CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
印鑑の贈り物にのしは必要?お祝い別の表書き・水引・名前の書き方
印鑑を贈るとき、のしを掛けるかどうかで迷っている方へ。のしが必要な場面と、包装だけでよい場面の分け方を説明します。成人・就職・結婚・出産・開業・還暦の表書きと水引、贈り主の名前と連名の書き方をまとめました。内のしと外のしの使い分けや、自分でのし紙を掛ける手順も紹介します。
公開日: 2026年9月24日
「のしは付けたほうがいいのだろうか」「表書きの言葉は何がいいのだろう」。お祝いの印鑑を注文する段になって、こうした点で手が止まる方は少なくありません。決まりごとが多いように見えますが、押さえる点は水引の結び方、表書きの言葉、贈り主の名前の3つだけです。この記事では、のしが必要な場面から、お祝いごとの書き方、配送と手渡しでの掛け方の違いまでを順に説明します。
ご家族や友人どうしで気軽に贈る印鑑なら、のしは掛けずに、包装とメッセージカードだけでかまいません。のしを掛けたほうがよいのは、あらたまった贈り物のときです。結婚、親族が集まる席で渡す成人や還暦、取引先や目上の方への開業のお祝いがこれにあたります。水引は、結婚だけ「結び切り」、そのほかはすべて「蝶結び」を選びます。表書きは「御祝」なら、どのお祝いにも使えます。のし紙の下の段には、印鑑に彫る相手ではなく、贈る側の名前を書きます。
のし紙は、4つの部分でできています
贈り物に掛ける紙を、まとめて「のし紙」と呼んでいます。細かく見ると、右上の飾りが「のし」、中央で結んだひもが「水引」、上の段の言葉が「表書き」、下の段の名前が「名入れ」です。
飯田水引協同組合の解説によると、のしの始まりは「のしあわび」です。あわびを薄く長くむいて干し、伸ばして作った保存食で、長寿のしるしとして贈り物に添えられていました。それが今は、紙の飾りに変わっています。三重県鳥羽市の国崎町では、伊勢神宮に納めるのしあわびが、現在も昔ながらの方法で作られています。右上の小さな飾りには、相手の健康と長寿を願う気持ちが込められているのです。
印鑑の贈り物に、のしが必要な場面と不要な場面
のしは、あらたまった贈り物であることを示すための紙です。ご家族や友人に気軽に渡すときにまで、掛ける必要はありません。迷ったときは、「誰の前で渡すか」と「相手との間柄」で決めてください。
のしを掛けたほうがよい場面
- 結婚のお祝い結び切りの水引に「寿」または「御結婚御祝」と書きます
- 親族が集まる席で渡す、成人や還暦のお祝いお祖父様・お祖母様からお孫さんへ、お子様からご両親へ贈るときです。桐箱にのしを掛けると、あらたまった席に合います
- 取引先、恩師、上司への開業や独立のお祝い仕事のお付き合いや目上の方への贈り物には、のしを掛けるのが一般的です
- 出産のお祝いを、相手の実家に届けるときご両親も目にしますので、誰からの品かが分かるようにします
- 何人かの連名で贈るときのし紙に名前を書いておけば、誰からの品かを相手が後から確かめられます
包装とカードだけでよい場面
- ご両親からお子様へ、ふだんの暮らしのなかで渡すとき就職や一人暮らしの準備として持たせる場合などです
- 夫婦や恋人、友人どうしの誕生日のしよりも、リボンや飾りひもを結んだ包装のほうがなじみます
- 本人と一緒に選んで注文した印鑑中身を知っている相手には、形式ばらないほうが自然です
お祝い別の、表書きと水引の選び方
印鑑がよく贈られる6つのお祝いについて、書き方をまとめました。結婚以外で表書きに迷ったら、蝶結びの水引に「御祝」と書けば失礼になりません。
誕生日は「御誕生日御祝」、入学は「御入学御祝」、新築は「御新築御祝」と書き、いずれも紅白の蝶結びです。なかには、「4」が「死」に通じるとして、表書きが4文字になるのを気にされる方もいらっしゃいます。ご年配の方や目上の方へ贈るときは、「御就職御祝」「御成人御祝」のような5文字の書き方を選ぶと安心です。
結婚のお祝いに蝶結びを使わない理由
蝶結びは、ほどいて何度でも結び直せます。出産や昇進のように、くり返しあってもうれしいお祝いに向いています。結婚は一度きりであってほしいことですので、ほどけない結び切りを使います。ここを取り違えると、相手のご家族が気にされることがあります。文具店や百貨店でのし紙を買うときは、「結婚のお祝い用」と伝えて選んでもらってください。
のし紙の下の段には、贈り主の名前を書きます
印鑑の贈り物では、「名入れ」という言葉が2つの意味で使われます。印鑑に彫るのは贈る相手の名前で、のし紙の下の段に書くのは贈る側の名前です。注文のときに取り違えやすいので、気をつけてください。
下の段に、印鑑を受け取る相手の名前を書く
贈る側の名前を書きます相手の名前を書くのは、出産の内祝いで赤ちゃんをお披露目するときなど、お返しの場合だけです
夫婦で贈るのに、ご主人の名前だけを書く
ご主人のフルネームの左に、奥様の下の名前を並べます親族へ贈るなら、「山田」と名字だけにしてもかまいません
5人の名前を、すべて並べて書く
「友人一同」「営業部一同」とまとめます並べるのは3人までです。全員の名前は別の紙に書き、箱の中に入れます
連名の順番を、五十音順にする
右から、年齢や立場が上の人の順に書きます友人どうしで上下がなければ、五十音順でかまいません
ボールペンや、薄い色の筆ペンで書く
濃い黒の筆ペンか、太めのサインペンで書きます薄い墨はお悔やみのときに使う色です。お祝いには、はっきりした黒が合います
お祖父様・お祖母様からお孫さんへ贈る場合は、フルネームのほかに「祖父母より」と書く方もいらっしゃいます。ご家族の間の贈り物ですので、誰からの品かがお孫さんに伝われば、形式にこだわる必要はありません。
内のしと外のし|配送か手渡しかで決めます
箱にのし紙を掛け、その上から包装紙で包みます
- 見え方包装を開けるまで、のしは見えません。控えめな贈り方です
- 向いている場面相手の住所へ配送するとき。運ぶ途中でのし紙が破れたり、汚れたりするのを防げます
- 印鑑の場合桐箱や化粧箱に、じかにのし紙を掛けます
包装紙で包んだ上から、のし紙を掛けます
- 見え方渡した瞬間に、表書きと名前が相手の目に入ります
- 向いている場面手渡しするとき。結婚や開業のお祝いのように、贈り物がいくつも集まる場でも、誰からの品かがすぐに分かります
- 印鑑の場合無地に近い紙で包んでのし紙を掛け、風呂敷か紙袋に入れて持参します
どちらが正しいということはありません。関西では内のし、関東では外のしが多いといわれますが、家や地域の習慣を優先してください。
当店でご注文いただく場合の、包装とのし
当店では、ご注文のときに「包装」の欄で、通常梱包、包装(青)、包装(赤)の3つからお選びいただけます。青と赤は、和紙調の紙で包んで柄入りの帯を巻き、飾りひもを結んだ状態でお届けします。飾りひもが水引の代わりになりますので、ご家族や友人に贈るなら、のしを掛けなくても見劣りしません。
包装のデザインは、時期によって写真と異なる場合があります。
のし紙をご希望の場合は、ご注文の前にお問い合わせから、お祝いの種類、表書き、下の段に入れるお名前をお知らせください。ご注文の備考欄に書いていただくこともできます。
届いた印鑑に、自分でのし紙を掛ける手順
のし紙は、文具店や100円ショップ、百貨店の包装用品の売り場で手に入ります。ご自宅で掛ける場合は、次の順に進めてください。
- 01包装は「通常梱包」で注文する箱のままのほうが、のし紙を掛けやすくなります。お届け先はご自宅にします
- 02箱の大きさに合うのし紙を選ぶ印鑑の箱は小さいので、A5かB5のサイズを選びます。細長い「短冊のし」を箱の右上に貼る方法もあります
- 03掛ける前に、表書きと名前を書く箱に掛けてからでは書きにくくなります。別の紙で一度練習しておくと、書き損じを防げます
- 04水引が箱の中央に来るように掛けるのし紙の端を箱の裏に回し、右側が上になるように重ねて、テープでとめます。左を上にするのはお悔やみのときの重ね方です
- 05上から包むか、そのまま渡すかを決める包めば内のし、包まなければ外のしです。手渡しなら、そのまま風呂敷や紙袋に入れて持参します
よくある質問
のしとリボンを、両方付けてもよいですか
どちらか一方にします。水引もリボンも、贈り物を結んで飾るためのものですので、両方付けると役目がかぶってしまいます。あらたまったお祝いにはのし紙、気軽に渡すときにはリボンや飾りひも、と使い分けてください。
印鑑をもらった場合、お返しは必要ですか
ご両親やお祖父様・お祖母様からのお祝いなら、お返しの品を贈るよりも、印鑑を使っている様子を伝えるほうが喜ばれます。友人や職場の方からのお祝いには、「内祝」の表書きでお返しをするのが一般的です。目安は、いただいた品の値段の3分の1から半分ほどで、1か月以内に贈ります。
相手が喪中のときに、お祝いの印鑑を贈ってもよいですか
四十九日を過ぎていれば、贈ってもかまわないとされています。紅白の水引が気になる場合は、のしを掛けずに、落ち着いた色の包装でお渡しください。就職のお祝いのように使う日が決まっているときは、時期を逃さずに渡すほうがよいでしょう。
印鑑は「縁を切る」につながるので、お祝いに向かないと聞きました
刃物やハンカチには「縁を切る」につながるという言い伝えがあり、印鑑も同じように言われることがあります。ただ、印鑑には、刃物のように切ることを思わせる要素はありません。成人や結婚、開業といった門出に、昔から贈られてきた品です。言い伝えについては、印鑑を贈ると縁起が悪い?言い伝えの真相と実際に困ることで詳しく説明しています。
まとめ|のしは、掛けるかどうかから順に決めます
のしの準備は、次の順に進めます。まず、誰の前で渡すかと相手との間柄から、掛けるかどうかを判断します。掛けるなら、お祝いの種類に合わせて水引と表書きを選び、下の段に入れる名前を書き出しておきます。そのうえで、配送なら内のし、手渡しなら外のしにします。最後に、ご注文の包装を選びます。のし紙をご自分で掛けるなら通常梱包、包装だけで贈るなら青か赤が合います。
のしの似合う、桐箱入りの印鑑セット
京都の職人が1本ずつ彫刻します。個人用の2本セットと3本セットは、桐箱か化粧箱を追加料金なしでお選びいただけます。包装は青と赤の2種類、送料は無料です。