CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
昇進祝いに印鑑を贈る|役職が変わっても使える種類と名前の決め方
昇進祝いの印鑑は、役職名を入れず、本人の名前だけを彫ります。次の昇進や転勤、退職のあとも使い続けられるからです。会社が用意する役職印との違い、課長・部長・役員の段階ごとに合う認印・銀行印・実印の選び方、直径と書体と素材、贈る立場ごとの予算、辞令のあとに渡す時期とのしの表書きを説明します。
公開日: 2026年10月5日
ご主人が来月から課長になる。上司が支店長になった。お祝いに長く使ってもらえる品を贈りたいけれど、名刺入れや万年筆はもう持っている。そんなとき、昇進祝いに印鑑を、と思いつく方がいらっしゃいます。ただ、気になるのが肩書きです。「課長」と彫るのか、彫ったら次に部長になったとき作り直すのか、迷うところです。
昇進祝いの印鑑には、役職名を入れません。本人の名前だけを彫るので、次の昇進のあとも、退職のあとも使えます。役職名の入った印は、会社が用意する備品です。贈るのは、本人が自分で持つ認印・銀行印・実印です。課長や部長への昇進なら3本セット、役員への就任なら実印を選びます。お祝いは、辞令が出てから渡してください。
役職名の入った印は、会社が用意します
「部長之印」や部署名の入った印は、会社の備品です。部長になった人が使い、異動すれば後任に引き継がれます。昇進した本人が買う品ではないので、個人が贈るお祝いには向きません。
会社が用意する印異動や退職のときに、会社へ返します
- 役職印「部長之印」「支店長之印」のように、役職名を彫った印です
- 部署の印・会社の角印請求書や見積書に押す、部署や会社の名前の印です
- 日付入りの回覧印日付と名字が入った印です。総務部がまとめて作ることがあります
本人が自分で持つ印鑑昇進祝いに贈れるのは、こちらです
- 認印稟議書や申請書の承認欄に押します。名字だけを彫ります
- 銀行印給与や賞与を受け取る口座の届出印です
- 実印役員に就任するときの書類や、住宅ローンの契約に押します。フルネームで彫ります
個人の印鑑に彫るのは、名字かフルネームだけです。役職も会社名も入らないので、肩書きが変わってもそのまま使えます。昇進祝いの定番の品と、いつまで使えるかを比べました。
役職名を入れた品肩書き入りの名刺、役職名を彫った盾や置き時計など
作り直し使えない名刺入れ・鞄仕事のあいだ、毎日持ち歩きます
使える出番が減る万年筆・ボールペン名前を入れられる品もあります
使える使える名前を彫った印鑑認印、銀行印、実印
使える使える昇進すると、個人の印鑑を押す場面が増えます
役職が上がると、自分の名前で承認する書類が増えます。部下の申請書や稟議書に、確認したしるしとして認印を押す立場になるからです。取締役になれば、就任の書類に実印を押すことがあります。昇進の時期には、家を買う、車を買い替えるといった私生活の契約が重なることもあります。
稟議書や申請書の承認
会社によって違う紙の書類で決裁をしている職場では、承認欄に認印を押します。役職が上がるほど、部下や取引先の目に触れる書類に押すことが多くなります。
使う印鑑認印
就任承諾書
実印が要る取締役に就任するときは、就任承諾書を会社に出します。勤め先に取締役会がなければ新しく就く取締役が、取締役会があれば代表取締役が、個人の実印を押して印鑑証明書を添えます。
使う印鑑実印
住宅ローンや車の契約
長く使う住宅ローンを組むとき、普通自動車を買うときは、実印と印鑑証明書を用意します。ローンの返済や積み立てに使う口座には、銀行印を届け出ます。
使う印鑑実印、銀行印
厚生労働省の調査では、係長級の平均年齢は45.4歳、課長級は49.5歳、部長級は53.1歳です。就職や結婚のときに作った印鑑を、20年以上使ってきた年代にあたります。そのころに作った1本や既製品の認印を見直す、よい機会です。
役職の段階と、個人の印鑑の出番年齢は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」の平均
- 係長級45.4歳チームの申請書を最初に確かめる立場です。認印の出番が増え始めます
- 課長級49.5歳部下の申請を承認するたびに、認印を押します
- 部長級53.1歳部の決裁に認印を押します。住宅や車の契約で、実印を使う年代でもあります
- 役員就任就任承諾書に、個人の実印を押すことがあります
平均年齢は、雇用期間の定めのない一般労働者(男女計)の値です。役員の平均年齢は、この調査の役職別の表にはありません。
役職の段階ごとに、贈る印鑑を決めます
贈る種類は、昇進先の役職と、本人が今どんな印鑑を持っているかで決まります。段階ごとの向き不向きを、表にまとめました。
課長や部長への昇進祝いは、認印1本でも気持ちは伝わります。ただ、3本セットなら同じ素材で実印・銀行印・認印がそろい、1本ずつ買い足すより割安です。ご家族から贈るなら、こちらをおすすめします。役員就任で実印を登記に使ってもらうなら、就任の3週間ほど前までに贈ってください。届いてから、住んでいる市区町村で印鑑登録をして、印鑑証明書を取る日数が要るためです。代表取締役に就く場合の段取りは、社長就任祝いに印鑑を贈るでくわしく説明しています。
彫る名前、直径、書体の決め方
種類が決まったら、1本ずつ彫る内容と大きさを決めます。当店で人気のある直径を、目安として挙げました。
- 認印
- 名字だけを彫ります。直径は12mmか13.5mmです。承認欄で読みやすい古印体や隷書体が向いています
- 銀行印
- 名字だけを彫るのが一般的です。直径は男性なら15mm、女性なら13.5mmが目安です。書体は篆書体か吉相体にします
- 実印
- フルネームで彫ります。直径は男性なら18mm、女性なら15mmが目安です。書体は、篆書体か吉相体から選びます
- 3本セット
- 男性には、実印18mm・銀行印16.5mm・認印13.5mmの組み合わせが人気です。女性には、実印15mm・銀行印13.5mm・認印12mmが選ばれています
実印は、住民票に記録された名前の字で彫ります。「髙」と「高」、「﨑」と「崎」のように、ふだんの表記と住民票の字が違う方もいます。ご家族から贈るときは、運転免許証やマイナンバーカードで字を確かめてから注文してください。直径や書体の選び方は、男性の実印の選び方と女性の実印の選び方で比べています。認印の大きさは、認印のサイズはどう選ぶ?をご覧ください。
3本セットに選べる素材実印18mm・銀行印16.5mm・認印13.5mmの価格
- 薩摩本柘36,100円鹿児島の薩摩で育った柘の木の印材です。手になじむ温かみがあります
- 黒水牛46,500円黒く艶のある印材です。耐久性に優れています
- 白水牛92,200円乳白色の角の印材です。明るく上品な色合いです
- チタン92,200円強度が高く、錆びにくい金属の印材です
- 本象牙113,100円〜きめが細かい印材です。当店は経済産業省認定の象牙取扱店です
本象牙の価格は、標準のランクのものです。女性に人気の組み合わせは、実印15mm・銀行印13.5mm・認印12mmです。価格は、薩摩本柘で25,200円、黒水牛で30,200円です。
素材ごとの主な違いは、色と手ざわり、重さです。値段の高い素材ほど印鑑として優れている、というわけではありません。本人がふだん使っている鞄や名刺入れの色に合わせて選ぶのも、ひとつの方法です。
贈る立場ごとの選び方と予算
贈る前に、名前の字と、本人が今どんな印鑑を持っているかを確かめておく必要があります。どこまで分かるかは、贈る方の立場によって違います。
奥様・ご主人から
3本セットで、個人の印鑑をひとそろいに
今使っている印鑑を、家で確かめられる立場です。既製品の認印や、学生のころに作った実印が残っていれば、まとめて替えられます。黒水牛でそろえる場合、実印が15mmなら30,200円、18mmなら46,500円です。
3本セットご両親から
実印1本か、銀行印と合わせた2本
住民票どおりの字を知っている立場です。役員への就任や家の購入が近いなら、実印を選びます。黒水牛の実印18mmは24,000円、銀行印との2本セットは37,500円です。
実印、2本セット部下・同僚一同から
名字の認印を、職場で使ってもらう
認印に彫るのは名字だけなので、職場の方でも字を確かめられます。黒水牛の13.5mmは9,500円で、5人で出し合えば1人2,000円ほどです。
認印友人から
欲しい印鑑を本人に聞いて選ぶ
すでに持っている印鑑と重なると、使われないまま引き出しにしまわれることがあります。「昇進祝いに印鑑を考えている」と伝えて、種類と素材を一緒に選んでください。
認印、銀行印名前の画数をもとに印影を作る開運印鑑を、昇進の記念に選ぶ方もいらっしゃいます。開運実印には鑑定書と桐箱が付き、黒水牛の18mmで42,900円です。縁起のよい品として贈るものなので、渡すときに「これからのご活躍を願って」とひとこと添えてください。ふつうの印鑑との違いは、開運実印とは?で説明しています。
辞令が出てから渡します。のしは紅白の蝶結びです
昇進祝いは、辞令が正式に出てから渡します。内示の段階では、変更になることがあるためです。当店の印鑑は、ご注文から3〜7営業日で発送しています。内示を聞いた時点で名前の字と直径を決めておけば、辞令の日に合わせて用意できます。
昇進は何度あってもよいお祝いなので、水引は、ほどいて結び直せる紅白の蝶結びにします。のしをご希望の場合は、ご注文の前にお問い合わせください。包装は青と赤からお選びいただけます。渡すときに添える言葉は、印鑑のプレゼントを渡すときの言葉で場面ごとに紹介しています。
よくある質問
上司の昇進祝いに、部下から印鑑を贈っても失礼になりませんか
失礼にはなりません。気をつけるのは、すでに持っている印鑑と重ならないことです。部下の立場からは、名字だけで作れて、職場で使ってもらえる認印が選びやすい品です。
職場は電子決裁です。認印を贈っても、使う機会はありますか
職場で押す機会がなければ、認印の出番は少なくなります。その場合は、銀行印か実印を選んでください。口座の届け出や、家や車の契約は、勤め先の決裁の方法に関係なく、本人の印鑑を使います。
夫は実印を持っています。それでも作り替える意味はありますか
今の実印に欠けがなく、ご主人が気に入って使っているなら、作り替える必要はありません。銀行印や認印が既製品なら、そちらを贈ってください。実印を替えるときは、市区町村の窓口で前の登録を廃止し、新しい印鑑を届け出ます。
本人に内緒で用意できますか
名字だけを彫る認印と銀行印は、内緒でも用意できます。フルネームの実印は、住民票の字を確かめてから注文してください。「郎」と「朗」のように別の字で彫ると、印鑑登録ができません。字を確かめられないときは、先に認印を贈り、実印は本人と一緒に選ぶという方法があります。
まとめ|昇進祝いの印鑑を決める順番
はじめに、本人が今持っている印鑑を確かめます。既製品の認印や、昔作った実印があれば、それが替える候補です。次に、昇進先の役職と照らし合わせて、贈る種類を決めます。替えたい印鑑が2本以上あるなら、セットでまとめてそろえます。
そのうえで、彫る名前の字、直径、書体を1本ずつ決めます。フルネームで彫るなら、住民票の字もこのときに確かめます。注文は内示のあとに済ませ、辞令が出てから渡してください。
役職が変わっても使い続けられる、名前の印鑑をお作りします
京都の職人が、お名前の字に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫刻します。ご注文から3〜7営業日で発送、送料は全国無料、5年保証付きです。3本セットと2本セットは、桐箱か化粧箱を追加料金なしで選べます。
名前を鑑定して作る開運実印は、黒水牛18mm 42,900円です。辞令の日に間に合うかどうかは、ご注文の前にお問い合わせからご相談ください。