CHAPTER 05 印材・素材
木製印鑑の寿命は何年?保管・手入れと買い替えの目安
木製の印鑑は、押したら拭いてケースにしまう使い方で10〜20年以上使えます。寿命を縮める朱肉の油・乾燥・水・落下の4つの原因、薩摩本柘・彩樺・白檀の違い、保管場所、年に1度の点検、買い替えのサインと手続き、1年あたりの費用をまとめました。
公開日: 2026年10月6日 更新日: 2026年10月7日
柘(つげ)などの木の印鑑は、当店では実印1本10,700円から作れます。値段が手ごろなぶん、何年くらいもつのかは気になるところです。引き出しの奥から、ずいぶん前に作った木の印鑑が出てきて、まだ使えるのか迷っている方もいるでしょう。この記事では、木製印鑑の寿命の目安と、長く使うための保管と手入れ、買い替えを考える時期についてお話しします。
木製の印鑑は、押したら拭いてケースにしまう使い方を続ければ、10〜20年以上使えます。とくに気をつけたいのは、拭かずに残した朱肉の油です。油がしみ込むと、印面の縁がもろくなります。買い替えを考えるのは、押した跡の枠が途切れたときと、ひびが印面まで届いたときです。色が飴色に変わっただけなら、そのまま使えます。
木製印鑑の寿命の目安|年数より、印面の状態で決まります
木の印鑑に、決まった使用期限はありません。まだ使えるかどうかは、印面の枠と字が、作ったときの形を保っているかで決まります。
角(つの)の印材である黒水牛や白水牛は、20〜30年以上が目安で、木より長くもちます。木の印鑑も、扱い方しだいで20年を超えて使えます。柘は木目が細かく硬い木で、全日本印章業協会も、彫刻に適した印材だと説明しています。
木の印鑑の寿命を縮める4つの原因
拭かずに残した朱肉の油
朱肉には油が含まれています。木は油を吸うため、拭かずにしまうと、印面から少しずつしみ込みます。しみ込んだところはもろくなり、印面の縁が欠けやすくなります。
急な乾燥
暖房やエアコンの風が当たる場所、日の当たる窓際、夏の車内に置くと、木の水分が急に抜けます。急に乾いた木は縮み、細いひびが入ることがあります。
水と湿気
世界大百科事典によると、木材は熱ではほとんど形が変わらず、水分の増減で伸び縮みします。水洗いをしたり洗面所に置いたりすると、膨らんだり縮んだりをくり返し、ひびや反りの原因になります。
落としたときの枠の欠け
印面のまわりを囲む枠は、細い線で彫られています。机から硬い床に落ちて縁から当たると、この枠が欠けることがあります。使い終えたらすぐケースにしまえば、落とすことも減らせます。
朱肉の油は、印面から上へしみ込みます
4つの原因のうち、木の印鑑でとくに気をつけたいのが朱肉の油です。押すたびに拭くかどうかで、年月がたつほど差が開きます。
図は、油のしみ込み方を分かりやすく描いたものです。しみ込む速さは、押す回数や朱肉をつける量で変わります。
拭き方は簡単です。押したあと、やわらかい布かティッシュを印面に当てて、軽く押さえます。こすらずに、朱肉を布へ移すようにしてください。くわしい手順は、薩摩本柘の印鑑とは?でご説明しています。
木の種類で寿命は変わる?薩摩本柘・彩樺・白檀
当店の木の印材は、薩摩本柘、彩樺、白檀の3つです。寿命の目安は大きく変わりませんが、性質は少しずつ違います。
星は、当店の商品ページに載せている目安です。どの木でも、朱肉の油を拭き取ることと、乾燥を避けることが手入れの基本です。香りの変わり方や手入れは、白檀の印鑑とは?でご紹介しています。
保管場所|乾きすぎず、湿りすぎない引き出しにしまいます
木の印鑑に向くのは、人が過ごしやすい温度と湿度の部屋です。家の中の置き場所を、乾き具合の順に並べました。
役所や銀行へ持って行った印鑑は、かばんや車に入れたままにしないでください。帰ったら拭いて、いつもの引き出しへ戻します。
年に1度の点検|ひびや欠けがないか4か所を見ます
木の印鑑が今も問題なく使えるかは、4か所を見れば分かります。白い紙に1度押して、印影と本体を見比べてください。
- 頭の面
印面と反対側の端に、細いひびがないかを見ます。ひびは乾きすぎのサインです
ひびがあれば、置き場所を見直す - 胴
木目に沿ったひびや、反りがないかを見ます。ひびが印面のほうへ伸びていないかも確かめます
印面まで届くひびがあれば、作り直す - 印面の縁
押した跡の枠が、ぐるりと一周つながっているかを見ます。縁が朱色や黒っぽい色に変わっていたら、油がしみています
枠が途切れていれば、作り直しを考える - 字の線と溝
線が太く見えるときは、溝に朱肉が詰まっているだけのことがよくあります。毛のやわらかい歯ブラシで払います
朱肉を落とせば、そのまま使える
実印として登録している印鑑は、とくに枠の欠けに気をつけてください。枠が欠けたまま押し続けると、登録した印影と同じものか確かめにくくなるためです。
買い替えの目安|そのまま使うか、作り直すか
全体が飴色になった、印面のまわりが朱色に染まった色が変わっただけなら、印鑑としては問題ありません。朱色の染みは、朱肉の油が入り込んだしるしです。これからは押すたびに拭きます
そのまま使う線が太く見える、字のすき間が埋まって見える溝にたまった朱肉を、乾いた歯ブラシで払います。朱肉が落ちれば、線は元の太さに戻ります
そのまま使う印面の縁が小さく欠け、押した枠が1か所途切れる印面を削って彫り直せる場合があります。できるかどうかは欠けの大きさと印鑑の長さで決まるので、お店に相談します
相談するひびが印面の枠や字に届いている、枠が何か所も欠けている押すうちにひびが広がり、印影が変わっていくおそれがあります。新しい印鑑に替えます
作り直す京都市の場合、実印を作り直したら、区役所などの窓口で古い印鑑の登録を抹消し、新しい1本を登録し直します。銀行印は、口座のある金融機関で、届け出た印鑑の変更手続きをします。使わなくなった印鑑をどうするかは、印鑑を新調したら古い印鑑はどうする?でご説明しています。症状ごとの見分け方は、印鑑の買い替え時期の目安でもご紹介しています。
ご購入から5年以内の破損や不具合は、状態を確認したうえで、修理や彫り直しをご案内します。欠けやひびを見つけたら、使い続けずにお問い合わせからご相談ください。
1年あたりに直すと、木の印鑑はいくらか
薩摩本柘の実印13.5mmは10,700円です。この価格を、使う年数で割ってみます。
彩樺の3本セット23,700円を15年使う
23,700円薩摩本柘の3本セット21,700円を15年使う
21,700円黒水牛の3本セット24,300円を30年使う
24,300円薩摩本柘の実印13.5mm10,700円を15年使う
10,700円年数は、計算のために仮に置いたものです。薩摩本柘なら、実印1本で1年あたり713円、3本セットでも1,447円です。手入れを続けて20年使えば、3本セットは1年あたり1,085円になります。買うときの値段を安く抑えられるのが、木の印鑑のよさです。
1本をより長く使いたい方には、黒水牛という選択肢もあります。3本セットなら、薩摩本柘との差は2,600円です。木と角の違いは、薩摩本柘と黒水牛の違いで比べています。
よくある質問
30年前に作った柘の印鑑があります。まだ使えますか
使えるかどうかは、年数ではなく印鑑の状態で決まります。白い紙に押して、枠が一周つながり、字の線がつぶれていなければ使えます。胴にひびがないかも見てください。どちらも問題がなければ、30年たった印鑑でも買い替える必要はありません。
木の印鑑に、ひびが入ってしまいました
胴や頭の浅いひびで、印面まで届いていなければ、そのまま使えます。ただ、乾きすぎのサインなので、置き場所を見直してください。ひびが印面の枠や字にかかっているときは、印影が変わってしまうため、作り直しをおすすめします。
長持ちさせるために、油を塗ってもよいですか
おすすめしません。柘の櫛には椿油を使いますが、印面に油が付くと、朱肉の油と同じように縁がもろくなるおそれがあります。木の印鑑の手入れは、乾いた布で拭くだけで構いません。
実印だけ傷みました。銀行印と認印も、一緒に替えたほうがよいですか
傷んでいない印鑑まで替える必要はありません。ただ、同じ時期に作った木の印鑑は、同じように年月を重ねています。3本とも白い紙に押して、枠と字を確かめてください。まとめて替えるなら、1本ずつ注文するより3本セットが割安です。
親が20年前に作ってくれた柘の印鑑を、今も使っています。買い替えたほうがよいですか
枠の欠けやひびがなければ、買い替える必要はありません。年に1度の点検を続けて、大切にお使いください。手入れの方法は、親が作ってくれた印鑑を使い続けるには?でもご説明しています。
まとめ|木の印鑑を長く使い、替えどきを見極める順番
はじめに、今の印鑑を白い紙に押して、枠が一周つながっているかを見ます。次に、頭の面と胴にひびがないかを確かめます。どちらも問題がなければ、しまう場所を居間や寝室の引き出しに決め、押すたびに拭いてください。枠の欠けや、印面に届くひびが見つかったら、使い続けずに作り直しを考えます。作り直すときは、次も木にするか、黒水牛などの角にするかを決め、実印は登録を、銀行印は届け出をやり直します。
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