CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
息子・娘の開業祝いに親から贈るもの|資金の援助と記念品の分け方
息子さんや娘さんが独立・開業するとき、親から何を贈るか迷っている方へ。開業資金の援助と記念の品では、税金の扱いも渡す時期も違います。お金をあげる場合と貸す場合の違い、親だからこそ贈れる事業の印鑑と予算の目安、保証人を頼まれたときに確かめたいご自身の実印、のしと渡す時期まで順に説明します。
公開日: 2026年9月28日
息子さんが会社を辞めて独立する。娘さんが自分の店を開く。親としては、開業資金を少しでも助けたいと思う一方で、形に残る品も贈りたいとお考えではないでしょうか。当店にも「子どもが開業するので、親から印鑑を」というご相談がよくあります。日本政策金融公庫の2025年度の調査では、開業するときに集めたお金は平均1,219万円でした。その9割は、金融機関からの借り入れと本人の自己資金です。配偶者や親、兄弟、親戚から集めた額は、借り入れと出資を合わせて平均53万円でした。この記事では、資金を援助するときに決めておくことと、記念に贈る品の選び方を、親の立場から順にお話しします。
親からの開業祝いは、お金の援助と記念の品を分けて考えます。まとまった資金を出すなら、あげるのか貸すのかを先に決めてください。あげる場合は、お子さんがその年にもらった財産の合計が110万円を超えると、贈与税の対象になります。記念の品には、事業が続くかぎり使う品を選びます。会社を作るなら、社名を彫った会社実印・銀行印・角印の3本セットに、お子さん本人の実印を添えます。個人事業主なら、屋号の角印と、実印を含む個人の3本セットの組み合わせが向いています。
お金で助けるか、品物で祝うか
開業の「お祝い」と開業資金の「援助」は、同じ親から渡すものでも、税金の扱いや渡す時期が違います。両方を贈る親御さんもいらっしゃいますので、まずは2つを分けて考えてください。
お金の援助
開業資金や運転資金を助ける
- 金額
- 家庭の事情で大きく違います
- 税金
- 1年間にもらった財産の合計が110万円を超えると、贈与税の対象です
- 渡す時期
- 事務所の契約や、設備の支払いの前に渡します
- 残るもの
- 事業の土台になり、形は残りません
記念の品
開業の日を形に残す
- 金額
- 印鑑なら1本5,800円から、会社印の3本セットは56,900円からです
- 税金
- 社会通念上ふさわしい祝いの品なら、贈与税はかかりません
- 渡す時期
- 印鑑は登記や口座開設の前、ほかの品は開業日の前後に渡します
- 残るもの
- 事業が続くかぎり、本人の手元に残ります
国税庁のタックスアンサーによると、個人から受け取るお祝いの品や金品は、社会通念上ふさわしい範囲なら贈与税がかかりません。一方、開業資金としてまとまったお金を渡すと、贈与税の対象になります。贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計から、110万円を差し引いて計算します。そのため、合計が110万円以下なら税金はかかりません。110万円を超える額を考えている場合は、渡す前に税務署か税理士に相談してください。
資金を出すなら、あげるのか、貸すのかを先に決める
「返さなくていいよ」と「いつか返してね」では、税金の扱いが変わります。どちらにするかは、渡す前に親子で話して決めておきます。
あげる贈与
- その年にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかかりません
- 110万円を超えるなら、贈与税の申告が必要になります
- いつ、いくら渡したかを、振込の記録で残しておきます
貸す金銭の貸し借り
- 返す金額、期日、返し方を書面にして、親子で1通ずつ持ちます
- 毎月の返済は振込にして、返した記録を残します
- 「出世払い」「返せるときに返せばいい」という約束は、贈与として扱われます
国税庁によると、親子の間のお金の貸し借りでも、本当に貸し借りだと認められれば、借りたお金そのものは贈与になりません。認められるかどうかは、返す力があるか、実際に返しているかなどで判断されます。ただし、無利息で貸すと、本来払うはずの利息の分が贈与として扱われることがあります。「ある時払いの催促なし」や「出世払い」のような約束は、借りたお金そのものが贈与になります。貸し借りの書面は、親子それぞれが署名し、印鑑を押して保管してください。
記念品には、事業が続くあいだ使う道具を選ぶ
お金は事業に使えばなくなりますが、品物は手元に残ります。記念の品を選ぶなら、飾って終わる品より、仕事で毎日使う道具のほうが、贈った気持ちを思い出してもらいやすくなります。その中でも事業の印鑑は、親から贈るのにとくに向いています。理由は3つあります。
-
開業の準備の段階から必要になります
会社実印は登記の申請に、銀行印は事業用の口座を開くときに、角印は最初の請求書に押します。開業の準備の中で、早めに揃えておきたい道具です。
-
名前の字を、親は正確に知っています
実印は、住民票に載っている氏名を彫って登録します。「髙」か「高」か、「齋」か「斎」かのような字の違いも、親なら迷わずに分かります。
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一度届け出たら、長く使い続けます
会社実印は、法務局に届け出たあと、同じ印鑑を使い続けるのが基本です。お子さんが契約書に押すたびに、開業の日のことを思い出すきっかけになります。
友人や取引先からは、開業の日が近づいてから、花や観葉植物が届くことが多いでしょう。親御さんなら、お子さんが開業を決めた段階から話を聞けます。そのため、登記や口座の手続きに間に合う時期に、事業の道具を贈れます。花以外の開業祝いの選び方は、友人の開業祝いに花以外を贈るなら?でも比べています。
事業の形で、贈る印鑑の組み合わせが変わります
お子さんが個人事業主として始めるなら屋号の印鑑、会社を作るなら社名の印鑑が要ります。どちらの場合も、お子さん本人の実印を一緒に新しくしておくと安心です。独立すると、事務所を借りる契約や融資の書類に、個人の実印を押す場面が増えるからです。会社を作る場合も、個人の実印は欠かせません。法務局に会社の印鑑を届け出る書類(印鑑届書)には、代表者が個人の実印を押し、3か月以内に作成された印鑑証明書を添えます。
個人事業主として始めるお子さんに
- 開業前に
- 屋号の角印薩摩本柘21mm
- 17,900円
- 一緒に
- 実印・銀行印・認印の3本セット薩摩本柘 実印16.5mm
- 28,600円
合計46,500円
黒水牛で揃えると67,400円
会社を作るお子さんに
- 登記の前に
- 会社実印・銀行印・角印の3本セット薩摩本柘
- 56,900円
- 一緒に
- 代表者個人の実印薩摩本柘18mm
- 17,900円
合計74,800円
黒水牛で揃えると118,800円
会社の3本セットは、実印18mm・銀行印16.5mm・角印21mmの組み合わせです。1本ずつ買うより、薩摩本柘で3,000円、黒水牛で5,000円安くなります。本人の実印は、男性なら18mm、女性なら15mmか13.5mmがよく選ばれます。社名の画数も気になるなら、開運会社印鑑の3本セットという選択肢もあります。社名などを鑑定してから印影を作るもので、薩摩本柘で82,600円からです。鑑定書と桐箱が付きますので、親からの記念の品として選ばれる方もいらっしゃいます。鑑定の流れは開業祝いに開運会社印鑑を贈る|社名の鑑定から印影づくり・注文の流れで説明しています。
社名や屋号は、本人に紙で確かめてから注文します
事業の印鑑は、社名や屋号を1文字でも間違えると使えません。会話で聞いたつもりでも、書類の表記と違っていることがあります。「株式会社」が前か後ろか、英字の大文字と小文字、中点やスペースの有無などです。定款や開業届に書くとおりの表記を、紙に書くかメッセージで送ってもらってください。
注文する前に、お子さんに確かめること
- 社名や屋号の正式な表記「株式会社」の位置、英字、中点、スペースまで、定款や開業届と同じにします
- 会社の形と、実印の内側に彫る文字株式会社なら「代表取締役印」、合同会社なら「代表社員印」が一般的です
- 登記や口座開設の予定日その3週間前までに注文しておくと安心です
- 本人がもう注文していないか準備の早い人は、印鑑も先に用意していることがあります
社名の並び方を事前に見たいときは、ご注文の際に「印影のご確認」で「確認する」をお選びください。彫る前のデザインを、2〜3日後にメールでお送りします。お子さんに転送すれば、社名の並び方を本人にも見てもらえます。ご注文の画面で届け先を注文者と別の住所にすれば、お子さんの事務所や自宅へ直接お送りします。会社設立の段取りは、開業祝いの会社印鑑は登記前に贈れる?で詳しく説明しています。
保証人を頼まれたら、親の実印も確かめておく
お子さんが事務所や店舗を借りるときや、開業資金の融資を受けるとき、親が保証人を頼まれることがあります。保証人として署名する契約書には、実印を押して印鑑証明書を添えるよう求められることが多くあります。
事務所を借りるときの保証のように、払う額が将来いくらになるか決まっていないものがあります。民法では、こうした保証を個人が引き受けるとき、上限の金額(極度額)を決めておかないと、契約は効力を持ちません。事業のための借り入れを親が保証するときは、さらに手続きがあります。契約の前1か月以内に公証役場で、保証人になる意思を示す公正証書を作らなければなりません。ただし、親がお子さんの会社の取締役になっているときや、お子さんと一緒に事業をしている場合は、この公正証書は要りません。保証を引き受けるかどうかは、契約書の内容をよく読んでから決めてください。
保証人を引き受ける前に、親の実印を点検する
印鑑登録証(カード)が手元にありますか印鑑証明書を取るのに使います。見つからない場合は、お住まいの市区町村の窓口で手続きが必要です。
確かめる実印の枠が欠けていませんか枠が欠けると押した形が変わり、登録した印影と照らし合わせにくくなります。大事な契約の前に作り直しておくと安心です。
欠けていたら作り直す店で売っている既製の印鑑を、実印にしていませんか同じ印影の印鑑が出回っているため、大きな金額の契約に使うには不安が残ります。親子で一緒に新調される方もいらっしゃいます。
既製品なら作り直す渡す時期と、のしの書き方
印鑑は、登記や口座開設の予定日より前に渡します。注文は、予定日の3週間前までが目安です。ほかの記念の品やお祝いのお金は、開業日の1週間前から当日、遅くとも開業後1か月以内に渡します。表書きは「祝御開業」か「御開業御祝」とし、お店を開く場合は「祝御開店」とします。水引は、何度あってもよいお祝いに使う紅白の蝶結びです。
当店でのしをご希望の場合は、ご注文の前にお問い合わせください。包装は、ご注文の画面で青と赤からお選びいただけます。
よくある質問
子どもに「品物よりお金のほうが助かる」と言われました
開業の前後は、何かとお金がかかる時期ですので、その気持ちはよく分かります。お祝いの大半はお金にして、屋号の角印やお子さん本人の実印のように、毎日使う品を1つ添えるという贈り方もあります。品物は1つでも、開業の記念として手元に残ります。
きょうだいの間で、差がつかないか気になります
開業するお子さんにだけ高額な品を贈ると、気にされるご家庭もあります。ほかのお子さんには、就職や結婚など、それぞれの節目に実印や3本セットを贈るという考え方もあります。印鑑なら、ごきょうだいで同じ素材に揃えることもできます。
子どもの会社の印鑑を、親が注文して支払ってもいいですか
もちろんかまいません。社名や内側の文字は、注文の前に本人に確かめてください。届け先をお子さんの事務所にすることも、領収書の宛名を指定することも、ご注文の画面でできます。
開業に反対していたので、お祝いを渡しにくいです
そういうご相談も、実は少なくありません。言葉にしにくいときは、仕事で使う道具を贈って、応援している気持ちを伝えるという方法もあります。お子さん本人の実印なら、名前の字さえ分かれば、親御さんだけで注文できます。
まとめ|お金の援助と記念の品を分けて、印鑑は手続きの前に
決める順番は次のとおりです。まず、資金を出すかどうかと、出すならあげるのか貸すのかを親子で話して決めます。次に、お子さんが個人事業主として始めるのか、会社を作るのかを聞いて、贈る印鑑の組み合わせを選びます。社名や屋号の正式な表記を紙かメッセージでもらったら、登記や口座開設の3週間前までに注文します。保証人を頼まれているなら、同じころにご自身の実印と印鑑登録証も確かめておきましょう。
事業の最初の道具を、京都の職人がお作りします
社名や屋号、お名前の字に合わせて職人が印面を設計し、1本ずつ彫刻します。ご注文から3〜7営業日で発送し、送料は全国無料、5年保証付きです。届け先は、お子さんの事務所やご自宅を指定できます。
- 会社を作る子に会社実印・銀行印・角印の3本セット薩摩本柘56,900円〜、黒水牛94,800円〜3本セットを見る
- 個人事業主の子に屋号の角印薩摩本柘21mm 17,900円〜角印を見る
- 本人の名前で実印・銀行印・認印の3本セット薩摩本柘21,700円〜、黒水牛24,300円〜3本セットを見る
- 社名を鑑定して開運会社印鑑の3本セット薩摩本柘82,600円〜。鑑定書・桐箱付き開運会社印鑑を見る
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