CHAPTER 01 印鑑の基礎知識

印鑑の各部名称|印面・枠・天・アタリ・さやの呼び方を図で解説

印鑑の各部名称を図で解説します。印面・枠・余白・胴・天・アタリ・さやが印鑑のどこを指し、何のためにあるのかが分かります。寸胴・天丸・角印といった形の呼び方、朱肉や押印マットなど一緒に使う道具の名前もまとめました。

公開日: 2026年10月10日

温かみのある灰色の紙の上に、ふたを外した黒水牛の印材と、そのふた、側面に丸いくぼみのある薩摩本柘の印材が横向きに並ぶ。右には黒い革の印鑑ケースと白いカード、手前に真鍮のルーペと鉛筆が置かれている
印鑑の各部名称 「印面」「胴」「天」がどこを指すか分かると、注文や手入れの説明が読みやすくなります

印鑑を注文しようとすると、商品の説明に「印面」「枠」「アタリ」といった言葉が出てきます。お手入れの方法を調べれば、「天」や「さや」という呼び方にも出会います。どれも印鑑の部分を指す言葉ですが、ふだんの暮らしではあまり使わないので、どこのことか迷いがちです。この記事では、印鑑の各部名称と、それぞれの部分が何のためにあるのかを、図を使って説明します。

先に結論

印鑑は、文字を彫った「印面」、手で持つ「胴」、上の端の「天」でできています。印面の中は、名前の「文字」、それを囲む「枠」、文字と枠のあいだの「余白」に分かれます。胴に付ける上下の目印が「アタリ」、印面にかぶせるふたが「さや」です。紙に押した跡は「印影」といい、印鑑の部分の名前ではありません。

印鑑の全体図|横から見た部分と、印面の中の部分

まず、2つの図で全体を見ます。1つは印鑑を横に寝かせた図、もう1つは印面を紙に押した跡の図です。番号は、図の下に並べた名前の順番と同じです。

横から見た図

1 2 3 4 5

上下(押す側)

押した跡で見た印面

山田678
  1. 天(てん)上の端の面
  2. 胴(どう)手で持つ側面
  3. アタリ上下の目印
  4. 印面(いんめん)文字を彫った面
  5. さや印面にかぶせるふた
  6. 枠(わく)文字を囲む輪
  7. 文字彫った名前
  8. 余白(よはく)文字と枠のあいだ

印面を押した跡の図にしたのは、印鑑の底を直接見ると、文字の左右が反対になっているからです。押したときに正しい向きで読めるよう、裏返しの字を彫ってあります。そのしくみは印鑑の文字はなぜ左右反転している?で説明しています。

印鑑の各部の名前と役割

印面|文字を彫った面

印面は、印鑑の底にある、文字を彫った面です。デジタル大辞泉も「印章の文字を刻んである面」と説明しています。実印や銀行印では、この面を押した跡で本人かどうかを確かめるので、印鑑の中でいちばん大事な部分です。直径を測るのもこの面で、測り方は印鑑の印面直径はどう測る?でご案内しています。

枠・文字・余白|印面の中の3つ

印面のふちをぐるりと囲む輪が枠です。実印を登録するときにも、枠があるかどうかが問われます。京都市は、登録できる印鑑の要件に「外わくがあり、かつ、その輪かくの模様が照合しやすいもの」を挙げています。枠が欠けると印影が変わってしまうので、実印を落としたときは、まずこの部分を確かめてください。

枠の内側には、名前の文字が入ります。文字と枠のあいだ、文字どうしのあいだが余白です。余白の広さは書体によって違います。篆書体は文字のまわりに余白が残ります。吉相体(印相体)は文字の線を枠に接するまで広げるので、余白が小さくなります。

会社の実印は、枠が二重になっているのが一般的です。外側の輪には社名を、内側の輪の中には「代表取締役印」などの役職名を入れます。この内側の輪を内枠と呼びます。詳しくは会社実印とは?をご覧ください。

胴と天|手で持つ側面と、上の端

手で持つ側面を胴と呼びます。黒水牛のつや、白水牛の筋、柘の木目など、印材ごとの色や模様がいちばんよく見える部分です。胴の上の端にある面が天です。印面の反対側にあり、押すときに指先や手のひらを当てます。

アタリ|上下を知らせる目印

アタリは、胴に付ける上下の目印です。小さな点を埋め込むものと、側面を浅く削ってくぼみを作るものがあります。指で触れるだけで向きが分かります。一方で、胴を加工することになるため、あえて付けない作り方もあります。当店の個人の印鑑は、アタリを付けずにお作りするのが基本です。付けたい場合は、注文時の備考欄でご相談ください。

さや|印面を守るふた

さやは、印面にかぶせる筒形のふたです。かぶせておくと印面が欠けにくくなり、残った朱肉でかばんの中が汚れるのも防げます。キャップと呼ぶこともあります。個人の印鑑はケースに入れて印面を守ることが多いので、さやの付かないものも珍しくありません。

形による呼び方|寸胴・天丸・角

印鑑は、胴の形でも呼び方が変わります。当店で扱っている3つの形を、商品の写真で並べました。

上から下まで同じ太さの黒水牛の印鑑2本と、印鑑を収めた赤と金の柄の印鑑ケース
寸胴(ずんどう)個人の実印・銀行印・認印上から下まで同じ太さの円柱です。ケースにすっきり収まります。当店の個人の印鑑は、この形でお作りしています。
上が丸くふくらみ、中ほどがくびれた黒水牛の会社実印。手前に朱肉、奥に黒い布袋がある
天丸(てんまる)会社の実印・銀行印・認印天が丸くふくらみ、胴の中ほどがくびれた形です。握りやすく、会社の丸い印鑑によく使われます。写真の印鑑は、胴に白い点のアタリがあり、下の端にさやをかぶせてあります。
四角い印面の上に持ち手の付いた黒水牛の角印。手前に朱肉、奥に黒い布袋がある
角(かく)会社の角印印面が四角く、上に持ち手が付いた形です。社名を彫り、請求書や見積書に押します。

篆刻で使う石の印や、昔の役所の印には、上に動物などをかたどったつまみが付いたものがあります。このつまみが鈕(ちゅう)です。福岡県の志賀島で見つかった金印には、蛇をかたどった鈕が付いていて、蛇鈕と呼ばれます。

印鑑と一緒に使う道具の名前

印鑑の部分ではありませんが、注文のときや押すときによく出てくる道具の名前も紹介します。

朱肉印面に付けて押す、朱色のインクにあたるものです。軽く数回たたくように付けると、印面全体にむらなく乗ります
押印マット紙の下に敷くマットで、印褥(いんじょく)とも呼びます。下が柔らかいと、印面全体が紙にむらなく当たります
印鑑ケース印鑑を入れて、しまったり持ち歩いたりします。小さな朱肉が付いたものが多く、印面を守るさやの代わりにもなります

当店の個人の印鑑には、印鑑ケースと押印マットが付きます。2本・3本のセットには朱肉も付きます。朱肉の選び方は印鑑のプレゼントに朱肉は付ける?で、押し方のコツは押しやすい印鑑の選び方でお話ししています。

名前を知っておくと役立つ場面

各部の名前は、注文するとき、押すとき、手入れするときの3つの場面でよく出てきます。

注文するとき

印面の文字と大きさを決める

書体は印面に彫る文字の形、直径は印面の大きさのことです。アタリを付けたいときは、備考欄でご相談ください。

よく出る名前印面・文字・枠・アタリ

押すとき

上下を確かめてから押す

アタリがあれば指で触って、なければ印面の文字を見て、向きを確かめます。押印マットを敷き、天の真上からまっすぐ力をかけます。

よく出る名前アタリ・印面・天・押印マット

手入れするとき

印面の朱肉を拭き取る

使ったあとは、印面に残った朱肉を柔らかい布やティッシュで軽く押さえて取り、ケースに戻します。胴に付いた手の脂も拭いておきます。

よく出る名前印面・朱肉・胴

よくある質問

「印面」と「印影」は、どう違いますか

印面は、印鑑の底の文字を彫った面です。印影は、印面に朱肉を付けて紙に押した跡です。印面の文字は左右が反対で、印影になると正しい向きで読めます。

枠が少し欠けてしまいました。そのまま使えますか

認印なら、押した跡が読めれば使い続けられます。実印や銀行印は、登録や届け出をしたときの印影と形が変わるので、窓口の照合で通らないことがあります。新しい印鑑を作って、登録や届け出をし直すのが確実です。

アタリのない印鑑で、上下を間違えずに押すには

押す前に印面を見て、文字のどちらが上かを確かめます。文字の上にあたる側に人差し指を当てて持つと、正しい向きで押せます。ケースに入れるときの向きを毎回そろえておくと、取り出したときに迷いません。

さやのない印鑑は、何で印面を守ればいいですか

印鑑ケースに入れておけば、印面が鍵などの硬いものに直接当たりません。印鑑をそのままかばんに入れて持ち歩くと、印面が欠ける原因になるので避けてください。

まとめ|説明に出てきた言葉を、図に当てはめる

説明に知らない言葉が出てきたら、上の図に当てはめて、どこを指すのかを見てください。まず、文字を彫った端の話か、反対側の端の話かを見分けます。文字を彫った側なら、印面か、その中の枠・文字・余白のどれかです。反対側の端なら天、2つの端のあいだなら胴を指しています。

注文のときに決めるのは、主に書体と印面の直径、それにアタリを付けるかどうかです。押すときはアタリか印面の文字で上下を確かめ、使ったあとは印面に残った朱肉を拭き取ります。

京都府知事指定の伝統工芸品「京印章」

印面の文字と枠を、お名前に合わせて職人が設計します

当店の印鑑は、京都府知事が指定する伝統工芸品「京印章」です。京印章制作士の職人が、お名前の字の形に合わせて文字と余白の釣り合いを整え、1本ずつ彫刻します。印鑑ケース、押印マット、保証書、京印章証明書付き。送料無料、5年保証です。

当店に掲げている京印章の認定書の写真
  • 1印面の文字は、書体と直径に合わせて配置を決めます
  • 2枠の太さと文字の線の釣り合いを整えて仕上げます
  • 3京印章証明書を添えてお届けします

SOURCES

出典

印面・鈕・印褥の意味は、コトバンクに収録されたデジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典、普及版 字通によります。金印の鈕の形は日本大百科全書(ニッポニカ)の「金印」の項、実印の枠の要件は京都市の印鑑登録の案内によります。天・胴・アタリ・さや・寸胴・天丸は印章業界でふだん使われている呼び方で、当店の説明に合わせています。当店の印鑑の形と付属品は、当店の商品ページの写真と説明に合わせました。

  1. 印面. デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典. 小学館(コトバンク). https://kotobank.jp/word/%E5%8D%B0%E9%9D%A2-438073,(参照 2026-10-10).
  2. 鈕. デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・普及版 字通. 小学館・平凡社(コトバンク). https://kotobank.jp/word/%E9%88%95-567076,(参照 2026-10-10).
  3. 印褥. デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典. 小学館(コトバンク). https://kotobank.jp/word/%E5%8D%B0%E8%A4%A5-437421,(参照 2026-10-10).
  4. 金印. 日本大百科全書(ニッポニカ)ほか. 小学館(コトバンク). https://kotobank.jp/word/%E9%87%91%E5%8D%B0,(参照 2026-10-10).
  5. 京都市. 印鑑登録. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000147302.html,(参照 2026-10-10).