CHAPTER 06 書体・文字・印影
印鑑の書体一覧|篆書体・印相体・古印体など7種を印影で比較
印鑑の書体は、篆書体(太・細)、印相体(吉相体)、古印体、隷書体、楷書体、行書体の7種類から選びます。同じ名前を彫った印影見本を並べ、読みやすさの違い、実印・銀行印・認印・会社印それぞれに向く書体、縦書きと横書き、注文前に印影を確かめる方法までをまとめました。
公開日: 2026年9月24日
印鑑を注文するとき、素材とサイズは決まったのに、書体のところで手が止まる方は少なくありません。篆書体、吉相体、古印体と書体名が並んでいても、それだけではどんな字なのか想像しにくいものです。ここでは、当店で選べる7種類の書体で同じお名前を彫った見本を並べました。実印、銀行印、認印、会社印に向く書体も、順に見ていきます。
実印と銀行印には、ひと目では読みにくい篆書体か印相体(吉相体)がおすすめです。認印には、だれが見ても読める古印体か隷書体が向いています。実印と銀行印で大切なのは、印影をまねされにくいことです。認印は、回覧や宅配便の受け取りで「だれが押したか」がすぐ分かるほうが便利です。会社の実印と銀行印も、篆書体か印相体が人気です。当店で選べる書体は、どれも実印の登録や銀行への届け出に使われています。
印鑑の書体は7種類|同じ名前の印影で見比べる
下の見本は、どれも「山本正夫」というお名前を彫ったものです。はじめの3つ(篆書体と印相体)は読みにくく、古印体から後ろは、いまの字に近い形になります。
「印相体」と「吉相体」は、同じ書体の別の呼び名です。店によっては「八方篆書体」と書かれていることもあります。当店の注文画面では「吉相体」と表示しています。
読みにくい書体と、読みやすい書体
印相体
篆書体
古印体
隷書体
行書体
楷書体
書体選びでいちばん大切なのは、この「読みやすさ」の違いです。お金や権利にかかわる実印と銀行印は、印影をまねされにくいよう、読みにくい書体で作ります。宅配便の受け取りや職場の回覧に押す認印は、だれの印かがひと目で分かるよう、読みやすい書体で作ります。
それぞれの書体の特徴
篆書体(太)実印・銀行印・会社印に
2,000年以上前の中国で使われていた書体で、漢字の古い形を残しています。左右がほぼ対称で、線の太さが一定、角が丸いのが特徴です。日本のお札に押されている「総裁之印」も篆書体です。いまの漢字とは形が大きく違うため読み取りにくく、昔から実印や銀行印に使われてきました。当店の実印と銀行印では、吉相体と並んでいちばん人気があります。線が太いぶん、力強い印影になります。
篆書体(細)実印・銀行印に
字の形は太い篆書体と同じで、線を細く彫ったものです。白い余白が増えるぶん、画数の多いお名前でも字がつぶれにくく、すっきり上品に見えます。細い線をむらなく彫るには技術が要るため、職人の腕がよく表れる書体でもあります。繊細な印象がお好みの方に選ばれています。
印相体(吉相体)実印・銀行印・会社印・開運印鑑に
篆書体をもとに、日本で生まれた印鑑のための書体です。線を上下左右、斜めの八方へ伸ばし、枠に接するように配置します。字と枠がつながっているので、枠が欠けにくくなります。7種類のなかで、いちばん読み取りにくいのも特徴です。線が八方に広がる形から縁起がよいとされ、開運印鑑はこの書体をもとに印影を設計します。最近は、やわらかい印象が好まれて人気が高まっています。
古印体認印に
奈良時代の役所や寺社で使われた印の字をもとにした、日本独自の書体です。線の太さに強弱があり、ところどころに墨がたまったようなふくらみや、かすれたような切れ目が入ります。読みやすいのに、活字にはない温かみがあります。当店の認印では、隷書体と並んでいちばん人気があります。
隷書体認印・会社の角印に
篆書体を、早く書けるように簡単にした書体です。字が横に平たく、横線の終わりが波のようにはね上がります。石碑や看板の文字でよく見かけます。読みやすく、きちんとした印象があるので、仕事で使う認印や、請求書に押す会社の角印に向いています。
楷書体認印に
学校で習う、一画ずつ区切って書く字です。だれでも迷わず読めます。読みやすさを最優先したい認印に向いていますが、そのぶんまねもされやすいため、実印や銀行印にはおすすめしていません。
行書体認印に
楷書体を少しくずし、画と画をつなげて書いた字です。筆で書いた手紙のような、流れるやわらかさがあります。和の雰囲気がお好きな方の認印に選ばれています。
書体はこうして生まれた|篆書から楷書へ、そして印鑑の書体へ
7つの書体は、生まれた時代がそれぞれ違います。古いものほど、いまの字から形が遠く、読みにくくなります。日本で生まれた印相体は新しい書体ですが、篆書体をもとにしているので、読みにくい側に入ります。
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紀元前3世紀ごろ
篆書
中国を統一した秦の始皇帝が、国ごとにばらばらだった文字を1つにまとめました。このときの公式の書体が、いまの篆書体のもとになっています。
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紀元前後
隷書
篆書は曲線が多く、書くのに時間がかかります。役人が書類を早く書くために、線をまっすぐにして簡単にした書体が隷書です。漢の時代に広まりました。
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3〜7世紀
行書・楷書
隷書をさらに書きやすくした行書と、一画ずつ整えた楷書が生まれました。楷書は唐の時代に完成し、いま私たちが使っている字の形になりました。
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日本で
古印体・印相体
古印体は、奈良時代の印に見られる字をもとに作られました。印相体は、篆書体をもとに、印鑑の丸い枠に合わせて近代に考え出された書体です。どちらも中国にはない、日本の印鑑ならではの書体です。
篆書体の「篆」の字は、印を彫ることを指す「篆刻(てんこく)」にも使われています。ふだん書く字としては2,000年ほど前に使われなくなった書体が、印鑑ではいまも使われているわけです。
実印・銀行印・認印|印鑑の種類ごとに人気の書体
当店の注文画面では、書体ごとの人気度を星の数で表示しています。実印・銀行印と認印とでは、人気の書体がきれいに入れ替わります。
星は、当店の注文画面に表示している人気度です。実印と銀行印は、篆書体か印相体で作る方が大半を占めます。
実印
篆書体(太)か、印相体
不動産や車の契約、相続の書類に押す印鑑です。まねされにくさを第一に考えます。正統派の力強い印影がお好みなら篆書体、やわらかく枠の欠けにくいほうがよければ印相体です。詳しくは実印の書体はどう選ぶ?をご覧ください。
銀行印
実印と同じ2つ。実印とは別の書体にするのも一案です
実印と銀行印を同じ書体にすると、見分けにくくなります。実印を篆書体、銀行印を印相体というように変えておくと、取り違えを防げます。詳しくは銀行印の書体はどれがおすすめ?で説明しています。
認印
古印体か、隷書体
自分以外の人も目にする印鑑なので、読めることが大切です。温かみがお好みなら古印体、きちんとした印象にしたいなら隷書体です。和の雰囲気が好きな方には、行書体という選択肢もあります。詳しくは認印の書体はどう選ぶ?をどうぞ。
実印、銀行印、認印を3本セットで注文する場合も、書体は1本ずつ別々に選べます。たとえば実印は篆書体、銀行印は印相体、認印は古印体にすると、3本の印影がはっきり違うので、押し間違いを防げます。
会社印の書体|丸印は4種類、角印は5種類から選びます
会社の実印は、外側の円に会社名、内側の円に「代表取締役印」などの役職名を入れた、二重の円の形をしています。銀行印も同じ形が一般的で、内側には「銀行之印」と入れます。会社の丸印で選べる書体は、篆書体、印相体、古印体、隷書体の4種類です。
会社の実印と銀行印も、印影をまねされにくいよう、篆書体か印相体をおすすめします。請求書や領収書に押す角印は、取引先が社名を読めるように、古印体や隷書体などの読みやすい書体を選ぶ会社も多くあります。実印、銀行印、角印の3本を同じ書体でそろえると、会社の印としての統一感が出ます。
縦書きと横書き|書体と一緒に決めておくこと
苗字だけ、または下の名前だけを彫る場合は、字を縦に並べるか、横に並べるかを決めます。
銀行印は、注文画面の書体の欄で「タテ」と「ヨコ」を選べます。銀行印を横書きにするのは、「お金が縦に流れ落ちないように」という、昔からのゲン担ぎです。縦書きでも横書きでも、銀行での扱いは変わりません。実印と認印には、向きを選ぶ欄がありません。苗字だけや名前だけを彫る場合は、職人が字の形を見て、おさまりのよい並べ方を選びます。ご希望があれば、注文画面の備考欄にお書きください。フルネームの実印は、右の列に苗字、左の列に名前を縦に並べます。
同じ書体でも、店によって印影が違うのはなぜですか
パソコンの書体データをそのまま機械で彫ると、同じ名前なら、どこで作ってもほぼ同じ印影になります。それでは、同姓同名の人と印影が重なるおそれがあります。昔から手彫りの印鑑が大切にされてきたのは、人の手が入ることで、同じ印影が2つとできないからです。
当店では、職人が1本ごとに字の配置を決めて彫刻しています。字の形や、画数の多い字と少ない字のつり合い、枠との間隔を見ながら決めていきます。同じ「山本」でも、下のお名前が変われば、山と本の大きさや線の伸ばし方が変わります。書体は、あくまで字の「型」です。その型をもとに、お客様のお名前に合わせた印影を作るのが、オーダーメイドの印鑑です。
注文画面の「印影のご確認」で「確認する」を選ぶと、ご注文の2〜3日後に、彫る前のデザインをメールでお送りします。ご覧いただいてから彫刻に進むので、思っていた印象と違えば、その段階で直せます。そのぶん、お届けまでの日数が延びる場合があります。はじめて篆書体や印相体で作る方におすすめです(開運印鑑では承っていません)。
よくある質問
読めない書体で作っても、実印として登録できますか
登録できます。篆書体や印相体は実印によく使われる書体で、通常は断られません。市区町村は「文字の判読が容易であること」を条件にしていますが、断られやすいのは、極端に崩した字や欠けた印影です。
自分でも読めない印鑑は、上下が分からなくなりませんか
はじめは迷うかもしれません。当店の印鑑は、上下の目印となる「アタリ」を付けずにお作りしています。押す前に印面を見て向きを確かめる、そのひと呼吸を大切にするという、昔からの言い伝えにならったものです。届いたら、試し押しした印影と見比べて、苗字の1文字目がどこにあるかを覚えておきましょう。印面では字の左右が反対になるので、フルネームなら、押すと右上に写る1文字目が、印面では左上にあります。
ひらがなやカタカナ、アルファベットの名前でも、篆書体で作れますか
お作りできます。篆書体は漢字のための書体なので、ひらがなやアルファベットには本来の篆書の形がありません。職人が、篆書体の線の太さや丸みに合わせて字を設計します。
旧字体や異体字の名前は、どの書体でも彫れますか
彫れます。「髙」「﨑」「邊」など、戸籍や住民票どおりの字でお作りします。注文画面で入力できない字は、お名前の欄の下にある「主な旧字体リスト」から選び、備考欄にお書きください。リストにない字は、「はしごの高」のように説明をお書きいただければ大丈夫です。
開運印鑑の書体は、選べますか
開運印鑑には、書体を選ぶ項目がありません。お名前の画数を鑑定し、その結果に合わせて、印相体をもとに線の伸ばし方や枠との接し方を1本ずつ設計するためです。
まとめ|印鑑の書体を決める順番
まず、作る印鑑が実印・銀行印なのか、認印なのかを決めます。実印と銀行印なら篆書体と印相体、認印なら古印体と隷書体の2つに絞れます。次に、上の見本を見比べて、好みの雰囲気で1つを選びます。実印と銀行印では、力強さで選ぶなら篆書体(太)、すっきり見せたいなら篆書体(細)、やわらかさなら印相体です。
3本セットなら、最後に3本の書体の組み合わせを決めます。1本ずつ書体を変えておくと、印影で見分けられて便利です。それでも迷うときは、注文画面で「印影のご確認」を選び、届いたデザインを見てから彫刻に進んでください。
書体が決まったら、印鑑を選ぶ
1本ずつ職人が字の配置を決めて彫刻します。印鑑ケース付き、送料無料、5年保証。3本セットは、実印・銀行印・認印それぞれに別の書体を選べます。