CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
開店祝いに印鑑を贈る|個人店と法人の店で変わる種類と彫る店名
開店祝いに印鑑を贈りたい方へ。個人のお店と会社のお店で変わる印鑑の種類と、看板・開業届・口座で違うことがあるお店の名前の確かめ方を説明します。開店までに印鑑を押す場面、英字や記号の入った店名の注意点、予算と人数ごとの組み合わせ、渡す時期と包装の色もまとめました。
公開日: 2026年9月28日
「友人が今度カフェを開くので、お店の名前を彫った印鑑を贈りたい」「娘が美容室を開くので、何か仕事で使うものを」。開店祝いの印鑑のご相談は、たいていこんな一言から始まります。ところが話をうかがっていくと、看板に出す店名と、開業届や登記に書いた名前が違うことがよくあります。口座の名義が、そのどちらとも少し違うこともあります。どの名前を彫ればよいのか、どの印鑑なら開店に間に合うのか、贈る側からは見えにくいところです。この記事では、注文内容を決める順に、ひとつずつお話しします。
開店祝いにいちばん向いているのは、店名を彫った角印です。開店したその日から、手書きの領収書や見積書に押して使えます。個人のお店なら看板の店名(屋号)で彫り、事業用の口座を作るなら屋号入りの銀行印を添えます。会社が開くお店なら、会社実印と銀行印は会社名で彫り、角印には会社名か店名を入れます。実印は物件の契約で先に使うことが多いので、贈る前に、本人がもう持っているかを確かめてください。
お店の名前は、看板・届け出・口座の3か所で使われます
お店の名前は1つに見えて、実は使う場所によって書き方が変わります。個人で開くパン屋と、会社が開くパン屋を例に並べてみます。
看板・レシートお客様が目にする名前
パン工房こむぎ
- 角印
開業届の屋号個人のお店の場合
パン工房こむぎ看板と同じにすることが多い
- 屋号の角印
- 屋号入りの銀行印
登記の会社名会社のお店の場合
株式会社ミヤケフーズ看板の店名とは違うことが多い
- 会社実印
- 会社銀行印
- 角印
口座の名義売上が入る口座
パン工房こむぎ 三宅真理会社なら「株式会社ミヤケフーズ」
- 銀行印
個人でお店を開く場合、税務署に出す開業届には屋号を書く欄があり、看板と同じ店名を書く人が多くいます。会社がお店を開くときは、登記した会社名と看板の店名が別になっていることがよくあります。印鑑に彫るのは、その印鑑を押す書類に書く名前です。領収書に押す角印なら看板の店名、法務局に届け出る会社実印なら登記の会社名というように、1本ごとに彫る名前が決まります。
個人のお店と会社のお店で、贈る印鑑が変わります
お店を個人事業主として始めるのか、会社を作って始めるのかで、使う印鑑の組み合わせが変わります。贈る印鑑を選ぶ前に、まず本人にここを聞いてください。
個人のお店
店名の印鑑と、店主の名前の印鑑を使い分けます
- 屋号の角印領収書や見積書、納品書に押します。開店祝いにいちばん向く印鑑です
- 屋号入りの銀行印屋号付きの口座の届出印にします。使えるかどうかは金融機関しだいです
- 店主の実印・銀行印物件の契約や個人の口座に使うので、店主の名前で彫ります
会社のお店
実印と銀行印は会社名で、角印は店名でも彫れます
- 会社実印登記や物件の契約に使います。会社を作る時点で必要です
- 会社銀行印会社の口座の届出印にします
- 角印会社名か店名を彫ります。2店舗目のお祝いにも向きます
個人のお店で気をつけたいのは、店名の印鑑は市区町村の実印として登録できないことです。京都市の案内が挙げる登録の条件は、住民票の氏名を表していることと、職業や資格など氏名以外を表していないことです。物件の賃貸契約など印鑑証明書が要る場面では、店主の名前で彫った実印を使います。個人事業主が使う印鑑の組み合わせは個人事業主の開業祝いに贈る印鑑|屋号印と個人印の選び分けと予算で詳しく説明しています。
開店までの流れと、印鑑を押す場面
お店の準備は、看板を出す日のずっと前から始まっています。物件を決めて内装を整え、必要な許可を取り、口座を作って、仕入れ先と取引を始めます。その途中のどこで、どの印鑑を押すのかを並べてみます。
開店までの流れと、押す印鑑
- 3〜6か月前物件の契約実印印鑑証明書を添えることが多い
- 2〜4か月前内装工事の契約実印・認印工事会社との契約書に
- 1〜2か月前許可や届け出業種による飲食店は保健所で営業許可を取ります
- 1か月前事業用の口座銀行印売上や仕入れの支払いに
- 2〜3週間前仕入れ先との取引角印取引の申込書や注文書に
- 開店の日領収書・見積書角印手書きの領収書を頼まれたときに
開店祝いの印鑑が届いて役に立つのは、この区間です
図の時期は、よくある流れをもとにした目安です。飲食店を開くには、食品衛生法にもとづいて都道府県知事の営業許可を受ける必要があります。保健所の検査の日程しだいで、開店日が前後することもあります。物件の契約は開店の数か月前ですので、そこで使う実印は、開店祝いが届くころにはたいてい使い終わっています。お祝いに贈るなら、口座を作るころから開店の日にかけて使い始める銀行印と角印が向いています。
開店祝いに向くのは、開店の日から押す角印です
角印は、お店の名前を四角い印面に彫った印鑑です。手書きの領収書や見積書、納品書、請求書に、店名に重ねて押します。どこにも届け出る必要がないので、開店の日に届けば、その日から使えます。開店のあとに届いても困らないことも、お祝いに向いている理由です。
角印の大きさは、彫る文字の数で決めます。当店では、「之印」を含めて9文字までなら21mm、10〜12文字なら24mm、13文字以上なら27mmを目安にしています。店名の字の形に合わせて職人が字を配置し、手彫りで仕上げます。価格は、薩摩本柘の21mmが17,900円、24mmが19,100円、黒水牛の21mmが30,000円です。サイズごとの違いは角印のサイズは21・24・27mmのどれ?で詳しく説明しています。
個人のお店で屋号付きの口座を作る予定があるなら、屋号入りの銀行印を添えるのもよい組み合わせです。外側に屋号、内側に「銀行之印」を彫った丸い印鑑で、売上の入金や仕入れの支払いに使う口座の届出印にします。この印鑑で口座を作れるかどうかは金融機関によって違うので、贈る前に本人に確かめてもらってください。全国銀行協会の案内では、ゴム印のように劣化して形が変わりやすい印鑑は、届出印に使えないとしています。銀行によって扱いは異なりますが、お店のスタンプやゴム印を届出印にしないよう、ひとこと添えておくと親切です。
レジに置く印鑑と、お店に置かない印鑑
お店を開くと、印鑑をしまう場所にも気を配る必要が出てきます。スタッフが出入りするレジまわりには、毎日押す角印と、受け取り用の認印だけを置きます。
レジまわりスタッフも使う
- 角印朱肉と押印マットと一緒に、引き出しの決まった場所にしまいます
- 受け取り用の認印宅配や納品の受け取りに
店主の手元・金庫店主だけが使う
- 実印・会社実印契約のときだけ出します
- 銀行印通帳とは別の場所にしまいます。全国銀行協会もすすめている分け方です
当店の角印には、革袋と朱肉、押印マットが付いています。そのままレジの引き出しに入れておけば、手書きの領収書を頼まれたときにすぐ押せます。銀行印を通帳と一緒にレジの下にしまわないよう、開店祝いを渡すときに伝えておいてください。
店名の表記は、看板やショップカードの写真で確かめます
店名には、英字やカタカナ、記号が入っていることがよくあります。口頭で聞いただけで注文すると、1文字の違いで作り直すことになりかねません。看板やショップカードの写真を送ってもらい、次の5つを確かめてください。
- 英字の大文字と小文字「Bakery」か「BAKERY」か
- 記号「&」「・」「-」は彫れます。「♪」「☆」は省くか文字に置き換えます
- スペースの位置単語の間を空けるかどうか
- 長音やカタカナ「カフェ」か「カフエ」か、「ー」が入るかどうか
- 店舗名を入れるか「烏丸店」のような店舗の名前まで彫るか
当店では、注文画面で「印影のご確認」を選んでいただくと、2〜3日後に彫る前のデザインをメールでお送りします。届いた画像を本人に転送して、表記に間違いがないかを見てもらうと安心です。そのぶん納期が延びることがあるので、開店に合わせるなら早めにご注文ください。英字の店名は、選んだ書体の雰囲気に合わせて職人が字を組みます。屋号の表記の決め方は屋号入り印鑑とは?丸印・角印の作り方と銀行・契約で使える範囲でも説明しています。
予算と人数で選ぶ、開店祝いの印鑑の組み合わせ
1人で贈るなら角印を1本、何人かで贈るなら素材のランクを上げるか本数を増やす、と考えると選びやすくなります。どの組み合わせも送料は無料です。
個人のお店へ1人で贈る
- 屋号の角印 薩摩本柘21mm
- 17,900円
- 送料
- 0円
合計17,900円
革袋・朱肉・押印マット付き
個人のお店へ2〜4人の連名で
- 屋号の角印 黒水牛21mm
- 30,000円
- 店主の銀行印 黒水牛13.5mm
- 9,500円
- 送料
- 0円
合計39,500円
4人なら1人あたり10,000円ほど
会社のお店へ会社を作る前に贈る
- 会社印3本セット 薩摩本柘
実印18mm・銀行印16.5mm・角印21mm - 56,900円
- 送料
- 0円
合計56,900円
レザーケース・朱肉・押印マット付き
3本セットの会社実印は、設立登記の申請に使います。会社のお店に贈るなら、設立の日より前に届けてください。社名が決まったら、すぐに注文するのが安心です。段取りは会社設立祝いに印鑑を贈るなら?実印・銀行印・角印の選び方と社名の確かめ方で説明しています。すでに会社があって2店舗目を開くときは、店舗の名前を入れた角印を1本贈れば、新しいお店の領収書にすぐ使えます。
開店祝いを渡す時期と、包装の色
開店祝いは、開店の1週間前から前日までに届けるのが一般的です。当日は店主がいちばん忙しい日なので、直接持っていくなら、少し落ち着いた時間を選びます。お店ができたことをあとから知ったときは、開店後に贈っても構いません。角印なら、届いた日から使えます。
開店祝いでは、火事や赤字を連想させるとして、赤一色の包装を避ける習わしがあります。当店の包装は青と赤から選べますので、お祝いには青をおすすめしています。のしをご希望の場合は、ご注文の前にお問い合わせください。表書きや避けたい品は友人の開業祝いに花以外を贈るなら?で詳しく説明しています。
よくある質問
店名がまだ正式に決まっていません
店名は、看板やショップカードを作る直前に変わることもあります。印鑑は、看板の文字が決まってから注文してください。先にお祝いの気持ちだけ伝えたいときは、「店名が決まったら角印を贈らせてね」とカードで知らせておく方法もあります。
会社のお店に、店名だけの角印を贈ってもいいですか
構いません。会社名の角印とは別に、店頭の領収書に押す店名の角印を使っているお店もあります。どちらを彫るかは、領収書にどの名前を書いているかを本人に聞いて決めてください。
住所や電話番号の入ったゴム印も贈りたいのですが
当店の通常の会社印鑑には、ゴム印は含まれていません。住所印に使うゴム印が付いたセットは、開運会社印鑑にご用意しています。社名の鑑定から作る印鑑の流れは開業祝いに開運会社印鑑を贈るで紹介しています。
本人がもう角印を作っていました
銀行印や店主の実印がまだなら、そちらを贈る方法があります。必要な印鑑がすべてそろっているなら、無理にこだわらず、お店で使う別の品を選んでください。店名の印鑑は、2店舗目を開くときや、事業を会社にするときにも贈る機会があります。
お店の名前の画数を見て、縁起のよい印鑑にしたい
屋号や店名の画数を鑑定して印影を作る開運印鑑もご用意しています。個人のお店なら屋号を鑑定して印鑑を作るをご覧ください。鑑定の結果は、お店の名前を選び直す理由ではなく、印鑑を作るときの参考としてお伝えしています。
まとめ|押す書類に書く名前で彫り、開店の日から使う角印を贈る
決める順番は次のとおりです。まず、お店を個人で開くのか、会社で開くのかを本人に聞きます。次に、領収書にどの名前を書くのかを確かめ、看板やショップカードの写真で店名の表記を見ます。そのうえで、1人で贈るなら角印を1本、連名なら素材のランクを上げるか、屋号入りの銀行印などを添えます。会社を作る前なら、実印・銀行印・角印の3本セットを、登記に間に合うように注文します。注文画面で「印影のご確認」を選び、届いたデザインを本人に見てもらいます。最後に包装を青にして、開店の1週間前から前日までに届くように手配してください。
お店の名前を、京都の職人が1本ずつ彫ります
店名の字や記号の並びに合わせて、職人が印面を設計します。「印影のご確認」を選べば、彫る前のデザインをメールでお送りしますので、本人に見てもらってから仕上げられます。ご注文から3〜7営業日で発送、送料は全国無料、5年保証付きです。
ご注文の画面では、会社名の欄に店名や屋号をご入力ください。包装は青がおすすめです。店名の表記のご相談はお問い合わせからどうぞ。