CHAPTER 01 印鑑の基礎知識
印鑑は今も必要?押印が残る手続き・要らなくなった手続きを場面別に
役所の手続きの多くで、押印は要らなくなりました。それでも、住宅ローンや車、相続のように財産が動く手続きでは、今も実印と印鑑証明書を使います。押印が残る手続きと要らなくなった手続きを、暮らしの場面ごとに分けて説明します。
公開日: 2026年10月10日
役所の書類から押印欄が消え、婚姻届も印鑑なしで出せるようになりました。電子契約やネット銀行も広がり、「もう印鑑は作らなくていいのでは」と考える方もいるでしょう。一方で、車を買うときやご家族の相続で、急に実印と印鑑証明書を求められて慌てる方もいます。この記事では、今も印鑑が要る手続きと、要らなくなった手続きを、暮らしの場面ごとに分けてお話しします。
印鑑は今も必要です。押印が要らなくなったのは、主に毎日の書類や役所への届け出です。財産が動く手続きには、今も押印が残っています。住宅ローンを組むときの登記、車の名義変更、相続の書類では、実印と印鑑証明書がそろわないと手続きが進みません。銀行の窓口では、口座に届け出た印鑑で本人を確かめます。用途の違う実印・銀行印・認印を分けて持っておくと、どの手続きでも慌てずに済みます。
脱ハンコで、何が変わったのか
2020年から、国は行政手続きで押印を求めるかどうかを見直してきました。内閣府の集計では、押印を求めていた国の行政手続きは15,611種類ありました。このうち15,493種類で、押印をやめることが決まりました。残る118種類は、押印を続けます。
2021年3月31日時点
- 印鑑証明書を
付けるもの52種類 - 登記・登録の
印を押すもの66種類
出典:内閣府「押印を求める行政手続の見直し方針(根拠別集計)」。国の行政手続きについての集計で、民間の契約は含みません。
数で見ると、押印が残った手続きは1%に届きません。ただ、その中身は不動産の登記や自動車の登録のように、本人確認をとくに厳しく行うものです。認印でよかった手続きでは、押印がすべてなくなりました。今も押印が残るのは、実印か、登記・登録した印鑑でなければ通らない手続きです。
場面別|今も印鑑を使う手続き、使わなくなった手続き
暮らしの中でよくある手続きを、どの印鑑を使うかで分けました。丸の中の字が、その場面で押す印鑑です。
- 実実印+印鑑証明書
- 銀口座に届け出た銀行印
- 認認印
- -押印なしで出せる
財産が動くとき
住宅ローンを組んで家を買う家を担保に入れる登記(抵当権の設定)で、家の持ち主になる方が実印を押し、印鑑証明書を付けます
実普通自動車を売る、買う名義変更では、譲る方も譲り受ける方も実印を押し、発行から3か月以内の印鑑証明書を出します
実ご家族の相続で遺産を分ける相続税の特例を受けるときは、相続人全員の実印を押した遺産分割協議書と印鑑証明書が要ります
実銀行の手続き
窓口での払い戻し、住所や名前の変更口座を作るときに届け出た印鑑と、書類の印影を見比べます
銀口座振替の申し込み税金を口座振替で納めるための依頼書にも、銀行印を押します
銀毎日の書類
入社の書類、社内の申請印鑑を求める会社もあれば、サインで済ませる会社もあります
認宅配便や書留の受け取り認印かサインで受け取れます
認押印が要らなくなった手続き
婚姻届、出生届などの戸籍の届け出2021年9月から押印は任意です。記念に押したい方は、今も押せます
-確定申告など、税務署に出す書類の多く2021年4月から押印は要りません
-財産が動く手続きで実印が求められるのには、理由があります。書類に押された印影を印鑑証明書と見比べれば、本人が手続きしたと確かめられるからです。家を買うときの準備は住宅ローンの実印はいつまでに作る?、車の場合は初めて車を買うときの実印でご案内しています。なお、軽自動車の手続きでは、実印は要りません。
銀行の手続きでは、今も銀行印を使う
銀行の窓口では、口座を作るときに届け出た印鑑(銀行印)が、本人確認の手がかりになります。払い戻しや住所変更の書類に押した印影を、銀行が届け出の印影と見比べるしくみです。全国銀行協会は、キャラクターものの印鑑やゴム印・イモ判は銀行印に使えないと説明しています。ただし、ゴム印などの扱いは銀行によって違います。
最近は、印鑑を届け出ずに作れる口座を用意する銀行もあります。ただ、その場合の手続きの方法は、銀行ごとに違います。また、これまでに作った口座では、そのときに届け出た印鑑を今も使います。銀行印がなぜ要るのかは、銀行印は必要?で詳しくお話ししています。
会社を作るとき、仕事で使うとき
会社を作るときは、法務局に会社の実印を届け出るのが一般的です。2021年2月15日から、登記をオンラインで申請する場合は、印鑑の届け出が任意になりました。ただ、届け出をしていないと、会社の印鑑証明書は取れません。契約や銀行の手続きでこの証明書を求められることを考えると、届け出ておくほうが安心です。
仕事の書類では、請求書や見積書に会社の角印を押す習慣も続いています。法律で決まった押印ではありませんが、取引先から求められることがあります。会社の実印の役割と届け出は、会社実印とは?でまとめています。
これから印鑑を持つなら|3本に分ける理由
ここまでの場面を見ると、必要な印鑑は実印・銀行印・認印の3つに分かれます。1本で全部を済ませると、宅配便の受け取りに押す印鑑が、実印や銀行印でもあることになります。毎日の書類に押すたびに、財産の手続きに使う印鑑の印影まで人目に触れてしまいます。
- 15歳〜印鑑登録ができる京都市では15歳から、実印を登録できます
- 就職口座と入社書類口座に届け出る銀行印と、入社書類に押す認印を使います
- 結婚口座の名義変更姓が変わったときの届け出に、銀行印を使います
- 家・車実印と印鑑証明書住宅ローンの登記や、車の名義変更で使います
- 相続相続人全員の実印遺産分割協議書に実印を押し、印鑑証明書を付けます
実印は、注文してから役所に登録するまでに日数がかかります。必要になってから急がずに済むよう、銀行印や認印をそろえるときに、実印も一緒に作っておくことをおすすめします。3本の役割の違いは、実印とは?銀行印・認印との違いと登録までの流れで説明しています。
よくある質問
マイナンバーカードがあれば、実印は要りませんか
オンラインで済む手続きなら、マイナンバーカードの電子署名で代えられるものがあります。ただ、車の名義変更や住宅ローンの登記を書面で手続きするなら、実印と印鑑証明書を使います。相手の会社が書面の契約を求める場合も同じです。
婚姻届に、記念に印鑑を押してもいいですか
押せます。押印の義務はなくなりましたが、届け出る方が希望すれば押してよいと、法務省が説明しています。
印鑑を1本も持っていないと、困ることはありますか
ふだんの暮らしで困る場面は減りました。困るのは、急に実印が必要になったときです。印鑑登録には印鑑そのものが要るので、作るところから始めることになります。
シャチハタがあれば、認印はなくてもいいですか
宅配便の受け取りのような場面なら、使えることが多いです。ただ、役所や銀行、会社の書類では断られることがあります。理由は認印にシャチハタは使える?をご覧ください。
まとめ|自分に必要な印鑑を確かめる順番
まず、この先数年の予定を思い浮かべます。住宅ローンを組む、車を買う、相続の手続きをする。どれかに当てはまれば、実印が要ります。次に、銀行の窓口で手続きする口座があるかを確かめます。あれば、その口座に届け出た銀行印が要ります。
最後に、毎日の書類にどの印鑑を押しているかを見直します。実印や銀行印をふだん使いにしているなら、認印を別に作ります。実印・銀行印・認印のうち足りない印鑑が分かれば、何本作ればよいかが決まります。
通常3〜7営業日で発送、送料無料、5年保証です。実印だけ持っている方には、銀行印・認印の2本セット(11,500円〜)もあります。