CHAPTER 02 個人の印鑑
外国人でも実印は作れる?印鑑登録の条件と彫る名前(通称・カタカナ)
外国人の方も、住民票のある中長期在留者や特別永住者で15歳以上なら、日本人と同じように印鑑登録ができ、実印を持てます。登録できる人の条件、アルファベット・カタカナ・通称のどれで彫るか、事前に住民票へ記載しておく手続き、実印が必要になる場面、直径や書体の決め方をまとめました。
公開日: 2026年9月24日
日本で暮らす外国人の方から、「自分も実印を作れるのか」「アルファベットの名前をどう彫ればよいのか」というご相談をいただきます。答えは、住民票のある外国人住民なら日本人と同じように印鑑登録ができ、実印を持てます。ただ、日本人と違って「どの名前で彫るか」に選択肢があり、通称やカタカナで彫る場合は登録の前に住民票へ記載しておく手続きが要ります。この記事では、登録できる人の条件、彫る名前の3つの選択肢、事前の手続き、実印が必要になる場面、そして直径や書体の決め方を順に説明します。実印そのものの説明は実印とは?銀行印・認印との違いと登録までの流れをご覧ください。
中長期在留者や特別永住者など住民票のある外国人住民は、15歳以上なら印鑑登録ができます。彫れる名前は、住民票に記載された氏名(アルファベット)、住民票に記載した通称、住民票に記載した氏名のカタカナ表記の3つです。通称やカタカナで彫りたい場合は、先に市区町村で住民票への記載を済ませてから印鑑を作ると、登録で止まりません。
印鑑登録できる外国人の条件
2012年7月9日に外国人登録制度が廃止され、外国人の方も日本人と同じ住民基本台帳の対象になりました。これにより、住民票のある外国人住民は、その市区町村で印鑑登録ができます。登録できるのは、日本人と同じく15歳以上で意思能力のある方です。
| 在留の区分 | 住民票 | 印鑑登録 | 本人確認に使う書類 |
|---|---|---|---|
| 中長期在留者(就労、留学、家族滞在など) | あり | できる | 在留カード |
| 特別永住者 | あり | できる | 特別永住者証明書 |
| 永住者 | あり | できる | 在留カード |
| 短期滞在(観光、商用など90日以内) | なし | できない | ― |
| 在留期間が3か月以下の在留資格 | なし | できない | ― |
つまり、日本で働いている方、留学している方、日本人の配偶者として暮らしている方、永住者や特別永住者の方は登録できます。観光や短期の商用で滞在している方は住民票がありませんので、登録できません。登録の窓口は住民票のある市区町村で、在留カードか特別永住者証明書を持っていけば、その日のうちに登録できるのが一般的です。
彫る名前は3つから選ぶ
外国人の方が実印を作るときに、日本人と最も違うのがここです。登録できる印鑑は「住民票に記載されている氏名を表しているもの」と決められていますが、外国人住民の住民票には、氏名のほかに通称と氏名のカタカナ表記を記載できますので、彫る名前に3つの選択肢があります。
注意したいのは、本名と通称を組み合わせて彫った印鑑は登録できないことです。たとえば本名の氏と通称の名を並べたものは認められません。通称の一部を省略する程度は認められる市区町村もありますが、基本は「どれか1つの表記で、そのとおりに彫る」と考えてください。
- 在留カードの表記どおりに彫ります
- 文字数が多くなりやすいので、氏か名だけを彫る選び方があります
- 横書きにすると、印面のなかに収まりやすくなります
- 市区町村でカタカナ表記か通称を住民票に記載してもらいます
- 記載されたとおりの文字で彫ります。長音や小さい文字も同じに
- 日本の書類に押したとき、相手が読み取りやすいという利点があります
当店では、漢字やひらがなだけでなく、カタカナやアルファベットでも彫刻できます。どの表記で彫るかを決めたら、住民票の記載と1文字も違わないように、注文時に正確な表記をお知らせください。長音記号の有無や、大文字と小文字の違いで登録できないことがあります。
登録までの流れ
通称やカタカナで彫る場合は、印鑑を作る前に住民票への記載を済ませておくのが大切です。印鑑を先に作ってしまうと、住民票の表記と1文字違うだけで登録できず、作り直しになります。
- 01住民票の表記を確かめる氏名のアルファベット、通称、カタカナ表記のどれが記載されているか
- 02通称・カタカナを記載してもらう必要な場合のみ。市区町村の窓口で申請。日常使用の証明書類が要る
- 03印鑑を注文する住民票の表記どおりに。直径は8mm四方より大きく25mm四方に収まる範囲
- 04市区町村で登録する在留カードか特別永住者証明書を持って本人が窓口へ。即日登録できるのが一般的
- 05印鑑証明書を取る登録証を受け取ったら、必要なときに窓口で発行。通称を登録した場合は本名も併記される
通称で登録した場合、印鑑証明書には通称と本名(アルファベットの氏名)の両方が記載されます。通称を省いて本名だけにすることはできますが、通称だけの証明書は出せません。契約の相手に本名が伝わることを前提にしておいてください。
外国人の方が実印を必要とする場面
実印が求められる場面は、日本人と同じです。在留に関する手続きや銀行口座の開設では署名で済むことが多いですが、次のような場面では実印と印鑑証明書を求められます。
| 場面 | 求められるもの | 補足 |
|---|---|---|
| 自動車の購入・名義変更 | 実印と印鑑証明書(発行から3か月以内) | 普通自動車の場合。軽自動車は認印で足りる |
| 住宅や土地の購入 | 実印と印鑑証明書 | 売買契約、住宅ローン、登記のそれぞれで求められる |
| 会社の設立 | 発起人・取締役の印鑑証明書 | 日本で起業する方に多い。印鑑証明書が出せない場合は署名証明で代える |
| 保証人になる、ローンを組む | 実印と印鑑証明書 | 金融機関によって指定が異なる |
| 賃貸契約 | 物件によって異なる | 本人は認印か署名で済むことが多い。保証人には実印を求める物件がある |
住民票がなく印鑑登録ができない方は、本国の公証人や在日大使館の署名証明で代える方法があります。ただ、日本で暮らしていて住民票があるなら、実印を登録しておくほうが手続きは早く済みます。場面ごとの詳しい説明は実印はいつ必要?車・住宅・相続など使う場面を整理にまとめています。
直径・書体・素材の決め方
登録の条件は日本人と同じで、印影が8mm四方より大きく25mm四方に収まること、住民票の表記を表していること、ゴムのように変形しやすい素材でないことです。そのうえで、外国人の方ならではの決め方があります。
直径は文字数から決める
アルファベットの氏名は文字数が多くなりがちです。フルネームで10文字を超えるようなら、氏だけか名だけを彫るか、18mmのような大きめの直径にします。カタカナも長音や小さい文字を含めると文字数が増えますので、同じ考え方です。
| 彫る内容 | 文字数の目安 | 直径の目安 | 向き |
|---|---|---|---|
| アルファベットの氏、または名 | 4〜8文字 | 13.5mm・15mm | 横書き |
| アルファベットの氏名 | 9〜14文字 | 15mm・16.5mm・18mm | 横書きで2段 |
| カタカナの氏、または名 | 3〜6文字 | 13.5mm・15mm | 縦書きか横書き |
| 通称(漢字) | 2〜4文字 | 13.5mm・15mm | 縦書き |
書体は、アルファベットなら読みやすさを優先する
日本人の実印には、印影から字を読み取りにくい吉相体や篆書体が選ばれています。ただ、これらは漢字のための書体ですので、アルファベットやカタカナには向きません。アルファベットで彫る場合は、線の太さが均一で読みやすい書体で彫り、複製されにくさは直径と文字の配置で補います。通称を漢字で彫る場合は、日本人と同じように吉相体や篆書体を選べます。
素材は長く使えるものを
実印は一度登録すれば、帰国するか住民票を移すまで何年も使います。当店では薩摩本柘、彩樺、黒水牛、チタンなどからお選びいただけます。乾燥した国や湿度の高い国と行き来する方は、気候の変化に強いチタンが安心です。価格を抑えたい方は薩摩本柘、日本らしい印鑑を持ちたい方は黒水牛が選ばれています。
よくある質問
サインではだめですか
日本でも署名で済む手続きは増えています。ただ、自動車の登録や不動産の登記のように、実印と印鑑証明書を前提にしている手続きが残っています。住民票のある方なら、実印を1本登録しておくほうが、そのたびに署名証明を用意するより手間がかかりません。
氏だけ、名だけで登録できますか
多くの市区町村で、住民票に記載された氏名の氏だけ、名だけ、または氏名の一部を組み合わせたものを登録できます。ただし本名と通称を混ぜることはできません。市区町村によって細かな条件が違いますので、注文の前に窓口で確かめておくと確実です。
帰国するときはどうすればよいですか
転出届を出して住民票がなくなると、印鑑登録も失効します。登録証は返却するのが一般的です。印鑑そのものは持ち帰って構いません。再来日して住民票を作れば、同じ印鑑でもう一度登録できます。
日本人の配偶者の姓を通称にして彫れますか
配偶者の姓を通称として住民票に記載すれば、その通称で彫った印鑑を登録できます。通称の記載には、その名前を日常的に使っている証明が要りますので、先に市区町村で手続きを済ませてから注文してください。
銀行印や認印も同じ名前で作ってよいですか
銀行印と認印には登録の条件がありませんので、通称、カタカナ、アルファベットのどれで作っても構いません。ただ、実印と銀行印は印影を分けてください。実印はアルファベットの氏名、銀行印はカタカナの名、というように表記を変えると、区別しやすくなります。
まとめ|住民票の表記を決めてから、印鑑を作る
住民票のある中長期在留者や特別永住者の方は、15歳以上なら日本人と同じように印鑑登録ができ、実印を持てます。彫れる名前は、住民票の氏名(アルファベット)、住民票に記載した通称、氏名のカタカナ表記の3つで、本名と通称を組み合わせることはできません。
通称やカタカナで彫りたい場合は、先に市区町村で住民票への記載を済ませ、その表記と1文字も違わないように印鑑を作ります。アルファベットは文字数が多くなりますので、氏か名だけを横書きにするか、大きめの直径を選んでください。実印と一緒に銀行印や認印も揃えるなら、表記を変えて印影を分けておくと使い分けやすくなります。
アルファベット・カタカナ・漢字の通称でお作りします
住民票の記載どおりの表記で、そのまま市区町村に登録できる仕様でお作りします。文字数が多い場合の直径や、氏だけ・名だけの彫り方は、注文の前にご相談ください。
表記と直径を相談する