CHAPTER 02 個人の印鑑
実印はいつ必要?車・住宅・相続など使う場面を整理
実印が必要になるのは、自動車の登録、住宅の売買と登記、住宅ローンや保証人の契約、相続の遺産分割、公正証書の作成など、権利やお金が大きく動く場面です。場面ごとに求められる書類、印鑑証明書の期限、人生のどの時期に登場するか、そして作る時期の決め方を整理します。
公開日: 2026年9月24日
実印は、日常生活でほとんど使いません。宅配便の受け取りにも、職場の書類にも要りません。それなのに「実印は大切」と言われるのは、いざ必要になる場面が、車や住宅の購入、ローン、相続といった、お金と権利が大きく動くものばかりだからです。この記事では、実印が求められる代表的な場面を整理し、それぞれで何を用意するのか、印鑑証明書の期限はどうなっているのか、そして人生のどの時期に登場するのかを説明します。最後に、作る時期の決め方までまとめます。実印そのものの説明と登録の流れは実印とは?銀行印・認印との違いと登録までの流れをご覧ください。
実印が必要になるのは、自動車の登録・名義変更、不動産の売買と登記、住宅ローンや保証人の契約、相続の遺産分割、公正証書の作成、会社の設立などです。どの場面でも実印と一緒に印鑑証明書を求められ、証明書は「発行から3か月以内」と指定されることがほとんどです。予定が見えた時点で作って登録しておけば、契約の直前に慌てることはありません。
実印が必要になる場面の一覧
実印が求められる場面には共通点があります。本人の意思で行ったことを、あとから疑いなく証明できなければならない手続きです。市区町村に登録した印鑑と、その登録を証明する印鑑証明書を組み合わせることで、押したのが本人だと確かめられます。
| 場面 | 具体的な手続き | 実印と一緒に求められるもの | 印鑑証明書の期限 |
|---|---|---|---|
| 自動車 | 普通自動車の新規登録、名義変更、廃車 | 印鑑証明書、委任状(代行を頼む場合) | 発行から3か月以内 |
| 住宅・土地 | 売買契約、所有権移転の登記、抵当権の設定 | 印鑑証明書、登記の委任状 | 登記では作成後3か月以内 |
| ローン・保証 | 住宅ローンの金銭消費貸借契約、連帯保証人になるとき | 印鑑証明書、収入を示す書類 | 金融機関ごとに指定(3か月以内が多い) |
| 相続 | 遺産分割協議書への押印、相続登記、預金の払い戻し | 相続人全員の印鑑証明書 | 相続登記では期限の定めなし。金融機関は指定あり |
| 公正証書 | 遺言、任意後見契約、金銭の貸し借りの公正証書 | 印鑑証明書(本人確認として) | 発行から3か月以内 |
| 会社 | 発起人として会社を設立するとき、役員に就任するとき | 発起人・取締役の印鑑証明書 | 発行から3か月以内 |
| 賃貸・その他 | 賃貸契約の保証人、生命保険の受け取り、電話加入権の名義変更など | 物件や会社ごとに指定 | 提出先ごとに指定 |
「3か月以内」という期限は、印鑑証明書そのものに有効期限があるのではなく、提出先が古い証明書を受け付けないというものです。不動産の登記では、申請書や委任状に押した印鑑の証明書は作成後3か月以内のものと定められています。自動車の登録でも、国土交通省の案内で発行から3か月以内とされています。
人生のどの時期に、実印は登場するか
実印を使う場面は、人生の節目に集中しています。成年年齢が18歳になったことで、本人の名前で契約できる年齢も早まりました。年代ごとに、実印が登場しやすい出来事を並べてみます。
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18歳〜
本人の名前で契約できるようになる
成年になると親の同意なしで契約できます。初めて実印が登場するのは、自分名義で車を買うときや、一人暮らしの賃貸契約で保証人の実印を求められるときが多いです。
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20代
自動車の購入、就職、結婚
普通自動車を買うと、新規登録や名義変更で実印と印鑑証明書が要ります。結婚で姓が変わると、旧姓で登録した実印は使えなくなりますので、新しい姓で登録し直します。
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30〜40代
住宅の購入、住宅ローン、保証人
実印を最も重く使う時期です。売買契約、金銭消費貸借契約、抵当権の設定、所有権移転の登記と、ひとつの購入で何度も実印と印鑑証明書を求められます。
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50代〜
相続、遺言、任意後見
親の相続では、相続人全員が遺産分割協議書に実印を押し、印鑑証明書を添えます。自分の遺言を公正証書で作るとき、任意後見契約を結ぶときにも実印が要ります。
この流れを見ると、実印は「一度作れば何十年も使う道具」だと分かります。20代で登録した実印を、住宅の購入でも相続でも使い続ける方がほとんどです。だからこそ、欠けにくい素材と、文字数に合った直径で作っておく意味があります。
場面ごとに、何を用意するか
自動車を買う、名義を変える
普通自動車の新規登録や名義変更では、所有者の実印を押した申請書と、発行から3か月以内の印鑑証明書を運輸支局に提出します。販売店に手続きを任せる場合は、実印を押した委任状を渡します。軽自動車は印鑑証明書が要らず、認印で手続きできます。
所有者が18歳未満の場合は、親権者全員が実印を押した同意書と、親権者のうち1人の印鑑証明書、親子関係が分かる戸籍謄本が必要です。未成年者本人が印鑑証明書を発行できない年齢なら、代わりに住民票を添付します。つまり、車を買うときに実印が要るのは本人だけではなく、親の実印が求められる場合もあります。
住宅や土地を買う、売る
不動産の取引では、実印を使う場面が続けて訪れます。売買契約書への押印、住宅ローンの金銭消費貸借契約、抵当権設定の登記、所有権移転の登記。それぞれで印鑑証明書を求められますので、一度の購入で3通から4通の証明書を用意することも珍しくありません。
- 01売買契約契約書に実印を押す。手付金を支払う
- 02ローン契約金銭消費貸借契約書に実印。印鑑証明書を添える
- 03決済・登記所有権移転と抵当権設定の委任状に実印。証明書は3か月以内
- 04引き渡し鍵を受け取る。以後、実印を使うのは売却や借り換えのとき
登記の委任状に添える印鑑証明書は、作成後3か月以内のものと定められています。契約から決済まで日数が空く場合は、決済日から逆算して取り直すことがあります。売る側も同じで、所有権を手放す人は実印と印鑑証明書が必ず要ります。
住宅ローンを組む、保証人になる
金融機関との金銭消費貸借契約では、借りる本人の実印と印鑑証明書を求められます。連帯保証人になる場合も同じで、保証人自身の実印と印鑑証明書が必要です。家族の借り入れや賃貸契約の保証人を頼まれて、初めて実印を作る方も少なくありません。
相続で遺産を分ける
亡くなった方の遺産を相続人で分けるときは、遺産分割協議書を作り、相続人全員が実印を押して印鑑証明書を添えます。不動産の相続登記にも、預金の払い戻しにも、この協議書と証明書が使われます。相続人のうち1人でも実印を持っていないと、協議書が完成せず、全員の手続きが止まります。
未成年の相続人は、自分で遺産分割協議に加わることができません。親権者が代わりに押印しますが、親権者自身も相続人であれば利益が対立しますので、家庭裁判所に特別代理人を選んでもらい、その人の実印と印鑑証明書を添えます。この場合、未成年者本人の実印は要りません。
公正証書を作る
遺言や任意後見契約、金銭の貸し借りの取り決めを公正証書にするときは、公証役場で本人確認をします。運転免許証などの顔写真付き身分証明書で確認する方法もありますが、印鑑証明書と実印で確認するのが昔からの一般的な方法です。遺言を公正証書で残す方は50代以降に増えますので、この時期に実印を作り直す方もいらっしゃいます。
会社を設立する
株式会社を作るときは、発起人の印鑑証明書を定款の認証に、取締役の印鑑証明書を設立登記に添えます。個人の実印がなければ会社を作ることもできません。会社ができたあとは会社の実印を法務局に届け出ますが、それとは別に、代表者個人の実印は融資や契約でその後も求められます。
実印と印鑑証明書は、いつも一緒に求められる
ここまで見てきた場面のすべてで、実印と印鑑証明書は一緒に求められます。印鑑証明書は、押された印影が市区町村に登録されたものと同じだと証明する書類です。実印だけ持っていても、登録していなければ証明書は出ませんし、証明書だけあっても押す印鑑がなければ意味がありません。
- 01印鑑を用意する住民票と同じ字で彫った、登録できる条件を満たす印鑑
- 02市区町村で登録する本人が窓口へ。顔写真付きの本人確認書類があれば即日
- 03印鑑登録証を受け取るカード型の登録証。証明書を取るときに必要
- 04印鑑証明書を取る窓口かコンビニ交付。提出先の期限に合わせて取る
- 05書類に実印を押し、証明書を添える契約や登記の場面で提出する
登録は本人が窓口に行くのが原則で、マイナンバーカードや運転免許証のような顔写真付きの本人確認書類があれば、その日に登録証まで受け取れます。顔写真付きの書類がない場合は、自宅に照会書が郵送され、それを持ってもう一度窓口へ行く方式になりますので、登録まで1週間ほどかかります。
実印がなくて困る、よくある場面
車の納車日が決まってから、登録していないことに気づいた
販売店から「印鑑証明書を用意してください」と言われて、実印を登録していないことに気づく方が多くいらっしゃいます。印鑑を注文して、届いて、登録して、証明書を取るまでに2週間近くかかることがあります。納車が遅れないよう、購入を決めた時点で用意してください。
持っている印鑑が、住民票の字と違って登録できなかった
「渡辺」の「辺」が住民票では「邊」だった、「斉藤」の「斉」が「齋」だったという理由で、持っている印鑑が登録できないことがあります。印影が住民票の氏名を表していない印鑑は登録できません。実印を作るときは、住民票かマイナンバーカードで正式な字体を確かめてください。
相続で自分だけ実印がなく、兄弟の手続きを止めてしまった
遺産分割協議書は相続人全員の実印と印鑑証明書が揃って初めて使えます。1人が持っていないと、不動産の登記も預金の払い戻しも進みません。親が高齢になってきたら、相続人になる家族全員が実印を登録しているか確かめておくと安心です。
結婚して姓が変わり、旧姓の実印が使えなくなった
姓が変わると、旧姓の実印は住民票の氏名と一致しなくなり、登録が失効します。住宅の購入や車の名義変更が結婚の直後に重なると、新しい姓で作り直す時間がありません。改姓の予定がある方は、名のみで彫った実印にしておくと、姓が変わっても登録し直すだけで使い続けられます。
実印を作る時期は「予定が見えたとき」
実印を使う予定がまったくないうちから作る必要はありません。ただ、車の購入、住宅の購入、結婚、親の高齢化といった予定が見えてきたら、その時点で作って登録しておくのが最も確実です。契約の直前に用意しようとすると、次のような日数がかかります。
合わせると、注文から証明書を手にするまで、順調に進んでも1〜2週間です。契約日から逆算して、遅くとも1か月前には印鑑を注文してください。「まだ先だけれど、いずれ使う」という方は、実印と一緒に銀行印や認印を揃えておくと、口座の開設や日常の書類にもそのまま使えます。
これから作るなら、どんな実印にするか
実印は一度作れば何十年も使いますので、登録できる条件を満たしたうえで、欠けにくい素材と、文字数に合った直径を選びます。市区町村の条件は、印影が8mm四方より大きく25mm四方に収まること、住民票の氏名を表していること、ゴムのように変形しやすい素材でないことなどです。
男性と女性で選び方の考え方が少し違いますので、詳しくは男性の実印の選び方と女性の実印の選び方をご覧ください。実印と銀行印を一度に揃える場合の組み合わせは印鑑2本セットは何を選ぶ?にまとめています。
よくある質問
賃貸住宅を借りるときに実印は要りますか
借りる本人は認印で済むことが多いですが、連帯保証人には実印と印鑑証明書を求める物件が一般的です。親に保証人を頼む場合は、親の実印が要ります。物件や保証会社によって違いますので、契約前に確かめてください。
印鑑証明書は何通取っておけばよいですか
提出先ごとに1通ずつ要ります。住宅の購入では、ローン契約用、登記用、売買契約用と3通以上になることもあります。3か月以内という期限がありますので、まとめて早く取りすぎると使えなくなります。提出先から求められた時点で、必要な通数だけ取るのが無駄がありません。
実印を持ち歩いてもよいですか
契約の当日に持ち出す以外は、自宅で保管してください。認印代わりに持ち歩くと、紛失したときに悪用される危険があります。印鑑登録証と印鑑証明書も、実印とは別の場所に保管します。
実印を1本も使わない人生もありますか
車も家も買わず、相続も保証人もなければ、使わずに済むこともあります。ただ、親の相続は多くの方に訪れますし、そのときに相続人全員の実印が要ります。いつ必要になるか分からないからこそ、予定が見えた時点で作っておくことをおすすめしています。
まとめ|使う場面は少ないが、どれも大きな契約
実印が必要になるのは、自動車の登録や名義変更、住宅の売買と登記、住宅ローンや保証人の契約、相続の遺産分割、公正証書の作成、会社の設立といった場面です。日常では使いませんが、どれもお金と権利が大きく動く手続きで、実印と一緒に発行から3か月以内の印鑑証明書を求められます。
実印は20代で登録したものを相続まで何十年も使う道具です。注文から証明書を手にするまで1〜2週間かかりますので、車や住宅の購入、結婚、親の高齢化といった予定が見えた時点で作り、住民票と同じ字で登録しておいてください。実印を作るなら、銀行印や認印と一緒に揃えておくと、口座や日常の書類にも困りません。
登録できる条件を満たした実印をお作りします
住民票の字体で彫り、8mm四方より大きく25mm四方に収まる直径でお作りしますので、そのまま市区町村に登録できます。旧字体や異字体にも対応しています。通常3〜7営業日ほどで発送します。
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