CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
現金と印鑑を一緒に贈る|お祝いの予算配分・のし・渡し方
就職祝いや成人祝い、結婚祝い、出産祝いで、現金だけでは味気なく、品物だけでは使い道が心配なとき、現金と印鑑を組み合わせる贈り方があります。現金は使い道が自由で相場が分かりやすく、印鑑は名前を彫って何十年も残ります。場面ごとの予算の分け方、祝儀袋と印鑑の箱それぞれののしの書き方と水引の選び方、同時に手渡す・後日直送する・本人と選ぶの3つの渡し方、お祝いの金品と贈与税の考え方まで説明します。
公開日: 2026年9月26日
就職祝い、成人祝い、結婚祝い、出産祝い。現金だけでは味気ない、けれど品物だけでは相手の使い道が心配。そんなときに、現金と印鑑を組み合わせる贈り方があります。現金は使い道が自由で、相場が分かりやすく、相手の負担になりません。印鑑は名前を彫って作る品で、登録すれば何十年も残り、値段が相手に見えません。性格の違う2つを組み合わせると、「実用」と「記念」の両方がそろったお祝いになります。この記事では、場面ごとの予算の分け方、祝儀袋と印鑑の箱それぞれの表書きと水引、3つの渡し方、お祝いの金品と贈与税の考え方を順に説明します。印鑑ののしの書き方だけを知りたい方は印鑑の贈り物にのしは必要?をご覧ください。
予算の半分から3分の2を印鑑に、残りを現金にすると、記念に残る品と使い道の自由がそろいます。現金は祝儀袋に新札で入れ、場面に合った表書きと水引にします。印鑑は桐箱に「御祝」ののしを掛け、名前の字を確かめてから注文します。渡し方は、当日に2つを一緒に手渡すのが基本で、印鑑の発送が間に合わなければ現金を当日に、印鑑を後日直送する形にします。個人から受け取る祝い金や祝いの品は、国税庁の案内のとおり、社会通念上相当と認められる範囲なら贈与税はかかりません。
現金と印鑑を組み合わせると、何がそろうか
現金と印鑑は、贈り物としての性格が正反対です。だからこそ、組み合わせると互いの足りないところを補います。それぞれが担う役目を並べます。
- 使い道の自由引っ越し、家具、旅行。相手が今いちばん要るものに使えます
- 相場の分かりやすさ関係ごとに目安があり、多すぎず少なすぎずを決めやすい
- 相手の負担の少なさ置き場所も好みも関係なく、受け取りやすい
足りないところ手元に残らず、何に使ったかも覚えていないことが多い。金額がそのまま伝わる
- 名前と形が残る相手の名前を彫って作り、登録すれば何十年も同じ1本を使います
- 値段が見えない印材と直径で価格が決まり、相手には金額が分かりません
- 節目にふさわしい意味「自分の名前で決めていく」道具として、成人や就職、結婚に贈られてきました
足りないところすでに持っていると重なる。急な入り用には使えない
現金の「残らない」を印鑑が補い、印鑑の「急な入り用に使えない」を現金が補います。どちらか一方では足りない部分が、2つそろうと埋まります。とくに、就職や進学で出費が続く相手には、この組み合わせが実際に役立ちます。
場面別の予算の分け方
予算を現金と印鑑にどう分けるかは、場面と相手との関係で決まります。当店の印鑑の価格を使って、分け方の例を挙げます。現金は4と9のつく額を避け、きりのよい額にします。
就職祝い 1万円友人・同僚から
成人祝い 3万円おじ・おば、祖父母から
結婚祝い 3万円友人・いとこから
出産祝い 1万円友人・同僚から
就職祝い 5万円親から
印鑑は黒か赤の牛革ケース付きで送料無料です。端数は、現金の額をきりのよい数字に寄せて調整してください。結婚祝いの現金は、2で割り切れる額を避ける慣習が残っている地域もあります。
目安は「印鑑に半分から3分の2、現金に残り」です。印鑑の割合が大きいほど記念の色が濃くなり、現金の割合が大きいほど実用の色が濃くなります。相手が一人暮らしや引っ越しを控えているなら現金を厚めに、実印や銀行印がまだない相手なら印鑑を厚めにします。場面ごとの印鑑の選び方は就職祝いのプレゼント予算1万・2万・3万円や出産祝いを現金以外で贈るなら?でも説明しています。
祝儀袋と印鑑の箱、それぞれの作法
現金と印鑑を一緒に贈るときは、のしを2つ用意することになります。現金は祝儀袋、印鑑は桐箱や化粧箱に掛けるのし紙です。2つの表書きと水引はそろえるのが基本で、名前はどちらにも書きます。
「御祝」が場面を問わず使えます。「御就職御祝」「祝御成人」「御結婚御祝」「御出産御祝」と場面を書く形も
祝儀袋と同じ表書きにそろえます。当店では注文時に表書きと名前を備考欄でご指定いただけます
就職・成人・出産・開業は、何度あってもよいお祝いなので紅白の蝶結び。結婚は一度きりの意味で紅白か金銀の結び切り
祝儀袋と同じ結び方にします。のし紙は印刷された水引でかまいません
水引の下に、贈る側の姓名を書きます。連名は右から目上の順、または五十音順で
同じ名前を書きます。相手に「誰からの品か」が両方で分かるようにしておきます
新札を、肖像が表・上になる向きで中袋に入れ、中袋に金額と住所氏名を書きます
印鑑は牛革ケースに入れ、桐箱か化粧箱に収めます。2本・3本セットは箱を追加料金なしで選べます
ふくさに包んで持参し、渡す直前に取り出します
手渡しなら外のし、宅配で直送するなら内のし(箱にのしを掛けてから包装)が一般的です
のし紙の詳しい書き方と、場面ごとの表書きの一覧は印鑑の贈り物にのしは必要?お祝い別の表書き・水引・名前の書き方で、包装の選び方は印鑑のギフトラッピングで説明しています。
渡し方は3つ
現金は当日に手渡せますが、印鑑は名前を彫って作りますので、当店では注文から発送まで3〜7営業日かかります。渡す日から逆算して、3つの渡し方から選びます。
当日に、2つを一緒に手渡す
いちばん基本の形です。祝儀袋と印鑑の箱を1つの手提げ袋か風呂敷にまとめ、席で一緒に渡します。印鑑の箱を先に開けてもらい、現金は「引っ越しの足しに」と一言添えて渡すと、2つの意味が伝わります。
向く場合渡す日まで2週間以上ある。名前の字を確かめる時間がある
現金は当日、印鑑は後日直送する
渡す日が迫っているときの形です。当日は祝儀袋を渡し、「もうひとつ、名前を彫ったものを頼んでいるから」と伝えておきます。印鑑は当店から相手の住所へ直送でき、金額の分かる書類は同梱しません。
向く場合渡す日まで1週間を切っている。相手が遠方に住んでいる
現金は当日、印鑑は本人と一緒に選ぶ
当日は祝儀袋を渡し、後日、本人に印材とケースの色を選んでもらって注文します。持っている本数や名前の字を本人が確かめられるので、重なる心配がありません。支払いは贈る側がします。
向く場合相手がすでに印鑑を持っているかもしれない。姓が変わる時期が近い
直送するときの注文の手順は印鑑のプレゼントを相手へ直送する方法で、急ぎのときの相談のコツは印鑑のプレゼントを急ぎで用意するには?で説明しています。
印鑑を注文する前に確かめる2つのこと
現金と違って、印鑑は「持っているか」と「名前の字」で失敗します。注文の前に、次の2つだけは確かめてください。
- 実印や銀行印をすでに自分で作って登録しているか。京都市の案内のとおり、実印は1人1個ですので、登録済みなら実印は重なります
- 名前の正しい字体。「髙」「﨑」「邊」のような字は住民票どおりに彫らないと実印として登録できません
- 結婚など、近く姓が変わる予定がないか。あるなら名だけで彫ります
- 彫る名前(姓・名・フルネーム)と書体。実印は本人の氏名を表す字であれば登録できます
- ケースの色。黒・赤の牛革は無料、10色のカラー牛革は950円から
- 桐箱か化粧箱か(2本・3本セット)、包装の色、のしの表書きと名前
- 彫刻前に印影を確認するかどうか
持っている本数の確かめ方は印鑑のプレゼントは嬉しくない?贈る前に確認したい5つのこと、名前の字の確かめ方は印鑑のプレゼントで名前の漢字を間違えないにまとめています。
お祝いの金品と贈与税
国税庁のタックスアンサーでは、個人から受ける祝物や見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるものには贈与税がかからないと案内されています。就職祝いや成人祝い、結婚祝いとして常識的な額の現金と印鑑を贈る場合は、この範囲に収まります。また、暦年課税では1年間に受け取った贈与の合計から110万円の基礎控除を差し引きますので、親や祖父母から少しまとまった額を贈るときも、年間110万円までは贈与税がかかりません。個別の判断は税務署や税理士にご確認ください。
連名で贈るときの分け方
職場や友人グループで連名にするときは、現金を全員でまとめ、印鑑を「代表の品」として1つ添える形が向いています。1人あたりの負担が小さくても、まとまった額の現金と、名前を彫った品の両方が贈れます。たとえば5人で1人5,000円ずつなら、合計25,000円。黒水牛の銀行印13.5mm(9,500円)に現金15,000円を添える、または実印・銀行印の2本セット黒水牛(17,900円)に現金7,000円を添える、といった分け方になります。のし紙の名前は「○○一同」とし、別紙に全員の名前を書いて添えます。
よくある質問
現金と印鑑を、同じ祝儀袋や箱に入れてもよいですか
別々にします。現金は祝儀袋、印鑑は桐箱か化粧箱にのし紙を掛け、2つを1つの手提げ袋や風呂敷にまとめて渡します。祝儀袋に印鑑を入れると袋が変形しますし、印鑑の箱に現金を入れると、開けたときに金額が先に目に入ります。
現金を渡すのは相手に気を使わせそうです。印鑑だけにしたほうがよいですか
相手との関係によります。目上の方や、お返しを気にする相手には、品物だけのほうが受け取りやすいことがあります。その場合は、現金にするはずだった分を印鑑の印材や本数に回し、たとえば黒水牛の2本セットを3本セットに、薩摩本柘を黒水牛やチタンにする形が向いています。印鑑は値段が相手に見えませんので、気を使わせにくい品です。
印鑑の金額を相手に伝えたほうがよいですか
伝える必要はありません。印鑑は印材と直径で価格が決まり、相手には分かりません。直送する場合、当店は金額の分かる書類を同梱しません。現金のほうは中袋に金額を書くのが作法ですので、合計の見当は相手に伝わります。それで十分です。
結婚祝いで印鑑を贈るとき、水引は結び切りですか
はい。結婚は一度きりであってほしいお祝いですので、現金の祝儀袋も印鑑ののし紙も、紅白か金銀の結び切りにします。就職、成人、出産、開業は何度あってもよいお祝いですので蝶結びです。新姓で彫るか、名だけで彫るかは結婚祝いの印鑑は新姓で作る?をご覧ください。
まとめ|印鑑に半分から3分の2、現金に残りを
現金と印鑑は、贈り物としての性格が正反対です。現金は使い道が自由で相場が分かりやすく、印鑑は名前を彫って何十年も残り、値段が見えません。2つを組み合わせると、実用と記念の両方がそろったお祝いになります。予算は印鑑に半分から3分の2、現金に残りを目安にし、祝儀袋と印鑑の箱の表書きと水引はそろえます。渡す日まで余裕があれば当日に2つを一緒に手渡し、迫っていれば現金を当日に、印鑑を後日直送します。注文の前に、相手が印鑑を持っているかと、名前の字だけは確かめてください。当店では、京都の職人が名前に合わせて1本ずつ彫刻し、のし・桐箱・包装を添えて、相手の住所へ直送もできます。
お祝いの場面に合わせて、印鑑をお作りします
のし紙の表書きと名前、桐箱か化粧箱、包装の色を注文時に指定でき、相手の住所への直送にも対応します。京都の職人が名前に合わせて彫刻し、送料無料、5年保証。ご注文から3〜7営業日で発送します。
印鑑の選び方全体はプレゼント用印鑑の選び方で、すべての印材は3本セットの一覧でご覧いただけます。