CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
昇進祝いに長く使えるプレゼント|役職が変わっても残る品の選び方
昇進祝いに長く使えるプレゼントの選び方を紹介します。役職名を入れた品が数年で使いにくくなる理由を説明し、万年筆・名刺入れ・腕時計・印鑑など6つの候補を、使える期間で比べます。贈る立場ごとの予算、上司に贈るときに避けたい品、渡す時期と表書きもまとめました。
公開日: 2026年10月13日
ご主人が課長になる。お世話になった上司が部長に昇進する。同期の友人が、支店長として転勤する。そんなときの昇進祝いに、花やお酒よりも長く使ってもらえる品を贈りたいと考えても、選ぶのは簡単ではありません。昇進する年代の方は、仕事の道具をひととおり持っているからです。役職名を入れたほうがよいのかも、迷うところです。この記事では、役職が変わっても使い続けられる品の見分け方と、候補の比べ方を説明します。
昇進祝いに長く使えるプレゼントは、役職名を入れず、職場が変わっても持ち歩ける品から選びます。万年筆、名刺入れ、革の手帳カバー、腕時計、本人の名前で作る印鑑が候補です。役職名を入れると、次の昇進や異動で使いにくくなります。名前を入れるなら、氏名かイニシャルだけにしてください。決める前に、同じ品をもう持っていないかを本人かご家族に確かめます。渡すのは、辞令が正式に出たあとです。
役職名を入れた品は、次の昇進で使いにくくなります
昇進とは、小学館のデジタル大辞泉によると「職務上の地位、官位などが上がること」です。会社員の昇進は1度きりではなく、係長から課長へ、課長から部長へと続きます。厚生労働省の令和7年の調査では、平均年齢は係長級が45.4歳、課長級が49.5歳、部長級が53.1歳でした。役職が1つ上がるごとに、4年ほどの差があります。「課長」と入れた名刺入れや置き時計は、次に役職が変わると出番がなくなります。
同じ調査から、役職ごとの勤続年数の平均も見てみます。
係長から部長までの方は、平均すると今の会社に20年前後勤めています。就職したころに揃えた名刺入れやペン、印鑑を、そのまま使っている方もいます。昇進祝いは、そうした品を新しくする機会にもなります。
昇進から定年まで、10年から15年あります
長く使える品を選ぶときは、定年までの年数が目安になります。高年齢者雇用安定法により、会社は定年を60歳より低くできません。希望する人が65歳まで働けるようにすることも、会社に求められています。課長級の平均年齢49.5歳から数えると、60歳まで約10年、65歳まで約15年です。その間に、役職も部署も、勤務地も変わることがあります。
昇進祝いの品が使われる期間の目安(49歳で課長になった場合)
帯の長さは一般的な目安です。革の品や万年筆は、手入れのしかたで大きく変わります。役職名入りの品には、課長級と部長級の平均年齢の差を当てはめました。
長く使えるかどうかは、4つの点で見分けます
候補が浮かんだら、次の4つの点を確かめてください。上の3つのどれかに当てはまる品は、長く使うのには向きません。
昇進祝いの品の点検表
役職名や部署名が入っている次の昇進や異動で、品に入れた肩書きが本人と合わなくなります。入れるのは、氏名かイニシャルだけにします。
名前だけにする会社の机や部屋に置いて使う置き時計やデスクマットは、異動のたびに運ぶことになります。席の広さが変わると、置けなくなることもあります。
持ち歩ける品にする使うほど傷んで、数年で買い替えるネクタイやハンカチがこれに当たります。長く残る品に添えて贈るのに向いています。
添える品にする手入れや部品の交換で、使い続けられる万年筆はインクを入れ替え、腕時計は電池や部品を替えます。革は手入れで色が深まります。印鑑は、押したあとに朱肉を拭き取るだけです。
長く使える昇進祝いの候補を、使える長さと好みの分かれ方で並べます
よく選ばれる品を、2つの軸で並べました。縦の軸は使える長さ、横の軸は好みの分かれ方です。右上にある品ほど、相手の好みを詳しく知らなくても、長く使ってもらえます。
昇進祝いの候補8つの位置
位置は当店の見立てです。花やお酒は、その日に職場やご家族で楽しめるお祝いです。長く残る品に、花を添える贈り方もあります。
このうち、長く使える5つと、それに添える1つを順に紹介します。
署名や決裁に使う、万年筆・ボールペン
役職が上がると、書類に署名する場面が増えます。軸が金属や樹脂のペンは、インクや芯を替えながら使い続けられます。
- 予算の目安
- 5,000〜30,000円ほど
- 名入れ
- 氏名かイニシャルを入れます
- 確かめること
- 今使っているペンの太さと、万年筆を使う習慣があるか
社外の方に会うたびに出す、名刺入れ
昇進すると名刺の肩書きが変わり、交換する相手も増えます。今の名刺入れの角がすれていたら、新しくする頃合いです。
- 予算の目安
- 5,000〜20,000円ほど
- 名入れ
- 内側にイニシャルを入れます
- 確かめること
- 今の名刺入れの色と、傷み具合
会議に持っていく、革の手帳カバー
手帳やノートは毎年新しくなりますが、カバーは同じ1枚を使い続けられます。会議の席で、人の目に触れる品でもあります。
- 予算の目安
- 5,000〜15,000円ほど
- 名入れ
- イニシャルを入れます
- 確かめること
- 使っている手帳やノートの大きさ
ご家族から贈る、腕時計
毎日身に着ける品なので、好みがはっきり分かれます。本人と一緒に店で選べるご家族に向いています。
- 予算の目安
- 30,000円から
- 名入れ
- 裏ぶたに日付やイニシャルを刻める品があります
- 確かめること
- 持っている時計の本数と、ベルトの好み
名前だけで作る、個人の印鑑
役職名も会社名も入らないので、昇進しても、退職しても使えます。色や寸法の好みを聞かなくても用意できる品です。
- 価格
- 黒水牛の認印13.5mm 9,500円、実印15mm 15,300円、3本セット 30,200円
- 彫る名前
- 認印は名字、実印はフルネームか名字で彫ります
- 確かめること
- 名前の字と、今の印鑑をいつごろ作ったか
長く残る品に添える、ネクタイやハンカチ
使うほど傷みますが、新しい役職の初日から身に着けられます。長く残る品と組み合わせて贈ります。
- 予算の目安
- 3,000〜10,000円ほど
- 名入れ
- 入れません
- 確かめること
- ネクタイを締める職場かどうか
30,200円の3本セットは、実印15mm、銀行印13.5mm、認印12mmの組み合わせです。印鑑の種類と直径の決め方は、昇進祝いに印鑑を贈るで説明しています。
贈る立場で、選べる品と予算が変わります
同じ品でも、贈る方によって選びやすさが違います。ご家族は本人が今何を持っているかを確かめられますが、職場の方は名字の漢字しか分からないこともあります。立場ごとに、選びやすい品と予算の目安をまとめました。
今持っている品を、家で確かめられる立場です。腕時計や、実印・銀行印・認印の3本セットのように、好みや名前の字を知らないと選べない品を贈れます
10,000〜30,000円。節目なら50,000円まで人数が集まれば、1人の負担を抑えながら長く使える品を選べます。万年筆や名刺入れ、名字だけで作れる認印が候補です
1人1,000〜3,000円相手がお返しに悩まない額にします。ボールペンや認印のように、1本で渡せる品を選びます
5,000〜10,000円花やお酒のほか、長く使える品を会社あてに贈ります。贈答品を受け取らないと決めている会社もあるので、先に確かめます
10,000〜30,000円上司への昇進祝いで、避けておきたい品
目上の方へのお祝いには、昔から避けられてきた品があります。
金額がそのまま分かる
現金商品券
部下から上司へ贈ると、失礼に受け取られることがあります「踏みつける」を連想させる
靴靴下マット
足もとで使う品は、相手を踏みつける意味に取られることがありますペンや時計を、「もっと働いてください」という意味に取る方もいます。受け取り方は人によって違うので、職場の連名で贈るときは、本人の希望を聞いてから決めると行き違いを防げます。名前を入れるときの注意は、上司の退職祝いに名入れの品をでも紹介しています。
昇進祝いは辞令のあとに渡し、表書きを昇進の形で書き分けます
お祝いを渡すのは、辞令が正式に出てからです。内示の段階では、人事が変更になることもあります。日本郵便も就任祝いの祝電について、正式な辞令のあとに送るほうが無難だと案内しています。
栄転は、デジタル大辞泉によると「今までより高い地位・役職に就くこと」です。相手の転任を敬っていう言葉としても使われます。どの表書きでも、水引は紅白の蝶結びにします。転勤する方には、引越しの荷造りが始まる前に渡すか、新しい住まいへ送ります。
名前を入れる品は、作るのに日数がかかります。当店の印鑑は、ご注文から3〜7営業日で発送します。内示を聞いたら品と名前の字を決めておき、辞令の日の2週間前までに注文すると、渡したい日に間に合います。のしの書き方は、印鑑の贈り物にのしは必要?をご覧ください。
よくある質問
昇進祝いに、役職名を入れた品を贈ってもよいですか
本人が望むなら、記念の盾や名刺入れに入れて構いません。ただ、次に役職が変わると使いにくくなります。長く使ってほしい品には、氏名かイニシャルだけを入れます。
印鑑に「部長」と彫ってもらえますか
個人の印鑑には、役職名を彫りません。京都市は、実印として登録できる印鑑の条件に、職業や資格など氏名以外の事項を表していないことを挙げています。役職名の入った印は、会社が備品として用意します。
上司への昇進祝いに、現金を包んでもよいですか
目上の方へは、現金や商品券を避けるのが一般的です。職場の連名で品を贈るか、花やお酒にします。ご家族や親しい友人からなら、現金でも失礼にはなりません。
万年筆も時計も、もう持っている人には何を贈ればよいですか
すでに持っていて古くなった品を、新しくする方法があります。就職したころに作った認印や、角のすれた名刺入れが候補です。選び方は欲しいものがない人へのプレゼントで紹介しています。
転勤を伴う昇進です。かさばらない品はありますか
ペンや名刺入れ、印鑑なら、かばんに入れて運べます。単身で赴任する方には、認印と銀行印の2本を贈ると、新しい土地での手続きに使えます。くわしくは転勤祝い・送別品に印鑑は合う?をご覧ください。
女性の上司への昇進祝いは、選び方が変わりますか
選び方は同じです。名刺入れやペンは、手の大きさと、ふだん持ち歩いている品の色に合わせます。当店の実印では、女性には15mm、次いで13.5mmが人気です。
昇進から3か月たちました。今から贈ってもよいですか
今からでも贈れます。表書きは「御祝」にします。長く使える品なら、渡すのが遅れても、使ってもらえる年数はほぼ変わりません。
まとめ|役職名、持ち運び、今持っている品、渡す日の順に確かめます
最初に、役職名は入れないと決めます。次に、机に置く品ではなく、持ち歩ける品のなかから候補を挙げます。贈る立場に合わせて、予算の幅も決めてください。
候補を絞ったら、同じ品を持っていないか、色の好みはどうかを本人かご家族に聞きます。名前を入れる品は、字を確かめて、辞令の日の2週間前までに注文します。最後に、辞令が正式に出るのを待って渡します。
役職が変わっても使える1本を、お名前に合わせて職人がお作りします
京都の職人が、お名前の字に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫刻します。旧字体は備考欄で承り、彫る前の印影確認もできます。2本・3本セットは、桐箱か化粧箱を追加料金なしで選べます。全国送料無料、5年保証です。