CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
印鑑のプレゼントで名前の漢字を間違えない|旧字・異体字の確かめ方
印鑑を贈る前に、相手の名前の漢字を確かめたい方へ。「髙」「﨑」「邊」「齋」など間違えやすい旧字・異体字の一覧、確かめる手がかりの信頼できる順番、サプライズのままご家族に聞く方法、戸籍とふだんの字が違うときの決め方、パソコンで入力できない字の注文方法を説明します。
公開日: 2026年9月24日
印鑑を贈るときにいちばん避けたい失敗は、名前の漢字の間違いです。「高橋」さんだと思っていたら戸籍は「髙橋」だった、「斉藤」さんは本当は「齋藤」だった。こうした行き違いは、長い付き合いの相手でも起こります。旧字や異体字は見た目の差が小さいので、気づかないまま注文してしまいがちです。印鑑は彫ったあとで文字を直せませんので、注文の前に確かめるしかありません。
名前の漢字は、メールや年賀状の印刷の字ではなく、本人かご家族に住民票や手書きの字を写真で送ってもらって確かめます。実印として登録する印鑑は、住民票に記録された氏名の字で彫るのが基本です。住民票や印鑑登録証明書の字がいちばん確実です。銀行印や認印は、本人がふだん使っている字で作ってもかまいません。パソコンで入力できない字は、当店の旧字体リストの記号か、字の特徴を備考欄に書いてご注文ください。「印影のご確認」を選ぶと、彫る前のデザインをメールでお送りしますので、本人やご家族に見てもらえます。
印鑑で間違えやすい旧字・異体字の一覧
読み方も意味も同じなのに、形が少しだけ違う漢字を「異体字」といいます。そのうち、戦後に画数を減らすなどして字の形が改められる前の形を「旧字(旧字体)」と呼びます。名字や名前には、こうした字がいまも数多く使われています。法務省が戸籍の手続きのために整理した「戸籍統一文字」には、5万字を超える文字が収められています。
印鑑のご注文で、とくに確認が必要になる字を挙げます。
高と髙
髙橋、髙田、髙木まん中が「口」ではなく、はしごの形になっています。「はしごだか」と呼ばれます崎と﨑
山﨑、宮﨑、岡﨑右上が「大」ではなく「立」です。「たつさき」と呼ばれます辺と邊邉
渡邊、渡邉、田邊形の違う字が10種類以上あります。口頭では伝えきれない字の代表です斉と齊
斉藤、齊藤「斉」の旧字が「齊」です。「斎」とは別の字です斎と齋
斎藤、齋藤「斎」の旧字が「齋」です。「齊」と違い、下の部分が「示」になっています浜と濱
濱田、濱口、横濱右側の形が違う「濵」もあります沢と澤
澤田、小澤、藤澤年賀状では「沢」、戸籍は「澤」という方もいます広と廣
廣瀬、廣田、末廣「瀬」にも旧字の「瀨」があり、2文字とも確認が要ります島と嶋嶌
中嶋、小嶋、嶌田「山」の位置が違います。読みが同じなので、聞いただけでは区別できません吉と𠮷
𠮷田、𠮷川、𠮷野上が「士」ではなく「土」です。「つちよし」と呼ばれます徳と德
德永、德田「心」の上に横線が1本入ります。「恵」と「惠」、「真」と「眞」も同じように確認します桜と櫻
櫻井、櫻子下の名前にも旧字は使われます。「栄」と「榮」、「寿」と「壽」、「竜」と「龍」など法務省が公表している「子の名に使える漢字」には、「櫻」「龍」「眞」「惠」のような旧字の一部も入っています。いまも赤ちゃんの名前に付けられる字です。年配の方の名前に限った話ではありませんので、若い方へ贈る場合にも確認が必要です。
「はね」や「とめ」が違っても、別の字にはなりません
一方で、気にしなくてよい違いもあります。「木」の縦の線をはねるか、とめるか。「令」の下を「マ」のように書くか、印刷の字のように書くか。文化庁の指針では、こうした違いは同じ字の書き方の幅で、どちらも誤りではないとしています。手書きの署名と印刷の字で形が違って見えても、骨組みが同じなら同じ字です。
見分ける目安は、「線や点の数、部品そのものが違うかどうか」です。「高」と「髙」は部品が違いますので、別の字として確認します。
名前の字を間違えると、何に困るのか
登録できないことがあります
住民票の字で彫る実印は、市区町村に登録して使う印鑑です。京都市の案内では、登録できるのは「住民基本台帳に記録されている氏名等を構成する文字を表している」ものです。住民票が「髙」の方が「高」で彫った印鑑を受け付けてもらえるかは、窓口の判断になります。
確かめる相手本人、または同居のご家族
届け出はできますが、気持ちの問題が残ります
ふだんの字でもよい銀行印は届け出た印影と照らし合わせて使うもので、名前の字体が住民票と同じかまでは問われないのがふつうです。ただ、通帳の名義が「濱田」の方に「浜田」と彫って贈ると、受け取った方は字の違いに気づきます。
確かめる相手本人、ご家族、親しい友人
本人が使っている字に合わせます
職場で使う字を確かめる戸籍は「渡邊」でも、職場では「渡辺」で通している方もいます。仕事で使う認印なら、名刺や社員証と同じ字で作るほうが使いやすいこともあります。
確かめる相手本人
どの印鑑でも、間違えて彫った字は、印面を削って彫り直すしかありません。印鑑が短くなるうえ、費用も日数もかかります。
名前の字を何で確かめるか|信頼できる順に
相手の名前が書かれたものは身のまわりにいくつもありますが、どれも同じように信頼できるわけではありません。
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住民票、戸籍、印鑑登録証明書役所が記録している正式な字です。実印はこの字で彫ります
本人かご家族でなければ、まず目にしない書類です。ご家族に頼んで、写真を送ってもらいます -
本人が手で書いた氏名婚姻届や契約書の署名、芳名帳、手書きの年賀状
本人が自分の字をどう意識しているかが分かります。急いで書いた略字には注意します -
卒業証書、賞状、表札、結婚式の席札ご家族や学校が、字を確かめたうえで作ったもの
実家に飾ってあれば、本人に知られずに見られます -
名刺、社員証、印刷された年賀状パソコンで入力して印刷したもの
入力できない字を、ふつうの字に置き換えていることがあります -
メール、メッセージアプリ、SNSの表示名スマートフォンで入力した字
変換で最初に出てきた字を、そのまま使っていることがよくあります
サプライズでも、ご家族には聞きましょう
内緒で贈りたい場合でも、本人以外の誰かには確かめてください。相手のご両親やごきょうだい、配偶者の方なら、正式な字をご存じのことが多いでしょう。聞くときは口頭の説明で済ませず、字を書いたものを写真で送ってもらうのがこつです。
「お母さん、健太さんの就職祝いに印鑑を贈りたいんです。本人には内緒で。名字の『わたなべ』の『なべ』は、どの字ですか」何のために聞くのかを先に伝えると、相手もていねいに確かめてくれます
「むずかしいほうの『なべ』よ。でも、似た字がいくつもあるらしくて」
「住民票の写しか、健太さんが自分で名前を書いたものがあれば、その部分を写真で送ってもらえますか。大きく写してもらえると助かります」「邊」と「邉」のような違いは、言葉で説明されても区別がつきません。画像で受け取りましょう
「分かった。あとで送るね。下の名前は、健康の『健』に太いの『太』で合ってるわ」
本人に直接聞ける場合は、「印鑑を贈りたいから、住民票どおりの字を教えて」とお願いするのがいちばん確実です。サプライズにするか、本人と一緒に選ぶかで迷っている方は、成人祝いの印鑑はサプライズで大丈夫?本人と選ぶ場合との比較も参考にしてください。
戸籍の字とふだんの字が違うときは、どちらで彫るか
確かめてみたら、「戸籍は『髙』だけれど、ふだんは『高』と書いている」という答えが返ってくることがあります。どちらで彫るかは、印鑑の使い道で決めます。
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その印鑑を、実印として登録しますか
登録する住民票に記録されている字で彫ります。ふだんの字で作りたい場合は、その字で登録できるかを、市区町村の窓口に先に確かめてください登録しない。銀行印や認印として使う次の質問へ進みます -
本人は、どちらの字に愛着を持っていますか
戸籍の字を大切にしている戸籍の字で彫ります。「正しい字で作ってくれた」と喜んでもらいやすい選び方ですふだんの字で通している、またはどちらでもよいふだんの字でかまいません。通帳の名義や職場で使う字とそろえると、使うときに迷いません
実印と銀行印をセットで贈る場合は、2本とも戸籍の字にそろえておくと、字の違いを気にせず使えます。結婚のお祝いで新しい姓の印鑑を贈るなら、新しい姓が戸籍でどの字なのかを確かめる必要があります。入籍の前に贈る場合の注意は、結婚祝いの印鑑は新姓で作る?入籍前に確認したいことで説明しています。
パソコンで入力できない字を注文する方法
「髙」や「﨑」は入力できます。一方で、「邊」の細かな違いや、点があるかないかだけが違う字は、パソコンやスマートフォンでは出せないことがあります。当店では、次の手順でご注文いただけます。
- 01お名前の欄には、入力できる近い字を入れる「渡邊」の字が出せなければ、「渡辺」と入力します。姓と名の間にはスペースを入れてください
- 02「主な旧字体リスト」から、彫りたい字の記号を探す商品ページのお名前の欄の下にあるリンクを押すと、下の一覧表が開きます。「斉のB」のように、字と記号を控えます。「辺」は2段あるので、「辺の1段目のC」のように段も控えてください
- 03備考欄に、字と記号を書く例:「姓の『辺』は、旧字体リストの『辺の1段目のC』でお願いします」。リストにない字は、「『吉』の上が『土』の字」のように特徴を書いてください
- 04「印影のご確認」で「確認する」を選ぶ彫る前の印影のデザインをメールでお送りします。届いた画像を本人やご家族に転送して、字が合っているかを見てもらってください
字の説明に自信がないときは、法務省の「戸籍統一文字情報」のページが役に立ちます。読みや画数、部首から字を探せて、どの字にも6桁の番号が付いています。備考欄にこの番号を書いていただければ、どの字のことかを取り違えずに済みます。それでも説明がむずかしい字は、ご注文の前にお問い合わせからご相談ください。
篆書体や印相体では、字の形がふだんと変わります
実印や銀行印によく使われる篆書体(てんしょたい)と印相体(吉相体)は、古い時代の漢字の形をもとにした書体です。そのため、いまの字とも旧字とも違う形になる字があります。印影を見ても、「髙」なのか「高」なのか見分けにくいことがあります。「印影のご確認」で届いたデザインに気になる字があれば、メールでおたずねください。読みやすさを優先したい認印には、古印体や隷書体をおすすめしています。
注文の前に見直したい5つの項目
注文ボタンを押す前に
- 名字と名前のすべての字を確かめましたか 「廣瀨」のように、2文字とも旧字という名前があります。むずかしい字が1つ見つかると、残りの字の確認を忘れがちです。
- 字は、口頭ではなく画像か手書きで受け取りましたか 「むずかしいほうの字」という説明では、字を1つに決められません。
- 同じ読みの別の字と、取り違えていませんか 「さいとう」なら斉藤・斎藤・齊藤・齋藤、「いとう」なら伊藤・伊東、「あべ」なら阿部・安倍・安部があります。読みが同じ名字は、字を1つずつ見比べてください。
- 結婚や養子縁組で、姓が変わる予定はありませんか 近く姓が変わる方には、下の名前だけで彫った印鑑を贈るという選択肢もあります。
- 「印影のご確認」を「確認する」にしましたか 旧字や異体字を含むお名前なら、選んでおくと安心です。確認のやり取りがあるぶん、お届けが遅くなることがあります。
よくある質問
旧字で彫ると、追加の料金がかかりますか
かかりません。旧字や異体字で彫っても、価格は変わりません。職人が1字ずつ字の形を確かめて印影をデザインしますので、画数の多い字でもお作りできます。
下の名前だけの印鑑にすれば、字の確認は楽になりますか
むずかしい字が名字だけにある方なら、確かめる字は減ります。下の名前だけの印鑑は、銀行印としても、市区町村によっては実印としても登録できます。彫る名前の決め方は、成人祝いの印鑑に彫る名前|姓・名・フルネームはどう決める?をご覧ください。
どうしても正式な字が分からないときは、どうすればよいですか
字を確かめられないまま注文するのは、おすすめしません。サプライズをあきらめて本人に聞く方法があります。または、お祝いの当日に「印鑑を贈ります」と書いたカードを渡し、あとで本人と一緒に注文する方法もあります。贈る前に確かめたい点は、印鑑のプレゼントは嬉しくない?贈る前に確認したい5つのことにまとめています。
ひらがなやカタカナの名前でも、確認は必要ですか
必要です。かなにも、「ゑ」「ヱ」「ゐ」のような古い字や、小さい「ヶ」と大きい「ケ」の違いがあります。漢字と同じように、書いた字で確かめてください。
まとめ|名前の字を確かめてから注文するまでの順番
まず、贈る印鑑を相手が実印として登録するかどうかを考えます。登録するなら住民票の字、銀行印や認印ならふだん使っている字が基準になります。次に、本人かご家族に頼んで、その字を画像で送ってもらいます。戸籍の字とふだんの字が違っていたら、相手が大切にしているほうの字を選びます。注文では、入力できない字を旧字体リストの記号か字の特徴で備考欄に書きます。最後に「印影のご確認」を選び、届いたデザインで字が合っているかを見てもらってから彫刻に進みます。
名前の字を確かめたら、贈る印鑑を選ぶ
京都の職人が1本ずつ彫刻します。旧字や異体字でも価格は変わりません。彫る前の印影の確認は無料で、送料も無料です。5年間の保証が付きます。