CHAPTER 04 印鑑登録・各種手続き
旧字体の印鑑は登録できる?住民票と字体が違うときの扱いと確かめ方
旧字体の印鑑を印鑑登録できるかは、住民票の字で決まります。「澤」と「沢」のように字体だけが違うときの市区町村の扱い、同じ字と別の字の境目、住民票の字の確かめ方、新字体の実印をお持ちの方の対応を説明します。
公開日: 2026年10月11日
「住民票は『澤田』ですが、実印は『沢田』で作ってしまいました」。「これから作る実印は、住民票どおりの『齋藤』でないといけませんか」。苗字や名前に旧字体が入っている方から、こうしたご相談をよくいただきます。ふだん新字体で書いている方は、印鑑登録の窓口で初めて字の違いに気づくことがあります。この記事では、住民票と印鑑で字が違うときに印鑑登録ができるのかを、市区町村の案内に沿って説明します。
住民票の氏名が旧字体なら、旧字体で彫った印鑑はそのまま登録できます。「澤」と「沢」のように、住民票と字体だけが違う印鑑も、京都市、浜松市、東京都中央区、静岡市は同じ字として認めています。「郎」と「朗」のように、別の字に替えた印鑑は登録できません。字体の扱いを案内に書いていない市区町村もありますので、これから作る実印は住民票の字にそろえるのが確実です。
住民票の字と印鑑の字|3つの組み合わせで見る
印鑑登録の条件の1つは、印鑑が住民票の氏名を表していることです。窓口では、住民票に記録された氏名と、印鑑に彫られた字を見比べます。組み合わせは、大きく3つに分かれます。
2つめの組み合わせは、逆でも同じです。住民票が新字体の「沢田」で、印鑑が旧字体の「澤田」という方もいらっしゃいます。たとえば、家で代々使ってきた旧字体で印鑑を作った方です。このときも、字体の違いとして扱われます。
字体の違いを認めている市区町村は、こう書いています
旧字体と新字体の扱いを、案内にはっきり書いている市区町村があります。4つの例を挙げます。どこも、字体が違うだけなら同じ字として登録を認めています。
京都市の要領には、もう1つ決まりがあります。住民票の字が常用漢字表にない字体でも、常用漢字表の字に替えた印鑑なら登録できる、というものです。常用漢字表は、ふだん使う漢字の目安として国が示している表です。住民票が「澤」の方が「沢」の印鑑を登録できるのは、この決まりがあるからです。
一方で、名古屋市、横浜市、札幌市、大阪市、福岡市の印鑑登録の案内には、字体についての記載が見当たりませんでした。書かれていないからといって、登録できないという意味ではありません。こうした市区町村では、窓口が印鑑と住民票を見て判断します。心配な方は、印鑑を持って行く前に電話で聞いておくと、二度手間になりません。
「同じ字」と「別の字」の境目
登録が認められるのは、字体だけが違う同じ字の印鑑です。見た目が似ていても、別の字に替えた印鑑は認められません。浜松市も、氏名を別の文字に替えた印鑑は登録できないと案内しています。間違えやすい組み合わせを並べます。
「澤」と「沢」旧字体と新字体です。京都市、中央区、静岡市が例に挙げています
同じ字「齊」と「斉」「斉」の旧字体が「齊」です。京都市が例に挙げています
同じ字「邊」と「辺」旧字体と新字体です。浜松市、中央区、静岡市が例に挙げています
同じ字「濱」と「浜」旧字体と新字体です。浜松市が例に挙げています
同じ字「齋」と「斉」「齋」は「斎」の旧字体で、「斉」とは別の字です。「さいとう」さんは、住民票の字が「斉・齊・斎・齋」のどれかを確かめてください
別の字「郎」と「朗」読みは同じでも別の字です。京都市の要領が、登録できない例に挙げています
別の字「さいとう」さんの「さい」には、「斉」「齊」「斎」「齋」の4つの字がよく使われます。「斉」と「齊」が1組、「斎」と「齋」がもう1組で、組をまたぐと別の字になります。年賀状で「斉藤」と書いている方でも、住民票は「齋藤」ということがあります。印鑑を注文する前に、住民票を見てください。
「髙」(はしごだか)や「﨑」(たつさき)のような字は、旧字体ではなく異体字と呼ばれます。辞典では、俗字に分類されることもあります。浜松市は、この俗字と正字も同じ文字とみなすと案内しています。ただ、先に挙げた4つの市と区のうち、ここまで書いているのは浜松市だけです。住民票が「髙」の方は、印鑑も「髙」で作るのが確実です。注文の仕方は、異体字の印鑑を作るで説明しています。
これから作る実印は、住民票の字にそろえます
字体の違いを認める市区町村があっても、当店では、実印を住民票の字で作ることをおすすめしています。理由は2つあります。
住民票の字で作っておく理由
- 1引越し先でも、同じ印鑑で登録し直せる
ほかの市区町村へ引越すと、印鑑登録は新しい住所の役所でやり直します。住民票と同じ字の印鑑なら、どの市区町村の窓口でも、字を理由に手続きが止まることはありません。
- 2印鑑証明書の氏名と、印影の字がそろう
証明書に載る氏名は、住民票の字です。印影も同じ字なら、契約の相手が証明書を見て、氏名と印影の字の違いに戸惑うことがありません。
銀行印と認印は、役所に登録する印鑑ではありません。ふだん書いている新字体で作る方もいらっしゃいます。
住民票の字を確かめてから印鑑を登録するまでの流れは、次のとおりです。
- 01住民票の写しを取る役所の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニで取れる市区町村もあります。氏名の欄を見ます。
- 02氏名の字を、1字ずつ見る点の数、横線の本数、「高」なら中が「口」か「はしご」かを見ます。小さくて見えにくいときは、スマートフォンで撮って拡大します。
- 03注文画面に、住民票の字を入力する入力できない字は、お名前の欄の下にある「主な旧字体リスト」から選び、備考欄に書きます。
- 04彫る前の印影を、メールで確かめる「印影のご確認」を選んでおくと、ご注文の2〜3日後に印影が届きます。住民票と見比べてください。
- 05届いた印鑑を、役所で登録する印鑑と、顔写真付きの本人確認書類を持って行きます。
旧字体には、新字体より線の多い字がたくさんあります。線の多い字は、直径を1段大きくすると線がつぶれにくくなります。字ごとの違いと直径の目安は、旧字体の印鑑を作るに一覧でまとめています。どちらの字体で作るか迷っている方は、新字体と旧字体の違いもお読みください。
新字体の実印をすでにお持ちの方は
住民票は旧字体なのに、新字体で実印を作ってしまった。そういう方も、すぐに作り直す必要はありません。どうすればよいかを、状況ごとにまとめました。
住民票と字体の違う実印を、使い続けられるか
その印鑑で、すでに印鑑登録ができている登録は有効です。証明書の印影と、押した印影が同じであれば、契約にも使えます。
そのまま使えるこれから登録するお住まいの市区町村が字体の違いを認めているかを、窓口か電話で確かめます。認めていれば登録できます。
確かめてから登録ほかの市区町村へ引越す前の登録は消えます。新しい市区町村で登録し直すときに、字体の扱いをあらためて確かめます。
確かめてから登録字体の違いではなく、別の字で彫ってある住民票が「齋」の方が、「斉」で作った場合などです。氏名を表していない印鑑とみなされ、登録を断られることがあります。
作り直す住宅ローンを組む、車を買うといった予定が近い方は、早めに窓口で確かめてください。登録できないと分かってから作り直すと、契約の日に間に合わないことがあります。当店では、ご注文から通常3〜7営業日で発送しています。
よくある質問
篆書体で彫ると、旧字体か新字体か見分けがつかないのではないですか
篆書体(てんしょたい)や印相体は、実印によく選ばれる書体です。どちらも、新字体ができるよりずっと前の字の形をもとにしています。そのため、新字体で注文しても、旧字体に近い形に彫り上がる字があります。窓口は、印影の字を見て判断します。どちらの字に見えるかが気になる方は、彫る前に印影を確かめてください。
戸籍の字を新字体に改めました。旧字体の実印は登録し直しですか
京都市のように、字体の違いを同じ字として扱う市区町村では、登録はそのまま続きます。旧字体の実印も、登録の条件を満たしているからです。扱いを案内に書いていない市区町村にお住まいの方は、窓口で確かめてください。くわしくは、名前の表記を変えたら印鑑も変える?で説明しています。
銀行印も、住民票の字で作らないといけませんか
銀行印には、印鑑登録のような字の決まりがありません。銀行は、届け出た印影と、書類に押された印影が同じかどうかを見ます。実印は旧字体、銀行印と認印は新字体、という作り分けもできます。実印・銀行印・認印それぞれの字の決め方は、印鑑は戸籍と同じ文字で作る?にまとめました。
パソコンで出せない字です。注文できますか
ご注文いただけます。お名前の欄には、入力できる近い字を入れてください。そのうえで、備考欄に「さんずいに睪の澤」のように字の形を書きます。当店の「主な旧字体リスト」に載っている字なら、その記号を書くだけで伝わります。追加の料金はかかりません。
中国の簡体字や、台湾の繁体字の名前でも登録できますか
京都市の要領では、住民票に記録された字と同じ字を表している場合に限って登録できます。北九州市は、氏名の漢字の異体字だと確かめられれば登録できると案内しています。住民票にどの字で記録されているかを、先に確かめてください。
まとめ|字を確かめて、登録するまでの順番
はじめに、住民票の写しで氏名の字を見ます。旧字体や異体字が入っていたら、その字のまま実印を注文します。彫る前に印影を見て、住民票と同じ字になっているかを確かめてください。住民票と字体の違う実印をすでにお持ちの方は、お住まいの市区町村に扱いを聞きます。認めていれば、その印鑑で登録できます。別の字で彫ってある場合は、契約の日に間に合うよう、早めに作り直します。
旧字体のお名前も、印影を見てから彫る実印
「澤」「齋」「邊」「髙」のような字も、お名前に合わせて京都の職人が印面を設計し、1本ずつ彫刻します。注文のときに「印影のご確認」を選ぶと、彫る前の印影をメールでお送りします。パソコンで出せない字にも、追加の料金なしで対応します。
- 1お名前の欄に、住民票の字を入力する出せない字は、備考欄に字の形か旧字体リストの記号を書きます
- 2ご注文の2〜3日後に、印影がメールで届く住民票と見比べて、違うところがあれば返信でお知らせください
- 3ご確認のあとに彫刻し、発送確認の日数のぶん、通常の3〜7営業日より発送が延びることがあります