CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
左利きの人に印鑑を贈る|アタリの位置と押し方の注意点
左利きの人に印鑑を贈るとき、「左手でも使いにくくないか」と心配になります。印鑑は左右対称の道具で、左利き用の印鑑はなく、右手で使う印鑑をそのまま左手で使えます。利き手で変わるのは押す動作と机の上の配置で、印鑑そのものではありません。上下の目印であるアタリの位置、左手で押すときのこつ、握りやすい直径と印材、贈る前に確かめておきたいことを説明します。
公開日: 2026年9月26日
左利きの人は、ハサミや急須、定規、包丁と、右利き向けに作られた道具で小さな不便を重ねてきています。だから、左利きの人に道具を贈るときは「左手でも使いにくくないだろうか」とつい気になります。印鑑はどうでしょうか。結論から言うと、印鑑に左利き用と右利き用の区別はなく、右手で使う印鑑をそのまま左手で使えます。ただ、押すときの手の動きと、机の上で朱肉や書類をどこに置くかは、利き手で変わります。この記事では、印鑑のどこが利き手で変わらず、どこが変わるのかを整理し、上下の目印であるアタリを左手でどう使うか、左手で鮮明に押すこつ、握りやすい直径と印材、贈る前に確かめておきたいことを説明します。
印鑑は左右対称の道具で、左利き用の印鑑はありません。右手で使う印鑑を、そのまま左手で使えます。アタリ(上下の目印)も、人差し指を当てる側に付いているだけですので、左手で持っても位置は同じです。利き手で変わるのは、朱肉を置く場所と、書類の右端にある押印欄に左手をどう運ぶかという、机の上の話です。贈る前に確かめるのは、アタリを付けるかどうかと、いま持っている印鑑の本数。当店では、アタリのご希望はご注文時の備考欄で承ります。初めて印鑑を持つ相手なら、実印・銀行印・認印の3本セットが薩摩本柘で21,700円から、黒水牛で24,300円からです。
印鑑に「左利き用」はありません
左利きの人が困る道具には、共通点があります。ハサミは刃の重なり方、急須は注ぎ口の向き、定規は目盛りの並び。どれも、右手で使うことを前提に形が決まっていて、左手で持つと向きが逆になります。印鑑には、この「向き」がありません。丸い柱の形で、どの方向から握っても同じです。印面に決まっているのは文字の上下だけで、左右はありません。
- 朱肉は右手の近く、書類の右側に置く
- 右手で印鑑を取り、押印欄へまっすぐ下ろす
- 手が書面にかぶらず、押印欄が見える
- 朱肉は左手の近く、書類の左側に置く
- 押印欄が右端にある書類は、用紙を少し左に回すか、手前に引く
- 印鑑は同じ1本。持ち方も押し方も、鏡写しにするだけ
図のとおり、変わるのは朱肉と書類の置き方だけです。印鑑は、右利きの人が使う1本と同じ物を、左手で持てばそれで済みます。「左利き用の印鑑を探さなければ」と思う必要はありません。
利き手で変わらないこと、変わること
印鑑にまつわることを、利き手で変わらないものと、変わるものに分けます。変わるものは、どれも印鑑そのものではなく、使い方の側にあります。
利き手で変わらないこと
- 印鑑の形。丸い柱で、左右の区別がありません
- 印面の文字。上下だけが決まっていて、左右はありません
- アタリの位置。人差し指を当てる側に付いているので、左手でも同じ場所です
- 直径、印材、書体の選び方。右利きの人と同じ基準で選べます
- 実印の登録と銀行の届け出。利き手は問われません
利き手で変わること
- 朱肉を置く場所。左手の近く、書類の左側に置きます
- 押印欄への手の運び方。右端の押印欄には、用紙を回すか手前に引いて対応します
- 「の」の字を書くように力をかけるときの向き。左手では逆回りになります
- 印鑑ケースの開け方。左手で持って右手で蓋を開けるか、その逆か。どちらでも開きます
アタリは、左手で持っても同じ位置にあります
アタリとは、印鑑の側面に付いた小さな点やくぼみで、印面の文字の「上」にあたる側に付いています。ここに人差し指の腹を当てて押せば、印面を見なくても名前がまっすぐ写ります。「左手で持つと、アタリが逆側に来てしまうのでは」と聞かれることがありますが、そうはなりません。アタリは印面の上に合わせて付いているので、右手でも左手でも、人差し指をアタリに当てて握れば、印面の上が自然に向こう側を向きます。印鑑を持ち替えるのではなく、印鑑を軸のまわりに少し回して、アタリを人差し指に合わせるだけです。
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1
アタリを人差し指の腹に当てて、親指と中指で挟む
印鑑を軸のまわりに回して、アタリが人差し指の下に来る位置で握ります。アタリがない印鑑なら、印面を一度見て、文字の上を人差し指側に合わせます。ここまでは右手も左手も同じです。
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2
真上から、まっすぐ下ろす
印面を紙に対して垂直に置きます。左手で押すときは、手首が内側に曲がって印鑑が傾きやすいので、肘を少し外に開いて、手のひらが紙と平行になるようにします。
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3
手のひらの重みで、小さく円を描くように力をかける
印鑑を動かさずに、上、左、下、右の順に、小さな円を描くように力をかけます。右手の「の」の字の逆回りです。最後にまっすぐ上に離せば、枠まできれいに写ります。
当店の印鑑は、アタリのない状態が基本です。アタリをご希望の場合は、ご注文時の備考欄にお書きください。なお、姓名鑑定をもとに印面を設計する開運印鑑では、アタリを付けない習わしがあります。その理由は開運印鑑にアタリは付けていい?言い伝えの意味と押しやすさで説明しています。
左利きの人が印鑑で困る、3つの場面と対処
印鑑そのものに左右の区別はなくても、書類や机は右利き向けに整えられていることが多く、左手で押すときに小さな困りごとが起きます。よくある3つの場面と、その対処をまとめます。
縦書きの契約書や申込書は、氏名欄と押印欄が右端に寄っています。左手を右端まで運ぶと、腕が書面の上にかぶり、押印欄が見えにくくなります。
用紙を反時計回りに少し回すか、手前に引いて、押印欄を体の正面に持ってきます。書面を動かしてよいか一言断れば、窓口でも失礼になりません銀行や役所の窓口では、朱肉が右利きの人の手元に置かれています。左手で右側の朱肉を取ると、腕が交差して印面が傾きます。
朱肉を左側に寄せてから押します。自分の朱肉を持ち歩くなら、ケースに付いた朱肉で足ります左手で押すと、手首が内側に曲がって印鑑が体側に傾きやすく、傾いた側と反対の縁がかすれます。
肘を少し外に開き、手のひらを紙と平行にして、真上から押します。捺印マットを敷くと、多少傾いても枠まで写りますどれも、印鑑を替えて解決することではなく、置き方と押し方の工夫で解決することです。贈る側にできるのは、この工夫を一言添えることと、押しやすい直径と印材を選んでおくことです。
握りやすい直径と、傾いても写る印材
左手で押すときに起きやすい「傾き」は、印鑑の直径と印材で和らげられます。直径が太いほど指で支える面が広くなり、傾きにくくなります。重い印材は、力を入れなくても印面が紙に均等に当たります。
粘りがあって欠けにくく、いちばん選ばれている印材です。適度な重さがあり、朱肉のなじみもよいので、多少傾いても枠が写ります。実印15mmで15,300円、3本セットで24,300円からです。
金属の重みで、力を入れなくても印面が紙に均等に当たります。左手で押すときの傾きの影響をいちばん受けにくい印材です。手入れも要りません。実印15mmで31,800円です。
木の印材で軽く、指先の感覚で上下が分かりやすい印材です。価格も手に取りやすく、3本セットで21,700円からです。押したあとに朱肉を拭き取る習慣があれば長く使えます。
直径と印材の選び方は、右利きの人と同じ基準で構いません。実印なら15mm、銀行印なら13.5mm、認印なら12mmが目安です。フルネームで彫るなら15mm以上が向きます。詳しくは実印のサイズはどう選ぶ?直径と文字数を比較と、押しやすい印鑑の選び方|印材・直径・書体・朱肉と押し方にまとめています。
横書きの銀行印は、左利きの人にも押しやすい
銀行印は、名前を横書きで彫ることができます。全国銀行協会の案内では、届出印の直径や文字の向きに決まりはなく、使えないのはゴム印のように変形しやすいものと、多くの人が同じ物を持つキャラクターものだけとされています。横書きの銀行印は、印面の上下が分かりやすく、アタリがなくても向きを間違えにくいので、左手で持ち替えながら押す人に向いています。右から左へ読む横書きが印鑑の伝統ですが、左から右へ読む形にもできます。彫る向きの選び方は銀行印は横書き・縦書きのどちら?彫る向きと読み順の選び方で説明しています。
贈る前に確かめる、3つのこと
左利きの相手に印鑑を贈るとき、印鑑そのものについて確かめることは、右利きの相手と変わりません。ただ、アタリの希望だけは、左利きの人ならではの答えが返ってくることがあります。
注文の前に確かめる3つのこと
- アタリを付けるかどうか左手で押すとき、印面を見て上下を確かめるのが手間だと感じている人は、アタリがあると楽になります。一方で、印面を見て押す習慣がついている人や、開運印鑑を希望する人は、アタリなしを選びます。本人に聞けないときは、アタリなしで作り、必要なら後から印章店で付けてもらう方法もあります
- いま持っている印鑑の本数実印を登録しているか、銀行印を三文判で済ませていないか。持っていない分を贈ります。まだ1本も自分で作っていなければ、3本セットがいちばん喜ばれます。聞き方は印鑑のプレゼントは嬉しくない?贈る前に確認したい5つのことへ
- 彫る名前の字と、姓と名のどちらで彫るか「高」と「髙」のような字の違いは、実印の登録で住民票と照合されます。結婚で姓が変わる可能性のある相手には、名前だけで彫った銀行印が長く使えます
予算の目安
単品とセットのどちらにするかは、相手が持っている印鑑で決まります。決め方は印鑑のプレゼントは単品とセットのどちら?で説明しています。
よくある質問
左利き用の朱肉やケースはありますか
朱肉に左右の区別はありません。丸い朱肉入れは、どちらの手からでも同じように使えます。印鑑ケースも、蓋を開けると片側に朱肉、片側に印鑑が収まる作りで、ケースを回せばどちらの手にも合います。左手で印鑑を取りやすいように、ケースを置く向きを変えるだけで済みます。
左手で押すと印影が薄くなると聞きました。実印の登録で断られませんか
京都市の案内では、登録できる印鑑の条件として、印影が鮮明で文字が読み取れること、外枠があることなどが挙げられています。左手で押すこと自体は問題ではなく、傾いて枠がかすれると印影として不十分になる、という話です。捺印マットを敷き、真上から手のひらの重みで押せば、左手でも鮮明に写ります。窓口では、押し直しを頼めば応じてもらえます。
両手を使う人(筆記は右、食事は左など)には、どう選べばよいですか
印鑑は左右どちらの手でも同じように使えますので、どちらの手で押すかを気にせず選んで構いません。アタリについても同じで、どちらの手で持っても人差し指側に来ます。筆記が右手なら、押印も右手で行う人が多いようです。
子どもが左利きです。銀行印はどう選べばよいですか
子どもの銀行印も、利き手を気にせず選べます。名前だけで彫った12mmか13.5mmの銀行印なら、大人になっても、女の子なら結婚しても使えます。左手で押す練習をするなら、アタリがあると上下を覚えやすくなります。備考欄にアタリの希望をお書きください。
まとめ|印鑑は同じ1本。変わるのは置き方と押し方だけ
印鑑は左右対称の道具で、左利き用の印鑑はありません。右手で使う印鑑をそのまま左手で使えます。アタリも、人差し指を当てる側に付いているので、左手で持っても位置は同じです。利き手で変わるのは、朱肉を書類の左側に置くこと、右端の押印欄には用紙を回して対応すること、力をかける向きが逆回りになることといった、机の上の話だけです。左手で押すときに起きやすい傾きは、15mm前後の握りやすい直径と、黒水牛やチタンのような重さのある印材で和らげられます。贈る前に確かめるのは、アタリを付けるかどうか、持っている印鑑の本数、彫る名前の字です。まだ自分の印鑑を持っていない相手なら、実印・銀行印・認印の3本セットを、右利きの相手と同じ基準で選んでください。
右手でも左手でも同じ1本。名前に合わせて職人がお作りします
京都の職人が、彫る名前の字に合わせて印面を設計し、1本ずつ彫刻します。アタリ(上下の目印)をご希望の場合は、ご注文時の備考欄にお書きください。銀行印は横書きにもできます。牛革ケース、保証書、京印章証明書付き。送料無料、5年保証。
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