彫り上がりまでに日数がかかります。急ぐ場合は注文の前にご相談ください。

  4. 当日
    用途を伝えて手渡す

    どれが実印でどれが銀行印かを一緒に確認します。実印は登録が必要なことも伝えてください。

相手に聞けないときの選び方

驚かせて渡したい、事情があって直接聞けない。そうした場合でも、判断のしかたはあります。困りごとごとに整理しました。

分からないこと対処のしかた補足
戸籍の字体家族に住民票や戸籍の表記を確認してもらうここだけは推測で進められません
持っている印鑑使う機会の多い認印を選ぶ重複しても使い道が残ります
改姓するかどうか名のみで作る姓が変わってもそのまま使えます
素材の好み定番の黒水牛を選ぶ最も多く選ばれている印材です
直径の好み標準の組み合わせにする実印15mm・銀行印13.5mm・認印12mm

名前に関わる部分だけ確実にしておけば、あとは贈り主の判断で整えられます。どうしても字体が確認できない場合は、認印を姓のみで作る方法が最も安全です。日常で使う場面が多く、万が一重なっても無駄になりません。

のしと包装の整え方

場面表書きの例水引
成人祝い祝御成人、御祝紅白の蝶結び
就職祝い祝御就職、御祝紅白の蝶結び
結婚祝い寿、御結婚御祝紅白の結び切り
出産祝い御出産御祝紅白の蝶結び
独立・開業祝い祝御開業、御祝紅白の蝶結び

結婚祝いだけは、繰り返さないという意味で結び切りを使います。他の場面は何度あってもよい祝い事として蝶結びを選びます。手渡しなら外のし、配送するなら内のしが傷みにくくなります。表書きの下には贈り主の名前を書き、連名の場合は目上の方を右から並べてください。

印鑑だけでは押せません

受け取った方がその日から使えるように、道具まで考えておくと親切です。身内で贈る場合、誰かが印鑑、別の方が道具という分担もできます。

朱肉の入った印鑑ケース
印鑑ケース持ち歩く認印には必須です。印面が欠けるのを防ぎます
印鑑を収める桐箱
桐箱贈り物らしい形に整います。保管にも向いています
朱肉
朱肉スタンプ台のインクは使いません。にじんで不鮮明になります
捺印マット
捺印マット硬い机に直接押すとかすれます。契約の場面で役立ちます

使ったあとに印面の朱肉を拭き取ること、木や水牛の印材は乾燥を避けることだけ伝えておけば、何十年も同じ印影を保てます。朱肉が印面に溜まると細かい部分が埋まり、印影そのものが変わってしまいます。

贈るときに避けたい選び方

名前を確認せずに注文する字を間違えると作り直しになります。実印であれば登録そのものができません。

すでに持っている種類を贈る実印は1人1本しか登録できません。重なると片方は使い道が限られます。

改姓の予定を確かめずに姓を彫る結婚を控えている方には、名のみで作る方法があります。

渡す日の直前に注文する名前を彫って作りますので、当日に受け取ることはできません。

用途を伝えずに渡すどれが実印か分からないまま、登録用の印鑑を持ち歩いてしまうことがあります。

渡すときに伝えておきたいこと

せっかく贈った印鑑が引き出しにしまわれたままになることがあります。多くは使い方が分からないことが理由です。

受け取った方が迷わないように伝える3つのこと

  • どれがどの用途か 3本のうち一番大きいのが実印、次が銀行印、小さいのが認印。ケースの色を分けておくと見分けやすくなります。
  • 実印は登録して初めて実印になること 市区町村の窓口へ持っていって手続きが必要です。買っただけでは実印として使えません。
  • 実印と印鑑登録証は分けて保管すること 2つが揃うと印鑑登録証明書を取得できてしまいます。同じ引き出しに入れないよう伝えてください。

桐箱に収めて渡す場合は、並べた順に用途を伝えておくと迷いません。手紙を添えるなら、そこに一言書いておく方法もあります。

よくある質問

相手に内緒で用意できますか

彫る名前と正しい字体だけは確認が必要です。家族に戸籍や住民票の表記を調べてもらう方法があります。素材やケース、包装は贈り主が選んで構いません。

相手が既に印鑑を持っていたらどうしますか

足りない種類を贈る方法があります。認印だけ持っている方には実印と銀行印の2本セット、実印だけの方には銀行印と認印というように、重ならない組み合わせを選んでください。

印鑑を贈るのは失礼にあたりませんか

そうした言い伝えはありません。成人や就職といった節目に、古くから選ばれてきた贈り物です。実用品として確実に使われる点でも、受け取る側の負担になりにくい品です。

開運印鑑を贈るのはどうでしょうか

姓名を鑑定したうえで印影を設計する印鑑です。願いを込めた贈り物として選ばれますが、運勢が変わることを約束する品ではありません。その点を伝えたうえで渡すと、受け取る側も気持ちよく使えます。

印鑑ケースや朱肉も一緒に贈るべきですか

印鑑だけでは押せませんので、朱肉と捺印マットがあると使い始めやすくなります。身内で分担する場合、誰かが印鑑、別の方が道具という分け方もできます。

まとめ|持ち物の確認から始めて、名前は必ず確かめる

贈り物の印鑑選びは、相手が今持っている印鑑を確かめるところから始まります。本人名義の印鑑をまだ持っていなければ3本セット、親が作った銀行印があるなら実印と認印の2本という組み合わせになります。

次に彫る名前です。ここだけは贈り主の判断で決められません。旧字体や異字体は戸籍の表記に合わせ、改姓の予定がある方には名のみという選択肢を伝えてください。

素材は予算とのつり合いで選びます。直径と書体は用途が決まれば絞られますので、贈る側で決めて構いません。渡す日の3週間前までに手配し、当日はどれがどの用途かを一緒に確認してください。

本数が決まったらご予算に合わせてお選びいただけます

のしや包装のご指定、字体のご相談はお問い合わせから承ります。贈る意味や場面ごとの考え方は印鑑をプレゼントする意味とは?もご覧ください。