CHAPTER 04 印鑑登録・各種手続き
遺産相続で必要な印鑑|相続人全員の実印と印鑑証明書を使う手続き
相続の手続きで押すのは、亡くなった方の印鑑ではなく、相続する方それぞれの実印です。銀行、法務局、税務署、運輸支局で使う印鑑と印鑑証明書、期限のある手続き、実印を持っていない相続人がいるときの進め方を説明します。
公開日: 2026年10月12日
四十九日の法要が済んだころ、銀行から相続の書類が届いた。必要書類の欄には「相続人全員の印鑑証明書」とある。お父様の実印は引き出しに残っているけれど、ご自分の実印は作ったことがない。弟さんに聞くと、同じだと言う。だれの印鑑を、どの書類に押せばよいのかを、順に見ていきます。
相続の手続きで押すのは、相続人ご自身の実印です。遺言書がなく、話し合いで分け方を決めるときは、相続人の全員が遺産分割協議書に実印を押し、印鑑証明書を1通ずつ添えます。この協議書を、銀行、法務局、税務署、運輸支局に出します。
亡くなった方の印鑑は、どの手続きにも使いません
実印は、市区町村に登録してあるあいだだけ実印です。京都市の要領では、登録した方が亡くなったと分かった時点で、印鑑登録を抹消します。お父様の印鑑証明書は、もう取れません。
銀行印も同じです。口座の名義人が亡くなると、預金は相続の手続きを通して払い戻されます。窓口が確かめるのは、通帳の届出印ではなく、相続人の実印と印鑑証明書です。
手続きに使わなくなった印鑑は、形見として残すことも、彫り直して使うこともできます。扱い方は、形見の印鑑はどうする?残す・改刻する・供養する3つの方法で説明しています。
話し合いで分けるときは、相続人の全員が実印を押します
遺言書がないときは、相続人の全員で分け方を話し合います。この話し合いが遺産分割協議で、決まった内容を書いたものが遺産分割協議書です。お父様が亡くなり、お母様とお子様2人が相続人になる例で見てみます。
遺産分割協議書に実印を押す人お父様が亡くなり、お母様、ご長男、ご長女が相続人になる例です
家をご長男が1人で相続する場合でも、お母様とご長女は協議書に実印を押します。財産を受け取らない人も、話し合いに加わった相続人だからです。
遺言書があるときや、話し合いがまとまらないときは、実印を押す人が変わります。
遺言書のとおりに分ける
受け取る人預金の払い戻しには、その預金を受け取る人の印鑑証明書を出します。遺言執行者がいれば、その人の分です。公正証書以外の遺言書は、検認を受けたことが分かる書類も添えます。
実印を用意する人財産を受け取る人
話し合いで分ける
全員の実印遺産分割協議書を作り、相続人の全員が実印を押します。印鑑証明書も、全員の分が要ります。
実印を用意する人相続人の全員
家庭裁判所で決める
受け取る人調停調書や審判書が、協議書の代わりになります。預金の払い戻しには、その預金を相続する人の印鑑証明書を出します。
実印を用意する人財産を受け取る人
提出先ごとの、押す印鑑と印鑑証明書
協議書ができたら、財産の種類ごとに提出先を回ります。押す印鑑と、添える印鑑証明書は次のとおりです。
預金には、話し合いがまとまる前に使える制度もあります。相続人が1人で、預金の一部の払い戻しを受けられる制度です。口座ごとに、預金額の3分の1にその人の法定相続分を掛けた額まで払い戻せます。1つの金融機関につき、1,500,000円が上限です。払い戻しを受ける人の印鑑証明書が要ります。相続放棄を考えている方は、利用する前に専門家へ相談してください。
家や土地は、登記簿の名義を書き換えます
家や土地を相続したら、法務局で登記簿の名義を書き換えます。これが相続登記です。法務局の記載例は、協議書に印鑑証明書と同じ印を押すよう求めています。
相続登記をするときの登記簿色の付いた行が、今回申請する登記です
権利部(甲区)所有権に関する事項
所有者 山田 太郎亡くなったお父様です。家を買ったときの登記が残っています
所有者 山田 一郎原因 相続。日付は、お父様が亡くなった日です
協議書に全員の実印登記の申請書に、家を相続した方が押す印鑑は認印です。印影を印鑑証明書と見比べるのは、協議書のほうです。
相続登記は、2024年4月1日から義務になりました。家や土地を相続したと知った日から3年以内に申請します。それより前に始まった相続も対象です。正当な理由がないまま申請しないと、100,000円以下の過料を科されることがあります。
印鑑証明書は、提出先の数だけ用意します
印鑑証明書は、提出先ごとに1通ずつ添えるのが基本です。相続人1人あたりの通数は、次のように数えます。
預金のある金融機関口座のある銀行ごとに出します
銀行ごとに1通法務局家や土地があるときに、協議書と一緒に出します
あれば1通税務署相続税の申告で、配偶者の税額の軽減を受けるときに添えます
申告するなら1通運輸支局車を相続した人だけが出します
相続した人が1通点線は、当てはまる方だけが要る分です。原本を返してもらえる提出先もあるので、通数を減らしたいときは窓口で聞いてください。
期限のある手続きから、先に進めます
相続の手続きには、法律で期限が決まっているものが3つあります。印鑑の用意は、いちばん早い期限に合わせます。
-
3か月以内
相続するか、放棄するかを決めます
ご自分が相続人になったと知った時から数えます。放棄するときは、家庭裁判所に申述書を出します。押す印鑑は認印です。
-
10か月以内
相続税の申告をします
亡くなったことを知った日の翌日から数えます。配偶者の税額の軽減を受けるには、実印のそろった協議書と印鑑証明書が要ります。
-
3年以内
相続登記を申請します
家や土地を相続したと知った日から数えます。話し合いが長引きそうなときは、相続人であることを法務局に申し出る方法もあります。
10か月は、長いようで短い期間です。戸籍を集め、財産を調べ、分け方を話し合ったあとで、全員の実印がそろっていないと分かると、そこで手続きが止まります。相続人がだれなのかが分かった時点で、実印と印鑑登録の有無を聞いておくと安心です。
実印を持っていない相続人がいるとき
協議書は、相続人が1人でも欠けると完成しません。次のような方がいるときは、早めに準備を始めます。
実印をこれから作る方は、届くまでの日数を見ておいてください。当店の印鑑は、ご注文から3〜7営業日で発送します。印鑑登録は、顔写真付きの本人確認書類を持ってご本人が窓口へ行けば、多くの市区町村でその日に済みます。
相続をきっかけに、ご自分の印鑑も整えておきます
相続の手続きでは、実印のほかにも印鑑を使います。払い戻された預金を受け取る口座の銀行印と、法務局や家庭裁判所の書類に押す認印です。3つの役目を1本で済ませている方は、その1本をなくすと、登録と届け出をすべてやり直すことになります。
薩摩本柘の実印15mm、銀行印13.5mm、認印12mmを別々に買うと、合計26,600円です。同じ3本のセットは25,200円で、1,400円安くなります。組み合わせの決め方は、印鑑3本セットの選び方をご覧ください。
亡くなった方の印鑑がどこに届け出てあったのかを調べるのに、苦労された方もいらっしゃるでしょう。ご自分の印鑑をご家族に伝えておく方法は、終活で印鑑を整理するにまとめています。
手続きを始める前に確かめること
- 遺言書があるかどうかを確かめた
- 相続人がだれなのかを、戸籍で確かめた
- 相続人の全員に、実印と印鑑登録があるかを聞いた
- 印鑑証明書の通数を、提出先ごとに数えた
- 3か月、10か月、3年の期限を、日付で書き出した
- 亡くなった方の印鑑を、手続きに使う印鑑と分けてしまった
よくある質問
亡くなった父の実印を、自分の実印として登録できますか
お父様のフルネームや下のお名前が彫られた印鑑は、登録できません。登録できるのは、ご本人の氏名を表したものに限られるためです。受け継いだ印鑑の扱いは、親から受け継いだ印鑑は使える?で説明しています。
相続人の1人が遠方に住んでいます。集まって押す必要がありますか
集まる必要はありません。協議書を郵送で順番に回し、受け取った方から署名して実印を押します。印鑑証明書も、協議書と一緒に送ってもらいます。
前に取った印鑑証明書が残っています。使えますか
提出先によって違います。相続登記には、発行から3か月を過ぎたものも使えます。ゆうちょ銀行は6か月以内、車の名義変更は3か月以内のものを求めています。期限のいちばん短い提出先に合わせて取り直すと、出し直しがありません。
相続人は私1人です。遺産分割協議書は要りますか
分ける相手がいないので、協議書は作りません。戸籍で、相続人がお1人であることを示します。銀行の手続きには、ご自分の実印と印鑑証明書を使います。
認印しか持っていない相続人がいます。協議書に押せますか
協議書には、印鑑証明書と同じ印を押します。認印では印鑑証明書を付けられないので、実印を作って登録してもらってください。
まとめ|相続の印鑑は、この順番でそろえます
はじめに、遺言書があるかどうかと、相続人がだれなのかを確かめます。相続するか放棄するかを3か月以内に決め、相続する方の全員に実印と印鑑登録があるかを聞きます。ない方がいれば、その方の準備を先に進めます。
全員の実印がそろったら、協議書を作り、印鑑証明書を提出先の数だけ取ります。提出は、期限の早い相続税の申告と、暮らしに関わる預金や車から進め、相続登記を3年以内に済ませます。
相続の手続きに使う実印を、京都の職人が1本ずつお作りします
住民票のお名前どおりに印面を設計し、職人が彫刻します。旧字体のお名前にも対応し、彫る前の印影をメールで確かめられます。ご注文から3〜7営業日で発送、送料無料、5年保証です。
実印の素材と価格を見る(薩摩本柘 10,700円〜)受け取る口座の銀行印と、書類に押す認印も実印・銀行印・認印の3本セットは、薩摩本柘 21,700円から、黒水牛 24,300円から。同じ3本を1本ずつ注文するより安くなります。
実印・銀行印・認印の3本セットを見るごきょうだいで作る方へお届け先やお名前が複数になるご注文は、先にご相談ください。期限のある手続きは、使う日もお知らせください。
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