CHAPTER 04 印鑑登録・各種手続き
公正証書に実印は必要?本人確認・委任状で使う場面と持ち物
公正証書を作るとき、実印は印鑑登録証明書と組み合わせて本人確認に使います。代理人に頼む委任状には、かならず実印を押します。2025年10月から証書そのものは電子サインになりました。持ち物の4通り、委任状の作り方、会社の場合、ウェブ会議での進め方を説明します。
公開日: 2026年10月12日
養育費の取り決めを公正証書にすることになり、公証役場に電話をした。「当日は、印鑑登録証明書と実印をお持ちください」と言われたけれど、実印は作っていない。運転免許証では受け付けてもらえないのか。公正証書のどこに押すのか。予約の日を決める前に、実印が出てくる場面を順に見ていきます。
実印を使うのは、印鑑登録証明書で本人確認を受けるときと、代理人に委任状を渡すときです。公正証書そのものには、2025年10月から、画面にペンで書く電子サインをします。本人確認は、運転免許証やマイナンバーカードと認印の組み合わせでも受けられます。委任状だけは、実印でなければ通りません。
公正証書は、公証人が作る公文書です
公正証書は、当事者から頼まれた公証人が作る公文書です。公証人は、裁判官や検察官などを長く務めた法律の実務家で、法務大臣が任命します。当事者どうしで作る契約書と比べると、次の3つが違います。
よく作られるのは、離婚のときの養育費や財産分与の取り決め、お金の貸し借り、遺言です。任意後見契約と、事業用の定期借地権の契約は、法律が公正証書で結ぶよう定めています。事業の融資で、経営に関わっていない個人が保証人になるときは、先に「保証意思宣明公正証書」を作ります。これがないと、保証の契約は効力を持ちません。
印鑑を使うのは、この3つの場面です
公正証書を作る流れのなかで、印鑑が出てくる場面は3つあります。実印でなければならないのは、このうち代理人に頼むときです。
本人確認を受ける
選べます印鑑登録証明書を出すときは、実印を持っていきます。押した印影と証明書を見比べて、本人確認が済みます。顔写真付きの身分証明書を出すときは、認印を合わせて持ちます。
用意する印鑑実印か認印
委任状に押す
実印です公証役場へ行けない方は、代理人に委任状を渡します。委任状にはご本人の実印を押し、印鑑登録証明書を添えます。認印を押した委任状では、受け付けてもらえません。
用意する印鑑実印
署名して押す
押印あり保証意思宣明公正証書は、民法が、保証人になる方の署名と押印を求めています。そのため、いまも紙で作ります。印鑑は、本人確認の書類に合わせて用意したものを持っていきます。
用意する印鑑実印か認印
本人確認の持ち物は、4通りから選べます
公証人は、公正証書を頼みに来た人が本人かどうかを確かめます。公証人法は、その方法を次のように定めています。条文の「嘱託人」は、公正証書の作成を頼む人のことです。
嘱託人は、公正証書の作成を嘱託する場合には、(中略)官公署の作成した印鑑に関する証明書又は署名用電子証明書等を提供する方法その他の法務省令で定める方法により、嘱託人が本人であることを明らかにしなければならない。
公証人法 第28条(一部)
はじめに挙がっているのが、印鑑登録証明書です。日本公証人連合会は、個人の持ち物として次の4通りを示しています。どれか1つを用意します。
印鑑登録をしている方
合わせて持つ印鑑は実印です
証明書の印影と見比べます
運転免許証がある方
合わせて持つ印鑑は認印です
朱肉で押す印鑑を用意します
マイナンバーカードがある方
合わせて持つ印鑑は認印です
朱肉で押す印鑑を用意します
そのほかの書類を使う方
合わせて持つ印鑑は認印です
朱肉で押す印鑑を用意します
公正証書の種類によっては、使える書類が限られることがあります。予約の電話で、作りたい公正証書の種類を伝えて、持ち物を聞いておくと確実です。実印と印鑑登録証明書の関係は、実印とは?銀行印・認印との違いと登録までの流れで説明しています。
公正証書そのものには、電子サインをします
以前の公正証書は紙で作り、当事者と公証人が署名して印鑑を押していました。2025年10月1日に改正公証人法が施行され、原本は電子データで作るのが原則になりました。
紙
原本PDFの電子データ
紙に署名して、
印鑑を押す
画面にタッチペンで
電子サインをする
署名して、
職印を押す
電子サインと
電子署名をする
紙の正本・謄本
受け取る書類紙か電子データを
選べます
契約の種類により、
原本に貼る
電子データの原本には
要りません
日本公証人連合会は、この変化を「筆記用具が変わる程度」と説明しています。公証役場へ行き、公証人の前で内容を確かめる流れは同じです。変わったのは、最後に名前を書く先が紙から画面になり、押印がなくなった点です。
電子データでの作成は、法務大臣の指定を受けた公証人から順に始まっています。保証意思宣明公正証書のように法律が署名と押印を求めるものや、機材の故障があったときは、いまも紙で作ります。
代理人に頼むときは、委任状に実印を押します
仕事を休めない方や遠くに住む方は、代理人に公証役場へ行ってもらえます。そのときに作る委任状に、実印を押します。公証人は委任状を書いた場にいないので、実印の印影と印鑑登録証明書を見比べて、ご本人が頼んだことを確かめます。
- 1 代理人の欄公証役場へ行ってもらう方の住所と氏名を書きます。
- 2 委任する内容相手と合意した契約書の案を、委任状に添付します。内容が書かれていない白紙の委任状は、認められません。
- 3 ご本人の欄住所と氏名を書き、実印を押します。発行から3か月以内の印鑑登録証明書を添えます。
- 4 つづり目委任状と、添付した契約書の案にまたがるように、同じ実印を押します。
委任状の見本は、公証役場に用意されています。代理人になった方は、ご自分の本人確認の書類と印鑑も持っていきます。前の章の4通りから選びます。
代理人に頼めない公正証書もあります。公証人がご本人の意思をじかに確かめる必要があるものです。
売買、賃貸借、お金の貸し借りなどの契約1人の代理人が、貸す側と借りる側の両方を兼ねることは、原則としてできません
頼めます遺言遺言をする方が、公証人に内容を口頭で伝えます
頼めません保証意思宣明公正証書保証人になる方が、公証人と直接会って意思を確かめてもらいます
頼めません任意後見契約頼む方の判断能力と意思を、公証人が確かめます
原則本人会社として作るときは、代表者印と印鑑証明書です
当事者が会社のときは、法務局に届け出た代表者印を使います。会社実印とも呼ばれる印鑑です。代表者が公証役場へ行く場合の持ち物は、次の3つです。
- 代表者印(法務局に届け出た会社実印)
- 代表者印の印鑑証明書(発行から3か月以内)
- 代表者の資格証明書か、会社の登記事項証明書(発行から3か月以内)
社員を代理人にするときは、委任状に代表者印を押します。印鑑証明書と資格証明書は、同じように添えます。代表者印の役割と届け出は、会社実印とは?代表者印の役割・サイズの決まり・届け出と使う場面をご覧ください。
公正証書の種類ごとに、だれが本人確認を受けるか
本人確認を受けるのは、公正証書の当事者になる方の全員です。2人で結ぶ契約なら、2人ともが書類と印鑑を用意します。
ウェブ会議で作るときも、実印か電子証明書で本人確認をします
電子化に合わせて、公証役場へ行かずにウェブ会議で公正証書を作る方法もできました。当事者が希望し、相手に異議がなく、公証人が適当と認めた場合に使えます。この方法では、顔写真付きの身分証明書だけでは足りません。本人確認は、次のどちらかで行います。
実印と印鑑登録証明書を使います
- 公正証書の作成を頼む書面(嘱託書)を、紙で作ります
- 嘱託書に実印を押します
- 印鑑登録証明書と一緒に、公証役場へ郵送します
用意するもの実印、発行から3か月以内の印鑑登録証明書
マイナンバーカードを使います
- 嘱託書を、PDFファイルで作ります
- カードの署名用電子証明書で、電子署名をします
- メールなどで、公証役場へ送ります
用意するものマイナンバーカード、カードリーダーなど電子署名に使う機器
どちらの方法でも、顔写真付きの身分証明書の写しを先に送り、会議のはじめに原本を画面に映します。電子サインに使うので、タッチ入力ができる画面かペンタブレットをつないだパソコンが要ります。スマートフォンとタブレットは使えません。
手数料は、契約の金額で決まります
公正証書の手数料は、公証人手数料令という政令で決まっています。契約で動く金額(目的の価額)が大きいほど、高くなります。相談は無料です。
実印がまだない方は、作成の日から逆に数えます
ご自分で公証役場へ行くなら、運転免許証やマイナンバーカードと認印でも本人確認は受けられます。それでも実印を用意しておく場面は、次のとおりです。
- 公証役場から、印鑑登録証明書と実印を持ってくるよう言われた
- 公証役場へ行けず、代理人に委任状を渡す
- ウェブ会議で作りたいが、マイナンバーカードでの電子署名はむずかしい
- 財産分与で家の名義を移すなど、あとの登記で実印を使う
印鑑登録証明書は、発行から3か月以内のものを使います。実印を作るところから数えると、次の順番になります。
- 1実印を注文する当店は、ご注文から3〜7営業日で発送しますここで注文
- 2実印が届く白い紙に押して、枠と文字がはっきり写るかを見ます
- 3印鑑を登録する実印と本人確認書類を持って、市区町村の窓口へ行きます実印
- 4証明書を取る公正証書を作る日に、発行から3か月以内であるものを用意します
- 5公証役場へ行く証明書と実印を出して、本人確認を受けます実印
顔写真の付いた本人確認書類を持ってご本人が窓口へ行けば、多くの市区町村では、その日に登録と証明書の発行まで済みます。
当店の実印は、薩摩本柘の13.5mmが10,700円、黒水牛の13.5mmが11,900円です。素材と直径ごとの価格は、実印はいくら?素材・直径別の価格と3本セットの予算にまとめています。公正証書のほかに実印を使う場面は、実印はいつ必要?車・住宅・相続など使う場面を整理をご覧ください。
よくある質問
認印だけを持っていけば、公正証書は作れますか
運転免許証やマイナンバーカードなど、顔写真付きの身分証明書と一緒なら受けてもらえます。認印は、朱肉で押すものを用意してください。公正証書の種類によっては書類が限られるので、予約のときに確かめます。
実印は、どこに押すのですか
公正証書の原本には押しません。本人確認のために公証役場へ出す書面に押し、印鑑登録証明書の印影と見比べてもらいます。どの書面に押すかは、当日、公証役場で案内があります。
相手と顔を合わせずに作れますか
代理人に行ってもらう方法と、ウェブ会議を使う方法があります。ウェブ会議は、同席に問題がある事情などを公証人が聞いたうえで、使えるかどうかを決めます。早めに公証役場へ相談してください。
公正証書を作ったあとに実印を作り替えても、問題はありませんか
ありません。本人確認は、公正証書を作った日に済んでいます。原本は公証人の側で保管されているので、あとで実印や住所が変わっても、公正証書の内容は変わりません。
印鑑登録証明書は、コピーでも使えますか
原本を用意してください。公証人は、証明書の印影と実印の印影を見比べて本人確認をします。発行から3か月を過ぎた証明書も使えないので、作成の日が決まってから取ると無駄がありません。
まとめ|公証役場に電話をしてから、この順番で用意します
はじめに、公証役場へ電話をして、作りたい公正証書の種類を伝えます。本人確認にどの書類を使えるかを、そこで聞きます。次に、ご自分で行くか、代理人に頼むかを決めます。代理人に頼むなら、実印と印鑑登録証明書が要ります。
実印がない方は、作成の日から逆に数えて注文し、届いたら印鑑登録をして証明書を取ります。当日は、書類と印鑑を出して本人確認を受け、内容を確かめてから画面に電子サインをします。
印鑑登録証明書と見比べられる実印を、京都の職人がお作りします
住民票のお名前どおりに印面を設計し、職人が1本ずつ彫刻します。彫る前の印影をメールで確かめられます。直径は13.5mmから18mmまで。ご注文から3〜7営業日で発送しますので、印鑑登録の日を足して、公証役場へ行く日から逆に数えてご注文ください。印鑑ケース付き、送料無料、5年保証です。
実印を見る(薩摩本柘 10,700円〜)