CHAPTER 04 印鑑登録・各種手続き
自動車登録で実印が必要な手続き|新規・名義変更・廃車と不要な場合
普通車の登録で実印と印鑑証明書が要るのは、新規登録、名義変更、廃車の3つです。住所や氏名の変更と、軽自動車の届出には要りません。実印を押す書類と、譲る人・譲り受ける人それぞれの準備を、自動車登録令と国土交通省の案内をもとに説明します。
公開日: 2026年10月12日
知人から普通車を譲ってもらうことになり、名義変更を自分でやってみようと国土交通省の案内を開いた。必要書類の欄には、「実印を押印」「印鑑証明書」という言葉が何度も出てきます。申請書にも委任状にも譲渡証明書にも書かれていて、だれがどれに押すのかが読み取りにくい。この記事では、登録の種類ごとに、実印を使う手続きと使わない手続きを分けていきます。
普通車の登録で実印と印鑑証明書が要るのは、新規登録、移転登録(名義変更)、抹消登録(廃車)の3つです。住所や氏名を書き換える変更登録には要りません。軽自動車の届出にも要りません。実印を押す書類は、申請書か委任状です。名義変更では、譲る人が譲渡証明書にも押します。
実印が要るかどうかは、登録の種類で決まります
普通車の登録は、住所を管轄する運輸支局で行います。おもな手続きは4つあり、そのうち3つで所有者の実印を使います。
新規登録
実印が必要新車を買ったときや、登録を消してあった中古車にもう一度ナンバーを付けるときの手続きです。
実印を押す人所有者
移転登録
実印が必要名義変更と呼ばれている手続きです。ローンを払い終えて、名義を販売店から自分に移すときもこれにあたります。
実印を押す人譲る人と譲り受ける人
変更登録
実印は不要引越しや結婚のあとに、車検証の住所や氏名を書き換える手続きです。住民票などを添えます。
実印を押す人いません
抹消登録
実印が必要廃車の手続きです。一時的に使うのをやめる場合も、解体した場合も、輸出する場合も、所有者が申請します。
実印を押す人所有者
実印を用意するのは、車検証の「所有者」にあたる人です。「使用者」として名前が載るだけの人は、実印を求められません。ローンで買った車は、払い終えるまで販売店や信販会社が所有者になっていることがあります。手続きの前に、所有者の欄を確かめてください。
車検証で確かめる2つの欄
申請書か委任状に実印を押し、印鑑証明書を添えます
申請書に名前を書くか、委任状を出します。所有者と別の人なら、住民票などで住所を示します
所有者がだれになっているかは、車検証か、車検証と一緒に渡される「自動車検査証記録事項」という紙で確かめられます。
押印を決めているのは、自動車登録令です
申請書に押印することは、政令で決まっています。
申請書には、申請人の氏名又は名称その他の国土交通省令で定める事項を記載し、申請人がこれに押印しなければならない。
自動車登録令 第15条第1項
この条文には、ただし書きが続きます。変更登録の申請書には、申請人が押印しなくてよいという内容です。住所や氏名の変更に実印が要らないのは、このためです。
押印した申請書には、印鑑証明書を添えます。証明書は、作成から3か月以内のものに限られます(第16条)。運輸支局は、書類の印影を証明書と見比べます。そのため、押す印鑑は市区町村に登録した実印になります。
なぜ、ここまで確かめるのか。国土交通省は、自動車の登録の役割の1つに、所有権を公に証明することを挙げています。車の持ち主が替わったことは、登録をしなければ第三者に主張できません(道路運送車両法 第5条)。持ち主を書き換える申請が本人のものかどうかを、実印で確かめています。
実印を押す書類は、申請書、委任状、譲渡証明書の3つです
どの書類に押すかは、だれが運輸支局へ行くかで変わります。
所有者本人が窓口で申請するときは、申請書に実印を押します。委任状は要りません。印鑑証明書は、この場合も添えます。
販売店で車を買うときは、ふつうこの形です。代わりの人が窓口へ行くので、所有者は委任状に実印を押して預けます。
譲渡証明書は、車を譲ったことを示す書類で、様式が決まっています。譲る人(譲渡人)が実印を押して、譲り受ける人に渡します。
申請書、委任状、譲渡証明書の様式は、国土交通省のサイトから印刷できます。販売店を通すときは、店が用紙を用意してくれます。
名義変更では、譲る人と譲り受ける人の両方が実印を使います
移転登録は、新しい所有者が申請します。期限は、持ち主が替わった日から15日以内です(道路運送車両法 第13条)。書類は、2人がそれぞれそろえます。
- 譲る人(旧所有者)
- 譲り受ける人(新所有者)
- 譲る人譲渡証明書に実印を押す譲った日付と、譲り受ける人の氏名・住所を書き入れます
- 譲り受ける人申請書か委任状に実印を押すご自分で窓口へ行くなら申請書に、だれかに任せるなら委任状に押します
- 譲る人委任状に実印を押す譲る人が窓口へ行かないときに要ります。ふつうは、譲り受ける人に手続きを任せます
- 譲り受ける人印鑑証明書を1通取る発行から3か月以内のものを用意します
- 譲る人印鑑証明書と車検証を渡す印鑑証明書は、発行から3か月以内のものです。書類とまとめて渡します
- 譲り受ける人車を置く場所が変わるなら、車庫証明を取る警察署で申請します。証明の日からおおむね1か月以内のものを出します。要らない地域もあります
- 申請新しい所有者が、15日以内に運輸支局へ申請するナンバーが変わるときは、いまのナンバープレートを返します
譲る人の車検証の住所や氏名が、いまと違っていることがあります。引越しや結婚のあとで、変更登録をしていなかった場合です。印鑑証明書に載るのは現在の住所と氏名なので、車検証の記載との間を書類でつなぎます。住所なら住民票や戸籍の附票、氏名なら戸籍謄本などです。引越しを2回以上している方は、住民票1通ではつながらないことがあります。
住所や氏名の変更には、実印は要りません
引越しや結婚で住所・氏名が変わったら、15日以内に変更登録を申請します(道路運送車両法 第12条)。この申請書には押印が要らず、印鑑証明書も添えません。住所の変更なら、前の住所からのつながりが分かる住民票を出します。氏名の変更なら、戸籍謄本か、旧姓が載った住民票を出します。どちらも発行から3か月以内のものです。
実印が要らないからと後回しにすると、車を売るときや廃車にするときに、住所をつなぐ書類を集めることになります。引越しのあとの届け出の順番は、引越しを機に印鑑を整理するでも説明しています。
印鑑証明書を出せない場合の扱い
印鑑登録ができない方や、登録が消えている方にも、代わりの方法が決められています。
印鑑登録は、15歳から受け付ける市区町村が多くあります。未成年の方の登録は未成年でも実印は作れる?、外国籍の方の登録は外国人でも実印は作れる?をご覧ください。
オンライン申請では、マイナンバーカードの電子証明書を使います
国土交通省には、登録をインターネットで申請できる仕組みがあります。「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」です。個人の所有者は、マイナンバーカードの電子証明書を使って申請します。
名義変更で紙の譲渡証明書を使う場合は、譲る人の実印がこれまでどおり要ります。使える地域と手続きにも条件があります。オンラインで進めたい方は、OSSのサイトで条件を確かめてから準備してください。
軽自動車は届出なので、実印は要りません
ここまでの決まりは、普通車(登録自動車)のものです。道路運送車両法は、登録の対象から軽自動車を除いています。手続きの窓口も、運輸支局ではなく軽自動車検査協会です。名義変更で出すのは、新しい使用者の住民票の写しか印鑑証明書の、どちらか1点です。コピーでも受け付けてもらえます。実印を押す書類はありません。
普通車と軽自動車で買うときの準備がどう違うかは、初めて車を買うときの実印にまとめています。
よくある質問
認印を押した委任状では、登録できませんか
新規登録、移転登録、抹消登録ではできません。所有者の委任状には実印を押し、印鑑証明書を添える決まりです。使用者の委任状は扱いが別で、申請書に使用者の名前を書けば委任状そのものが要りません。
ローンを払い終えました。名義を自分に移すときも実印が要りますか
要ります。所有者を販売店や信販会社からご自分に替える手続きは、移転登録にあたります。新しい所有者として、実印と印鑑証明書を用意してください。販売店や信販会社には完済を伝えて、名義を移すための書類を出してもらいます。
廃車を業者に頼みます。実印を預けることになりますか
預けるのは、実印を押した委任状と印鑑証明書です。実印そのものを渡す必要はありません。委任状は、内容が書き込まれていることを確かめてから押してください。
印鑑証明書を取ったあとで、実印を替えました
書類に押す印鑑と、証明書の印影が合わなくなります。新しい実印で登録し直し、証明書を取り直してから書類に押してください。枠が欠けて印影が変わった場合も同じです。
会社の名義で登録するときは、どの印鑑を使いますか
法務局に届け出た会社の実印を押し、法務局が発行する会社の印鑑証明書を添えます。自動車登録令は、登記官が作成した証明書も印鑑証明書として認めています。
まとめ|手続きの前に確かめる順番
はじめに、これから行う手続きが4つの登録のどれにあたるかを確かめます。次に、車検証の所有者の欄を見て、実印を用意する人を確かめます。名義変更なら、譲る人と譲り受ける人の両方です。
そのうえで、運輸支局へ行く人を決めます。ご自分で行くなら申請書に、だれかに任せるなら委任状に実印を押します。印鑑証明書は、申請の日に発行から3か月以内であるように取ります。車検証の住所や氏名がいまと違うときは、つなぐ書類も一緒に集めてください。
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