CHAPTER 04 印鑑登録・各種手続き
代理人が印鑑登録する方法|委任状の書き方・照会書・2回分の持ち物
印鑑登録は代理人に頼めますが、窓口へ2回行く必要があり、登録までは1週間前後かかります。委任状の書き方、1回目と2回目の持ち物、照会書の回答期限、入院中で照会書を受け取れないときの相談先を、各市の案内をもとに説明します。
公開日: 2026年10月11日
入院しているお母様の家を売ることになった。足の悪いお父様の代わりに、相続の書類をそろえたい。平日に休めないご主人の実印を、先に登録しておきたい。ご本人が役所へ行けないときに考えるのが、代理人による印鑑登録です。だれが何を書き、何を持って、窓口へ何回行けばよいのか。順に説明します。
代理人による印鑑登録は、窓口へ2回行き、登録までに1週間前後かかります。1回目は、ご本人が書いた委任状と登録する印鑑を持って申請します。すると役所が、ご本人の住所へ照会書を郵便で送ります。照会書に付いている回答書にご本人が記入して印鑑を押し、代理人がもう一度窓口へ持って行くと、登録が済みます。回答書を出す期限は、申請から30日ほどです。
代理人が申請すると、その日に登録が終わらない理由
印鑑登録は、家の売買や相続などで使う実印を、役所に登録する手続きです。知らないあいだに他人に登録されると、ご本人の名前で契約を結ばれるおそれがあります。そのため役所は、申請がご本人の意思によるものかどうかを念入りに確かめます。
ご本人が窓口に来ていれば、顔写真付きの本人確認書類と見比べて、その場で確認できます。代理人が来た場合は、この方法が使えません。そこで役所は、ご本人の住所へ「照会書」という郵便を送り、その返事(回答書)で意思を確かめます。川崎市、福岡市、静岡市、杉並区、板橋区のどこも、代理人による申請ではその日に登録できないと案内しています。
京都市の要領では、代理人が申請できるのは、病気などのやむを得ない理由でご本人が来られないときです。出かけられる方は、ご自身で申請するのが基本です。
申請から登録までの流れ
ご本人、代理人、役所の3者が、順番に動きます。ご本人は窓口へ行きませんが、委任状と回答書の2つを書きます。
ご本人登録する方
委任状を書く自筆で書き、登録する印鑑と一緒に代理人へ預けます 回答書に記入する照会書に付いている回答書に署名し、登録する印鑑を押します代理人窓口へ行く方
窓口で申請する窓口へ行く1回目です。委任状と印鑑を出します 回答書を持って行く窓口へ行く2回目です。申請したときと同じ窓口に出します役所住民票のある市区町村
照会書を送るご本人の住民票の住所へ、郵便で送ります 登録する回答書を確かめ、印鑑登録証を渡します印鑑登録証明書を取れるのは、6の登録が済んでからです。契約の日が決まっている方は、1週間から10日の余裕を見て申請してください。
1回目と2回目に、窓口へ持って行くもの
1回目と2回目では、持って行くものが違います。登録する印鑑は、2回目にも求める市があります。2回とも持って行くと、出直さずに済みます。
1回目申請する日
代理人が窓口で申請する
- 登録する印鑑
- ご本人が書いた委任状
- 代理人の本人確認書類マイナンバーカード、運転免許証など
この日は、まだ登録されません
郵便役所がご本人の住所へ照会書を送ります転送はされません
2回目回答書を出す日
回答書を持って行く
- ご本人が記入した回答書委任状の欄にも、ご本人が記入します
- 登録する印鑑1回目と同じ印鑑です。2回目は要らない市もあります
- ご本人の本人確認書類求める市では、ご本人から預かって行きます
- 代理人の本人確認書類
1回目と同じ窓口で、印鑑登録証を受け取ります
2回目の持ち物は、市によって少しずつ違います。照会書に付いている案内を読んでから出かけてください。
印鑑登録の委任状の書き方
委任状は、「この人に印鑑登録の申請を頼みます」とご本人が書いて示す書類です。京都市、大阪市、福岡市は書式を、横浜市は見本を公開しています。ご本人の住民票がある市区町村のものを使ってください。
委任状を書くときの決まり
- 書く人
- ご本人が、ご自分の手で書きます横浜市と板橋区は、ご本人の自筆を求めています。板橋区は、パソコンで作ったものを受け付けません
- 押す印鑑
- これから登録する印鑑を押します板橋区、杉並区、静岡市の決まりです。別の印鑑を押さないよう気をつけてください
- 頼む内容
- 何を頼むのかを、手続きごとに書きます板橋区は、申請、登録証の受け取り、廃止のそれぞれに、委任状を1通ずつ求めています
- 書いた日
- 申請の日に近い日付で書きます横浜市は、2週間以内に作った委任状を求めています
- 筆記具
- 消えないペンで書きます板橋区は、鉛筆や消せるボールペンで書いたものを受け付けません
手が不自由などの事情で、ご本人が書けないときは、先に窓口へ相談してください。福岡市は、あらかじめ区役所へ相談するよう案内しています。
照会書は、ご本人の住民票の住所に届きます
照会書は、代理人の住所には送ってもらえません。総務省の仕様書は、うその申請を防ぐために、ご本人の住民票の住所へ送るのを原則としています。
照会書が届かないおそれがあるとき
郵便局に転送届を出している杉並区、板橋区、静岡市は、照会書を「転送不要」の郵便で送ります。転送の設定があると届きません。申請の前に解除しておいてください。
先に解除する入院している、施設に入っている総務省の仕様書は、入院などの理由が確かめられれば、住民票と別の住所へ送ることを認めています。1回目の申請のときに、窓口で事情を伝えてください。
窓口に相談する回答の期限が過ぎてしまった板橋区と川崎市は、期限を過ぎた申請は無効になると案内しています。委任状を書いてもらうところから、やり直しになります。
申請をやり直す回答書は、届いた照会書に付いている記入欄です。ご本人が日付、住所、氏名を自筆で書き、登録する印鑑を押します。板橋区は、コピーした回答書を受け付けません。届いた紙そのものに書いてください。
代理人にできること、できないこと
代理人になるのは、ご本人から頼まれた方です。静岡市では、15歳以上で、成年後見人が付いていない方が代理人になれます。代わりにできるのは、窓口での申請と受け取りです。委任状や回答書を書いて意思を示す部分は、ご本人にしかできません。
窓口での申請と、印鑑登録証の受け取り委任状を持って行きます
できますその日のうちの登録顔写真付きの本人確認書類で確かめる方法です。ご本人が窓口へ行く場合だけ使えます
できません保証人を立てて、その日に登録するすでに印鑑登録をしている方に保証してもらう方法です。横浜市はできますが、川崎市はできません
市による郵送での申請窓口へ行かずに済ませる方法です。板橋区は、郵送では受け付けないと案内しています
できません成年後見制度を利用している方の登録横浜市、名古屋市、京都市では、ご本人が窓口へ行き、成年後見人が付き添います
できません登録したあとの、印鑑登録証明書の受け取りご本人の印鑑登録証を預かって行きます。名古屋市と東京都中央区は、委任状が要りません
できます横浜市では、代理人が申請する場合も、保証人の署名と実印の押印がある申請書を出せば、その日に登録できます。ただし、代理人が保証人を兼ねることはできません。この方法を行っていない市区町村もあります。
ご本人が窓口へ行けるなら、そのほうが早く済みます
ご本人が顔写真付きの本人確認書類を持って行けば、多くの市でその日に登録が済みます。付き添いがあれば出かけられる方は、ご家族と一緒に窓口へ行くほうが、日数も手間も少なくなります。
実印をこれから作る場合は、印鑑が届くまでの日数も加わります。当店は、ご注文から通常3〜7営業日で発送します。代理人による登録にかかる日数と合わせて、契約の日の3週間ほど前には注文しておくと、慌てずに済みます。
ご家族が実印を用意するときに確かめること
登録する印鑑をご家族が用意する場合は、次の3つを確かめてください。
- 彫る名前が、住民票の氏名と同じ字かどうか。旧字体の方は、その字のまま注文してください
- 同じ世帯のどなたかが、すでに登録している印鑑ではないか。京都市と大阪市は、同じ世帯で登録済みの印鑑を受け付けません
- ご本人が印影を見て、ご自分の実印として納得されているかどうか。当店では、彫る前の印影をメールで確かめられます
実印は、契約のたびにご本人の意思を示す印鑑です。注文や登録をご家族が手伝う場合も、押すかどうかを決めるのはご本人です。登録が済んだら、実印と印鑑登録証は別々にしまい、置き場所をご本人と確かめておいてください。ご夫婦で印鑑を管理するときの注意は、夫婦で印鑑を共有してもいい?で説明しています。
よくある質問
委任状は、家族が代わりに書いてもよいですか
ご本人が書くのが決まりです。横浜市と板橋区は、自筆の委任状を求めています。病気やけがで書けないときは、申請の前に窓口へ相談してください。福岡市も、あらかじめ区役所へ相談するよう案内しています。
照会書を、代理人の住所に送ってもらえますか
送ってもらえません。照会書は、ご本人の意思を確かめるための郵便ですので、送り先は住民票の住所になります。入院などで受け取れない事情がある方は、申請のときに窓口で相談してください。
2回目は、1回目と違う窓口へ行ってもよいですか
申請したときと同じ窓口へ行ってください。川崎市、福岡市、板橋区は、申請した窓口に回答書を持って来るよう案内しています。区役所や出張所がいくつもある市では、1回目に行った場所を控えておいてください。
登録が済んだあと、印鑑登録証明書も代理人が取れますか
取れます。印鑑登録証を預かって行き、申請書にご本人の住所、氏名、生年月日を正しく書きます。名古屋市と東京都中央区は、この申請に委任状は要らないと案内しています。実印を持って行く必要はありません。
今日中に登録を済ませたいのですが、代理人でも方法はありますか
照会書を待つ方法では、その日には済みません。横浜市のように、保証人を立てれば代理人の申請でも当日に登録できる市はあります。保証人による登録がない市では、ご本人が顔写真付きの本人確認書類を持って窓口へ行く方法だけになります。
まとめ|代理人による印鑑登録の進め方
はじめに、付き添いがあればご本人が窓口へ行けないかを考えます。行けるなら、その日に済みます。行けない場合は、まず登録する印鑑を用意します。これから作るなら、住民票の字を確かめて注文します。次に、住民票がある市区町村の書式や見本に沿って、ご本人に委任状を書いてもらいます。
1回目の窓口では、委任状、印鑑、代理人の本人確認書類を出します。照会書が届いたら回答書を書いてもらい、期限のうちに同じ窓口へ持って行きます。受け取った印鑑登録証は、実印と別の場所にしまいます。
認印は今の品を使う方には、実印・銀行印の2本セット(薩摩本柘 16,200円〜)があります。彫るお名前は、ご本人の住民票の字でお知らせください。契約の日が決まっている方は、ご注文の前にお問い合わせからご相談いただけます。