CHAPTER 03 会社の印鑑
小切手印とは?当座預金の届出印と銀行印の関係・電子化後の使い道
小切手印とは、小切手や手形の振出人の欄に押す印鑑の呼び名で、実体は当座預金の口座に届け出た会社の銀行印です。小切手のどこに押すか、普通預金の銀行印と分けるべきかを説明します。紙の手形・小切手は2027年3月で交換を終えますが、そのあとも当座預金や融資の手続きで銀行印は使います。これから当座預金を開く会社の銀行印の作り方もまとめました。
公開日: 2026年9月24日
経理を引き継いで金庫を開けたとき、「小切手印」と書かれたケースが出てくることがあります。これは何の印鑑なのか、銀行印とは別に作るものなのか、と戸惑う方がいらっしゃいます。紙の小切手は電子化で使われなくなりつつあり、この印鑑を今後どう扱えばよいのかも気になるところです。この記事では、小切手印の正体と押す場所、普通預金の銀行印と分けるべきかを説明します。そのうえで、電子化のあとに会社の銀行印をどう考えればよいかをお伝えします。銀行印の基本は会社銀行印とはにまとめています。
小切手印とは、小切手や手形の振出人の欄に押す印鑑の呼び名で、実体は当座預金の口座に届け出た会社の銀行印です。普通預金と同じ銀行印で兼ねる会社もあれば、当座専用にもう1本を届け出る会社もあります。全国銀行協会の案内では、紙の手形・小切手の交換は2027年3月31日で廃止されます。期限を公表している金融機関の多くは、2026年9月30日を最終振出期限にしています。紙の小切手がなくなっても、当座預金の契約や融資、窓口の手続きでは銀行印を使い続けます。会社の銀行印は、これからも手元に置いておく印鑑です。
小切手印という言葉の正体
会社の中では、同じ印鑑がいくつもの名前で呼ばれることがあります。「小切手印」「手形印」「当座の届出印」は、どれも当座預金の口座に届け出た銀行印のことです。使う場面によって、呼び方が変わるだけです。
- 小切手印小切手の振出人の欄に押すので、この名前で呼ばれます。小切手帳と一緒に金庫にしまい、経理の担当者が管理することの多い印鑑です
- 手形印約束手形や為替手形に押すときの呼び方です。手形も小切手と同じ当座預金から支払われるので、小切手印と同じ印鑑を指します
- 当座の届出印金融機関の側から見た呼び方です。当座預金を開く契約(当座勘定取引の契約)のときに届け出た印鑑です。小切手や手形が持ち込まれると、金融機関はこの印影と照らし合わせてから支払います
ですから、金庫にある「小切手印」は当座預金の届出印です。普通預金の届出印と同じ印鑑かどうかは、会社によって違います。経理を引き継いだら、どの口座にどの印鑑を届け出ているかを、取引のある金融機関で確かめておいてください。
小切手のどこに、何を押すか
小切手は、金融機関が発行する専用の用紙に、金額、振出日、振出人の名前と印鑑を入れて相手に渡します。小切手法は、小切手には振出人の「署名」が要ると定めています(第1条)。また第67条では、署名には記名捺印(名前を書いて印を押すこと)を含むとしています。手形法の第82条にも同じ定めがあります。つまり、社名と代表者名を書いた横に届出印を押せば、署名をしたのと同じ扱いになります。
上記の金額をこの小切手と引き換えに持参人へお支払いください
支払地支払人 ○○銀行○○支店
振出人株式会社達磨屋印房
代表取締役 山田太郎
- 1金額は、算用数字ならチェックライターで打ち、手書きなら「壱・弐・参」のような漢数字で書きます。書き損じたら訂正せず、その用紙は破棄して番号を控えます
- 2振出人の欄には、社名と代表者の肩書き・氏名をゴム印か手書きで入れ、その横に当座の届出印を押します。これが「小切手印」の出番です
- 3金融機関は、持ち込まれた小切手の印影を届出印と照らし合わせます。かすれていると照合で支払いが止まることがあるので、くっきり押せる印鑑を使います
金融機関は印影を見て照らし合わせるので、本番の前に白い紙で試し押しをして、まっすぐ均等に押します。縁の欠けた印鑑で押したものや、朱肉のむらで薄くなったものは、照合で止まることがあります。支払いが遅れれば、取引先にも迷惑がかかります。長く使う銀行印には、黒水牛や本象牙のような欠けにくい素材を選ぶと安心です。
当座の届出印を、普通預金の銀行印と分けるべきか
当座預金の届出印は、普通預金と同じ銀行印でも、当座専用に作ったもう1本でも構いません。どちらにするかは、会社の規模と経理の分担で決めます。
代表者や経理の担当者が1人で口座を見ている会社では、銀行印を1本にまとめたほうが、保管も改印も簡単です。小切手を振り出さない会社なら、分ける必要はありません。
当座の届出印を経理の担当者に預け、普通預金の銀行印は代表者が持つ、という分担ができます。小切手帳と当座の印鑑の管理を担当者に任せるので、誰の責任かがはっきりします。分ける場合は、大きさか書体を変えて、印影で見分けられるようにします。
当座専用の銀行印を作る場合も、外側に社名、内側に「銀行之印」と彫る、ふつうの会社銀行印で構いません。「小切手之印」のような特別な文字は要りません。金融機関に当座の届出印として届け出れば、その印鑑が小切手印になります。
紙の小切手と手形は、2027年3月で交換を終えます
小切手印について調べている方に、いちばんお伝えしておきたいのがこの点です。全国銀行協会は2022年11月4日に、手形交換の業務を電子化した「電子交換所」での決済を始めました。これに合わせて、各地の手形交換所は廃止されています。さらに、手形・小切手の全面的な電子化に向けて、電子交換所での交換も2027年3月31日で廃止すると案内しています。
- 2022年11月4日電子交換所が始まる手形・小切手の画像データを、金融機関のあいだで送り合う仕組みに変わりました。各地の手形交換所は廃止されています
- 2026年9月30日多くの金融機関の最終振出期限期限を公表している金融機関の多くが、この日を紙の手形・小切手の最終振出期限にしています。ただし、期限はそれぞれ違います
- 2027年3月31日電子交換所での交換が廃止紙の手形・小切手は、金融機関のあいだで交換されなくなります
そのあとの支払い振込、電子記録債権(でんさい)、インターネットバンキングの振込予約などに移ります。当座預金の口座そのものは、これらの支払いに使い続けられます
つまり、これから「小切手を振り出すための印鑑」を新しく作る場面は、ほとんどなくなります。金融機関によっては、すでに新しい小切手帳を発行していません。まだ小切手や手形で支払っている会社は、印鑑より先に、振込やでんさいへの切り替えを取引先と相談してください。
電子化のあとも、銀行印の出番は残ります
紙の小切手がなくなっても、当座預金の口座と、金融機関との取引はなくなりません。会社の銀行印が要る場面は、次のように残ります。
当座勘定取引の契約、解約、届出事項の変更当座預金を続ける会社も、閉じる会社も、届出印が要ります
銀行印登記事項証明書など窓口で出す振込依頼書や払戻請求書、口座振替の依頼書
銀行印なし電子記録債権(でんさい)やインターネットバンキングの利用申込
銀行印なし借り入れ、当座貸越、保証の契約「印鑑証明書を添付」と書かれている書類
会社実印印鑑証明書金融機関に出さない、日常の書類
角印・認印なし金融機関の指定が優先します。ネット銀行のように、届出印を登録しない口座もあります。手続きは、口座のある金融機関の案内に従ってください。
「小切手印はもう要らないのでは」と思った方もいるでしょう。小切手のための印鑑としては要らなくなりますが、当座預金の届出印として、銀行印はこれからも1本必要です。小切手がなくなれば、当座専用に2本目を分ける理由も減ります。これから会社を作るなら、銀行印は1本で始めて構いません。
これから当座預金を開く会社の銀行印
融資の関係や、でんさいの利用のために、いまも当座預金を開く会社があります。当座の契約で届け出る銀行印は、次の4点を押さえて用意します。
当座に届け出る銀行印の4つの決めごと
- 内側の文字は「銀行之印」当座専用に作る場合も、ふつうの会社銀行印と同じく、外側に社名、内側に「銀行之印」と彫ります
- 大きさは実印より1段階小さく実印18mmなら銀行印16.5mm、実印21mmなら銀行印18mmが目安です。大きさを変えておくと、2本を取り違えにくくなります
- ゴム印やシャチハタは使わない全国銀行協会の案内では、ゴム印は劣化して形が変わると照合できなくなるため、届出印に使えないとしています。扱いは銀行によって違いますが、硬い素材の印鑑を用意しておけば安心です
- 実印と同じ印影にしない実印を銀行印として届け出ると、日々の払い戻しにも同じ印鑑を使うことになります。印鑑証明書を添える大事な契約の印鑑を、金庫から出す回数が増えてしまいます
当店の会社銀行印は16.5mmから24mmまであり、薩摩本柘が20,400円から、黒水牛が33,700円からです。会社実印と一緒にそろえるなら、銀行印との2本セットが39,900円から、角印も加えた3本セットが56,900円からです。どちらのセットも、同じ印鑑を単品で買うより安くなります。役割の違いは、会社実印と銀行印の違いで説明しています。
よくある質問
小切手印に、代表者の個人の印鑑を使ってもよいですか
当座の届出印にどの印鑑を使うかは、自由に決められます。ただ、代表者個人の印鑑を会社の口座に届け出ると、代表者が交代したときに改印が要ります。個人の口座との区別もつきにくくなるので、社名を彫った会社の銀行印を届け出るのが一般的です。
金庫にある小切手印が、どの口座の届出印か分かりません
金庫の印鑑を持って、取引のある金融機関の窓口で相談してください。届出印と同じかどうかを確かめてもらえます。必要な書類(登記事項証明書や本人確認書類など)は金融機関によって違うので、行く前に問い合わせておくと安心です。届出印が分からないままでは、当座預金の変更や解約の手続きも進められません。
小切手印を紛失しました。どうすればよいですか
まず当座預金のある金融機関に連絡して、届出印による支払いを止めてもらいます。そのうえで新しい銀行印を作り、改印の届け出をします。手順は法人印鑑の変更方法にまとめています。
紙の小切手がなくなったら、当座預金も閉じたほうがよいですか
当座預金は、当座貸越やでんさいの決済口座として使い続けられます。閉じるかどうかは、金融機関と相談して決めてください。閉じる手続きにも届出印が要るので、解約が済むまで銀行印は手元に置いておきます。
開運印鑑で、銀行印を作れますか
作れます。会社名・代表者名・創業年をもとに鑑定して作る開運会社銀行印があり、当座預金にも普通預金にも届け出られます。くわしくは開運会社印鑑のページをご覧ください。
まとめ|小切手印は当座の銀行印。紙の小切手が終わっても、銀行印は残る
金庫に小切手印があったら、まず、どの口座の届出印なのかを金融機関で確かめます。次に、まだ紙の小切手や手形で支払っている相手がいれば、振込やでんさいへの切り替えを相談します。そのうえで、当座預金を続けるか閉じるかを、金融機関と話し合って決めます。
当座預金を続けるなら、届出印を普通預金の銀行印と兼ねるか、当座専用に分けるかを、経理の分担に合わせて選びます。新しく銀行印を作るときは、内側に「銀行之印」と彫り、実印より1段階小さい大きさで、欠けにくい素材を選びます。
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