CHAPTER 03 会社の印鑑
本店移転で会社印鑑は作り直す?そのまま使える3本と変更の手続き
本店を移転しても、会社実印・銀行印・角印は作り直しません。会社の印鑑には社名と役職名しか彫られておらず、住所は入っていないためです。作り替えるのは住所入りのゴム印、封筒、名刺、請求書の様式です。手続きとしては、移転から2週間以内に法務局へ本店移転の登記を申請し、登録免許税は1件3万円、法務局の管轄が変わる場合は旧本店と新本店の登記所の2件分を旧本店の登記所へ同時に出します。登記が終わったら新しい住所の印鑑証明書と登記事項証明書を取り、金融機関には銀行印を押して住所変更届を出します。この記事では、そのまま使える印鑑と作り替えるもの、登記の手続きと押す印鑑、届け出先の一覧、移転を機に印鑑を新調する会社の判断まで、はじめて本店を移す会社の総務担当の方に向けて説明します。
公開日: 2026年9月24日
オフィスを移す、自宅で始めた会社を事務所に移す、県外に本店を移す。本店移転の準備を進めていると、「登記の住所が変わるのだから、法務局に届け出ている実印も作り直しなのか」という疑問が出てきます。答えは、作り直さなくてよい、です。この記事では、なぜ会社印鑑がそのまま使えるのか、代わりに何を作り替えるのか、本店移転の登記でどの印鑑を押すのか、移転のあとにどこへ届け出るのかを、総務の実務の順に説明します。
本店を移転しても、会社実印・銀行印・角印は作り直しません。会社の印鑑に彫られているのは社名と役職名だけで、住所は入っていないからです。作り替えるのは、住所の入ったゴム印、封筒、名刺、請求書の様式です。手続きは、移転の日から2週間以内に法務局へ本店移転の登記を申請すること。申請書にはいま届け出ている実印を押します。登録免許税は1件3万円で、法務局の管轄が変わる移転では旧本店と新本店の2件分を、旧本店の登記所へ同時に出します。登記が終わったら新しい住所の印鑑証明書を取り、金融機関には銀行印を押して住所変更届を出します。
会社印鑑に、住所は彫られていません
会社の印鑑を3本並べて、彫ってある文字を確かめてみます。実印と銀行印は外側に社名、内側に役職名。角印は社名だけ。どこにも住所は入っていません。ですから本店の住所が変わっても、印影は移転の前後で1文字も変わらず、法務局と金融機関に届け出ている印影とそのまま一致します。
- 社名
- 役職名
- 本店の住所
- 社名
- 銀行之印
- 本店の住所
- 社名
- 代表者名
- 本店の住所
住所が彫られている会社の印は、住所・社名・代表者名を3段に組んだゴム印だけです。本店移転で作り替えるのは、このゴム印です。
会社印鑑を作り直すのは、彫ってある文字が変わるときです。社名を変えたときは3本とも、代表者の役職名が変わったときは実印と認印を作り直します。住所はどの印鑑にも彫られていませんので、移転は作り直しの理由になりません。社名変更のときの考え方は会社名変更時の印鑑はどうする?で説明しています。
そのまま使うものと、作り替えるもの
そのまま使えます彫ってある文字が変わらないもの
- 会社実印法務局への届け出はそのまま。本店移転の登記申請書にこの実印を押します
- 会社銀行印金融機関の届出印はそのまま。住所変更届にこの銀行印を押します
- 角印請求書の様式を新しい住所に直すだけで、押す印は同じです
- 会社認印社内書類や契約書の控えに、これまでどおり押します
作り替えます住所が入っているもの
- 住所入りのゴム印住所・社名・代表者名の3段組み。移転の日から新しい住所のものに替えます
- 封筒、名刺、レターヘッド旧住所の在庫は、訂正のシールを貼るか処分します
- 請求書・見積書・領収書の様式発行者の住所欄を直します。角印はそのまま押します
- ウェブサイト、看板、契約書のひな形特定商取引法の表示や、契約書の頭書きの住所も忘れずに
本店移転の登記で押すのは、いまの実印です
会社法では、登記した事項に変更が生じたときは2週間以内に変更の登記をしなければなりません。本店の所在地も登記事項ですので、移転の日から2週間以内に本店移転の登記を申請します。申請書に押すのは、法務局に届け出ているいまの実印です。新しい印鑑を用意する場面はどこにもありません。
申請書1通、登録免許税3万円
- 移転先の住所と移転の日を書き、届け出ている実印を押します
- 定款の本店所在地が市区町村までなら取締役会議事録か取締役の過半数の一致を証する書面、定款に番地まで書いてあれば株主総会議事録と株主リストも添えます
- 登録免許税は1件につき3万円で、収入印紙を貼ります
- 申請書が複数ページになるときは、同じ実印で契印をします
印鑑届と印鑑カードそのまま。改めて出す書類はありません
申請書2通、登録免許税は合わせて6万円
- 旧本店の登記所あての申請書と、新本店の登記所あての申請書を1通ずつ作り、どちらにも届け出ている実印を押します
- 商業登記法では、新本店の登記所への申請は旧本店の登記所を経由して、旧本店の申請と同時にします。2通をまとめて旧本店の登記所に出します
- 登録免許税は1件3万円ですので、2件で6万円です
- 新本店の登記所での登記が終わると、旧本店の登記記録は閉鎖されます
印鑑届と印鑑カード登記記録が新しい登記所に移りますので、印鑑カードの扱いと印鑑証明書を取れるようになる時期を、申請のときに法務局で確かめてください
司法書士に頼む場合は、委任状にも届け出ている実印を押します。オンラインで申請する会社は、実印の代わりに商業登記電子証明書で署名しますが、印鑑の届け出そのものは変わりません。
移転の流れと、印鑑の出番
- 1移転先と移転の日を決める移転の日が登記の起算日になります。実際に移った日を議事録に書きます
- 2取締役会か株主総会で決議する定款の本店所在地の書き方で、どちらの決議が要るかが決まります議事録に役員の印
- 3移転する印鑑と印鑑カード、通帳、登記関係の書類は引っ越し業者に預けず、担当者が手で運びます
- 42週間以内に本店移転の登記を申請する申請書にいまの実印を押します。管轄が変わる場合は2通を旧本店の登記所へ実印
- 5登記が完了し、新しい住所の証明書を取る登記事項証明書と印鑑証明書を、届け出先の数だけ取ります
- 6金融機関に住所変更届を出す届出印は変わりませんので、改印届は要りません銀行印
- 7税務署、都道府県、市区町村、年金事務所、労働基準監督署に異動届を出す押印欄のない様式が増えています。押印欄があれば実印か認印を
- 8取引先に案内し、書類の様式を切り替える請求書の住所欄を直し、これまでどおり角印を押します。ゴム印はここで新しいものに角印
印鑑証明書は、金融機関、リース会社、許認可の変更届などで求められます。新しい住所の印鑑証明書は登記の完了後にしか取れませんので、移転の直後に契約を控えている会社は、登記の申請を移転の日にそろえておくと待ち時間が短くなります。
届け出先の書き出しシート
本店移転で住所の変更を届け出る先を、押す印鑑と一緒に書き出しました。どれも印鑑そのものは変えませんが、届出印を押す書類がありますので、どの印鑑を持って行くかを確かめてから出かけてください。
本店移転の届け出先該当するものに印を付けて、終わったら消していきます
- 法務局|本店移転の登記移転から2週間以内。登録免許税3万円、管轄外は6万円実印
- 金融機関|住所変更届口座のある金融機関ごとに。登記事項証明書を求められます銀行印
- 税務署|異動届出書旧所在地の税務署へ。都道府県税事務所と市区町村にも同じ趣旨の届け出があります押印欄があれば実印か認印
- 年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク社会保険と労働保険の所在地変更。管轄が変わると事業所番号が変わることがあります押印欄があれば実印か認印
- 許認可の窓口建設業、宅建業、古物商、飲食店営業などの変更届。期限が短いものがあります実印と印鑑証明書を求められることも
- リース会社、保険会社、取引先契約書の住所変更。届出印を登録している契約は届出印を押します届出印
金融機関の届出印の変更手続きは、全国銀行協会の案内では通帳と新旧の印鑑を持参して行いますが、本店移転では届出印を変えませんので、この手続きは不要です。必要なのは住所変更届だけで、多くの金融機関では届出印を押して出します。
移転を機に、印鑑を新調する会社もあります
作り直しは要らないと分かったうえで、引っ越しをきっかけに会社印鑑を新しくする会社もあります。次のどれかに当てはまるなら、本店移転と同じ時期にまとめてしまうと、法務局と金融機関に行く回数を1回にできます。
こんなときは、移転と同時に作り直します
- 移転と同時に社名や代表者も変わる社名が変われば3本とも、代表者の役職名が変われば実印を作り直します。本店移転の登記と商号変更や役員変更の登記は1通の申請書にまとめられ、改印届も同じ日に出せます
- 印影の枠が欠けている、印影がかすれる長年使った実印の枠が欠けていると、印鑑証明書の印影と照合されたときに疑われることがあります。当店でお作りした印鑑は5年間の保証で修理や彫り直しに対応していますので、まずご相談ください
- 設立のときの印鑑が安価な既製品に近い急いで設立したときに手軽な印鑑で済ませた会社が、オフィスを構える節目に職人の印鑑に替えるご注文は多くあります
- 実印と銀行印を兼ねている1本で両方を届け出ている会社は、移転で金融機関に行くついでに銀行印を分けると、改印届を1回で済ませられます
新調する場合の手続きは、実印は法務局への改印届、銀行印は金融機関への改印届で、本店移転の届け出と同じ窓口です。詳しい順番は法人印鑑の変更方法にまとめています。移転と関係なく作り直す理由がなければ、いまの3本を新しいオフィスの金庫に納めてください。
よくある質問
支店を移転するときも、印鑑は関係ありませんか
関係ありません。支店の設置や移転も登記事項ですが、印鑑を届け出ているのは本店の代表者だけです。支店長の印を支店で使っている会社も、支店の住所は彫られていませんので、そのまま使えます。
管轄が変わる移転で、印鑑カードは使えなくなりますか
登記記録が新しい登記所に移りますので、印鑑カードや印鑑証明書の取り扱いが切り替わる時期があります。移転先の法務局で印鑑証明書を取れるようになるのは、新本店の登記が完了してからです。カードをそのまま使えるかどうかは、申請のときに法務局に確かめてください。移転の直後に印鑑証明書が要る契約がある会社は、登記の前に旧本店の登記所で必要な通数を取っておくと安心です。
印鑑証明書に載っている住所は、いつ新しくなりますか
本店移転の登記が完了した時点からです。それまでに取った印鑑証明書には旧住所が載っています。登記の申請から完了までは法務局によって数日から2週間ほどかかりますので、その間に契約がある場合は、相手に移転中であることを伝えて旧住所の証明書で進めるか、完了を待つかを相談します。
自宅から事務所に移す場合も、同じですか
同じです。自宅を本店にして設立した会社が事務所を借りる場合も、本店移転の登記が要り、印鑑はそのまま使えます。事務所の賃貸契約には実印と印鑑証明書を求められることが多いので、契約の時点では旧住所(自宅)の印鑑証明書を出し、移転後に新住所のものを改めて渡すのが一般的です。
住所入りのゴム印は、どこで作れますか
住所・社名・代表者名を組んだゴム印は、文房具店や印章店で作れます。当店では通常の会社印鑑のセットにゴム印は含まれていませんが、開運会社印の2点セットと3点セットには住所印向けのゴム印が付いています。実印から新調するついでに住所印もそろえたい会社は、開運会社印鑑の2点セットをご覧ください。
まとめ|印鑑は運ぶだけ。登記と届け出を2週間以内に
本店を移転しても、会社実印・銀行印・角印は作り直しません。会社の印鑑に住所は彫られていないからです。作り替えるのは住所入りのゴム印と、封筒や名刺、請求書の様式です。手続きは、移転の日から2週間以内に法務局へ本店移転の登記を申請すること。申請書にはいまの実印を押し、登録免許税は1件3万円、法務局の管轄が変わる場合は2件分を旧本店の登記所へ同時に出します。登記が完了したら新しい住所の印鑑証明書を取り、金融機関には銀行印を押して住所変更届を出してください。
印影が欠けている、社名や代表者も同時に変わる、実印と銀行印を兼ねている。こうした会社だけが、移転と同じ時期に印鑑を新調します。それ以外の会社は、3本を新しいオフィスの金庫に納めれば、印鑑まわりの引っ越しは終わりです。

設立のときの印鑑を、京印章の職人の3本に
社名は登記どおりに、内枠はいまの印鑑と同じ役職名で。備考欄に「本店移転を機に新調、いまの実印は18mm」のようにお書きいただければ、印影の釣り合いを合わせて制作します。3本が1つのケースに収まり、送料無料、5年保証。
3本セットを見る56,900円〜