CHAPTER 15 人生の節目・記念
就職祝いは印鑑とシャチハタのどちら?入社後に使う場面で比べる
就職祝いに、朱肉で押す印鑑とシャチハタ(インクが内蔵された浸透印)のどちらを贈るか迷っている方へ。2つの仕組みの違いを説明したうえで、入社書類・給与口座・職場の回覧・部屋の契約など、新社会人が出会う12の場面でどちらが使えるかを一覧にしました。贈る立場ごとの選び方、両方を組み合わせる場合の金額、シャチハタを贈るときに確かめること、印鑑を選ぶときの名前・書体・直径もまとめています。
公開日: 2026年9月24日
就職祝いに「はんこ」を贈ろうと調べていると、朱肉を付けて押す印鑑と、キャップを外せばそのまま押せるシャチハタの両方が出てきます。どちらも名前を押す道具ですが、使える場面がはっきり分かれていて、片方でもう片方の代わりをすることはできません。この記事では、新社会人が入社の前後に出会う場面を1つずつ挙げて、どちらが使えるかを比べます。そのうえで、贈る方の立場に合わせた選び方をお話しします。
親や祖父母からの就職祝いには、朱肉で押す印鑑をおすすめします。入社書類、給与口座、部屋の契約といった入社前後の手続きは、シャチハタでは受け付けてもらえないものがほとんどだからです。シャチハタは職場の回覧や受け取りで毎日役に立つ道具ですが、数千円で買えますし、会社が支給することもあります。友人や先輩から気軽に贈る品として、あるいは印鑑に添える品として選んでください。
印鑑とシャチハタは、仕組みが違います
見た目は似ていても、2つは作りがまったく違います。この違いが、使える場面の違いにそのままつながります。
木、水牛の角、チタンなど硬い素材
印面の素材インクを通す、やわらかいゴム
朱肉を付けて押します
押し方本体に入ったインクがにじみ出ます。朱肉は要りません
何十年たっても変わりません
印影押す力やゴムの傷みで、少しずつ変わります
注文ごとに1本ずつ彫りますので、同じものはありません
同じ印影同じ名前なら、同じ型で作った印影になります
朱肉は油性で、長い年月がたっても薄れにくい
紙に残る色インクは染料系が多く、年月とともに薄くなることがあります
薩摩本柘の認印で5,800円から
価格既製品で千円台、別注品で2千〜3千円台が一般的です
届け出た印影と、あとで押した印影が同じかどうかを照らし合わせる。これが実印や銀行印の役目です。ゴムの印面は押すたびに形がわずかに変わるため、この照合に使えません。全国銀行協会の案内ではゴム印は届出印にできませんし、京都市の案内でも、ゴム印など変形しやすいものは実印として登録できないと定められています。
新社会人が出会う12の場面で比べる
入社の前後に、実際にどんな場面で名前を押すのかを並べました。「使える」「勤務先による」「使えない」の3つで分けています。
入社の前
入社承諾書、誓約書内定先から届く書類
使えない使える身元保証書保証人になる親も押します
使えない使える給与口座を窓口で開く届出印として
使えない使える部屋の賃貸契約一人暮らしを始める場合
使えない使える入社してから
回覧、受領の確認1日に何度も押すことがあります
使える使える宅配便、郵便の受け取り
使える使える出勤簿、休暇届、交通費の精算
勤務先による使える年末調整、社会保険の書類
勤務先による使える見積書、契約書など社外へ出す書類の担当者印
使えない使える数年のうちに
家賃や公共料金の口座振替の申し込み用紙で申し込む場合
使えない使える車の購入、ローンの契約実印と印鑑登録証明書
使えない使える転勤や転職で引っ越すときの、新しい部屋の契約
使えない使えるシャチハタが活躍するのは、入社してからの職場の机の上です。回覧や荷物の受け取りのたびに朱肉を出す必要がなく、急いでいるときほど助かります。一方、入社の前に出す書類と、私生活の契約では出番がありません。書類に「シャチハタ不可」「スタンプ印不可」と書かれているのを見た方も多いと思います。用途ごとの詳しい分け方は認印にシャチハタは使える?足りる場面と断られる書類で説明しています。
内閣府・法務省・経済産業省の「押印についてのQ&A」では、契約は押印がなくても成立するという考え方が示されています。社内の申請を電子化した会社も多くなりました。それでも、入社時の誓約書や身元保証書、金融機関の窓口、不動産の契約では、いまも印鑑を求められるのが実情です。どの書類に何を押すかは、内定先から届く案内で確かめてください。
贈る方の立場で選ぶ
- 入社の手続きに間に合うよう、入社の1か月前までに渡します
- 既製品の認印しか持っていない相手には、実印・銀行印・認印の3本セット
- 成人祝いで実印を贈ってあるなら、銀行印・認印の2本セット
- シャチハタは、配属が決まってから本人が買うか、会社から支給されるのを待ちます
- 予算3千円前後なら、名前入りのシャチハタやペンと一体になった浸透印
- 予算5千〜1万円なら、仕事用の認印1本。薩摩本柘10.5mmで5,800円、黒水牛12mmで7,000円
- 親が印鑑を用意していないかを、先に確かめます
- 珍しい姓の相手には、既製品のシャチハタがないため別注になります
シャチハタを贈るときに確かめること
シャチハタを贈る場合は、次の点を確かめておくと無駄になりません。勤務先が名前入りの浸透印を支給する会社もあります。銀行や役所、病院など、職場によっては訂正印や日付印を使い、ふつうのシャチハタの出番が少ないこともあります。配属先が決まってから、本人に「職場で使いそうか」を聞いて贈るのが確実です。
印鑑とシャチハタを組み合わせて贈る
「入社の手続きにも、入社後の机の上にも困らないようにしてやりたい」という方は、両方を贈ることもできます。シャチハタは高価なものではありませんので、印鑑のセットに添えても予算は大きく変わりません。
入社前から入社後まで、一式で贈る場合金額の例
- 実印・銀行印・認印の3本セット黒水牛、実印13.5mm・銀行印12mm・認印10.5mm。当店の価格
- 24,300円
- 黒か赤の牛革ケース3本分標準で付きます
- 0円
- 名前入りのシャチハタ文具店や通販で別に用意します。一般的な目安です
- 約2,000円
- 合計の目安
- 約26,300円
当店ではシャチハタを扱っていません。お近くの文具店などでお求めください。
渡すときに「大きいのが実印、中くらいが銀行印、小さいのが認印。シャチハタは会社の回覧用」と一言添えると、本人が迷わずに使い分けられます。
就職祝いの印鑑を選ぶときの要点
素材は、欠けにくく価格も手ごろな黒水牛がよく選ばれます。毎日押す認印だけチタンにする、という選び方もあります。種類・名前・素材の決め方は就職祝いに印鑑を贈るなら?、本数の決め方は就職祝いの印鑑セットは何本必要?をご覧ください。
よくある質問
シャチハタがあれば、認印は要らないのではありませんか
職場の回覧と荷物の受け取りだけなら、シャチハタで足ります。ただ、入社承諾書や身元保証書、部屋の契約書のように「シャチハタ不可」とされる書類は、入社の前後に集中します。朱肉で押す認印が1本もないと、そのたびに既製品を買いに走ることになります。認印とシャチハタは、どちらか一方ではなく、両方を持って使い分けるものと考えてください。違いの全体は認印とは?シャチハタとの違いと使える場面にまとめています。
ネーム印付きのボールペンは、就職祝いとしてどうですか
看護や介護、配送、営業など、立ったまま書いて押すことが多い職種ではとても重宝されます。友人や先輩からの贈り物に向いています。印の部分はシャチハタと同じ浸透印ですので、手続きの書類には使えません。親御さんからのお祝いなら、朱肉で押す印鑑を主にして、ペンは添える品にすると両方の場面に対応できます。
シャチハタを銀行印にしている人がいると聞きました
以前は受け付けた例があったようですが、全国銀行協会の案内では、ゴム印のように変形しやすいものは届出印にできません。ゴムの印面が傷むと印影が変わり、窓口で照合できなくなります。これから口座を開く方は、硬い素材に彫った銀行印を用意してください。
会社で印鑑を使わないそうです。それでも印鑑を贈る意味はありますか
社内の申請が電子化されていても、銀行印と実印は会社ではなく私生活で使うものです。給与口座、部屋の契約、車の購入、住宅ローンでは、勤め先に関係なく必要になります。職場で認印を使う機会が少なそうなら、実印・銀行印の2本セットという選択肢もあります。黒水牛で17,900円からです。
認印は、既製品のもので十分ではありませんか
受け取りや回覧に使うだけなら、既製品でも役目は果たせます。ただ、同じ印影のものが大量に売られていますので、契約書や誓約書に押す印としては心もとなく、珍しい姓の方はそもそも店頭で見つかりません。職人が彫った認印は同じものがなく、欠けにくい素材なら退職まで使い続けられます。
まとめ|手続きには印鑑、職場の机にはシャチハタ
朱肉で押す印鑑は硬い素材に彫ってあり、印影が変わりません。シャチハタはゴムの印面からインクがにじみ出る仕組みで、すばやく押せる代わりに、届出印や実印にはできません。入社承諾書、身元保証書、給与口座、部屋の契約といった入社前後の手続きで使えるのは印鑑で、入社後の回覧や受け取りで便利なのがシャチハタです。
親や祖父母からの就職祝いには、手続きで使える印鑑を、本人が持っていない本数だけ贈ってください。友人や先輩からなら、予算に合わせて認印1本かシャチハタを。両方を贈る場合も、3本セットに2千円ほどを足すだけで一式が揃います。