CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー

創業10周年の記念品の選び方|社員用と取引先用で分ける品と予算

創業10周年の記念品を任された方へ。社員に配る品と取引先に渡す品の違い、1人あたりの予算の目安、給与として課税されない記念品の3つの条件、渡し方ごとに向く品、創業メンバーに贈る名前入りの印鑑、記念日から逆算した準備の段取りを説明します。

公開日: 2026年10月5日

明るい事務所の会議机の上を斜めから写した写真。左に、紺色の紙で包んで金色のリボンを結んだ小さな箱が積み上げられ、右に、白い紙で包んで紅白のひもを蝶結びにした平たい箱が3つ並んでいる。手前の木のトレーには、黒い丸い印材と角柱の印材が横向きに置かれ、その隣に閉じた黒い革の印鑑ケースがある。奥にガラスの花びんに挿した緑の枝と、棚の観葉植物が写る
創業10周年の記念品 社員に配る品、取引先に渡す品、創業メンバーに贈る品を分けて用意します

来年、会社が創業10周年を迎える。社長から「記念品を考えておいて」と頼まれた。あるいは、ご自身が創業者で、支えてくれた人たちにお礼の品を配りたい。そこで迷うのが、社員と取引先に同じ品を配ってよいのかどうかです。1人あたりの金額をいくらにするか、税金の扱いはどうなるかも気になります。この記事では、配る相手ごとの品の選び方と予算、準備の段取りを説明します。

先に結論

社員に配る品と、取引先に渡す品は、目的が違うので別々に選びます。社員用は、全員に同じ品を、1人あたり3,000〜10,000円で用意します。税抜10,000円以下なら、条件を満たせば給与として課税されません。取引先用は、社名を入れた実用品を、1社あたり1,000〜5,000円で選びます。創業のころから支えてくれた役員や社員には、名前を彫った印鑑のように、1人ずつ違う品を別に用意します。

社員に配る品と、取引先に渡す品は目的が違います

社員への記念品は、10年間働いてくれたことへのお礼です。取引先への記念品は、これまでのお礼に加えて、これからも社名を覚えていてもらうための挨拶でもあります。目的が違うので、社名の入れ方も、金額も、用意する数の数え方も変わります。

社員に配る記念品取引先に渡す記念品

10年間働いてくれたことへのお礼を伝えます

贈る目的

取引へのお礼と、これからの挨拶を伝えます

ご自宅で使う品には、社名を入れないか、箱やのし紙だけに入れます

社名の入れ方

品そのものに社名を入れます。机の上で使われるたびに、社名が目に入ります

1人あたり3,000〜10,000円

予算の目安

1社あたり1,000〜5,000円

社員の人数分です。全員に同じ品を配ります

用意する数

取引先の数に、予備を1割ほど足します

3つの条件を満たせば、給与として課税されません

税務の扱い

贈答の費用は、交際費等にあたります

社員が数人の会社なら、同じ品を両方に配っても構いません。ただ、社名が大きく入ったタオルや時計は、社員がご自宅で使いにくいことがあります。社員用だけは社名のない品にするか、ご家族と分けられるお菓子を1箱添えます。

社員用の記念品は、全員に同じ品を税抜10,000円以下で選びます

会社が社員に品を渡すと、原則として給与の一部とみなされ、所得税がかかります。創業記念の品は例外で、国税庁が挙げる次の3つをすべて満たせば、給与として課税されません。

記念品としてふさわしい品であること

社会一般的にみて、記念品として通る品を選びます。現金や商品券を渡した場合は、その全額が給与として課税されます。

品の評価額が、税抜10,000円以下であること

国税庁の言い方では「処分見込価額による評価額」で、消費税を除いて10,000円以下です。買った値段を税抜10,000円までにしておけば、この範囲に収まります。

おおむね5年以上の間隔をあけて配ること

5周年に配った会社が10周年にまた配るのは、この条件に合います。毎年の創立記念日に配る品は、当てはまりません。

社員が品を自由に選べる形にすると、給与として課税されます

カタログから好きな品を選んでもらう方法は、受け取る側には喜ばれます。ただ、本人が自由に記念品を選べる場合は、その品の価額が給与として課税されます。課税を避けたいなら、会社が品を1つに決めて、全員に同じものを配ります。

創業から10年の会社には、ちょうど勤続10年になる社員がいます。国税庁は、永年勤続の表彰で渡す記念品についても条件を挙げています。勤続がおおむね10年以上の人を対象にすること、金額が勤続年数や地位に照らして相当であることなどです。全員に配る品とは別に、長く働いてくれた方へ品を足すなら、この表彰の形が使えます。実際の処理は、顧問の税理士に確かめてください。

取引先用の記念品は、渡し方から決めます

取引先に渡す品は、どこで、どうやって渡すかで向き不向きが変わります。持ち帰る方の荷物になる品や、郵送で割れる品を避けるために、先に渡し方を決めます。

式典や祝賀会

受付か、お帰りのときに手渡します

来場した方が、そのまま持ち帰ります。電車で帰る方もいるので、軽くて小さな品を、手さげの紙袋に入れて渡します。

向く品社名入りの筆記具、焼き菓子、タオル

挨拶まわり

担当者が訪問して、挨拶状と一緒に渡します

受け取った方が、部署の中で分けることがあります。個包装のお菓子に、机で使える社名入りの品を1つ添えます。

向く品個包装のお菓子、卓上カレンダー、メモ帳

郵送

遠方の取引先には、挨拶状を同封して送ります

配送のあいだに割れたり、傷んだりしない品を選びます。箱の大きさが揃っていると、発送の手間が減ります。

向く品手帳、カレンダー、日持ちするお菓子

取引先への贈答にかかった費用は、税務では「交際費等」にあたります。ただし、カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいのような品を配る費用は、交際費等から除かれます。どの科目で処理するかは、品を決める段階で経理の担当者と相談しておきます。

官公庁や、贈り物を受け取らない決まりのある会社には、品を送らずに挨拶状だけを届けます。相手の決まりが分からないときは、担当の方に前もって聞いておくと、返送の手間をかけさせずに済みます。

候補の品を「同じ品か、1人ずつ違う品か」と予算で並べる

記念品は、全員に同じ品を配るほど準備が楽で、1人ずつ名前を入れるほど手間と日数がかかります。候補を、この違いと予算の2つで並べました。

創業メンバーには、名前を彫った印鑑という選択肢があります

全員に配る品とは別に、創業のころから一緒に働いてきた役員や社員へ、1人ずつ違う品を贈る会社があります。名前を彫った印鑑は、その人しか使えない品です。役員になると、就任を承諾する書面に個人の実印を押すことがあります。仕事の場面でも出番のある品です。

長く働いてくれた社員へ、姓を彫った認印

社内の書類や、ご自宅での荷物の受け取りに使う印鑑です。黒水牛の12mmなら、税込でも10,000円に収まります。

彫る名前
姓だけで彫ります。同じ姓の方が社内にいるときは、書体を変えると見分けられます
価格
黒水牛12mm 7,000円、薩摩本柘12mm 6,400円
確かめること
「髙」「﨑」のような字が、名簿のとおりで合っているか

役員や創業メンバーへ、フルネームの実印

ご自身の契約や登記に使う印鑑です。銀行印と認印を合わせた3本セットにすると、桐箱か化粧箱に入れてお渡しできます。

彫る名前
住民票のとおりの字で、姓と名を彫ります
価格
実印 黒水牛16.5mm 20,400円。3本セットは黒水牛 30,200円から
確かめること
税抜10,000円を超えるので、税務の扱いを税理士に確かめます

会社には、10年使った角印の新調

請求書や領収書に押す角印は、10年のあいだに枠が欠けたり、線が太ったりします。節目の年に点検して、傷んでいれば作り直します。

彫る名前
登記のとおりの社名に「之印」を付けます
価格
薩摩本柘24mm 19,100円、黒水牛24mm 32,500円
確かめること
今の角印の大きさ。同じ直径にすると、書類の見た目が変わりません

印鑑の枠の欠けやすり減りの見分け方は、印鑑の買い替え時期の目安で説明しています。名簿の字が戸籍や住民票の字と合っているかどうかは、名前の漢字の確かめ方を参考にしてください。何本かをまとめて頼むときは、ご注文の前にお問い合わせください。

社員20人、取引先40社の会社の予算の例

配る相手を3つに分けて、それぞれの単価と数を書き出すと、全体の金額が見えてきます。社員20人、取引先40社、創業メンバー3人の会社を例にしました。

創業10周年の記念品の予算社員20人・取引先40社の例

社員用 タオルと焼き菓子の詰め合わせ5,000円 × 20人。全員に同じ品を配ります
100,000円
取引先用 社名入りの筆記具2,000円 × 44個。40社分に、予備を4個足しています
88,000円
創業メンバー用 実印 黒水牛16.5mm20,400円 × 3人。フルネームで彫ります
61,200円
会社の角印の新調 薩摩本柘24mm傷んでいた角印を作り直します
19,100円
挨拶状の印刷と、郵送の費用
20,000円
合計
288,300円

金額は一例です。印鑑は当店の税込の価格で、送料はかかりません。取引先用の品に名入れの版代がかかるときは、見積もりに足してください。

10周年の日から逆算した、準備の段取り

会社の記念日には、事業を始めた「創業」の日と、登記をして会社ができた「設立」の日があります。会社法では、株式会社は設立の登記をした日に成立します。どちらを10周年の日にするかは、会社が決めて構いません。日が決まったら、そこから逆算して準備を進めます。

  1. 半年前
    配る相手を数えて、予算を決めます

    社員の人数、取引先の数、創業メンバーの人数を書き出します。式典を開くかどうかも、この時期に決めます。

  2. 3か月前
    品を決めて、見積もりを取ります

    社名を入れる品は、数がまとまると制作に1〜2か月かかることがあります。納期を先に聞いてから、品を絞ります。

  3. 2か月前
    社名と名前の字を確かめて、注文します

    社名は登記のとおりの字か、名前は本人の書いた字と合っているかを見ます。名入れの校正が届いたら、2人以上で読み合わせます。

  4. 1か月前
    届いた品を確かめて、挨拶状を用意します

    数が足りているか、傷や名前の間違いがないかを見ます。当店の印鑑はご注文から3〜7営業日で発送するので、この時期に頼んでも間に合います。

  5. 当日から1か月
    社員には当日に、取引先には1か月以内に渡します

    社員には、記念日の朝礼や食事会で社長から手渡します。取引先には、挨拶状を添えて、日をあけずに届けます。

よくある質問

記念品に「10周年」の文字は入れたほうがよいですか

取引先用の品には、社名と一緒に入れると、何の記念かが伝わります。社員がご自宅で使う品は、品そのものには入れず、箱やのし紙に入れる方法があります。届け出て使う印鑑には、年数を彫りません。

商品券やカタログギフトを配ってはいけませんか

配ることはできます。ただ、商品券は券面の金額が、本人が自由に選べる品はその価額が、給与として課税されます。社員の手取りが減らないようにしたいなら、会社が決めた品を配ります。

のし紙の表書きは、どう書きますか

会社から配る品には「創業十周年記念」と書き、下に社名を入れます。水引は、何度あってもよいお祝いに使う紅白の蝶結びです。

記念日を過ぎてしまいました。今から配ってもよいですか

10周年の年のあいだなら、記念品として配って構いません。取引先には、挨拶状に日付を入れず、「おかげさまで創業10周年を迎えました」と書きます。

個人事業でも、創業10周年の記念品を作れますか

作れます。社名の代わりに屋号を入れます。お客様や仕入先に配る品の考え方は、会社の場合と同じです。

まとめ|相手を分ける、単価を決める、字を確かめる

はじめに、配る相手を社員、取引先、創業メンバーの3つに分けて、人数を数えます。次に、それぞれの単価を決めます。社員用は、課税の条件に合わせて税抜10,000円までにします。

取引先用は、式典で渡すのか、訪問するのか、送るのかを決めてから品を選びます。名前や社名を入れる品は、注文の前に字を確かめます。最後に、記念日の1か月前までに品が手元に届くよう、納期から逆算して注文してください。

創業10周年の記念に

支えてくれた方の名前を、京都の職人が1本ずつ彫刻します

お名前の字に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫ります。ご注文から3〜7営業日で発送、送料は全国無料、5年保証付きです。包装は青か赤から選べます。

何本かをまとめて注文するときや、記念日に間に合うかどうかのご相談はお問い合わせからどうぞ。役員の方に実印を1本だけ贈るなら実印の一覧からお選びください。

SOURCES

出典

社員に配る記念品の課税の条件と、永年勤続の表彰の条件は国税庁のタックスアンサー No.2591 を、取引先への贈答の費用の扱いは同 No.5265 を、会社が成立する日は会社法を、役員の就任を承諾する書面の押印は商業登記規則を参照しました。税務の扱いは会社の状況によって変わるので、実際の処理は顧問の税理士に確かめてください。1人あたりの予算と準備にかかる期間は、一般的な目安です。当店の印鑑の価格は税込で、2026年10月時点のものです。

  1. 国税庁. No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき. タックスアンサー(よくある税の質問). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2591.htm,(参照 2026-10-05).
  2. 国税庁. No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算. タックスアンサー(よくある税の質問). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm,(参照 2026-10-05).
  3. 会社法(平成十七年法律第八十六号)第49条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086,(参照 2026-10-05).
  4. 商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第61条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/339M50000010023,(参照 2026-10-05).