CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
予算1万円以上で選ぶ京都らしい贈り物|長く使える工芸品
京焼・清水焼、京扇子、西陣織、京漆器、京印章を使う頻度と残り方で比べ、予算1万円以上で長く使ってもらえる京都の贈り物の選び方を説明します。京都府知事が指定する伝統工芸品「京印章」の由来と証明書、1万円台から贈れる価格、箱や包装の指定までまとめました。
公開日: 2026年9月24日
「京都らしいものを贈りたい」という相談を、当店ではよくいただきます。扇子や器、織物など、京都には長い年月をかけて磨かれてきた工芸品が数多くあり、どれにするか迷う方も少なくありません。予算を1万円以上かけるなら、飾って終わる品より、何年も使ってもらえる品を贈りたいという方も多くいらっしゃいます。この記事では、京都の代表的な工芸品を「使う頻度」と「残り方」で比べ、長く使ってもらえる贈り物の条件を挙げます。そのうえで、京都府知事が指定する伝統工芸品「京印章」について、由来と証明書、価格、箱や包装の選び方まで説明します。
京都の工芸品を長く使ってもらうなら、「使う場面があるか」「名前が入るか」「傷んでも直せるか」の3つで選んでください。3つがそろう品として当店がおすすめするのは、京都府知事が指定する伝統工芸品「京印章」です。印鑑は相手の名前を彫って作るので、その人専用の品になります。口座や契約の手続きで何十年も使い、印面が欠けても彫り直せます。予算の目安は、1万円台なら薩摩本柘や黒水牛の実印1本、2万円台なら実印・銀行印・認印の3本セットです。
贈り物に向く京都の工芸品を、使う頻度と残り方で比べる
京都市の伝統産業は74品目あり、京都伝統産業ミュージアムの常設展示でまとめて見られます。京友禅や西陣織などの染織品、京焼・清水焼、京漆器、京扇子、京人形、京仏具のほか、京印章もその1つです。贈り物として比べるなら、値段や知名度より「相手がどのくらい手に取るか」と「どのくらい長く残るか」を見てください。
京焼・清水焼
食器や酒器。毎日の食卓で使ってもらえる
- 使う頻度
- 毎日。ただし相手の食器の好みに左右される
- 残り方
- 割れなければ何十年も使える。割れると元に戻すのは難しい
- 名前
- ふつうは入らない。夫婦茶碗のように組にして贈れる
京扇子
夏の外出や礼装の場で使う。かさばらず贈りやすい
- 使う頻度
- 夏の間と、冠婚葬祭のときに限られる
- 残り方
- 扇面の紙や絹は、使ううちに傷んでいく
- 名前
- 名入れできる品もある
西陣織・京友禅の小物
名刺入れ、袱紗、数寄屋袋など。柄で京都らしさがひと目で伝わる
- 使う頻度
- 仕事や行事のとき。名刺入れなら毎日
- 残り方
- 布なので、擦れて少しずつ傷んでいく
- 名前
- ふつうは入らない
京漆器
椀や箸、盆。手入れをすれば代々使える
- 使う頻度
- 品による。椀や箸は毎日、盆は来客のとき
- 残り方
- 塗り直せば何十年も使える。ただし手入れが要る
- 名前
- ふつうは入らない
京印章
実印・銀行印・認印。名前を彫って作る、その人だけの品
- 使う頻度
- 認印はふだんから。実印と銀行印は契約や口座の手続きで使う
- 残り方
- 実印は登録した1本を何十年も使う。欠ければ彫り直せる
- 名前
- 名前そのものを彫り、書体は好みで決められる
「1万円以上かけて、長く使ってもらう」という条件で比べると、候補は絞られます。名前が入り、暮らしの中で使う場面が続き、傷んでも直して使える品は多くありません。京印章は、この3つがそろう数少ない京都の工芸品です。
長く使ってもらえる贈り物の3つの条件
「せっかくもらったから」と気を遣って使う品は、いつのまにか引き出しにしまわれがちです。長く使われやすいのは、贈られなくてもいずれ必要になる品です。印鑑なら、給与口座の届け出、賃貸や車の契約、住宅ローン、相続の手続きと、大人になると使う場面が次々に出てきます。実印が要る場面は実印はいつ必要?にまとめています。
名前入りの品はほかの人に譲りにくいので、手放されにくく、使うたびに贈った人を思い出すきっかけにもなります。印鑑は、相手の名前を彫って初めてできあがる品です。
器は割れると元に戻すのが難しいのに対し、印鑑は印面が欠けても彫り直せます。当店では、購入後5年以内の破損や不具合について、状態を確かめたうえで修理や彫り直しをご案内しています。直しながら使えるからこそ、「一生もの」として贈れます。
京印章とは?京都府知事が指定する伝統工芸品
京印章は、京都で受け継がれてきた技術で作る印章です。京都府が条例にもとづいて指定する「京もの指定工芸品」の1つで、西陣織や京友禅、京焼・清水焼と並んでいます。府の一覧では、京都府印章業協同組合が担い手の団体として挙がっています。後で紹介する証明書を出しているのも、この組合です。
意外に思われるかもしれませんが、京印章でよく使われる篆書体は、毎日のように目にしている書体です。お札の表面にある「総裁之印」も、国立印刷局によると篆書体で彫られています。京都では平安京の時代から、役所の印など多くの印章が作られてきました。その印章文化は、いまも身近なところに息づいています。
京印章証明書を添えてお納めします
京印章を制作・販売するには、審査に合格しなければなりません。当店は「京印章制作處」、職人は「京印章制作士」として認定を受けています。職人は京都の出身で、篆刻家に師事したのち、40年にわたりこの地で印章を作ってきました。
通常の個人印鑑には京印章証明書を、本象牙の印鑑には象牙認定書を添えてお納めします。贈られた方は、京印章であることを証明書で確かめられます。
伝統工芸・京印章について工芸品を贈るなら、京都らしさが相手にどう伝わるかも気になるところです。京印章には証明書が付くので、口で説明しなくても、伝統工芸品であることを分かってもらえます。印鑑を贈る意味を手紙などで添えたい方は印鑑をプレゼントする意味とは?もご覧ください。
予算1万円以上で贈れる京印章の価格
当店の印鑑は素材と直径で価格が決まり、職人の彫刻はどの価格帯でも同じです。1万円台から3万円以上まで、予算ごとに贈れる組み合わせをまとめました。
相手が印鑑を持っていないなら3本セット、すでに持っているなら素材にこだわった1本がおすすめです。本数を先に決めてから、素材を選んでください。
予算3万円以上で選ぶなら予算3万〜5万円で贈る高級印鑑を、単品とセットで迷ったら印鑑のプレゼントは単品とセットのどちら?をご覧ください。
京都からの贈り物として渡すための準備
人に贈るなら、印鑑そのものだけでなく、箱や包装、渡すときに添えるものも考えておきましょう。当店の注文画面で指定できることと、贈る前に確かめておきたいことをまとめました。
- 2本・3本セットなら、化粧箱か桐箱か
- 包装するかどうかと、その色(青・赤)
- ケースの色と素材。黒・赤の牛革は無料で、ほかの10色は950円から
- 彫刻前に印影を確認するかどうか
- 名前の正しい漢字。「郎」と「朗」のように住民票と違う字で彫ると、実印として登録できません
- 相手が実印・銀行印・認印のどれを持っているか
- 結婚など、近く姓が変わる予定がないか
- 渡す日に間に合うか。発送までは通常3〜7営業日ほどかかります
- 京印章証明書、または象牙認定書
- 5年保証の保証書
- 実印・銀行印・認印の使い分けを書いた短いメッセージ
- 開運印鑑なら鑑定書
相手の名前の字や好みを確かめる方法は印鑑のプレゼントは嬉しくない?贈る前に確認したい5つのことにまとめています。
ほかの京都の工芸品と組み合わせて贈るなら
予算に余裕があれば、京印章にほかの京都の品を添える贈り方もあります。印鑑は小さな品なので、少し大きめの品と組み合わせると、見た目が華やかになります。
よくある質問
京都以外に住む相手にも、京印章だと分かりますか
京印章証明書を一緒にお渡しください。京都府印章業協同組合が、その印章が京印章であることを証明する書面です。印材・サイズ・書体のほか、販売した店と制作した職人の名前も記されます。篆書体で彫った場合は、お札の「総裁之印」と同じ書体だと一言添えると、話のきっかけにもなります。
京都らしい見た目の印鑑はありますか
印鑑の本体には絵柄を入れないため、京都らしさは書体と証明書で伝わります。見た目を華やかにしたいなら、鶴亀をあしらったものや、銀箔で飾った銀花などのケースという選択肢もあります。ケースの種類は印鑑ケースについてをご覧ください。
外国の方への京都土産として印鑑を贈れますか
お作りできます。カタカナやアルファベットで彫ることもできます。ただし、日本で実印として登録するには、住民票に載っている氏名と合っていなければなりません。どの表記で彫るかは、ご本人に確かめてからご注文ください。詳しくは外国人でも実印は作れる?をご覧ください。
京都の店舗で相談してから注文できますか
京都市伏見区の店舗で、素材や書体をご覧いただけます。職人が不在の時間帯もあるため、相談をご希望の場合は、事前にお問い合わせください。遠方の方はオンラインでご注文いただけます。通常の印鑑なら、彫刻前の印影確認もメールで行えます。
まとめ|長く使ってもらえる京都の贈り物を選ぶ順番
まず、相手の暮らしに出番がある品かどうかで候補を絞ります。さらに、名前が入るか、傷んでも直せるかで比べると、京印章が残ります。次に、相手がいま持っている印鑑を確かめて、本数を決めます。持っていなければ3本セット、すでに持っていれば素材にこだわった1本が目安です。
本数が決まったら、予算に合わせて素材を選びます。最後に、名前の正しい漢字と渡す日を確かめ、包装の色と、セットなら化粧箱か桐箱かを指定してください。京印章証明書と保証書は印鑑に添えてお届けしますので、そのまま一緒に渡せます。
京印章証明書を添えて、桐箱に収めてお届けします
実印・銀行印・認印の3本セットは薩摩本柘21,700円から。認定を受けた職人が名前を彫り、京都府知事指定の伝統工芸品「京印章」の証明書を添えてお納めします。
個人用3本セットを見る