CHAPTER 04 印鑑登録・各種手続き
不動産購入で必要な印鑑|売買契約・住宅ローン・登記での使い分け
家や土地を買うとき、実印と印鑑証明書が要るのは、住宅ローンを組んで家を担保に入れる場合です。名義を移す登記は、買主なら認印と住民票の写しで申請できます。売買契約、ローン、登記の段階ごとに押す印鑑を、民法と法務局の記載例をもとに説明します。
公開日: 2026年10月12日
購入の申込書を書いた日から、家の引き渡しまで。不動産を買うあいだは、書類が出てくるたびに「こちらにご印鑑を」と言われます。認印でよい日もあれば、実印と印鑑証明書を求められる日もあり、次に何を持って行けばよいのかが見通しにくい買いものです。段階ごとに押す印鑑を、現金で買う場合とローンで買う場合に分けて見ていきます。
買主が実印と印鑑証明書を使うのは、住宅ローンを組んで、家を担保に入れるときです。名義を自分に移す登記は、認印と住民票の写しで申請できます。売買契約書に押す印鑑は、法律では決まっていません。不動産会社の案内に従います。返済用の口座には、銀行印を届け出ます。
買うまでの4つの段階と、押す印鑑
不動産を買う手続きは、申し込み、売買契約、ローンの契約、引き渡しと登記の順に進みます。実印が出てくるのは後ろの2つで、どちらも住宅ローンにかかわる段階です。
認印購入の申込書と、ローンの事前審査の用紙に押します。押印欄のない用紙もあります
実印か認印法律の決まりはありません。不動産会社に言われた印鑑を押します
実印お金を借りる契約書に押し、印鑑証明書を出します
実印家を担保に入れる登記の委任状に押します
認印購入の申込書に押します。押印欄のない用紙もあります
実印か認印ローンの場合と同じです。不動産会社に言われた印鑑を押します
なしこの段階はありません
認印名義を移す登記の委任状に押し、住民票の写しを添えます
ローンの契約書に押す印鑑は、金融機関が決めています。事前審査の申し込みをインターネットで受け付け、押印を求めない銀行もあります。
売買契約書に押す印鑑を、法律は決めていません
売買の契約は、売る人と買う人の合意で成り立ちます。民法は、契約が成立する条件に、書面の作成や押印を挙げていません。契約書に実印を押すか認印を押すかは、当事者と不動産会社が決めることです。
それでも実印を求める不動産会社はあります。実印なら、印鑑証明書と見比べて、名義の本人が押したことを確かめられるからです。金額の大きな契約ですから、売主の側もそのほうが安心できます。「実印と印鑑証明書をお持ちください」と言われたら、従うのが早道です。
売買契約を電子契約で結ぶときは、紙に押す場面そのものがなくなります。それでも、次に説明する登記の書類には、これまでどおり印鑑を押します。
登記で買主が押すのは、名義を移すなら認印、担保に入れるなら実印です
引き渡しの日には、司法書士が登記を申請します。買主がかかわる登記は2つあります。名義を売主から買主へ移す「所有権移転登記」と、買った家をローンの担保に入れる「抵当権設定登記」です。登記簿の中では、別々の欄に記録されます。
家を買ったあとの登記簿色の付いた行が、買うときに申請する登記です。札は、買主が委任状に押す印鑑を示しています
権利部(甲区)所有権に関する事項
所有者 佐藤 一郎前の持ち主です
所有者 山田 太郎原因 売買
買主は認印権利部(乙区)所有権以外の権利に関する事項
抵当権者 株式会社○○銀行債務者 山田 太郎
買主は実印現金で買った家の登記簿には、乙区の抵当権は載りません。
押す印鑑が分かれるのは、登記での立場が違うからです。名義を移す登記では、買主は権利を受け取る側です。法務局の記載例は、売主に印鑑証明書と同じ印鑑(実印)を、買主に認印を押すよう説明しています。買主が添えるのは、住所を示す住民票の写しです。
担保に入れる登記では、立場が入れ替わります。買主は、自分の家に銀行の権利を付ける側になります。持ち主が知らないうちに家を担保に入れられては困るので、本人が申請したことを実印で確かめます。印鑑証明書は、登記を申請する日に発行から3か月以内のものが要ります。
住民票の写しは、本籍地の記載があるものを取ります
買主が法務局に出す住民票の写しは、マイナンバーが載っていないものです。2026年10月5日からは、名義人になる方の国籍なども申し出ることになりました。日本国籍の方は、本籍地が記載された住民票の写しや、戸籍の附票の写しで示せます。窓口で取るときは、本籍地の記載を「あり」、マイナンバーの記載を「なし」で申し込んでください。
新築の建物は、認印で最初の登記をします
建てたばかりの建物には、まだ持ち主の登記がありません。はじめて所有者を記録する「所有権保存登記」は、持ち主になる方が申請します。法務局の記載例は、押す印鑑を認印でよいとしています。ここでもローンを組むなら、続けて申請する抵当権設定登記に実印を使います。
現金で買うか、ローンで買うかで準備が分かれます
銀行とお金を借りる契約を結ぶときと、家を担保に入れる登記で使います。実印は、作ったあとに市区町村で登録しないと印鑑証明書を取れません。契約の日が決まる前に用意しておくと、日程に追われずに済みます。
本審査を申し込むころに、実印を用意する名義を移す登記だけなので、買主の実印は使いません。ただし、売買契約書に実印を求める不動産会社はあります。司法書士から、本人確認のための書類を別に頼まれることもあります。
不動産会社と司法書士に、押す印鑑を聞いておくローンの契約日から逆に数えた実印の注文時期は、住宅ローンの実印はいつまでに作る?で説明しています。
名義や土地の持ち主によって、印鑑を用意する人が増えます
ここまでは、1人の名義で買う場合の話でした。名義を分けるときや、ご家族の土地に建てるときは、印鑑を用意する人が増えます。
夫婦で買う場合の組み合わせごとの違いは、マイホーム購入で必要な印鑑|夫婦の実印は名義とローンで決まるにまとめています。
引き渡しの日までにそろえるもの
- ローンを組む方は、実印と、発行から3か月以内の印鑑証明書
- 現金で買う方は、認印。売買契約書に実印を求められた場合は、実印と印鑑証明書
- 住民票の写し。本籍地の記載があり、マイナンバーの記載がないもの
- 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
- 返済に使う口座の通帳と、その口座に届け出た銀行印
印鑑証明書と住民票の写しの通数は、銀行と司法書士から指定されます。案内の紙が届いてから取りに行くと、取り直しを防げます。
入居してからは、銀行印と認印を使います
家を買ったあとは、銀行印と認印の出番が続きます。ローンの返済、マンションの管理費、固定資産税を口座から引き落とす手続きには、口座の届出印を押します。管理組合や町内会への届け出、宅配の受け取りには認印を使います。
実印を銀行印としても使っている方は、この機会に分けておくことをおすすめします。1本で兼ねていると、なくしたときに印鑑登録と口座の届け出を両方やり直すことになります。3本を同じ素材でそろえる方法は、印鑑3本セットの選び方で説明しています。
よくある質問
売買契約の日に、実印を持って行くのを忘れました
契約書に押す印鑑を法律は決めていないので、認印で結べるかどうかは売主と不動産会社の考えで決まります。その場で相談してください。ローンの契約と、家を担保に入れる登記は、実印でなければ進みません。
購入の申込書(買付証明書)にも、実印が要りますか
申込書は、買いたいという意思と希望の条件を売主に伝える書類で、不動産会社の用紙に書きます。押印欄があれば、認印を押します。実印と印鑑証明書が出てくるのは、契約より後の段階です。
契約と引き渡しのあいだに、新居へ住民票を移します
ほかの市区町村へ住民票を移すと、それまでの印鑑登録は消えます。実印は同じものを使えますが、新しい住所で登録し直し、印鑑証明書も取り直します。登記に載る住所をどちらにするかは、銀行と司法書士に先に聞いてください。
マンションでも、押す印鑑は同じですか
同じです。一戸建てでもマンションでも、名義を移す登記は買主の認印、ローンの担保に入れる登記は買主の実印で申請します。土地だけを買う場合も変わりません。
まとめ|買うと決めたら、この順番で確かめます
はじめに、現金で買うのか、ローンを組むのかを決めます。ローンを組むなら、実印と印鑑登録が要ります。次に、名義をだれにするかを決めます。共有名義にする方、ご家族の土地に建てる方は、印鑑を用意する人を数えておきます。
そのうえで、売買契約書に押す印鑑を不動産会社に聞きます。引き渡しの日が決まったら、銀行と司法書士の案内に合わせて、印鑑証明書と住民票の写しを取ってください。
認印はいまの品を使う方には、実印・銀行印の2本セット(薩摩本柘 16,200円〜)があります。契約の日が近い方は、お問い合わせから日程をお知らせください。