CHAPTER 15 人生の節目・記念
終活で印鑑を整理する|残す印鑑の決め方と家族に伝える一覧
終活で身のまわりを整理している方へ。印鑑を整理するとご家族の何が楽になるか、遺言や不動産の手続きでご自身が印鑑を押す場面、すべての印鑑を出して役目を確かめる方法、残す・作り直す・手放すの分け方、ご家族に伝える一覧の書き方と書かないこと、実印と印鑑登録証の保管を説明します。
公開日: 2026年10月5日
身のまわりの整理を始めると、引き出しや書類の箱から、印鑑がいくつも出てきます。どれが実印で、どれがどの銀行の印鑑だったか、ご自身でもあいまいになっていることがあります。本人に分からないものは、ご家族にはもっと分かりません。元気なうちにできる印鑑の整理を、順番に説明します。
印鑑の整理は、確かめる、絞る、伝えるの3段階です。すべての印鑑を出して役目を確かめ、実印と、使っている口座の銀行印、認印1本に絞ります。そのうえで、どれが何の印鑑で、どこにあるかを一覧にして、ご家族に伝えます。一覧には、暗証番号と印影を載せません。
印鑑を整理しておくと、ご家族の何が楽になるか
預金の相続で金融機関に出すのは、相続する方の印鑑証明書です。亡くなった方の印鑑登録は、京都市の要領では、亡くなったことが分かった時点で消えます。それでもご家族は、残された印鑑を前にして手が止まります。困るのは、次の4つです。
どれが実印か分からない
似た大きさの印鑑が何本もあると、見分けがつきません。処分してよいのか、取っておくのかを、ご家族は決められなくなります。
今できること実印を確かめて、ケースに目印を付けます
銀行印が、どの口座のものか分からない
入院や施設への入居で、ご家族が口座の手続きを手伝うことがあります。届出印がどれかは、通帳を見ても分かりません。
今できること口座ごとに届出印を確かめ、一覧に書きます
使っていない口座が残っている
口座が多いほど、相続のときにご家族が回る金融機関が増えます。10年以上出し入れのない預金は、休眠預金として扱われます。
今できること使わない口座を解約し、その届出印を手放します
印鑑が見つからない
しまった場所を本人しか知らないと、ご家族は家じゅうを探すことになります。
今できること置き場所を決めて、ご家族の1人に伝えます
終活のなかで、ご自身が印鑑を押す場面
整理は、ご家族のためだけのものではありません。これからの数年は、ご自身が大事な書類に印鑑を押す機会が続きます。
自分で書く遺言書
民法は、全文と日付、氏名を自分で書き、印を押すよう定めています。法務省と日本司法書士会連合会の冊子によると、印鑑は認印でも実印でもかまいません。スタンプ式の印鑑は使えません。
使う印鑑実印か認印
公証役場で作る遺言書
日本公証人連合会の案内では、本人を確かめる資料として、発行から3か月以内の印鑑登録証明書を用意します。顔写真の付いた身分証明書で代えることもできます。
使う印鑑証明書を出すなら実印
売る、贈る、名義を整える
不動産の登記では、申請の書類に実印を押し、作成から3か月以内の印鑑登録証明書を添えます。住み替えや生前の贈与を考えている方は、実印を使います。
使う印鑑実印
実印の縁が欠けていたり、どれを登録したか分からなくなっていたりすると、手続きの直前に慌てることになります。先に確かめておけば、作り直す時間も取れます。実印を使う場面は、実印はいつ必要?にまとめています。
手順1|すべての印鑑を出して、役目を確かめます
家じゅうの印鑑を、1か所に集める
引き出し、かばん、金庫、書類の箱を見ます。ケースだけが残っていることもあるので、ふたを開けて中身も確かめます。
実印を確かめる
印鑑登録証明書を1通取ります。証明書に載っている印影と、手元の印鑑を紙に押した印影を見比べます。
銀行印を確かめる
通帳を口座ごとに並べ、届出印がどれかを確かめます。分からないときは、通帳と本人確認書類、心当たりの印鑑を持って窓口でたずねます。
確かめた印鑑には、その場で目印を付けます。ケースに小さな札を付けるか、ケースの色を役目ごとに変えておくと、あとで迷いません。
手順2|残す、作り直す、手放すの3つに分けます
登録や届け出に使っている印鑑
- 実印登録してある1本です。遺言や登記で使います
- 使っている口座の銀行印年金の受け取りや、引き落としに使う口座の届出印です
- 認印を1本役所の届けや、ふだんの書類に押します
このままでは使いにくい印鑑
- 縁が欠けた実印や銀行印印影が届け出たときと変わると、照合に手間取ることがあります
- 実印と銀行印を兼ねた1本なくすと、役所と銀行の両方で手続きが要ります。2本に分けます
- ご夫婦で使っている1本どちらの口座の印鑑かが、ご家族には分かりません。1人ずつ分けます
役目の終わった印鑑
- 解約した口座の届出印ほかの口座に届けていないことを確かめてから手放します
- 何本もある既製の認印1本を残して、あとは処分します
- 勤めていたころの仕事用の印鑑訂正印や、職場に置いていた認印です
実印や銀行印を作り直したときは、役所での登録と、銀行での改印も済ませます。先に亡くなったご家族の印鑑が出てきたら、ご自身の印鑑とは分けて考えてください。残し方は、形見の印鑑はどうする?で説明しています。
手順3|一覧を作って、ご家族に伝えます
法務省と日本司法書士会連合会が作ったエンディングノートには、預貯金を書く欄があります。欄の項目は、金融機関名、支店、口座番号、貸金庫の有無です。届出印を書く欄はないので、印鑑の一覧を自分で1枚足します。
印鑑の一覧(記入の例)
- 実印
- 黒いケース。黒水牛で、直径は15mm○○市で登録しています。印鑑登録証は、書斎の机の2段目にあります
- 銀行印(1)
- 赤いケース。柘で、直径は13.5mm○○銀行△△支店の普通預金。年金の受け取りと、公共料金の引き落としに使っています
- 銀行印(2)
- 緑のケース。黒水牛で、直径は12mmゆうちょ銀行の通常貯金に届けています
- 認印
- 玄関の棚の、木の小箱に入れていますどこにも届け出ていません
- 置き場所
- 実印と銀行印は、寝室のたんすの上から2段目通帳は、別の部屋の書類棚に置いています
ご家族が見た目で見分けられるように、ケースの色、素材、直径を書いておきます。
- 印鑑の見た目ケースの色、素材、直径。見分ける手がかりになります
- 届け出先登録した市区町村、口座のある金融機関と支店
- 置き場所印鑑、通帳、印鑑登録証のそれぞれの場所
- 暗証番号キャッシュカードなどの番号は、印鑑の一覧と同じ紙に残しません
- 印影一覧に印鑑を押すと、紙を見た人に印影が伝わります
- 口座の残高金額は変わっていくので、通帳を見てもらいます
一覧は、印鑑や通帳と同じ場所には置きません。信頼できるご家族の1人に、一覧の置き場所を伝えておきます。エンディングノートは、ご家族への覚え書きです。財産の分け方に法的な効力を持たせたいときは、遺言書を作ります。
実印と印鑑登録証は、別々に保管します
京都市の要領では、印鑑登録証明書は、登録証を添えて申請します。代理の方が申請するときも、委任状は要りません。実印と証明書がそろうと契約に使えるので、実印と登録証を同じ場所に置いたり、同じ人に預けたりするのは避けてください。
銀行印と通帳も同じです。全国銀行協会は、届出印を通帳や印影の分かる書類と別に保管するようすすめています。ご家族の印鑑と一緒にしまうときの分け方は、家族の印鑑の収納と見分け方をご覧ください。
手放す印鑑は、処分するか供養に納めます
手放す印鑑は、印面をやすりで削り、押しても名前が写らないようにしてから処分します。長年使った印鑑を捨てにくい方は、供養に納める方法があります。全日本印章業協会の印章祈願祭は、毎年9月の最終日曜日に、京都の下鴨神社で行われます。手放す前の確かめ方は、印鑑を新調したら古い印鑑はどうする?にまとめています。
よくある質問
亡くなった親の実印は、相続の手続きで使いますか
使いません。全国銀行協会の案内では、預金の相続で出すのは、相続する方の印鑑証明書です。遺産分割協議書には、相続人の全員が署名と押印をします。
自分の印鑑を、子どもに使ってもらえますか
名字だけを彫った印鑑なら、同じ名字のご家族が認印として使えます。実印や銀行印にするなら、使う方が自分で登録や届け出をし直します。フルネームや下の名前を彫った印鑑は、印材を生かして彫り直す方法があります。
象牙の印鑑を持っています。家族に残すのに手続きは要りますか
環境省の案内では、象牙の印鑑を個人が持ち続けることにも、ご家族が相続することにも、手続きは要りません。売るときの決まりは、象牙製品は国内で売買できる?で説明しています。
実印を登録していません。終活のために登録しておくべきですか
公証役場で遺言書を作る予定や、家を売る予定があるなら、登録しておくと準備が進みます。予定がなければ、印鑑だけ用意しておき、必要になったときに登録する方法もあります。
まとめ|集めて確かめ、3つに分け、一覧にして伝える
はじめに、家じゅうの印鑑を1か所に集めます。印鑑登録証明書と通帳を使って、実印と銀行印を確かめます。次に、残す、作り直す、手放すの3つに分けます。欠けた実印や、兼用していた印鑑は、このときに作り直します。最後に、見た目と届け出先、置き場所を一覧に書き、ご家族の1人に一覧の場所を伝えます。
残す印鑑を、見分けやすく作り直します
京都の職人が、お名前の字に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫刻します。ケースの色は1本ずつ選べるので、実印と銀行印を色で見分けられます。ご注文から3〜7営業日で発送、送料無料、5年保証付きです。