CHAPTER 16 印鑑の贈り物・マナー
開院祝いに印鑑を贈る|個人開業と医療法人で変わる種類と彫る名前
クリニックや医院の開院祝いに印鑑を贈りたい方へ。個人開業か医療法人かで変わる印鑑の種類と彫る名前、処方箋に押す先生の認印、組み合わせと価格、医療法人の登記に間に合わせる時期を説明します。
公開日: 2026年9月29日
勤務医として働いてきた先生が、自分のクリニックを開きます。医学部の同期や同じ病院で働いた仲間、ご家族にとっても大きな節目です。開院祝いには胡蝶蘭がよく贈られますが、「開院してからずっと使ってもらえるものを」と、印鑑を選ぶ方もいます。クリニックでは、領収書や処方箋に押す印、契約や口座に使う印など、開院の日から印鑑の出番がたくさんあります。ただ、何を彫るかは、先生が個人で開業するのか、医療法人として開設するのかで変わります。この記事では、開業の形ごとに贈る印鑑の種類と、彫る名前の確かめ方をお話しします。
個人で開業する先生には、クリニック名の角印と先生個人の印鑑を贈ります。医療法人なら、法人名を彫った実印・銀行印・角印の3本セットです。名前は看板の表記ではなく、届け出や登記どおりの正式な名称で彫ります。医療法人の実印は設立の登記で使うため、申請の日より前に贈ります。
開院には、個人開業と医療法人の2つの形があります
クリニックを開くのは、先生個人か医療法人のどちらかです。医療法では、医師が個人で診療所を開いたときは、開設後10日以内に届け出ることになっています。届け先は都道府県知事で、保健所を設置する市や特別区では市長・区長です。医療法人のように医師個人ではない者が診療所を開くときは、前もって許可を受けます。開設者が先生か法人かで、用意する印鑑と彫る名前が変わります。
クリニックの開院誰が開設者になるか
個人で開業
先生が開設者になり、開設後に届け出る
新しく開くクリニックは、この形から始めることが多くあります。契約や口座は先生個人の名義にし、領収書はクリニック名で出します。
- クリニック名の角印
- 先生個人の実印・銀行印
- 処方箋などに押す先生の認印
医療法人
法人を作り、開設の許可を受ける
都道府県知事の認可を受けて法人を設立し、登記をします。個人で開業したクリニックを、あとから医療法人にすることもあります。
- 法人の実印(理事長之印)
- 法人の銀行印
- 法人名の角印
- 処方箋などに押す先生の認印
どちらの形で開院するかは、贈る前に先生ご本人かご家族に確かめてください。「開業」と聞いていても、実際には医療法人の分院として開設する場合もあります。
印鑑に彫る名前は、届け出や登記どおりの正式な名称にします
医療法では、診療所に「病院」「病院分院」「産院」など、病院とまぎらわしい名称を付けてはいけないことになっています。そのため、名前は「○○クリニック」「○○医院」「○○内科」「○○診療所」のような形になります。印鑑に彫る名前は、開設の届け出や保険医療機関の指定の申請に書いた名称と、1文字も違わないようにします。診療科や地名が入るかどうかで表記が変わりますので、看板や名刺の略した名前ではなく、正式な名称を聞いてください。
クリニックの名前を四角い印鑑に彫ります。受付で渡す領収書や請求書、紹介状の封筒などに押します。個人開業でも医療法人でも使う、出番のいちばん多い1本です。
受付で毎日使います医師法施行規則では、患者に渡す処方箋に、医師が記名押印か署名をすることになっています。歯科医師も同じです。診断書や紹介状にも、先生個人の印を押す場面があります。
診察室で毎日使います外側に「医療法人社団○○会」、内側に「理事長之印」を彫り、設立の登記のときに法務局へ届け出ます。法人の銀行印と角印も、同じ法人名で作ります。
医療法人の場合に作ります医療法人の実印に彫る文字の決め方や、名称が長い場合の直径は、医療法人の印鑑で詳しく説明しています。「医療法人社団」か「医療法人財団」か、「社団」を省いた名称かは法人ごとに違いますので、登記のとおりに彫ります。
クリニックの中で印鑑を使う場所
開院祝いの胡蝶蘭や観葉植物は待合室を飾り、印鑑は受付や診察室、院長室で使われます。個人開業の小さなクリニックを例に、院内のどこでどの印鑑を使うかを間取り図にしました。
個人開業のクリニックと、印鑑や贈り物の置き場所
待合室
- 胡蝶蘭開院の日から数週間、入口を華やかにします
- 観葉植物植え替えれば何年も楽しめます
- 掛け時計患者さんが待つあいだに目に入ります
診察室
- 先生の認印処方箋、診断書、紹介状に押します
院長室・事務室
- 先生の実印・銀行印テナントや機器のリース契約、口座の手続きに使います
受付
- クリニック名の角印領収書や請求書、紹介状の封筒に押します。押す回数がいちばん多い印鑑です
医療法人の場合は、院長室・事務室の実印と銀行印が法人の印鑑になり、受付の角印も法人名で作ります。診察室の先生の認印は、法人になっても変わりません。
印鑑は、胡蝶蘭や観葉植物とは置く場所も使い道も違います。ほかの方から花が届く予定でも、お祝いの品が重なりません。
開業の形ごとの印鑑の組み合わせと価格
開業の形に合わせて、贈りやすい組み合わせを3つ挙げました。角印は、名称が9文字までなら21mm、10〜12文字なら24mmが目安です。「クリニック」だけで5文字あり、診療科や地名が入ると10文字を超えやすいので、ここでは24mmで計算しています。
個人開業|まず1本
- クリニック名の角印 薩摩本柘24mm19,100円
合計19,100円
個人開業|先生の印鑑も揃える
- クリニック名の角印 薩摩本柘24mm19,100円
- 先生の実印・銀行印・認印の3本セット 黒水牛30,200円
合計49,300円
医療法人|法人の3本
- 実印21mm・銀行印18mm・角印24mm 薩摩本柘61,400円
- 黒水牛の場合106,300円
合計61,400円〜
先生個人の3本セットは、実印15mm・銀行印13.5mm・認印12mmの組み合わせです。勤務医のころから使っている実印があるなら、角印と、処方箋に押す認印だけを新しくする贈り方もあります。医療法人の3本セットは、名称の頭に「医療法人社団」などの6文字が付いて長くなるため、実印を21mmにしています。会社印の3本セットでいちばん人気の組み合わせです。
医療法人に贈るなら、登記の前に届けます
医療法人は、都道府県知事の認可を受けてから、主たる事務所がある地域の法務局で設立の登記をします。申請の窓口は都道府県です。法人の実印はこの登記の申請と一緒に届け出ますので、認可の見通しが立ったら注文しておくと安心です。
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1. 認可の申請
法人の名称が決まる
定款に書いた名称が、そのまま実印に彫る名前になります。この段階で正式な表記を聞いておきます。
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2. 認可書の受け取り
印鑑を注文する
当店はご注文から3〜7営業日で発送します。認可書を受け取ってから登記の申請までは日がないことが多いので、遅くともこの時点で注文します。
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3. 設立の登記
法人の実印を届け出る
ここで実印が手元にないと、登記の手続きが進みません。お祝いの印鑑は、この日より前に届けます。
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4. 開院
口座を開き、診療を始める
法人の口座には銀行印を、受付の領収書には角印を使います。花やほかのお祝いの品は、開院の日に合わせて届けます。
個人開業には登記がありませんので、開院の日が期限になります。最初の領収書を出す日に角印が使えるよう、開院の1〜2週間前を目安に届けてください。
贈る前に、先生かご家族に確かめること
注文の前に確かめる5つのこと
- 個人開業か、医療法人か彫る名前と本数が変わります。医療法人の分院として開設する場合もあります
- クリニックの正式な名称診療科や地名が入るか、「医院」か「クリニック」かを確かめます。医療法人なら「医療法人社団」などの付け方も登記のとおりにします
- 先生の氏名の字旧字や異体字を使っているかを確かめます。認印は処方箋に押すので、正しい字で作ります
- すでに用意している印鑑開業の準備で角印をもう作っていたら、先生個人の印鑑や法人の銀行印など、重ならない品に変えます
- 届け先と受け取れる日開院前のクリニックは、工事や搬入で受け取れない日もあります。ご自宅に届ける方法もあります
名称を先生ご本人に聞きにくいときは、ご家族を通して、開設の届け出の控えなどで正式な表記を確かめてもらうと確実です。のし紙を掛けるなら、表書きは「祝御開院」「御開業御祝」とし、水引は紅白の蝶結びにします。
よくある質問
歯科医院の開院祝いでも、同じ印鑑でいいですか
同じ考え方で選べます。歯科医師法施行規則でも、歯科医師は処方箋に記名押印か署名をすることになっています。医院名の角印と先生の認印、医療法人なら法人の3本セットが基本です。
病院に鉢植えを贈るのはよくないと聞きました。胡蝶蘭は大丈夫ですか
鉢植えを避けるのは、入院している方へのお見舞いの習わしです。開院祝いでは、鉢植えの胡蝶蘭がよく贈られています。ただ、開院の日には花が重なりやすく、置き場所に困ることもあります。仲間うちで、花を贈る人と印鑑を贈る人を分けるという方法もあります。
処方箋は電子化されているのに、認印は要りますか
電子処方箋を使うクリニックも増えています。それでも、紙の処方箋や診断書、紹介状、健診の結果票など、先生の印を押す書類はまだ多くあります。個人開業なら、先生の認印は業者との契約や荷物の受け取りにも使います。
あとで医療法人になったら、贈った印鑑は使えなくなりますか
医療法人になって領収書を法人名で出すようになったら、角印もそれに合わせて作り直すのが一般的です。先生個人の実印・銀行印・認印は、法人になってもそのまま使えます。法人化のときに、改めて医療法人の3本セットを贈るという方法もあります。
まとめ|開業の形を聞いてから、正式な名称で彫る
開院祝いの印鑑は、次の順に決めていきます。まず、ご本人かご家族に、個人開業か医療法人かを聞きます。次に、届け出や登記に書いた正式な名称と、先生のお名前の字を確かめます。そのうえで、すでに用意している印鑑と重ならないように組み合わせを選びます。最後に、医療法人なら登記の申請の日、個人開業なら開院の日から逆算して、注文する日を決めます。
クリニック名や先生のお名前を、京都の職人が1本ずつ彫ります
文字の配置は、名称の文字数に合わせて職人が考えて彫刻します。ご注文から3〜7営業日で発送、送料は全国無料、5年保証付きです。
医療法人の名称の彫り方や、クリニック名の表記のご相談はお問い合わせからどうぞ。