CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー

オーダーメイドのプレゼントの選び方|注文前に決める5つのこと

オーダーメイドの贈り物は、相手の情報を集めてから作る品です。靴、スーツ、指輪、革小物、万年筆、印鑑といった受注制作の品を、必要な情報、本人が関わる必要があるか、納期の3つで比べ、注文の前に決めておきたい5つのこと(品と予算、情報の集め方、本人を巻き込むかどうか、渡す日からの逆算、直せるかどうか)を説明します。名前の字だけで作れて本人がいなくても注文できる印鑑が、オーダーメイドの贈り物の中でどんな位置にあるかもお伝えします。

公開日: 2026年9月26日

濃い灰色のフェルトの上に、制作途中のオーダーメイド品を並べた写真。革の裁ち板と真鍮の目打ち、目盛りのない布の巻き尺、木の靴型、クラフト紙の箱に入った万年筆、そして少し離した生成りの布の上に、白水牛の印材と深緑のケースを収めた桐箱。無地の注文カードと鉛筆
オーダーメイドの贈り物 相手の情報を集めてから作る贈り物です。何を集めるか、本人を巻き込むか、いつまでに頼むかで、選べる品が決まります

既製品を選んで包むのではなく、相手のためだけに作ってもらう。オーダーメイドの贈り物には、既製品にはない重みがあります。ただ、靴やスーツのように本人の採寸が要る品、指輪のようにサイズを聞き出さなければならない品、名前さえ分かれば作れる品と、必要なものは品によってまったく違います。納期も、数日で届く品から数か月かかる品まであります。この記事では、「オーダーメイド」という言葉の幅を整理したうえで、代表的な受注制作の品を必要な情報、本人の関わり、納期の3つで比べ、注文の前に決めておきたい5つのことを説明します。そのうえで、名前の字だけで作れて、本人がいなくても注文でき、数日で届く印鑑が、オーダーメイドの贈り物の中でどんな位置にあるかをお伝えします。

先に結論

注文の前に決めるのは、品と予算、必要な情報の集め方、本人を巻き込むかサプライズにするか、渡す日からの逆算、そして直せるかどうかの5つです。採寸が要る靴やスーツは本人と一緒に、サイズを聞けば作れる指輪や革小物は聞き出してから、名前だけで作れる印鑑は本人がいなくても注文できます。印鑑は、職人が名前の字に合わせて印面を設計し、彫る前に印影をメールで確かめられ、注文から3〜7営業日ほどで発送します。相手がまだ自分の印鑑を持っていないなら、実印・銀行印・認印の3本セットが薩摩本柘で21,700円から、黒水牛で24,300円からです。

「オーダーメイド」には3つの段階があります

ひとくちにオーダーメイドと言っても、既製品に名前を入れるものから、寸法を取って一から作るものまで幅があります。3つの段階に分けて考えると、贈り物として何を選んでいるのかがはっきりします。

段階1

既製品に、名前を入れる

刻印入りの万年筆、刺繍入りのタオル、イニシャル入りの革小物

出来上がった品に、名前やイニシャルを足します。品物は既製品のままで、選びやすく、納期も短めです。

必要な情報
名前の表記
相手だけの品か
名前の部分だけ
段階2

決まった型から選んで、作る

パターンオーダーのスーツやシャツ、既製の型から選ぶ指輪、色と革を選ぶ財布

型は決まっていて、寸法や色、素材を相手に合わせます。本人の採寸やサイズの確認が要ることが多い段階です。

必要な情報
寸法、サイズ、好みの色や素材
相手だけの品か
寸法と素材が相手に合う
段階3

相手の情報から、一から作る

フルオーダーの靴、手作りのジュエリー、そして印鑑

相手の情報そのものをもとに、職人が設計して作ります。印鑑は、名前の字の画数と形をもとに職人が印面を設計しますので、同じ名前でも同じ印影は2つとできません。

必要な情報
靴なら足型。印鑑なら名前の字
相手だけの品か
設計から相手だけのもの

右へ行くほど「相手だけの品」になりますが、その分、必要な情報と日数が増えるのが普通です。印鑑はこの点で少し特別で、段階3の「一から作る」品でありながら、必要な情報が名前の字だけで、納期も数日と短い品です。この理由は後半で説明します。

受注制作の品を、必要な情報・本人の関わり・納期で比べる

贈り物として選ばれることの多い受注制作の品を、何が必要か、本人がその場にいなければならないか、注文から届くまで何日かかるかの3つで並べます。数字は一般的な目安で、店によって変わります。

靴(フルオーダー・パターンオーダー)

必要な情報
足の寸法、足型、歩き方
本人の関わり
必須採寸と仮合わせに本人が行く
納期の目安
1〜3か月
価格帯
5万円〜数十万円

サプライズには向きません。贈るなら、注文の券を渡して一緒に店へ行く形になります。

スーツ・シャツ

必要な情報
身体の寸法、生地の好み
本人の関わり
必須採寸に本人が行く
納期の目安
3週間〜2か月
価格帯
シャツ1万円〜、スーツ5万円〜

就職や昇進の節目に。贈る側は生地代を持ち、採寸は本人に任せます。

指輪・ジュエリー

必要な情報
リングのサイズ、石や地金の好み
本人の関わり
聞き出すサイズを本人か周りから
納期の目安
2〜6週間
価格帯
3万円〜数十万円

サイズを間違えると直しに日数がかかります。持っている指輪をこっそり測る方法がよく使われます。

革小物(財布、名刺入れ、ベルト)

必要な情報
革の色、形、刻印する名前。ベルトは腰回り
本人の関わり
聞き出す好みの色と形を
納期の目安
2〜4週間
価格帯
1万〜5万円

本人がいなくても注文できます。ただ、色と形の好みが強く出るので、今の持ち物をよく見ておきます。

万年筆

必要な情報
ペン先の太さ、軸の色、刻印する名前
本人の関わり
できれば試筆ペン先は本人が書いて決めるのが確実
納期の目安
刻印のみなら数日〜2週間
価格帯
1万〜5万円

本人不在でも注文できますが、ペン先の太さで書き味が変わるため、細字か中字かは聞いておきます。

印鑑

必要な情報
彫る名前の字。姓か名かフルネームか
本人の関わり
不要名前の字が分かれば注文できる
納期の目安
3〜7営業日で発送。印影の確認を挟んでも2週間ほど
価格帯
1本 6,400円〜、3本セット 21,700円〜

寸法もサイズの好みも要らず、名前の字だけで職人が印面を設計します。サプライズにも、本人と一緒に選ぶ形にも向きます。

こうして並べると、オーダーメイドの贈り物は「本人を店に連れて行く品」「サイズや好みを聞き出す品」「情報だけで作れる品」の3つに分かれることが分かります。相手に内緒で用意したいなら、3つ目の品から選びます。印鑑は、その中でいちばん必要な情報が少ない品です。

注文の前に決める、5つのこと

受注制作の品は、注文したあとに「やっぱり違う物に」と変えるのが難しい贈り物です。次の5つを、注文の前に決めておきます。

01

品と予算

まず、相手が持っていない物か、持っているが間に合わせのままの物を選びます。オーダーメイドは既製品より高くなりますので、予算の上限を先に決めます。印鑑なら、単品か、実印・銀行印・認印の3本セットかで予算が変わります。

02

必要な情報と、その集め方

採寸が要るのか、サイズを聞けば済むのか、名前だけでよいのか。本人に聞かずに集められる情報かどうかで、サプライズにできるかが決まります。名前の字は、年賀状や家族に確かめれば本人に聞かずに集められます。

03

本人を巻き込むか、サプライズにするか

採寸や試着が要る品は、本人を巻き込むしかありません。情報だけで作れる品なら、どちらの進め方にもできます。印鑑は、本人と一緒に印材やケースの色を選ぶこともできますし、名前だけを集めて内緒で作ることもできます。

04

渡す日からの逆算

受注制作は、注文してから届くまでに日数がかかります。渡す日が決まっているなら、納期に余裕を足して注文の期限を決めます。印鑑は3〜7営業日ほどで発送しますが、印影の確認を挟むなら2週間は見ておきます。

05

直せるか、作り直せるか

名前を入れた品や採寸して作った品は、返品ができないのが普通です。注文前に、間違えたときに直せるか、傷んだときに修理できるかを確かめます。印鑑は、彫る前に印影を確かめる仕組みと、彫ったあとの保証の有無を見ます。

納期は、渡す日から逆算します

受注制作の贈り物でいちばん多い失敗は、渡す日に間に合わないことです。品ごとの納期を、渡す日から逆算して注文の期限に置き換えます。

  1. 3か月前
    フルオーダーの靴、フルオーダーのスーツ

    採寸、仮合わせ、本縫いと工程が多く、本人が2〜3回店に行きます。渡す日に本人と一緒に受け取りに行く形になります。

  2. 1〜2か月前
    パターンオーダーのシャツ、手作りの指輪、革小物

    採寸やサイズの確認をこの時期までに済ませ、注文します。指輪はサイズ直しの日数も見込んでおきます。

  3. 2〜3週間前
    印鑑(印影の確認をする場合)、刻印入りの万年筆

    印鑑は、注文時に「印影のご確認」を選ぶと、2〜3日後に印影がメールで届きます。字の形と配置を確かめて返信すると彫刻に進み、3〜7営業日ほどで発送します。合わせて2週間ほど見ておけば余裕があります。

  4. 1週間〜10日前
    印鑑(印影の確認をしない場合)

    名前の字を備考欄で正確にお伝えいただければ、印影の確認を省いて彫刻に進めます。日数がないときは、ご注文の前にご相談ください。急ぎのときの進め方は印鑑のプレゼントを急ぎで用意するには?にまとめています。

印鑑が、オーダーメイドの贈り物として向いている理由

ここまでの比較で、印鑑は「一から作る品なのに、必要な情報が少なく、納期が短い」品だと分かりました。なぜそうなるのかを、作り方から説明します。

靴やスーツ

身体に合わせるから、本人が要る

  • 合わせる相手足や身体の寸法。本人がいないと測れません
  • 確かめ方仮合わせ、試着。本人が履いて、着て確かめます
  • 直し本縫いのあとに寸法を直すのは難しく、日数もかかります
  • 納期工程が多く、1〜3か月
印鑑

名前に合わせるから、字だけで作れる

  • 合わせる相手名前の字。画数と形をもとに、職人が印面を設計します
  • 確かめ方彫る前に、印影をメールで確かめられます。贈る側が確かめれば、本人は要りません
  • 直し彫る前なら、字の形や配置の希望を伝えて設計し直せます。彫ったあとも、欠けやすり減りは5年保証で彫り直します
  • 納期3〜7営業日ほどで発送

印鑑の制作は、全日本印章業協会の定義では、字入れ(印面に字を設計する工程)、荒彫り、仕上げに分かれます。相手だけの印鑑になるかどうかを決めるのは、最初の字入れです。当店では京印章制作士の職人が、名前の字の画数と形を見て、線の太さと文字の配置、枠との接し方を決めます。同じ名前、同じ書体で頼んだ人とも、同じ印影にはなりません。工程の詳しい説明は職人が作る印鑑をプレゼントに|制作工程と価格の見方にまとめています。

そして、印鑑には靴やスーツにはない役目があります。京都市の案内のとおり、実印として登録できる印鑑は1人につき1個で、同じ形が量産されているものは登録できません。名前に合わせて一から作った印鑑だからこそ、本人の証明として通用します。オーダーメイドであることが、見た目の満足だけでなく、道具としての役目に直結している贈り物です。

印鑑を注文するときに、決めること・入力すること

印鑑の注文で贈る側が決めるのは、次の項目です。寸法もサイズも要りません。生年月日も、通常の印鑑では入力しません。

注文の前に決めておくメモ

本数
実印・銀行印・認印の3本セットか、2本セットか、1本か相手が持っていない本数を贈ります。まだ1本も自分で作っていなければ3本セットが基本です
彫る名前
姓だけ、名前だけ、フルネームのどれか。字は戸籍のとおりに「高」と「髙」、「斉」と「齊」のような字の違いは、実印の登録で住民票と照合されます。確かめ方は印鑑のプレゼントで名前の漢字を間違えないへ
印材と直径
薩摩本柘、黒水牛、白水牛、チタン、本象牙。実印15mm、銀行印13.5mm、認印12mmが目安好みが出るのは印材の色くらいです。迷ったら黒水牛か薩摩本柘に
書体
実印と銀行印は読み取りにくい篆書体や印相体、認印は読みやすい古印体や楷書体が定番書体は職人が字入れをするときの土台で、印影の設計は書体を選んだあとに行われます
ケースと箱
牛革ケースは黒・赤のほか10色。2本・3本セットは桐箱か化粧箱を追加料金なしで相手の持ち物の色に合わせると、贈り物としてのまとまりが出ます
印影のご確認
「確認する」を選ぶと、彫る前に印影がメールで届くオーダーメイドの「仮合わせ」にあたる工程です。日数に余裕があれば選んでおきます

本人と一緒に選ぶ場合の進め方は印鑑のプレゼントは本人に選んでもらう?に、内緒で作る場合に本人に聞くべきことと聞かずに決められることは印鑑はサプライズで贈れる?にまとめています。

直せるか、作り直せるか|通販の受注制作品で知っておくこと

オーダーメイドの品を通販で注文するときに、知っておきたいことがあります。国民生活センターの案内のとおり、通信販売にはクーリング・オフの制度がありません。返品できるかどうかは、店が定める返品の条件に従います。消費者庁の案内でも、通信販売の広告には返品の条件を表示することが求められています。名前を入れた品や採寸して作った品は、ほかの人に売れませんので、注文後の取り消しや返品を受け付けない店がほとんどです。

だからこそ、受注制作の品では「作る前に確かめられるか」と「作ったあとに直せるか」を見ます。印鑑の場合、当店では彫る前に印影をメールで確かめる「印影のご確認」を選べ、字の形や配置の希望はその段階でお伝えいただけます。彫ったあとは、欠けやすり減りに対して5年の保証で修理と彫り直しをします。作り直しの理由でいちばん多いのは名前の字の間違いですので、注文の前に字を確かめておくことが、いちばんの備えになります。

予算の目安

受注制作の品は、靴やスーツで5万円以上、指輪で3万円以上、革小物や万年筆で1万〜5万円ほどが目安です。印鑑は本数と印材で価格が決まります。

よくある質問

オーダーメイドの品は、本人に内緒で注文できますか

採寸が要る靴やスーツは、本人が店に行く必要があるので内緒では作れません。サイズを聞けば作れる指輪や革小物は、サイズと好みを周りからうまく聞き出せれば内緒で注文できます。印鑑は、名前の字さえ分かれば注文できますので、内緒で用意するのにいちばん向いた受注制作の品です。字は、年賀状や家族に確かめれば本人に聞かずに分かります。

印鑑の名前の字を間違えて注文してしまったら、どうなりますか

彫る前なら、印影の確認の段階でお知らせいただければ設計し直せます。彫ったあとに字の間違いが分かった場合は、印面を削って彫り直す作り直しになります。当店ではご注文の状況をメールのURLから確かめられますので、気づいた時点ですぐご連絡ください。字の確かめ方は、注文の前に一度目を通しておくことをおすすめします。

オーダーメイドと「職人の手彫り」は同じ意味ですか

違います。オーダーメイドは「注文を受けてから作る」という意味で、彫り方のことではありません。印鑑の彫り方は、全日本印章業協会の定義で、すべてを手で彫る完全手彫り、機械で彫ったあとに職人が手で仕上げる手彫り仕上げ、すべて機械で彫る機械彫りに分かれます。当店では、字入れの段階から職人が印面を設計し、1本ずつ仕上げます。彫り方の違いは即日印鑑と職人製作印の違いで説明しています。

受注制作の品を、相手の住所へ直接送ってもらえますか

当店では、発送先を相手の住所にして直送できます。納品明細書を「不要」のままにし、クレジットカードか前払いの支払い方法を選べば、金額の分かる紙は同封されません。包装を選べば、贈り物の形で届きます。手順は印鑑のプレゼントを相手へ直送する方法にまとめています。

まとめ|情報・本人の関わり・納期で、オーダーメイドの品を選ぶ

オーダーメイドの贈り物は、相手の情報を集めてから作る品です。靴やスーツは本人の採寸が要り、指輪や革小物はサイズと好みを聞き出す必要があり、印鑑は名前の字だけで作れます。注文の前に決めるのは、品と予算、情報の集め方、本人を巻き込むかサプライズにするか、渡す日からの逆算、そして直せるかどうかの5つです。通販にはクーリング・オフがなく、名前を入れた品は返品できないのが普通ですので、作る前に確かめられる仕組みと、作ったあとの保証を見て選びます。印鑑は、職人が名前の字に合わせて印面を設計する一から作る品でありながら、必要な情報が名前だけで、本人がいなくても注文でき、彫る前に印影を確かめられ、3〜7営業日ほどで届きます。相手がまだ自分の印鑑を持っていないなら、オーダーメイドの贈り物の中で、いちばん用意しやすく、いちばん長く使ってもらえる品になります。

名前の字だけで作れる、オーダーメイドの贈り物

お名前を受け取ってから、職人が印面を設計して1本ずつお作りします

寸法もサイズも要りません。彫る名前と、印材、直径、書体、ケースを決めるだけです。「印影のご確認」を選べば、彫る前に印影をメールでお送りします。注文から3〜7営業日ほどで発送。牛革ケース、保証書、京印章証明書付き。送料無料、5年保証。

SOURCES

出典

靴やスーツ、ジュエリーなどの受注制作品の納期と必要な情報は、一般的な例をもとにした目安で、店や品によって変わります。通信販売にクーリング・オフの制度がないことは消費者庁と国民生活センターの案内を参照しました。印鑑の彫刻工程の区分は全日本印章業協会の定義を参照しています。当店の価格は税込で、記事作成時点のものです。

  1. 消費者庁. 通信販売広告Q&A. 特定商取引法ガイド. https://www.no-trouble.caa.go.jp/qa/advertising.html,(参照 2026-09-25).
  2. 独立行政法人国民生活センター. クーリング・オフ. 国民生活センターウェブサイト. https://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/coolingoff.html,(参照 2026-09-25).
  3. 公益社団法人全日本印章業協会. 彫刻作業工程の定義. https://www.inshou.or.jp/inshou/common/pdf/2024teborishiage.pdf,(参照 2026-09-25).
  4. 京都市. 印鑑登録. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000147302.html,(参照 2026-09-25).