CHAPTER 15 人生の節目・記念
結婚祝いに印鑑を贈る|新姓で作る実印・銀行印の選び方
結婚祝いに印鑑を贈る方へ、新姓か名のみかの決め方、贈る相手ごとの種類と本数、夫婦2人分の揃え方、素材と直径、相場、入籍後に渡す理由と結び切りののしまで、表で整理して解説します。
公開日: 2026年9月24日
結婚祝いに印鑑を贈ろうと考えたとき、迷いやすいのは「新しい姓で作るのか」「何本贈ればよいのか」です。結婚すると夫婦のどちらかの姓が変わるため、ほかのお祝いとは違って、彫る名前と渡す時期に気をつけることがあります。ここでは、彫る名前の決め方、贈る相手ごとの種類と本数、夫婦2人分の揃え方を順に説明します。素材と直径、相場、渡す時期とのしもあわせて取り上げます。
入籍して新しい姓が決まってから注文し、姓が変わった方には新姓のフルネームか名のみで作ります。姓が変わらない方は、今の印鑑をそのまま使えます。2人分を贈るなら、改姓した方には実印と銀行印を、もう1人にはまだ持っていない種類を選びます。
結婚で印鑑が必要になる理由
今の制度では、結婚すると夫婦のどちらかが必ず姓を改めます。法務省の資料では約94%の夫婦が夫の姓を選んでおり、改姓するのは多くの場合、妻の側です。姓を彫った実印は登録し直しになり、銀行印も口座の名義を変えるときに、新しい姓の印鑑へ改印します。
| 改姓した方 | 改姓しない方 | |
|---|---|---|
| 実印 | 旧姓で作った実印の登録は使えなくなる。新姓の印鑑で登録し直す | そのまま使える |
| 銀行印 | 姓を彫ったものは、口座の名義変更とあわせて改印する | そのまま使える |
| 認印 | 新姓で作り直す | そのまま使える |
| 名のみで作っていた印鑑 | 実印・銀行印ともそのまま使える | そのまま使える |
| 贈り物に向く印鑑 | 新姓の実印と銀行印、または名のみで作る2本 | まだ持っていない種類を1本 |
改姓した方にとって、結婚祝いの印鑑は新しい姓で最初に作る1本になります。改姓しない方には、これから夫婦で家や車を買うときに備えて、まだ持っていない種類を選びます。
贈る相手によって、種類と本数が変わる
| 贈る相手 | 向く印鑑 | 理由 |
|---|---|---|
| 改姓する娘さん・息子さんへ(親から) | 新姓の実印・銀行印の2本セット、または3本セット | 新姓で最初に揃える印鑑になる |
| 夫婦2人へ(親・親族から) | それぞれの実印を1本ずつ | 家や車の契約で、2人とも実印が必要になることがある |
| 友人へ | 改姓した方の認印、または名のみの銀行印 | 実印は本人の好みが出やすく、日常で使う印鑑のほうが受け取りやすい |
| 同僚へ | 新姓の認印 | 職場で新姓を使い始めるときに役立つ |
親からは、新姓で最初に揃える実印と銀行印が向きます。友人や同僚からなら、毎日使う認印を選ぶと、職場ですぐに使ってもらえます。親と親族がそれぞれ印鑑を用意して、重なってしまうことがあります。身内で贈るときは、誰が何を用意するかを先に相談しておいてください。
彫る名前は、新姓のフルネームか名のみか
改姓した方の実印は、新姓のフルネームで作るのが一般的です。ただ、名だけを彫るという選択肢もあります。
| 彫る名前 | 利点 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 新姓のフルネーム | 本人だけの印鑑になり、配偶者や家族と取り違えない | 入籍後、住民票に新姓が反映されてから注文する |
| 名のみ | この先姓が変わることがあっても、そのまま使える | 実印として登録できるかは自治体の条件による。夫婦で同じ名なら区別がつきにくい |
| 新姓のみ | 文字数が少ないぶん、1字を大きく彫れる | 配偶者と同じ文字になり、印影の区別がつかない |
1本の実印を、夫婦2人で登録することはできません。2本に分けて作っても、同じ姓だけを彫ると印影がよく似て、どちらが押したのか見分けにくくなります。夫婦それぞれの実印はフルネームか名のみで彫り、印影を分けてください。
結婚前から名のみの実印を持っている方は、改姓してもそのまま使えます。これから名のみで作る場合は、実印として登録できるかを自治体に確かめておく必要があります。迷うなら、新姓のフルネームで作るのが確実です。女性の場合の名前の決め方は、女性の実印の選び方で詳しく説明しています。
夫婦2人分を贈るなら、揃える部分と分ける部分がある
| 項目 | 揃えるか分けるか | 理由 |
|---|---|---|
| 素材 | 揃えてよい | 並べたときに対になり、夫婦への贈り物らしくなる |
| 彫る名前 | 必ず分ける | 姓だけでは2本の印影を見分けられない。フルネームか名のみで彫る |
| 直径 | 分けると見分けやすい | 男性は15〜16.5mm、女性は13.5〜15mmがよく選ばれる |
| 書体 | 揃えてよい | 実印には吉相体か篆書体が向く |
| ケースの色 | 分ける | 手に取ったときに取り違えない |
| 保管場所 | 分ける | それぞれの印鑑登録証とも別の場所にしまう |
素材と書体を揃えれば2本に統一感が出て、名前と直径、ケースの色を分ければ取り違えません。夫婦セットの選び方は、結婚祝いに夫婦の印鑑セットをにまとめています。
書体を夫婦で揃えても、印影は名前で分かれる
実印と銀行印には、押した跡から文字を読み取りにくく、まねされにくい書体が向きます。認印は反対に、誰が見ても読める字のほうが向いています。夫婦で同じ書体を選んでも、彫る名前が違うので印影は別々になります。
| 書体 | 実印 | 銀行印 | 認印 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 吉相体 | ◎ | ◎ | △ | 文字の線が外枠につながるため枠が欠けにくく、字も読み取りにくい |
| 篆書体 | ○ | ◎ | △ | 最も古い書体のひとつ。余白が残り、整った印象の印影になる |
| 古印体 | ○ | ○ | ◎ | 線に強弱があり、やわらかく読みやすい |
| 楷書体 | △ | △ | ◎ | 普段書く文字に最も近く、誰が見ても読み取れる |
直径と素材の決め方
| 直径 | 向く文字数 | 選ばれ方 |
|---|---|---|
| 13.5mm | 名のみ(2〜3文字) | 女性の実印で最もよく選ばれる |
| 15mm | 5〜8文字 | 男女を問わず最もよく選ばれる。夫婦どちらにも合う |
| 16.5mm | 8〜10文字 | 男性の実印や、姓名の文字数が多い方に向く |
| 18mm | 10文字以上 | 文字数が特に多い場合に向く |
| 素材 | 価格の目安 | 耐久性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 黒水牛 | 12,200円〜 | ★★★★☆ | 深い黒につやがある。最もよく選ばれる定番の素材 |
| チタン | 16,700円〜 | ★★★★★ | すり減りも欠けもほとんど起きず、手入れが要らない |
| 白水牛 | 19,100円〜 | ★★★★☆ | 乳白色で明るい。模様が1本ずつ違う |
| 白檀 | 31,200円〜 | ★★★★☆ | 香りのある銘木。記念の1本として選ばれる |
| 本象牙 | 31,200円〜 | ★★★★★ | 朱肉ののりがよく、印影が鮮明に出る最高級の印材 |
結婚祝いでは、色の明るい白水牛や、香りのある白檀を選ぶ方が多くいます。白水牛は模様が1本ずつ違うため、夫婦2人分を同じ素材で揃えても、2本の見た目にそれぞれ違いが出ます。
結婚祝いの相場と、印鑑を渡す時期
| 贈る側 | 相場の目安 | 印鑑で選べる範囲 |
|---|---|---|
| 親 | 50,000円〜100,000円 | 夫婦それぞれの実印、または新姓の3本セットを上位の素材で |
| 兄弟姉妹・親族 | 30,000円〜50,000円 | 夫婦の実印を1本ずつ、または改姓した方の2本セット |
| 友人 | 10,000円〜30,000円 | 改姓した方の認印や銀行印を1本 |
| 同僚 | 5,000円〜10,000円 | 新姓の認印 |
| 項目 | 結婚祝いの場合 | 補足 |
|---|---|---|
| 渡す時期 | 入籍後、新しい姓が決まってから | 入籍前に新姓で作ると、予定が変わったときに使えなくなる |
| 注文の目安 | 入籍の報告を受けてから | 住民票に新姓が反映されているか確認する |
| 表書き | 寿、御結婚御祝 | 「御祝」でもよい |
| 水引 | 紅白の結び切り | 「繰り返さない」という意味を持つ。蝶結びは使わない |
| 名入れ | 表書きの下に贈り主の名前 | 連名なら目上の方を右に書く |
出産や入学のように何度あってもよいお祝いには蝶結びを使います。結婚は一度きりが望ましいお祝いなので、ほどけない結び切りにします。印鑑は式の当日に渡すよりも、入籍して新しい姓が決まってから渡すほうが確実です。
入籍から渡すまでの流れ
-
入籍
入籍の報告を受けたら、どちらが改姓したかを確かめる
届け出の直後は、住民票の姓が変わっていないことがあります。この段階では、まだ注文しないでおきます。
-
数日〜
住民票に新姓が反映されたら、字体を確かめる
改姓した方に、住民票に載っている新しい姓の字を見てもらいます。配偶者の姓が旧字体かどうかは、本人も知らないことがあります。
-
注文
本数・名前・直径・素材を指定して注文する
夫婦2人分なら、素材を揃えて名前と直径を分けます。のしは結び切りにします。
-
受け取り後
用途を伝えて手渡す
実印は登録が必要なこと、旧姓の印鑑は手続きが済むまで残しておくことを伝えてください。
友人や同僚へ贈るなら、実印は避ける
親や親族からは実印が向きますが、友人や同僚から贈る場合は事情が変わります。実印は素材や直径に本人の好みが出やすく、何十年も使う品を家族以外の人が決めることになります。日常で使う認印か、名のみの銀行印のほうが、相手も気軽に受け取れます。
| 贈るもの | 向く理由 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 新姓の認印 | 職場で新姓を使い始めるときにすぐ役立つ | 新しい姓の字体を本人に確かめる |
| 名のみの銀行印 | 好みに左右されにくく、改姓後も使える | すでに名のみの銀行印を持っていないか確かめる |
| 印鑑ケースや朱肉 | 親から印鑑が贈られる場合でも重ならない | ケースは印鑑の直径に合うものを選ぶ |
贈る前に確かめること
注文の前に確かめる4つのこと
- どちらが改姓するか、入籍日はいつか 姓を彫る場合は、新しい姓が決まるまで注文できません。入籍の報告を受けてから進めてください。
- 新姓の正しい字体 旧字体や異体字かどうかは、本人も知らないことがあります。住民票の表記を確かめてもらってください。
- すでに持っている印鑑 改姓しない方は、今の印鑑をそのまま使えます。名のみで作った印鑑なら、姓が変わっても作り直しは要りません。
- 2人分か、改姓した方だけか 親や親族なら2人分、友人なら改姓した方に1本というように、相手との関係で決めます。
渡すときに伝えておきたいこと
受け取った2人が迷わないように伝える3つのこと
- 印鑑は市区町村に登録して初めて実印になること 改姓した方は、住民票に新姓が反映されたあとに市区町村で登録します。旧姓で登録していた実印の扱いも、そのとき窓口で確かめるとよいでしょう。
- 口座の改印は早めに済ませること 給与が振り込まれる口座などは、名義を新しい姓に変える手続きと一緒に改印します。届け出ている口座を一覧にしてから回ると、漏れを防げます。
- 旧姓の印鑑は手続きが済むまで残すこと 銀行で改印するときは、それまで届け出ていた旧姓の印鑑が必要になることがあります。すべて済んでから処分するか、仕事で旧姓を使うなら残しておきます。
手続きの順番は、結婚で印鑑を変える順番にまとめています。渡すときに手紙で一言添えるか、このページを一緒に見ながら話すと伝わりやすくなります。
よくある質問
式の日に渡したいのですが、入籍が式のあとです
姓を彫る場合は、入籍して住民票に新しい姓が載ってから注文します。式の当日は目録や手紙を渡し、入籍後に改めて印鑑を手渡す方法があります。名のみで作るなら、入籍前でも注文できます。
改姓しない側にも贈るべきですか
2人分を贈るなら、改姓しない方にはまだ持っていない種類を選びます。家や車の契約では夫婦2人とも実印が必要になることがあるため、実印がなければその1本が向きます。
旧姓の印鑑はどうすればよいですか
実印は新しい姓の印鑑で登録し直し、銀行印は改印します。住民票に旧氏を併記していれば、旧氏の印鑑を実印として登録できる場合もあります。認印は、仕事で旧姓を使い続けるなら残しておくとよいでしょう。
妻の姓を名乗る夫婦の場合、贈り方は変わりますか
考え方は同じで、改姓した方に新姓の実印と銀行印を贈ります。改姓するのが男性であれば、その方の印鑑が作り直しになります。直径は性別ではなく、彫る文字数で選んでください。
開運印鑑を結婚祝いに贈るのはどうでしょうか
開運印鑑は、姓名を鑑定したうえで印影を設計する印鑑です。改姓した方は新しい姓で鑑定するため、入籍後に注文します。運勢が変わると約束する品ではないので、新しい家庭への願いを込めた記念の印鑑として渡すとよいでしょう。
印鑑を結婚祝いに贈るのは縁起が悪いと聞きました
結婚祝いで避けるとよく言われるのは、包丁やはさみのように「切る」道具や、陶器やガラスのように割れる品です。「縁が切れる」「割れる」を連想させるためで、印鑑はこれに当たりません。改姓した方にとっては、ちょうど印鑑を作り直す時期の贈り物になります。のしを結び切りにするなど、結婚祝いの作法を守って贈れば問題ありません。
まとめ|入籍を確かめてから、相手・名前・揃え方の順に決める
まず、入籍してどちらの姓が変わったかを確かめます。次に、贈る相手との関係から種類と本数を決めます。親からなら2人分の実印、友人からなら改姓した方の認印が目安です。続いて、改姓した方の印鑑に彫る名前を、新姓のフルネームか名のみから選びます。
2人分を贈るなら、素材と書体を揃え、名前と直径、ケースの色を分けます。最後に、住民票に新しい姓が載ったことを確かめてから、結び切りののしを付けて注文してください。
新しい姓で最初に使う印鑑をお作りします
改姓した方の実印・銀行印の2本セットは、印影と直径を分けて設計します。夫婦2人分を同じ素材で揃えることもできます。のしは結び切りでご用意します。
実印・銀行印の2本セットを見る