CHAPTER 02 個人の印鑑
夫婦で印鑑を共有してもいい?銀行印・実印の登録と管理
夫婦で1本の印鑑を共有してもいいのかを、実印・銀行印・認印に分けて説明します。実印は同じ世帯で同じ印鑑を登録できません。銀行印は届け出はできても、なくしたときや相続のときに困ります。2人の印鑑の分け方と保管の仕方もまとめました。
公開日: 2026年9月24日
結婚して同じ姓になると、家にある1本を2人で使えば済むのでは、と考える方もいるでしょう。住宅ローンの契約や、銀行口座の名義変更をきっかけに、1本で足りるのか気になった方もいるはずです。この記事では、印鑑の種類ごとに、夫婦で共有できるかを説明します。あわせて、2人分をどう分け、どうしまうかもお話しします。
結論実印と銀行印は、1人1本ずつ用意してください
共有できない・しないほうがよい印鑑
- 実印。同じ世帯で登録済みの印鑑は登録できず、印鑑登録は1人1個です
- 銀行印。届け出はできますが、なくしたときに2人分の口座で改印が要るなど、あとで困る場面があります
共有しても困らない印鑑
- 認印。宅配の受け取りや回覧など、姓を確認するだけの用途なら1本でも構いません
- ただし職場に持っていく認印は、それぞれ1本ずつあるほうが実際には便利です
実印は、夫婦で共有できない
実印とは、住んでいる市区町村に届け出た印鑑のことです。京都市の案内には、登録の条件がいくつか書かれています。そのうちの2つが「1人につき1個であること」と「同一世帯員によってすでに登録されている印鑑でないこと」です。つまり、同じ世帯で暮らす夫婦が、1本を2人の分として届け出ることはできません。ほかの多くの自治体も、同じ条件を定めています。
そもそも実印は、「この印影は本人のものです」と役所が証明する仕組みです。不動産の売買や住宅ローン、自動車の登録、相続の遺産分割協議など、本人が内容を承知したことを示す場面で使います。結婚していても、法律上は別々の人です。自分の契約書に配偶者の実印を押しても、自分が押印したことにはなりません。
夫婦が1人ずつ借り入れるペアローンでは、2人分の実印と印鑑登録証明書を求められます。収入を合算して、配偶者が連帯保証人になる場合も同じです。家を買う段階になって、片方の分がまだないと気づく方もいます。登録の手続きには印鑑そのものを持っていくので、まず作るところから始まります。契約の日程が見えてきたら、早めに2人分を用意しておくと慌てずに済みます。ほかに必要になる場面は実印はいつ必要?にまとめています。
銀行印は共有できても、あとで困る場面がある
銀行印は、口座を開くときに金融機関へ届け出た印鑑です。どれを届け出るかは口座ごとに決めるもので、別の人と同じ印影にしてはいけないという決まりは、ふつうはありません。そのため、夫婦で同じ1本を届け出ることも、手続きの上ではできてしまいます。
それでも当店がおすすめしないのは、次の3つの場面で困るからです。
ふだんの入出金では困りません。問題になるのは、印鑑をなくしたときと、相続や贈与で財産を確かめるときです。
- なくすと2人分の口座で改印が要る 銀行印をなくしたら、届け出た先ごとに改印(届出印の変更)の手続きをします。夫婦で複数の金融機関を使っていれば、その全部を2人で回ることになります。
- 相続のとき、残された側の銀行印が故人の届出印と同じになる 一方が亡くなると、その人の口座は凍結され、遺産を分ける手続きに入ります。残された側も同じ1本を使っているため、扱いが紛らわしくなります。金融機関によっては、新しい印鑑への切り替えを求められることもあります。
- 財産の区別があいまいになる 贈与や相続では、口座の名義だけで誰の財産かを決めるわけではありません。お金を出したのは誰か、通帳と印鑑を誰が管理していたかも見られます。夫婦で同じ印鑑を使っていると、名義は一方でも、実際はもう一方のお金だと見られる余地が生まれます。
銀行印は、口座の名義人ごとに1本ずつ持つのが基本です。夫婦で1本ずつ作るときは、彫る名前か書体を変えて、印影がはっきり違うようにしてください。届出印の役割については銀行印とは?届出印の役割と作る前の確認事項で説明しています。
認印は共有しても構わない
認印は登録も届け出もしない印鑑で、書類の内容を確認したしるしとして押します。宅配の受け取りや町内会の回覧のように、姓が分かればよい場面なら、玄関に1本置いて夫婦で使っても差し支えありません。
ただ、職場で使う分まで1本にすると、朝に持ち出した側しか使えません。家に置く1本とは別に、それぞれが持ち歩く1本を用意しておくと困りません。認印は3本の中でいちばん手頃なので、人数分そろえやすいでしょう。
夫婦の印鑑は、何を揃えて何を分けるか
「共有はしない」と決めたら、次は2人の印鑑をどう分けるかです。おすすめは、素材と書体をお揃いにして、彫る名前と直径で区別する分け方です。
- 素材
- 黒水牛や彩樺など、同じ素材で揃えると、並べたときにお揃いだと分かります。
- 書体
- 実印は、吉相体か篆書体のような読み取りにくい書体で、2人とも揃えます。
- ケース
- 同じ形のケースで色だけ変えると、取り違えを防げます。
- 彫る名前
- 2人とも苗字だけにすると、同じ姓なので印影が似てしまいます。少なくとも一方はフルネームか名前だけにします。
- 直径
- ご主人は実印16.5mm・銀行印15mm、奥様は実印15mm・銀行印13.5mmのように、1段階(1.5mm)ずつずらします。同じ種類どうしを、直径で見分けられます。
- 保管場所
- 2人分の印鑑を1つの箱にまとめると、盗難や火災のときに一度に失います。別々の場所にしまいます。
姓が変わった側は、作り直すときに「名前だけ」にする方が多い
結婚で姓が変わった側は、旧姓で登録した印鑑が使えなくなり、作り直しになります。銀行印も、名義変更にあわせて新しくすることがあります。このとき下の名前だけ(名のみ)で作れば、この先また姓が変わっても作り直さずに済みます。配偶者が苗字だけで作った場合も、印影が重なりません。登録できる条件は実印は名前だけでもいい?で、結婚前後に作り直す手順は結婚で印鑑を変える順番で説明しています。
| ご主人 | 奥様 | 分け方のねらい | |
|---|---|---|---|
| 実印 | フルネーム・16.5mm・吉相体 | 名前だけ・15mm・吉相体 | 書体は揃え、名前と直径で区別する |
| 銀行印 | 苗字だけ・15mm・篆書体 | 名前だけ・13.5mm・篆書体 | 実印と印影が重ならないようにする |
| 認印 | 苗字だけ・12mm・古印体 | 苗字だけ・10.5mm・古印体 | 読みやすい書体にする。家用にもう1本あってもよい |
夫婦の印鑑をどう保管するか
1人1本ずつに分けても、しまい方によっては、どちらの分か分からなくなることがあります。次の4つを2人で決めておくと、いざというときに慌てずに済みます。
夫婦の印鑑の保管で決めておく4つのこと
- 実印は、印鑑登録証(カード)と別の場所に置く 登録証があれば、本人でなくても印鑑登録証明書を取れます。実印と証明書が揃うと、勝手に契約を結ばれるおそれがあります。2人分の登録証と印鑑を、1つの引き出しにまとめて入れるのは避けてください。
- 銀行印は、通帳やキャッシュカードと一緒にしない 通帳と届出印が揃うと、窓口でお金を引き出せてしまいます。2人分の銀行印は、どちらも別の場所にしまいます。
- どの印鑑をどの口座に届け出たかを、お互いが分かるようにしておく 相続のときに、残された側が故人の届出印を探すことがあります。届け出た組み合わせをメモに残し、しまった場所もお互いに伝えておきます。
- ケースの色を分ける 素材が同じで直径も近い印鑑は、ケースの色を変えておくと、ひと目で見分けられます。
よくある質問
妻の口座の手続きを、夫が妻の銀行印を持って窓口ですることはできますか
内容によります。名義人本人でなければ受け付けないものが多く、代理で行う場合は委任状や本人確認書類を求められます。1本を共有していても、この点は変わりません。
夫婦で同じ印鑑を別々の市区町村に登録することはできますか
別居していて世帯が違えば、「同一世帯員によってすでに登録されている印鑑」という条件には当たりません。ただ、同じ印影の実印が2人分あると、契約や相続の書類で、どちらが押したのか印影から見分けられなくなります。おすすめはしません。
独身のころの実印を、結婚後もそのまま使えますか
姓が変わらなかった側は、そのまま使えます。姓が変わった側は、フルネームか苗字だけで作っていた場合、多くの自治体で登録が自動的に抹消されます。新しい印鑑で、改めて印鑑登録をしてください。名前だけで作っていた場合は、そのまま使えます。
夫婦で印鑑を揃えるなら、どのセットがよいですか
2人ともこれから印鑑登録をするなら、実印・銀行印・認印の3本セットを2組そろえる形がおすすめです。素材を同じにして、実印と銀行印の直径を1段階ずらすと、お揃いのまま見分けられます。すでに一方が登録を済ませているなら、新しく3本揃えるのはもう一方だけです。持っている側は、足りない分を1本ずつ足せば揃います。
子どもの口座に、自分の印鑑を届け出てもいいですか
お子様名義の口座に、ご自身と同じ1本を届け出ると、あとでお子様に渡すときに改印が要り、財産の区別もあいまいになります。お子様用に1本作っておけば、成人したときにそのまま本人へ渡せます。
まとめ|夫婦それぞれの印鑑を用意する順番
まず、いま2人で使い回している印鑑がないかを確かめます。次に、実印がまだない側の分から作ります。姓が変わった側は、名前だけで作るかもここで決めます。2人の素材と書体は揃え、直径は1段階ずらします。銀行印を1本にまとめていた口座は、新しい印鑑ができたら改印の手続きをします。最後に、実印は登録証と、銀行印は通帳と別の場所にしまい、ケースの色を分けておきます。
すでに一方が実印を持っているなど、足りない1本だけ揃える場合はこちらから。
結婚祝いとして夫婦の印鑑を贈る場合は結婚祝いに夫婦の印鑑セットをも参考にしてください。組み合わせで迷ったらお問い合わせいただければ、2人分の彫る名前と直径をご提案します。