CHAPTER 15 人生の節目・記念

旧姓の印鑑は結婚後も使える?仕事・銀行・実印に分けて解説

結婚後も旧姓の印鑑を使えるかどうかは、職場・銀行・役所で答えが違います。職場の認印は会社の決まり次第、銀行は口座の名義をどうするか次第、実印は住民票に旧姓を併記しているか次第です。それぞれ誰に何を確かめればよいか、旧姓の印鑑と新しい姓の印鑑をどう使い分けるか、作り直すなら何本を用意するかを順に説明します。

公開日: 2026年9月24日

窓ぎわの明るい机に、茶色と紺色の2つの革の印鑑ケース、横に寝かせた黒水牛と白水牛の印材、無地の名札ホルダー、グレーのノートとペン、クリップで留めた白紙の書類が置かれた写真
結婚後の旧姓の印鑑 使えるかどうかは、押す場所ごとに答えが違います

結婚して姓が変わったあと、これまで使ってきた旧姓の印鑑はどうなるのでしょうか。職場では旧姓のまま働き続ける方が増えていますし、長年使ってきた印鑑には愛着もあります。「全部作り直しなのか、それとも使い続けてよいのか」というご質問は、当店にもよく届きます。答えは、職場・銀行・役所の3か所でそれぞれ違います。この記事では、場所ごとに使えるかどうかと、誰に何を確かめればよいかをお話しします。

結論

職場の認印は、会社が旧姓で働くことを認めていればそのまま使えます。銀行印は、口座の名義を新しい姓に変えるなら、新しい姓か下の名前の印鑑に替えるのが基本です。実印は、住民票に旧姓を併記する手続きをした場合にかぎり、旧姓の印鑑を登録できる市区町村があります。手続きをしなければ、旧姓の実印は氏名の変更とともに登録が抹消されます。旧姓の印鑑は職場用に残し、実印と銀行印を新しく用意する、という分け方をされる方が多くいらっしゃいます。

旧姓の印鑑が使えるかどうかを、3つの場所で見る

印鑑には「この名前でなければならない」という全国共通の決まりがありません。認印なら会社、銀行印なら金融機関、実印なら市区町村が、それぞれ受け付ける条件を決めています。まずは全体を見てください。

職場

旧姓の認印

会社が認めていれば使える

旧姓で働くことを会社が認めていれば、回覧や社内の書類にはこれまでの認印を押せます。

確かめる相手勤務先の人事・総務の担当者

銀行

旧姓の銀行印

口座の名義による

名義を新しい姓に変えるなら、届出印も替えるのが基本です。旧姓の名義のまま口座を持てるかどうかは、金融機関によって違います。

確かめる相手口座のある金融機関の窓口

役所

旧姓の実印

そのままでは登録が消える

氏名が変わると、旧姓の実印の登録は抹消されます。住民票に旧姓を併記すれば、旧姓の印鑑を登録できる市区町村があります。

確かめる相手住んでいる市区町村の窓口

ここから、場所ごとに詳しくお話しします。

職場|旧姓で働くなら、認印はそのまま使えます

結婚後も旧姓のまま仕事を続ける方は珍しくありません。名刺やメールアドレスを旧姓のままにしているなら、社内で押す認印も旧姓のほうが自然です。回覧、稟議書、出張の精算書のように社内で完結する書類は、会社が旧姓の使用を認めていれば、これまでの認印で問題ありません。

気をつけたいのは、会社の外に出ていく書類です。給与の振込口座や社会保険、税金に関わる届け出は、戸籍の氏名で行います。こうした書類に印鑑を求められたときは、新しい姓の認印が要ります。

職場で押す書類旧姓の認印新姓の認印

回覧、稟議書、社内の申請書社内だけで使う書類です。名刺と同じ名前で押します

使える使わない

取引先に出す見積書や受領書の担当者印取引先が知っている名前に合わせます

使える使わない

氏名変更の届け出、身上に関する書類戸籍の氏名で提出します

使えない使う

社会保険や税金に関わる書類押印そのものが不要な書類も増えています

使えない使う

つまり、旧姓で働く方は、職場に旧姓の認印、家に新しい姓の認印と、2本を使い分けることになります。旧姓の認印が既製品で、この機会に長く使える1本にしたいという方は、旧姓でお作りすることもできます。認印を押す場面は認印を使う場面は?家・職場・役所・契約で押す書類の一覧で整理しています。

銀行|口座の名義をどうするかで決まります

全国銀行協会は、結婚して姓が変わったら、早めに取引銀行で名義変更の手続きをするようすすめています。名義が戸籍の氏名と違ったままだと、本人確認に時間がかかったり、公共料金やクレジットカードの引き落としができなくなったりするためです。手続きには、通帳とキャッシュカード、これまでの届出印、これから使う印鑑、改姓の前後の名前が分かる書類を持って行きます。

このとき、旧姓の銀行印をどうするかが問題になります。

名義を新しい姓に変える 届出印も一緒に替えるのが基本です

名義は新しい姓なのに届出印は旧姓、という状態は、あとで自分でも分からなくなりがちです。名義変更と同じ日に、新しい姓か下の名前の銀行印に替えておくと、手続きが1回で済みます。

旧姓の名義のまま持ちたい 金融機関に相談して決めます

仕事の報酬を旧姓の口座で受け取りたい、という方もいらっしゃいます。旧姓の名義を残せる場合は、届出印も旧姓のまま使えます。対応は金融機関によって違いますので、窓口に相談してください。

金融庁と内閣府男女共同参画局が2022年に行った調査では、旧姓名義の口座に対応していると答えたのは、銀行で約7割、信用金庫で約6割、信用組合では1割強でした。どこでも旧姓のまま持てるわけではありませんので、まずは給与の振込先にしている口座から確かめてください。

なお、下の名前だけで彫った銀行印を届け出ている方は、名義を変えても印鑑を替える必要がありません。名義変更の順番は結婚で印鑑を変える順番に、口座ごとに印鑑を分ける考え方は銀行印を複数持ってもいい?にまとめています。

実印|何もしなければ、旧姓の登録は抹消されます

実印は、住民票の氏名をもとに市区町村へ登録する印鑑です。京都市の案内では、氏名が変わって登録している印鑑と合わなくなったとき、印鑑登録は市の側で抹消されます。婚姻届を出して住民票の姓が変わると、旧姓やフルネームで彫った実印は、実印ではなくなるということです。印鑑登録証明書も取れなくなります。

登録が消えるのは、あくまで彫ってある文字が住民票の氏名と合わなくなるからです。下の名前だけで登録していた実印は、姓が変わってもそのまま使えます。

旧姓の実印を使い続けたいときは、住民票に旧姓を併記します

2019年11月から、住民票とマイナンバーカードに旧姓(制度の上では「旧氏」と呼びます)を併記できるようになりました。総務省の説明では、併記できる旧姓は1人につき1つで、市区町村の窓口で請求します。2025年12月10日からは、請求のときに戸籍謄本を持って行く必要も原則としてなくなりました。

旧姓を併記すると、旧姓の印鑑を実印として登録できる市区町村があります。京都市の印鑑事務取扱要領でも、登録できる印鑑として、氏名のほかに「氏、旧氏、名のいずれかの全部」を彫ったものを挙げています。

  1. 1
    婚姻届を出す

    住民票の姓が変わり、旧姓で彫った実印の登録は抹消されます。

  2. 2
    住民票に旧姓の併記を請求する

    市区町村の窓口で手続きします。マイナンバーカードにも旧姓が併記されます。

  3. 3
    旧姓の印鑑を登録できるか、窓口で確かめる

    登録できる印鑑の条件は市区町村が決めています。

  4. 4
    あらためて印鑑登録をする

    同じ印鑑でも、登録は新しくやり直します。印鑑登録証も新しく交付されます。

手間はかかりますが、旧姓で事業をしている方や、旧姓の実印に思い入れのある方には意味のある手続きです。一方で、住宅ローンや不動産の登記のように、これから夫婦で結ぶ契約は新しい姓で行います。契約書の署名と実印の名前が違うと、その場で説明が必要になることもありますので、特別な事情がなければ、実印は新しい姓か下の名前で作り直すことをおすすめしています。

旧姓の印鑑の、これからの使い道

作り直すことになっても、旧姓の印鑑がすぐに不要になるわけではありません。役割を変えて使い続けられます。

いまお持ちの旧姓の印鑑は、こう使えます

旧姓の認印旧姓で働くなら、職場に置いてそのまま使います。旧姓で届く郵便物や宅配便の受け取りにも使えます。

そのまま使う

旧姓の銀行印すべての口座で名義変更と届出印の変更が終わるまでは、手元に残してください。手続きの窓口で、これまでの届出印として必要になります。

手続きが終わるまで残す

旧姓やフルネームの実印登録が抹消されたあとは、実印としては使えません。旧姓の併記をしないのであれば、新しい姓か下の名前で作り直します。

作り直す

下の名前だけの印鑑実印でも銀行印でも、姓が変わった影響を受けません。登録も届け出も、そのまま続けられます。

そのまま使う

ご両親から贈られた印鑑など、思い入れのある旧姓の印鑑は、印面を彫り直して新しい名前にする方法もあります。素材や状態によってはお受けできないことがありますので、先にご相談ください。

彫り直しの考え方は親から受け継いだ印鑑は使える?改刻で思い出を残す方法と注意点で説明しています。

新しく作るなら、実印と銀行印を先に

結婚後に新しく用意する印鑑は、実印と銀行印の2本が中心です。認印は、旧姓のものを職場で使い続けるとしても、家で使う新しい姓のものが1本あると困りません。3本をばらばらに作るより、同じ素材で揃えたセットのほうが金額も抑えられます。

実印はフルネーム、銀行印と認印は姓で

新しい姓で作る

いちばん一般的な作り方です。契約書や口座の名義と印鑑の名前がそろいます。

実印と銀行印を、名前だけで

下の名前で作る

姓が変わっても使い続けられます。名前だけの印鑑を実印として登録できるかどうかは、市区町村の窓口で確かめてください。

職場用の認印を、きちんとした1本に

旧姓で作る

旧姓で働き続ける方に。社内の書類や取引先への書類に、長く使えます。

下の名前だけで作る場合の利点と注意点は実印は名前だけでもいい?結婚前に名前だけの印鑑を作るメリットと注意点をご覧ください。入籍の前後でいつ何を用意するかは入籍までに揃える印鑑は?にまとめています。

よくある質問

名義変更をしないまま、旧姓の口座と銀行印を使い続けるとどうなりますか

すぐに口座が使えなくなるわけではありません。ただ、全国銀行協会の案内にあるとおり、名義と戸籍の氏名が違うと、本人確認に時間がかかったり、引き落としができなくなったりすることがあります。旧姓のまま残したい口座がある場合も、放っておかずに金融機関へ相談してください。

旧姓を併記すれば、どの市区町村でも旧姓の実印を登録できますか

登録できる印鑑の条件は、市区町村ごとの条例や要領で決められています。京都市のように旧姓だけを彫った印鑑を認めている例はありますが、お住まいの市区町村の窓口で確かめてから手続きしてください。

旧姓の実印は、登録が消えたあと処分したほうがよいですか

処分する必要はありません。登録が消えた印鑑は、法律上はふつうの印鑑と同じです。認印として使うか、ケースに入れて保管しておいてください。離婚などで旧姓に戻った場合は、もう一度登録して実印にできます。

夫婦で同じ姓になります。夫と同じ印鑑を使ってもよいですか

実印は1人1個で、同じ世帯の人が登録している印鑑は登録できません。銀行印も、1本をなくしたときに2人の口座が同時に使えなくなります。姓が同じになるからこそ、1人ずつ別の印鑑を持ってください。詳しくは夫婦で印鑑を共有してもいい?で説明しています。

新しい姓の印鑑は、入籍の前に注文できますか

注文はできます。新しい姓の実印を登録できるのは住民票の姓が変わってからですが、印鑑そのものは先に用意しておけます。当店では注文から3〜7営業日で発送しますので、入籍の2〜3週間前にご注文いただくと、名義変更の手続きにそのまま使えます。

まとめ|旧姓の印鑑は職場に、実印と銀行印は新しい名前で

旧姓の認印は、会社が旧姓で働くことを認めていれば、結婚後も職場でそのまま使えます。銀行印は、口座の名義を新しい姓に変えるなら一緒に替えるのが基本で、旧姓の名義を残せるかどうかは金融機関によって違います。実印は、氏名が変わると登録が抹消されます。住民票に旧姓を併記すれば旧姓の印鑑を登録できる市区町村もありますが、これから夫婦で結ぶ契約は新しい姓で行いますので、新しい姓か下の名前で作り直す方がほとんどです。

旧姓の印鑑は、手続きが終わるまでは手元に残し、そのあとは職場用や旧姓あての荷物の受け取りに使ってください。

彫る名前は、注文のときに姓のみ・名のみ・フルネームからご指定いただけます。京都の職人が1本ずつ彫刻し、注文から3〜7営業日で発送します。送料は無料、黒か赤の牛革ケース付きで、5年間の保証が付きます。旧字体や、旧姓の印鑑の彫り直しについてはお問い合わせからご相談ください。

SOURCES

出典

旧姓(旧氏)の併記は総務省、印鑑登録の決まりは京都市の案内と京都市印鑑事務取扱要領、口座の名義は全国銀行協会の案内、旧姓名義の口座への対応状況は金融庁と内閣府男女共同参画局の調査(2022年)によります。印鑑登録の細かな条件は市区町村によって、口座の扱いは金融機関によって異なります。当店の価格はすべて税込で、記事作成時点の商品ページの金額です。

  1. 総務省. 住民票、マイナンバーカード等への旧氏の併記について. https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/kyuuji.html,(参照 2026-09-18).
  2. 京都市. 印鑑登録について. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000147302.html,(参照 2026-09-18).
  3. 京都市. 京都市印鑑事務取扱要領. 京都市情報館. https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000082177.html,(参照 2026-09-18).
  4. 全国銀行協会. 結婚に関する口座の手続き. 教えて!くらしと銀行. https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-f/7544/,(参照 2026-09-18).
  5. 金融庁. 旧姓による預金口座開設等に係るアンケート調査の結果について(令和4年9月6日). https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20220906.html,(参照 2026-09-18).