CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
開業祝いに印鑑は迷惑?すでに注文済みか確かめる聞き方
開業祝いに印鑑を贈りたいけれど、本人がもう作っていたら迷惑では、と迷っている方へ。印鑑が迷惑になりやすい4つの場面、開業の形ごとに本人が用意していそうな印鑑、贈ることを明かさずに注文済みか確かめる聞き方、返事に合わせた贈り方を説明します。
公開日: 2026年9月29日
友人やご家族の開業祝いに印鑑を贈ろうと考えたものの、「本人がもう自分で作っていたら迷惑かもしれない」と迷っていませんか。開業祝いの印鑑は、事業の名前を彫り、開業の日から仕事で使ってもらえる贈り物です。ただ、開業する人は準備の途中で自分でも印鑑を作ることがあるので、重なりが心配になります。この記事では、開業祝いの印鑑が困らせてしまう場面と、本人がすでに注文しているかの確かめ方を、贈る側の目線でお話しします。
開業祝いの印鑑そのものは迷惑ではありません。困るのは、同じ印鑑がすでにあるときや、名前の表記や大きさが合わないとき、使う日に間に合わないときです。会社を設立する人は、登記を書面で申請するなら、その前に会社実印を用意するので、贈る前に必ず確かめましょう。聞くときは「印鑑はもう作った?」より「開業の準備で、まだ揃っていないものはある?」のほうが、贈る品を明かさずに済みます。本人に聞きにくいときは、ご家族や一緒に準備している人に確かめてもらいます。
開業祝いの印鑑が迷惑になりやすい4つの場面
印鑑は、開業する人にとって仕事の道具です。届いた日から使えれば喜ばれますが、次のような場合は、せっかくの贈り物が引き出しにしまわれてしまいます。
- 一
同じ印鑑を、本人がもう作っている
会社実印や会社の3本セットは、設立の手続きに使うため、本人や、登記を頼んだ専門家が先に用意していることがよくあります。同じ印鑑が2組になると、片方は使い道がありません。
- 二
彫った名前が、正式な社名や屋号と違う
開業の直前に社名や屋号を変えたり、「株式会社」を前に付けるか後に付けるかを決め直したりすることがあります。登記や届け出の表記と1文字でも違うと、書類には使えません。
- 三
使いたい日に間に合わない
設立の登記や口座の開設に使う印鑑は、その日までに手元にないと手続きが進みません。届くのを待てずに、本人が自分で作ってしまうこともあります。
- 四
大きさや書体が、本人の考えと合わない
「実印は21mmにしたかった」「角印は読みやすい書体にしたかった」など、仕事で使う道具には本人のこだわりが出ます。
どれも、贈る前にひとこと聞けば防げることばかりです。「印鑑を贈ると縁起が悪い」という言い伝えもありますが、そうした決まりや根拠はありません。その由来は印鑑を贈ると縁起が悪い?でまとめています。
開業の形によって、本人がすでに持っていそうな印鑑は違います
会社を設立するのか、個人事業主として始めるのかで、開業の前に本人が用意する印鑑は変わります。会社の設立では、登記を書面で申請するとき、申請書に押す印鑑を法務局に提出する決まりがあります。法務省によると、2021年2月15日からは、オンラインで申請すればこの提出は任意になりました。ただし、書面で申請する場合は今も必要です。また、取締役になる人は、就任を承諾した書面に個人の実印を押し、印鑑証明書を添えることがあります。
個人事業主として始める場合は、開業届のために新しい印鑑を作る決まりはありません。屋号の角印や事業用の銀行印は、仕事を始めてから必要になって作る人もいます。開業の形ごとに、本人がすでに用意していそうかどうかを表にしました。
本人がすでに用意していそうな印鑑開業の形ごとの目安
- 用意済みのことが多い。贈る前に必ず確かめる
- 人による。聞いてから決める
- まだのことが多い。贈っても重なりにくい
会社を設立する人に贈るなら、いちばん重なりやすいのが会社実印です。反対に、個人事業主やお店を開く人の屋号の角印は、開業の時点ではまだ作っていないことが多く、贈っても重なりにくい印鑑です。ただし、まだのことが「多い」というだけなので、確かめずに贈ってよいわけではありません。
印鑑を贈ることを明かさずに、注文済みか確かめる聞き方
「印鑑はもう作った?」と聞けば確実ですが、印鑑を贈るつもりだと分かってしまいます。内緒にしたいなら、聞き方を少し変えます。
「会社の印鑑、もう作った?」
「開業の準備で、まだ揃っていないものってある?手伝えることがあったら言ってね」
「会社の名前、なんていう字だっけ?」
「お祝いののしに書きたいから、会社の正式な名前を教えて」
「いつ登記するの?」
「お祝いを届けたいんだけど、いつごろなら受け取れそう?」
社名や屋号の正式な表記は、のしに書くためと言えば自然に聞けます。本人に聞きにくいときは、次の人に頼むのも1つの方法です。
サプライズで印鑑を贈るとき、本人に確かめておくことと、贈る側で決めてよいことの分け方は印鑑はサプライズで贈れる?で詳しく説明しています。
本人の返事に合わせた印鑑の贈り方
聞いてみた返事によって、贈る印鑑を切り替えます。「もう作った」と言われても、印鑑を贈るのをあきらめることはありません。
「印鑑はまだ。これから考えるところ」
会社を設立するなら、会社実印・銀行印・角印の3本セットが選びやすい組み合わせです。個人事業主なら、屋号の角印に、本人の実印・銀行印・認印の3本セットを合わせます。注文の前に、正式な名前と使いたい日を聞いておきます。
「会社の実印だけは、手続きで作った」
登記に間に合わせるため、実印だけを先に作り、銀行印や角印はあとで作る人もいます。薩摩本柘なら、会社銀行印は16.5mmで20,400円、角印は21mmで17,900円です。実印と素材を揃えたいかどうかも聞いておきます。
「会社の印鑑は、3本とも揃ったよ」
会社の印鑑とは別に、社長になる本人の実印や銀行印を上質な素材で贈る方法があります。本人の分も揃っているなら、無理に印鑑にこだわらず、事務所で使う品を選びます。
「印鑑は自分で選びたいんだ」
書体や大きさは本人に決めてもらい、代金をお祝いとして出す贈り方もあります。商品ページを一緒に見ながら、素材から選んでもらいましょう。
確かめたあとは、使う日から逆算して注文します
重なっていないと分かったら、次は届ける日です。会社を設立する人に会社実印を贈るなら、登記を申請する日までに届いていなければなりません。社名が決まってからその日までが短いこともあるので、表記を確かめたらすぐに注文します。当店からの発送は、ご注文から通常3〜7営業日です。申請の日から逆算した段取りは開業祝いの会社印鑑は登記前に贈れる?で紹介しています。
屋号や会社の角印のように届け出をしない印鑑は、開業の日に間に合えば困りません。最初の請求書や領収書を出す日に手元にあるよう、開業の1〜2週間前を目安に届けてください。
もし重なってしまったら
名前を彫った印鑑は、ほかの人が使えません。そのため当店でも、お客様のご都合による返品・交換は、原則としてお受けしていません。だからこそ、贈る前に確かめることが大切です。
それでも同じ会社の印鑑が2組になってしまったら、使い道を考えます。銀行印は、2つ目の銀行で口座を開くときの届出印に使えます。銀行ごとに届出印を分けておけば、1本をなくしても、届け出をし直すのはその口座だけで済みます。角印は、本店と事務所など、書類を出す場所が2か所ある会社なら、それぞれに置いて使えます。
よくある質問
開業してしばらく経ってから、印鑑を贈っても遅くありませんか
遅くありません。開業の直後は必要な品を急いで揃えるので、印鑑は既製品や手近なもので済ませていることもあります。落ち着いたころに、長く使える印鑑に切り替えてもらうのもよいお祝いです。そのときも、今どの印鑑を使っているかを先に聞いてください。
取引先として、相手の会社の印鑑を贈ってもいいですか
会社の実印や銀行印は、社内でも扱う人が限られる大切な印鑑です。取引先から贈るなら、付き合いの長い相手に、表記を確かめたうえで角印を贈る程度にとどめるのが無難です。実印や銀行印は、本人や身内に任せましょう。
本人に確かめたら、遠慮して「いらない」と言われました
贈る側にお金を使わせたくなくて、遠慮から断る人もいます。「もう作った」という返事でなければ、「仕事で毎日使うものを贈りたい」と理由を伝えて、もう一度聞いてみてください。それでも断られたら、印鑑以外の品にします。
仲間うちの連名で贈る場合は、誰が確かめればいいですか
取りまとめ役の1人が確かめ、ほかの人はその結果に合わせます。何人もが別々に聞くと、本人が同じ質問に何度も答えることになります。連名での取りまとめ方は開業祝いを連名で贈るで紹介しています。
まとめ|迷惑にならないよう、贈る前に確かめる順番
開業祝いの印鑑は、次の順番で決めると重なりを防げます。まず、会社を設立するのか、個人事業主やお店として始めるのかを確かめ、本人が用意していそうな印鑑の見当をつけます。次に、準備の進み具合を本人に聞くか、ご家族や一緒に開業する人に確かめてもらいます。返事を聞いたら、セットで贈るか、足りない印鑑だけにするか、本人の印鑑にするかを決めます。最後に正式な表記を確かめ、使う日から逆算して注文します。
社名や屋号を、京都の職人が1本ずつ彫ります
文字の配置は、名前の文字数に合わせて職人が考えて彫刻します。彫る前の印影確認もできます。ご注文から3〜7営業日で発送、送料は全国無料、5年保証付きです。
実印だけ用意済みの方には、会社銀行印と角印を単品でお選びいただけます。どの印鑑が足りないか分からないときはお問い合わせからご相談ください。