CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
印鑑のプレゼントを渡すときの言葉|場面別の例文と縁起の伝え方
印鑑のプレゼントを手渡すとき、何と言えばよいか迷っている方へ。成人・就職・結婚・出産・開業・還暦・退職の場面別の例文と、その場で聞かれやすい質問への答え方、縁起を押しつけずに添える言い方・避けたい言い方をまとめました。
公開日: 2026年9月30日
印鑑は、箱を開けただけでは選んだ理由が伝わりにくい贈り物です。手紙は用意したけれど、手渡すその場で何と言えばいいのか分からない。縁起の話もしたいけれど、押しつけがましくならないか気になる。そんな方に向けて、渡すときに口にする言葉を、場面ごとの例と一緒にお話しします。
渡すときは、「お祝いのひとこと」「印鑑を選んだ理由」「使い方」の3つを、30秒ほどで伝えます。縁起の話は、軽く添える程度にとどめます。「〜という願いを込めて」と贈る側の気持ちとして話すか、「〜と言われている」と言い伝えとして紹介します。効き目を約束する言い方と、今使っている印鑑を否定する言い方は避けます。
渡すときの言葉は、3つの部分でできています
その場で話す言葉は、手紙よりずっと短くて構いません。長く説明していると、相手は箱を開けるタイミングを逃してしまいます。お祝い、選んだ理由、使い方の3つを話し、余裕があれば願いをひとこと添えます。
成人したお子様に、3本セットを渡すとき
1成人おめでとう。2これから自分の名前で契約することが増えるから、ちゃんとした印鑑を作ってもらったよ。3いちばん大きいのが実印で、役所で登録してから使うんだって。4名前の字に合わせて、職人さんが1本ずつ彫ってくれたんだよ。長く使ってね。
- 1お祝いのひとこと何のお祝いかを、最初に言います
- 2印鑑を選んだ理由これからの暮らしで使う場面と結びつけます
- 3使い方をひとつどれが実印か、登録が必要なことなど、1つだけ話します。くわしい説明は手紙やメモに回します
- 4願いを添える省いても大丈夫です。添えるなら、贈る側の気持ちとして話します
いちばん大切なのは、2つめの「選んだ理由」です。「なぜ印鑑なのか」が伝わると、相手もこの先の使い道を思い浮かべられます。引き出しにしまい込まれず、実際に使ってもらいやすくなります。
就職・結婚・出産など、場面別の例文
言葉は、お祝いの内容や相手との間柄によって変わります。よくある6つの場面の例です。自分の言葉に置き換えて使ってください。
就職するお孫さんへ、お祖父様・お祖母様から
「就職おめでとう。会社の書類や給料の口座で、印鑑を使う場面が増えるでしょう。自分の名前の印鑑を1本持っておくと安心だから、用意しておいたよ」
結婚する友人へ
「結婚おめでとう。名字が変わると、銀行や役所の手続きが続くって聞いたから、新しい名字で印鑑を作ってもらったよ。新しい暮らしで使ってね」
出産祝いに、赤ちゃんの親御さんへ
「おめでとう。〇〇ちゃんの名前で、銀行印を作ってもらったの。お年玉やお祝いを貯める口座を作るときに使ってね」
独立して開業する同僚へ
「独立おめでとう。契約書や請求書でよく使うから、屋号の印鑑にしたよ。これからの仕事で、たくさん押してね」
還暦を迎えるお父様へ、お子様から
「還暦おめでとう。今の印鑑、長く使ってきたでしょう。これからの手続き用に、新しい1本を作ったよ。今までの印鑑も、大事にとっておいてね」
退職する上司へ、部署一同から
「長いあいだ、お疲れさまでした。これからの暮らしで使っていただけるよう、お名前の印鑑をお作りしました。どうぞお元気で」
目上の方には、「使ってください」と頼むより、「使っていただけるよう」と敬語で言うほうが丁寧です。仕事の関係の方には、縁起の話は控えめにします。お祝いと感謝の言葉だけでも、気持ちは伝わります。
その場で聞かれやすい質問と、答え方
印鑑を初めて手にする方からは、その場で質問が出ることがよくあります。答えを用意しておくと、慌てずに話せます。
「どれが実印なの?」
セットの印鑑は、実印・銀行印・認印の順に直径が小さくなります。ケースの色を分けてあれば、「黒が実印、赤が銀行印」のように色でも伝えます。
「登録って、どうやるの?」
京都市では、本人が印鑑と、運転免許証など顔写真の付いた本人確認書類を持って行けば、その日のうちに登録できます。細かな手順は市区町村によって違うので、「窓口で聞けば教えてくれるよ」で大丈夫です。
「どこにしまっておけばいい?」
全国銀行協会は、銀行の届出印を通帳とは別に保管するよう勧めています。持ち歩くのは認印だけ、と伝えておきます。
「高かったでしょう?」
「長く使ってもらえたら、それがいちばんうれしい」と返します。金額を答えると、相手にお返しの心配をさせてしまうことがあります。
縁起を伝えるなら、気持ちとして添えます
印鑑には、古くから縁起にまつわる言い伝えがあります。渡すときにひとこと添えると、会話のきっかけになります。よく話題にのぼるのは、次の3つです。
印鑑は「自分の分身」と言われます
自分の名前を彫り、本人の意思を示すときに押すことから、そう言われてきました。そのため、人生の節目に新しく作る方もいます。「新しい門出に、新しい分身を」と話すと自然です。
銀行印を横書きにするゲン担ぎ
銀行印は縦に彫るのが伝統的ですが、姓だけや名前だけを横に並べて彫る方もいます。「お金が下に流れないように」という願いを込めたゲン担ぎです。横書きで作ったなら、そのことをひとこと添えると、込めた願いが伝わります。
名前を鑑定して作る開運印鑑
名前の画数を鑑定し、願う運気に合わせて印影を設計する印鑑です。渡すときは「〇〇がうまくいくように、願いを込めて作ってもらったよ」と、気持ちとして伝えます。
同じ縁起の話でも、言い方ひとつで印象が変わります。相手が縁起を気にしない方かもしれないので、「そういう言い伝えがある」くらいの距離で話します。
- 「〜という願いを込めて選んだよ」願いは、贈る側の思いとして話します。相手は、信じるかどうかを気にせずに受け取れます
- 「〜と言われているんだって」言い伝えは、言い伝えとして紹介します。どう受け止めるかは、相手に任せます
- 「これからの手続きで使ってね」縁起の話のあとに使う場面を添えると、実用品として受け取ってもらいやすくなります
- 「これを使えば、運がよくなるよ」効き目を約束する言い方は、うまくいかなかったときに相手の負担になります
- 「今の印鑑は縁起が悪いから替えて」今まで使ってきた印鑑や、それを用意した人まで否定することになります
- 「高かったんだから、なくさないでね」金額を言って注意までされると、贈り物が重荷になってしまいます
開運印鑑に付く鑑定書の見せ方は、印鑑の贈り物に鑑定書を添えるときの説明と配慮で紹介しています。開運印鑑の考え方そのものについては、開運印鑑は効果がある?をご覧ください。
言葉のほかに、渡し方で気をつけたいこと
言葉と同じくらい、渡し方でも印象は変わります。次の4つを、前もって確かめておきます。
手渡す前に確かめること
- 金額の分かるものを、箱から抜いておく納品書や値札が入っていないかを、渡す前に確かめます。当店では、注文のときに納品明細書を「不要」にできます
- 箱は相手に正面を向けて、両手で渡す包装したまま渡すなら、のし紙の表書きが相手から読める向きにします
- その場で開けてもらうかを決めておく食事の席なら、料理を待つあいだか食後が落ち着きます。人の多い場では、「あとで開けてね」と渡しても構いません
- 手紙は、あとで読んでもらうその場で読み上げるより、「手紙も入れてあるから、あとで読んで」と伝えるほうが、相手も気持ちを受け取りやすくなります
くわしい使い方や名前に込めた思いは、口で話すより手紙に書くほうが伝わります。文例は印鑑のプレゼントに添える手紙の書き方と文例にまとめています。
直送で贈るときは、届いた日に電話かメッセージで伝えます
遠くに住む方に直送したときは、手渡しの言葉の代わりに、届いた日に連絡します。前もって知らせると、箱を開けるときの驚きが減ってしまいます。かといって何も伝えないと、誰から何が来たのかと相手が戸惑います。到着に合わせて、次のような短いメッセージを送ります。
「届いたかな? 開業のお祝いに、屋号の印鑑を作ってもらったよ。契約や請求書で使ってね。落ち着いたら、使い心地を聞かせてね」
電話なら、箱を開けてもらいながら話すと、手渡しに近い形になります。直送の手順は、印鑑のプレゼントを相手へ直送する方法で説明しています。
よくある質問
「印鑑なんて、あまり使わないよ」と言われたら、どう返せばいいですか
使う場面を1つだけ、具体的に挙げます。「口座を作るときの届出印」「車を買うときや住宅ローンを組むときの実印」のように、相手の暮らしに近い場面を選びます。今すぐ使わなくても、いざというときに手元にあると慌てずに済む、と伝えます。
手紙に書いた内容を、その場で話してもいいですか
構いません。ただ、その場ではお祝いと選んだ理由、使い方を1つだけ話し、あとは手紙に任せます。くわしい使い方や名前に込めた思いを手紙に回すと、話す内容と重なりません。
お祝いの日に渡しそびれました。あとから渡すときは何と言えばいいですか
「実は、就職のお祝いにと思って用意していたんだ」のように、早くから準備していたことを伝えます。日にちが少しずれても、前から考えていたと分かれば、気持ちは伝わります。
縁起の話が苦手な相手には、何を話せばいいですか
縁起には触れなくて大丈夫です。「京都の職人さんが、名前の字に合わせて1本ずつ彫ってくれた」のように、作り手のことを話すほうが自然です。「丈夫な黒水牛にしたよ」のように、素材を選んだ理由を伝える方法もあります。
まとめ|渡すときの言葉を用意する手順
まず、何のお祝いかを一文で言えるようにしておきます。次に、相手がこれから印鑑を使いそうな場面を1つ思い浮かべ、「だから印鑑にした」とつなげます。続けて、どれが実印か、登録は本人がすることなど、使い方を1つだけ選びます。縁起の話を添えるなら、「願いを込めて」「〜と言われている」の形にします。最後に、聞かれそうな質問の答えを用意し、金額の分かるものを箱から抜いてから渡します。
名前の字に合わせて、京都の職人が彫る1本
京都の職人が、お名前の字に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫刻します。銀行印を横書きにしたい、名前だけで彫りたい、といった希望は備考欄に書いてください。2本・3本セットには朱肉と押印マットが付き、桐箱か化粧箱に収めてお届けします。送料無料、5年保証です。
節目の贈り物に、3本セットを見る