CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
創業周年祝いに印鑑を贈る|会社印の新調と社長に贈る実印の選び方
創業周年祝いに印鑑を贈るなら、会社の印鑑を新しくするのか、社長個人の実印を贈るのかを先に決めます。会社印を替えるには、社長との相談と、法務局・銀行への届け出が要ります。創業と設立の数え方、会社印を替える目安、本数・サイズ・素材と価格、周年の日から逆算した段取り、贈る立場ごとの選び方、のしの表書きまで説明します。
公開日: 2026年10月5日
来年の春、お父様の会社が創業20周年を迎えます。社員の皆さんと相談して、記念の品を贈ることになりました。思い浮かんだのは印鑑です。創業のときに作った会社の実印は、枠が少し欠けています。新しくすれば喜んでもらえそうですが、社長であるお父様に黙って替えてよいのでしょうか。
創業周年祝いに印鑑を贈るなら、まず「会社の印鑑」と「社長個人の実印」のどちらにするかを決めます。会社の印鑑の持ち主は会社なので、替えるには社長の判断と、法務局や銀行への届け出が要ります。新調するなら、社長と相談してから実印・銀行印・角印の3本をそろえます。内緒で贈りたいときは、社長個人の実印を選んでください。会社の印鑑を周年の日から使うなら、届け出の日数も見込んで、6週間ほど前に注文します。
創業周年祝いの印鑑は、持ち主で2つに分かれます
「会社の周年祝いに印鑑を」と考えたとき、候補は2つあります。社名を彫った会社の印鑑と、社長の名前を彫った個人の印鑑です。見た目は似ていても、持ち主と、使い始めるまでの手続きが違います。
会社の印鑑を新しくする
会社実印・銀行印・角印を、周年を機にそろえ直す
社名を彫った印鑑です。契約書や請求書に押すたびに、周年の年に作った印影が取引先の目に触れます。
- 持ち主会社社長が替わっても、会社に残ります
- 届け出要る実印は法務局へ、銀行印は取引のある金融機関へ届け出ます
- 内緒で贈る向かない替えるかどうかは、社長や役員が決めます
社長個人の印鑑を贈る
会社を続けてきた本人に、フルネームの実印を贈る
社長の名前を彫った印鑑です。会社の借り入れで社長が保証人になる契約や、役員の登記に出す書類では、社長個人の実印を押す場面があります。会社を退いたあとも、本人の手元に残ります。
- 持ち主社長本人会社の備品にはなりません
- 届け出本人が決める実印として使うなら、住んでいる市区町村で登録します
- 内緒で贈るできる住民票どおりの名前の字だけ、ご家族に確かめます
会社実印の内側には「代表取締役印」のような役職名を彫り、社長の名前は入れません。そのため、社長が替わっても同じ印鑑を使い続けられます。周年のお祝いで新調した会社印は、次の代にも引き継げます。
創業と設立は、数え始める日が違います
周年のお祝いを準備する前に、何周年にあたるのかを確かめておきます。「創業」は、事業を始めたことを指す言葉です。「設立」は、会社を登記したことを指します。会社法でも、株式会社は登記をした日に成立すると定めています。個人で店を開き、数年後に会社にした場合は、創業の日と設立の日が別になります。
個人で始めて、5年後に会社にした場合の数え方
「周年」は、まる何年がたったかを数える言葉です。事業を始めた日のちょうど1年後が、創業1周年にあたります。
どちらから数えるかは、会社が決めています。贈る側は、会社案内やホームページの沿革で「創業」と「設立」のどちらを使っているかを確かめてください。そうすれば、のしやカードに書く年数を取り違えずに済みます。
周年を機に会社印を新調するのは、こんなときです
会社の印鑑に、何年たったら替えるという決まりはありません。傷みがなければ、創業のときの印鑑を使い続けられます。次のような状態なら、周年を替えるきっかけにできます。
実印の枠が欠けている、線がすり減っている商業登記規則は、登記所に提出する印鑑を「照合に適するもの」と定めています。押した印影が登録したときと違って見える前に、新しい印鑑に替えて届け出ます
新調する1本の丸印を、実印と銀行印で兼ねている創業のころに1本だけ作り、そのまま使っている会社です。なくすと、法務局と銀行の両方で手続きが要ります。周年を機に、2本に分けます
分けて作る個人事業のころの屋号の印を、会社になっても使っている角印に「株式会社」が入っていない場合です。請求書に印字した社名と、角印に彫った名前が食い違います
新調する実印・銀行印・角印の素材や書体が、ばらばらになっている必要になるたびに1本ずつ買い足してきた会社です。使ううえでの不都合はありません。そろえたいと思ったときが替えどきです
好みで新調する欠けもすり減りもなく、印影がはっきり出る替える必要はありません。お祝いの品は、社長個人の印鑑か、ほかの記念品にします
そのまま使う社長の交代と周年が重なる年なら、創業からの印鑑は先代が記念に手元に残し、新しい代表者のもとで作り直す方法もあります。その場合の分け方は、事業承継の記念に印鑑を新調するで説明しています。
新調する会社印の本数、サイズ、素材と価格
周年を機に会社印を新しくするなら、実印・銀行印・角印の3本を同じ素材でそろえることをおすすめします。3本セットは、同じ組み合わせを1本ずつ買うより価格が抑えられます。社内の書類に押す認印も替えるなら、4本セットにします。
3本セット(小さめ)実印18・銀行印16.5・角印21mm
- 薩摩本柘56,900円
- 黒水牛94,800円
- 白水牛122,400円
3本セット(一番人気)実印21・銀行印18・角印24mm
- 薩摩本柘61,400円
- 黒水牛106,300円
- 白水牛133,800円
4本セット実印21・銀行印18・認印16.5・角印24mm
- 薩摩本柘80,800円
- 黒水牛138,300円
- 白水牛177,300円
直径は、今の印鑑と同じにする必要はありません。会社実印の大きさは、商業登記規則で「1辺が1cmを超え3cm以内の正方形に収まるもの」と決まっています。当店の会社実印は16.5mmから24mmまでで、どれもこの範囲に入ります。角印は、「株式会社」を含めた社名が9文字までなら21mm、10〜12文字なら24mmが目安です。3本それぞれの役割は、法人印鑑3本セットとは?でくわしく説明しています。
周年の記念に、開運会社印鑑を選ぶ会社もあります。ご注文のときに会社名・代表者名・創業年をお知らせいただき、それをもとに鑑定して印影を作ります。実印・銀行印・角印の3本セットは、薩摩本柘で82,600円からです。通常の会社印との違いは、会社印鑑は開運印鑑にするべき?で比べています。
届け出の先と、周年の日から逆算した段取り
会社の実印と銀行印は、新しいものが届いただけでは切り替わりません。それぞれ届け出の先が決まっていて、届け出が済むまでは、これまでの印鑑を使います。
会社実印代表者印
法務局 印鑑(改印)届書に新しい実印を押して出します。届出人の欄には社長個人の実印を押し、発行から3か月以内の印鑑証明書を添えます。手数料はかかりません 印鑑カードは、そのまま使えます。改印の前に取った会社の印鑑証明書は、新しい実印を押した書類には使えません会社銀行印口座の届出印
取引のある金融機関 口座のある金融機関ごとに、届出印の変更を申し出ます。必要な書類はそれぞれ違うので、先に窓口でたずねます 届け出が済むまで、古い銀行印はしまわずに手元に置きます角印請求書や見積書の印
届け出先なし どこにも届け出ていないので、新しい印鑑に替えるだけです。使い始める日を社内で決めます 続けて取引のある相手には、印影が変わることをひとこと伝えておきます周年の日から新しい印鑑を使い始めたいなら、余裕を持って注文します。当店の会社印は、通常ご注文から3〜7営業日で発送します。届いてから法務局と銀行の届け出を済ませるまでに、2〜3週間を見込んでおきます。
- 12か月前社長と役員で、新調する本数と素材を決める
- 26週間前登記どおりの社名を確かめて注文するここで注文
- 31か月前届いた印鑑を紙に押し、社名の字に誤りがないかを見る
- 43週間前法務局に改印届書を出す
- 52週間前金融機関で届出印を替える
- 6周年の日新しい印鑑で、最初の書類に押す使い始め
社名は、登記簿に載っている表記で彫ります。「株式会社」が前に付くか後ろに付くか、旧字体が使われていないかを、登記事項証明書で確かめてから注文してください。手続きの流れと古い印鑑の扱いは、法人印鑑の変更方法にまとめています。
贈る立場ごとの選び方
誰から贈るかによって、選べる印鑑が変わります。会社の印鑑を贈るには、替えるかどうかを社長と相談できることが条件です。社長個人の実印なら、住民票どおりの名前の字を確かめられれば、内緒でも用意できます。
社長個人の実印を、フルネームで贈ります
ご家族なら、住民票どおりの名前の字をすぐに確かめられます。創業のころから同じ実印を使っている方なら、周年を機に新しくするきっかけにもなります。
黒水牛の実印18mmは24,000円。3本セットは46,500円社長に相談して、会社の角印を新しくします
角印は届け出の要らない印鑑なので、会社印のなかでは替えやすい1本です。請求書や見積書に押すことが多く、社員にとっても身近な品です。
角印21mmは、薩摩本柘 17,900円、黒水牛 30,000円会社の印鑑は、先に希望を聞きます
社外から会社の印鑑を贈ると、相手は使うかどうかの判断と届け出を引き受けることになります。「周年の記念に印鑑を」と伝えて、欲しい種類を聞いてから用意します。
希望を聞いてから、3本セットか別の品かを決めます社長個人の実印の直径や素材の選び方は、社長就任祝いに印鑑を贈るで説明しています。就任祝いでも周年祝いでも、選び方は同じです。
のしの表書きと、渡す時期
周年祝いの水引は、何度あってもよいお祝いに使う紅白の蝶結びです。表書きの年数は、相手の会社が使っている数え方(創業か設立か)に合わせます。お祝いは周年の日までに、記念の式典があるときはその前日までに届くよう手配します。
のしをご希望の場合は、ご注文の前にお問い合わせください。包装は青と赤からお選びいただけます。
よくある質問
会社の実印に「創業20周年」と彫れますか
彫らないことをおすすめします。会社実印は、外側に社名、内側に役職名を彫る印鑑です。年数を入れると、翌年には数字が合わなくなります。周年の記録は、のしや書き付けに残し、印鑑そのものは長く使える形にしておきます。
替えたあとの古い会社印は、どうすればよいですか
届け出がすべて済んだことを確かめてから、しまいます。創業からの印鑑を、記念として社内に保管しておくところもあります。処分するなら、印面を削るなどして、押せない状態にしてください。
創業記念として、社員に名前入りの認印を配りたいです。税金はかかりますか
国税庁は、創業記念の品を給与として課税しなくてよい条件を3つ挙げています。1つ目は、記念品としてふさわしい品であること。2つ目は、売るとしたら見込める金額(処分見込価額)が10,000円以下(税抜)であること。3つ目は、おおむね5年以上の間隔で配る行事であることです。現金や商品券を配る場合は、給与として課税されます。くわしくは、顧問の税理士にご確認ください。
取引先の周年祝いに会社として印鑑を贈りました。経費になりますか
国税庁の説明では、得意先や仕入先への贈答にかかった費用は「交際費等」にあたります。交際費等には、会社の規模に応じて、経費(損金)にできる金額の上限があります。処理のしかたは、顧問の税理士におたずねください。
まとめ|周年祝いの印鑑を決める順番
まず、創業と設立のどちらで数えて何周年なのかを、沿革で確かめます。次に、会社の印鑑を新しくするのか、社長個人の実印を贈るのかを決めます。会社の印鑑にするなら、社長と相談して、今の実印や銀行印の傷み具合と、何本を使い分けているかを見ます。
新調が決まったら、登記どおりの社名を確かめ、周年の日の6週間前に注文します。届いたら、実印は法務局へ、銀行印は金融機関へ届け出ます。社長個人の実印を贈るなら、住民票どおりの名前の字をご家族に確かめてから注文してください。
次の10年も使い続ける会社印を、職人が1本ずつお作りします
京都の職人が、登記どおりの社名を印面に配置し、1本ずつ彫刻します。朱肉、押印マット、保証書、京印章証明書付き。通常3〜7営業日で発送、全国送料無料、5年保証です。